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1950年代マドリード。軍隊を除隊したパコ(ホルヘ・サンス)は兵舎を出て未亡人ルイサ(ビクトリア・アブリル)の家に下宿を始める。婚約者トリーニ(マリベル・ベルドゥ)はパコの軍隊時代の上司の家で家政婦として住み込みで働き、パコとの生活を夢見て、わずかな給料から貯金をしていた。家庭的で献身的で堅実で・・・理想を絵に描いたような女性なのだけれど、身持ちが堅く、パコに体を許していなかった。パコは元上司に紹介された建築現場で働き始めるが、つらい仕事に嫌気がさし、すぐ辞めてしまう。落ち込んでいたパコはルイサに誘惑され深い関係に・・・。そしてトリーニとは対象的で大人の魅力をもっているルイサの虜になり、その肉体に溺れていく。パコからの連絡が途絶え、不安になるトリーニ。クリスマスイブにパコはトリーニを訪ねるが、やはり体を許してはもらえず、下宿に帰ればルイサと体を重ねるのだった。翌日、パコとトリーニは通りでばったりルイサに出くわす。トリーニはパコから聞いていた未亡人の印象とはほど遠いルイサに戸惑い、不自然な二人の様子を見て関係に気付く。思い悩んだトリーニは、働く家の奥さんにアドバイスを受け、パコに体を許すことを決意する。ルイサの留守を見計らって下宿に乗り込むと、パコとルイサの関係を確信するに足る痕跡があった。それでもトリーニはパコに身を任せる。そして帰宅したルイサに「パコはわたしのものよ」と言わんばかりの挑戦的な態度をとる。ルイサはそれに激しく嫉妬する。パコとの関係の修復を願うトリーニはパコを自分の田舎へ連れて行き、母親に"夫"として紹介する。しかし、ようやくトリーニと体の関係を持つことができたのにも関わらず、時すでに遅し、パコの心がトリーニに戻ることはなかった。そして、ルイサの借金を返済するため、パコはトリーニから貯金を騙し取ろうとする。
簡単に言うと、純潔を固持する恋人に欲求不満をつのらせた青年が、大人の魅力を持った未亡人に誘惑されのめりこんでいく、というお話。こういう三角関係の話を見ると、つい「誰が悪いのか」と考えたくなってしまう。この作品の場合、婚約者がいるのにも関わらず、誘惑にのってしまうパコが悪いのは明らかだし、そもそもトリーニの存在を知っていながら誘惑をするルイサも悪い。一見何も悪くないように思えるトリーニだけれど、そのまっすぐな気持ちはパコにとってはとにかく重かったに違いない。トリーニがパコに身を委ねたあと、二人はトリーニの田舎を訪れる。そこで、彼女は母親にパコを"夫"と紹介する。どうせ結婚するのだから...、とプレッシャーをかけるのだけれど、これは彼女の願望ではないかという気がしてならない。この時彼女はもうパコが自分のもとに戻ってこないことを察していて、つかの間の夫婦気分を味わいたかったのではないか、と。そして、父親の浮気が原因で母親が車に飛び込んで脚が悪くなったという話をして、自分も命がけで愛していることをパコに告げる。トリーニ本人は気づいているのかいないのか、とにかく重く、パコが全く違うタイプの女性ルイサに惹かれていく気持ちがわからなくもない。
パコはルイサの体に溺れた愚かな男。でも、パコを体で取り戻そうとするトリーニはもっと愚かで哀れだと思う。若くて美人で家庭的で献身的でこれほどの女性はいないと思えるのだけれど、それでは男性の気持ちはどうにもならないものらしい。
この映画は実話に基づいて作られたもので、話は12月にはじまり、年が明けると完結する。話の展開が早いけれど、ほんの1ヶ月の間に起こった出来事。雪の降るブルゴスでのシーンは話の内容と同様に、重苦しく寒々しい雰囲気が漂う。
この作品では純真で一途な女性を演じているマリベル・ベルドゥだけれど、今だったらルイサの役を演じてもおかしくないよな、と思ってしまった。この役でビクトリア・アブリルとマリベル・ベルドゥはゴヤ賞主演女優賞に、ホルヘ・サンスは主演男優賞にノミネートされたけれど、惜しくも最優秀賞の受賞はのがしている。
1991年ベルリン映画祭主演女優賞(ビクトリア・アブリル)
1992年ゴヤ賞:最優秀作品賞、最優秀監督賞
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