ときめいて子育てを

 

 
                 
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 4月27日(月)晴れ
 少し風があったが、天気がいいので、Babyのみかん組(1歳児)が散歩に行くという。お供をすることにした。
 新学期の1歳児はすべてがゆっくりだ。部屋を出て、緩やかな階段を後ろ向きに腹這って降りる。全員が降り切って、靴をはかせるのがまたひと仕事である。2台のバギーに分乗し、歩けそうな2人はとりあえず先生が抱いて出発する。ももかちゃんはバギー組だが、部屋を出る時からボクに抱っこで、バギーは泣いて嫌がった。前に抱っこしてあげたのは1週間以上前だと思うが、覚えているらしい。
 1歳児の中では一番月齢が低く、3月下旬生まれでまだ1歳1か月、4月生まれとは1年違う。まあ仕方ないか、と抱っこでバギー車について行った。

 近くの中沢公園につくと、月齢の高いきょう君、みんよん君、なつきちゃんたちは、さっそく走り回る。緑の芝草が心地よく、植込みのつつじが満開だった。ももかちゃんは草に下ろしても、足にしがみついて抱っこを求める。ボクは抱いたまま草に腰を下ろす。静かにじっとしていると、ももかちゃんは気持が安らいだのか、友だちの走り回る姿を目で追っていた。やがて目の前の草をちぎって遊び始めた。タイミングだ。
 「ももかちゃん。あんよしようか。…あんよして先生のところへ行こうか」
 うなずきはしなかったろう。でも、うなずく気配をボクは感じた。そっと抱いて立たせ、自分も立つと、今度は足にしがみつこうとはせず、ヨチヨチと草むらを歩きだしたのだ。…その気持ちになるまで待つということの大事さ、待てる余裕を持つことの大事さを改めて思った。
 少し歩いて、また抱っこになったが、一時保育のぶどう組、3歳くらいの子たちが来て、木に腰かけて遊ぶのに興味を示す。その桜の枝に茂る若葉をほしがった。一枚採ってやると喜んで握った。

 公園を出て、遊歩道を電車を見に行くことになった。片手に桜の若葉、片手をボクに握られて、ももかちゃんは遊歩道をヨチヨチと歩いた。先生たちがびっくりするほど歩いた。途中の飾り物に興味を示したり、たんぽぽの花に「あー」と声をあげながら、100メートル以上は歩いたろうか。突然バランスを崩して転んだ。大泣きだ。
 でも、抱かれて電車を見るうち泣きやんで、帰りの道もまた歩いた。ずいぶん歩いて、今度は転ぶ前に両手を延ばす。抱き上げて、「がんばったね。いっぱい歩いたね。すごいよ」と褒めた。どこまで分かったか、でも、穏やかで嬉しそうだった。

 園に帰ると、すぐ給食だった。よく食べる。こう君と隣り合って、二人とも手づかみでモリモリ食べる。こう君は、ボクがひよこ組で忙しくて相手をできなくなった間に、大分遊べるようになったらしい。たまに顔を合わせても、その必要がないのか、泣いたりはしなくなった。こうして園になじみ、自立の道を歩み始める。

 Babyで給食を食べて、そのに戻った。ひよこの昼寝が気になっていたが、間に合わなかった。ほとんどの子が眠っていて、こうた君とるなちゃんが担任の膝の上で起きていた。こうた君は泣いてはいなかったが、るなちゃんは泣きながら、助けを求めるようにボクを見上げる。

 手を差しのべたかったが、助手の先生がいるのに二人とも抱えているのは、担任にそれなりの覚悟というか、考えがあってのことだろう。るなちゃんの涙を無視して、ひよこ組を出た。

