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荒涼とした大地が広がるアルメリア。そこはかつてマカロニウエスタンのロケ地としてにぎわっていた場所。2002年、ウエスタンブームはとうの昔に去り、人々からは忘れ去られているその地に今もひっそりと存在する「テキサス・ハリウッド」という名前の映画村がこの物語の舞台。
不動産会社を経営するやり手の実業家である母親ラウラと祖母ロシオと共にマドリードに住みはじめたカルロス少年はある日、カウボーイの格好をした祖父の写真を発見する。祖父が俳優で、今もアルメリアにいることを知ったカルロスは、スキー旅行に行くふりをして、タクシーでアルメリアへと向かう。
カルロスのおじいちゃんであるフリアンは、マカロニウエスタンのスタントマンとしてかつては有名俳優の影武者となり、多くの映画に出演していた。ある事故によってカルロスの父親である息子を死なせてしまったことから、妻ロシオや嫁ラウラとは絶縁状態となっていた。そして、過去の栄光を胸に、数少ない観光客相手に仲間とウエスタンショーを演じて生活をしていた。そこへカルロスがやってきたのだった。カルロスはかっこいいフリアンじいちゃんを尊敬して慕い、マドリッドには帰ろうとしない。それを知ったラウラはカルロスを連れ戻そうとする一方で、「テキサス・ハリウッド」の土地を買い取り、新たなテーマパークを作ろうとするが、フリアンとその仲間たちの激しい抵抗にあう。
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の待望の最新作は「マカロニ・ウエスタン」ならぬ「マルミタコ・ウエスタン」。監督の出身地であるバスク地方の郷土料理マルミタコにちなんで名づけたアレックス・デ・ラ・イグレシア流ウエスタン。どうして今ごろ西部劇?と思ってしまうけれど、この時代遅れな感じが妙にカッコいい。常に影の存在であって、陽のあたらない人生を送ってきているスタントマンにスポットをあてているこの映画。とうの昔にブームが去ってしまった現在でもいまだにウエスタンという世界で生き延びている人たちを決して愚弄するわけではなく、彼らの誇りを見事に描き出している。
影の存在であるスタントマン、当然スクリーンに現れることはないのだから、過去の栄光を証明できるものは残っていない。フリアンがクリント・イーストウッドと友だちだった、と言っても誰も信じる者はいないが、フリアンはそれを誇りにしている。時代錯誤、胡散臭さ、安っぽさを最大限利用しているような作りが魅力的で、フリアンの生き様を通して、マカロニ・ウエスタンとスタントマンたちへの敬意と愛情が感じられる。コメディとは言え、最後にはホロリとさせられ、西部劇に馴染みのないわたしでも十分に楽しめた。
主演のサンチョ・グラシアは実際にマカロニ・ウエスタンにも出演していたホンモノ。これまでもデ・ラ・イグレシア監督作品に多く出演している。ほかの出演者たちもも常連が多い。デ・ラ・イグレシア作品で子供をキーパーソンとしたものは初めてで、カルロス少年は1500人の中から選ばれたという。物語の展開上、重要な役割を担うカルロスの役をルイス・カストロ君が目を輝かせてしっかりと演じている。常連たちが多い中で異色なのが、ラウラの片腕スコット役のエウセビオ・ポンセラ。デ・ラ・イグレシア監督の好きな"Arrebato"の主演俳優であるし、きっと監督は一緒に仕事をしたかったのではないかな・・・。そしてそして監督自身もちらっと出演。
・バスクフィルムフェスティバル(2003年6月)で上映
・2003年日本劇場公開予定
・公式サイト: http://www.800balas.com/
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