|
もうすぐ50歳を迎えるアニータは34年間、映画館の窓口嬢として働いてきた。しかし、突然、映画館はシネコンに建て替えられることになり、「イメージに合わない」と、アニータは解雇されてしまう。2週間の休暇を言い渡された挙句の解雇で、理由は年齢のせい、という。窓口嬢として、自信と誇りをもって働いていたアニータは大きなショックを受ける。未亡人で1人暮らしのアニータはすることもなく、シネコンの建設現場へと足を運ぶのが日課となる。
工事現場の人たちは優しくアニータを迎えてくれる。ブルドーザーを操縦するアントーニがアニータに接近し、アニータは恋心を抱くようになる。若い男との久々の恋に、アニータは盛り上がるが、ある日、彼に結婚していることを打ち明けられる。しかし、アニータはショックはうけたもののめげてなんかいられない。隣人で親友のナタリアからは、「ラストチャンスなんだから、つかまえなきゃだめよ」と恋の手ほどきをうける。やがて、アニータとアントーニは工事現場のトレーラーの中で逢い引きを重ねるようになる。しかし、工事は進み、ブルドーザーは不用になりアントーニは工事現場を去ることになった。二人の恋の行方は・・・。
リストラされた50歳の未亡人のむくわれない恋の物語、と思うと、なんだか悲壮感が漂って、いたたまれない気持ちになるけれど、アニータは、主演のロサ・マリア・サルダのかわいらしさとコミカルな演出で思ったよりも明るい。アニータの見る夢とか、バルの青年とのかみ合わない会話とか、工事現場の人がアニータのことを重機フェチだと思っているあたりとか、かなり笑える。でも、決して苦悩がないわけではなくて、それを乗り越えようと必死なアニータもいる。友人のナタリアとのコンビネーションもなかなか。2人が結ばれた報告を聞いた後のナタリアは「閉経してさかりがつくなんて」と悪態とつくけれど、アニータは「あなたもそのうち50になるのよ」と余裕の発言。「どんなつらい結末でも恋に失敗はない」というナタリアの言葉や、「失業と引き換えに恋を得た」「神様は誕生日に出会いをプレゼントしてくれた」というアニータの言葉。わたしだったら暗く落ち込んでしまいそうだけれど、2人のポジティブな考え方はちょっと見習いたいかも。こんな風にはなりたくない、という思いと共に、こんな風になれたら、とも思える不思議な50歳像が描かれている。
第8回大阪ヨーロッパ映画祭(2001)上映作品
|