 事務所でひと仕事して、帰りの早バスに乗るるなちゃんと、バスを待つ子たちのところに行くと、ちゅうりっぷ組のるなちゃんが話しかけてきた。この子はBaby出身ではないが、妹がBabyのももかちゃんなのだ。「きょう、みかんのももかちゃんと散歩に行ったよ。いっぱい歩いて、すごかったんだよ」。るなちゃんは嬉しそうにほほ笑んだ。
 隣にいたのぶゆき君が、ボクを見て安心したのか、「パパがいい」と涙ぐんだ。「パパがお迎えに来るから大丈夫。でも、今だけおじさんがパパの代わりに抱っこしてあげるよ」。
 すると、同じちゅうりっぷ組のはる君が何か訴えてきた。「なあに。おしっこ?」。「ちがうよ。ぼくのテントウ虫がない」。「そりゃ大変!」。
 のぶゆき君を下ろして、はる君と走って部屋に戻った。助手の先生がいて、テントウ虫の袋は一つあったが、はる君がまだ目覚める前、「誰の?」と聞いたらしい。持ち主のない袋は誰かがもらっていったのかも知れない。「今度おじさんが2匹捕ってやる。我慢しな」。泣き叫ぶはる君を横抱きに戻ると、ちょうど名前を呼ばれたところだった。はる君とのぶゆき君を二人抱えてバスに乗せた。ああ疲れた。保育士というのは毎日こんな風に働くわけだ。楽しいけれど、大変な仕事ではある。

 今日から「子どものその携帯サイトがオープンします
 そののホームページは10年目を迎え、ホームページ委員の理事たちでリニューアルを検討中だ。7月の園児募集説明会を前に、幼稚園・保育園探しのアクセスが山場を迎えるので、それまでは今の形を続けるが、7月下旬には新しい画面でお目見えする予定だ。
 その前に、深い内容までは表現できないが、手軽に見られる携帯サイトをお知らせ版として作成することになったもの。パーコード読み取り機能のある携帯電話をお持ちの方は、右のパーコードを読み取ってアクセスして下さい。

 子どものそのパソコン用ホームページ http://www.kodomonosono.com
         携帯用ホームページ    http://www.kodomonosono.com/m


 4月24日(金)晴れ
 きのうは年長組の手巻き寿司パーティで、巻き方を教えるコック役をやった。
 きゅうりを巻いて、「これは何という寿司?」
 「かっぱ!」とすかさず声がかかる。
 「そうだ。かっぱ巻きだ。かっぱはキュウリが大好きだからね。かっぱ巻きを新河岸川の土手に置いて、次の日見に行けば、必ずなくなっている。かっぱの大好物さ…」
 てな、いい加減な話を、子どもたちは真剣に聴く。「かっぱ」は今となれば、そののひとつの文化なのだ。ボクはかっぱになり変って、かっぱ巻きを食べる。「ズルイッ」の大反響。
 「まてまて」。ボクは構わず卵巻きを作って食べる。「ズルイッ」「お腹すいたァ」
 そこでやっと解禁。みんな真剣にノリの上に寿司ご飯を広げ、箸で延ばしながら具を乗せて、慎重に巻く。おなかがすいている分、食が進む。
 給食室も大変で、通常の「ちらし寿司」中心の献立を創りあげた後、年長組の3種類の具を調理するのだから。少し遅くなっただけに、いつもよりたくさん食べてくれたと思う。

 きょうは、ひよこ組の初散歩だった。散歩の前の注意事項も2歳児は分かっているのかどうか、心もとない。年少組や年中組が行った近くの休耕田は除草剤がまかれた様子なので、足を延ばして以前年長の畑だった草むらまで行った。
 緑の草が深くて、そんな草丈を跨ぐようにして歩く経験は初めてかもしれない。なれると、それだけでも面白いようだ。エゾタンポポのひとえの花摘む。アマガエルも2匹捕れた。ゆうや君とそうすけ君がもらって袋に入れたが、じきにどうでもよくなったものの、どうにか袋を持ち帰ってお土産にした。
 みんなしっかり歩けた。るなちゃんだけは時々泣いて抱っこになったが、歩けないのでなく朝から昼寝を気にしてぐずっているのが分かった。抱っこというときはそうしてやった。

 いっぱい歩いて、給食もよく食べて、今日は昼寝もしっかりできるだろうと期待していたが、これが大はずれだった。担任にも言って、るなちゃんが不安に感じているのでボクが抱いたまま、外に残った。だんだん眠くなるが、人の声や騒がしさがどこかにあって、ウトウトまでしかいかない。1時間たってもダメで、外へ出て来てくれた助手の先生にバトンタッチする。部屋に入るといったん静かになったはずなのに、おねしょをした子が泣き出し、誘われて泣きだす子と、たちまち騒がしくなってしまった。慣れてきた分、自分が出せるようになって、また一つ峠を越えなければならないだろう。 


 4月22日(水)晴れ
 きのう、ひよこ組は園庭にござを敷き、そこを根城に砂・泥・水遊びをした。年少組はクラスの帽子をかぶって散歩に出かけたが、ひよこ組は初散歩は来週くらいになるのだろう。
 2歳児ではひとつの遊びは長続きしないが、場所を変え、やることを変えて、外あそびが続いている。
 月曜日(20日)から昼寝が始まったが、初日は1時から班長・福班長会議で昼寝の途中から抜け出した。
 きのう(21日)はきのうで、ひよこ組・年少組の合同クラス会で、途中からそっちに回った。

 今日は3日目だったが、カーテンを閉めて部屋が薄暗くなると、たちまち阿鼻叫喚のちまただ。すぐに布団に横になる子もいるが、もっと遊んでいたい子、そもそも昼寝の習慣のない子もいる。
 激しく泣いているそうきち君をなだめて、ようやくしゃっくりあげるのが収まりかけたとき、となりのゆうや君のズボンが濡れているので、「取り替えようか?」。
 取り替えてもどると、そうきち君は誰かそばの先生が面倒を見てくれたのか静かだった。担任の膝の上で二人が大声で泣いている。3月生まれのこうすけ君を引き取って、今度はボクの延ばした足の上にうつ伏せで大

泣きしていたが、そのうち静かになった。ずりずりと床の上をいざって、布団に近づき、ようやく下ろすことができた。大成功。その頃までには3人の担任と助手が奮闘して、静かになりかけていたが、るなちゃんの泣き声が急に目立ってきた。「ま、いいか…」。抱いて外へ出ようとすると、担任が「きょうは年中組の合同クラス会ですから、上の子でお母さんがきますので…」とささやいた。「わかった」。広い園庭にもお母さんに気付かない安全地帯はない。目はぱっちりあいているし、やむなく二階の年長組の部屋に遊びに行く。「あっ、るなちゃんだ」同じバスの子が寄ってきて、かわいがるというか、いじられて、ますます具合が悪い。
 ようやくお母さんたちが会場の文庫に入りきるのを見定めて園庭に降りる。抱いて子守唄を歌っていると、とろんとするが、ひよこの部屋に入るとギャーッと泣く。結局カーテンが開くまで外にいた。

 帰りのバス、いつも1号車に送っていたそうすけ君とりゅうすけ君の双子の兄弟が今日からオレンジ(延長保育)になる。オレンジの部屋に送って、荷物をかけ、大きい組の子といっしょに絵を描いた。一足先に数日前からオレンジになった同じひよこ組のまゆちゃん、もかちゃん、ゆうや君は、もうオレンジになじんで、遊んでいる。クレヨンでぐしゃぐしゃ描きをしている二人の脇で、上の子もいるゆうや君がハサミで紙を切っていた。そうすけ君が真似してハサミを手にしたが、まだ使えない様子だったので、「ハサミはまた今度にしよう」と言うと、素直系のゆうすけ君はすぐに絵に戻ってくれた。
 オレンジの始まりは絵本の読み聞かせから。「ノンタン」のお話2冊を、ひよこ組の5人がボクの足の上に重なるように座って、ちゃんと聞いた。それから倉田先生に名前を呼ばれた子から手を洗って、ホールのおやつの席につく。かっぱ巻きとお菓子がたっぷり皿に盛られていた。ひよこ組の5人でいただきますをして、食べ始めたところで、そっと抜けだした。
 ひと仕事して、帰宅する前、ちょっと気になってオレンジを覗く。ゆうすけ君とまゆちゃんが目ざとく見つけて寄って来た。「りゅうは?」。ゆうすけくんも気づいていなかった。「りゅうすけ君を探しに行こう」。職員室の近くにいた。「りゅうすけ君、どこに行ってたの?」
 「ウンチ出たの」。りゅうすけ君は晴れ晴れとした顔で言った。「変えてもらったの?」
 「ウン」。この二人もじきにオレンジの仲間になるだろう。兄弟が手をつないで遊びに行くのを、ボクも穏やかな気分で見送った。

 

 4月17日(金)曇り時々雨
 朝からどんよりと曇って、肌寒かった。こんな日は楽しく保育するには工夫がいる。朝のうちはまだ雨が落ちてこなかったので、少しは外で遊んだが、おやつで部屋に戻った後は、新聞紙やぶりをすることになった。
 去年のいま時分はまだ破れなくて、先生たちだけで破いて遊ばせたかも…と、担任も躊躇するものがあったようだが、実際やってみると、意外にビリビリと破いて、空中に投げ、雪のようにして遊べた。まゆちゃんは先頭切って破いていたし、新しいことには慎重なわたる君までいい笑顔で破いている。

 さんざん雪を降らせて遊んだあと、大きな玩具箱に破いた新聞を投げいれ、お風呂にして遊ぶ。我先にと入って、芋を洗う状態、勝気なみゆちゃんは邪魔な男の子を押しまくったが、お互い楽しい気分のせいか、トラブルにはならずに済んだ。結構集中して遊べた。

 それから玄関へカメを見に行った。たらいから出して、カメが逃げようと歩きまわるのを、こわごわ見ている。何人かは勇気を出して甲羅に触ってみた。

 今日の給食はコマツナご飯、豆腐とわかめと大根の味噌汁、大学芋、麦茶。5日目で初めての和食メニューだ。コマツナご飯は緑の葉っぱ、揚げ、ニンジンと色どりがよく、味も最高だが、混ぜご飯の嫌いな子、野菜ノーの子も新学期は多いので、どうかなあと心配だったが、みんな気にせずよく食べた。ボクのついたテーブルでは、ゆうじ君もわたる君も最初は大学芋を食べた。わたる君はいつもの通りそれを

指さして、「半分こ」と言う。半分にしても、口に運んでやらないと食べない。でも、食べさせればなんでも食べられる。味噌汁は2度お代わりした。大根にも抵抗感がない。担任が「おばあちゃんの大根とおんなじだよ」と言うと、嬉しそうだ。農家でもあるのだろうか。味噌汁のお椀を両手に持って、2杯ともきれいに飲んだ。自分で飲んだ。ということは、そのうち自分で食べてくれるだろう。
 味噌汁を食べようとしていたゆうじ君がフォークを差し出して何か言った。よく聞き取れなかったが、豆腐を刺してと言っているようだった。突き刺してやると、「おじさん、見て見て」と、口を大きく開けて豆腐を放り込んだ。「あっ、すごい! おおかみの口みたいに大きいぞ」。…昨日からこのせりふが気に入っているみたいだ。お皿やお椀を全部空っぽにして、コマツナご飯をお代わりする。でも、早く食べ終わったまゆちゃんが押入の前で遊び始めると、そっちへ合流してしまい、いくら呼んでも戻らなかった。
 隣に座っているみつる君はロダンの考える人のように、食卓の前で微動だにしない。「みつる君。これおいしいよ」とフォークにとって食べさせれば、一応なんでも食べる。でも、口の開け方は小さく、とてもオオカミのようではない。なにか心に支えているものがあるのだろうか。少し様子を見るしかない。

 ひと遊びして、帰る支度をしているとき、りょうすけ君が「うんち出ちゃった」と言った。「りょうちゃん、えらいよ。ちゃんと教えてくれて。パンツ変えれば平気だからね」。硬めの始末のいいウンチだった。紙おむつのパンツをはきたがったが、それは赤ちゃんパンツ。こっちのお兄ちゃんパンツを履けば? 「これお兄ちゃんの?」と、勇んで布パンツをはいた。
 わたる君を3号車に、ようすけ君とりょうすけ君を1号車に乗せて、盛大にバイバイをして戻ると、遅バスのさくと君が、おもちゃのテーブルにまたがったまま、「おじさん、ウンチ出ちゃった」と小声で言った。「ちゃんと教えてくれて、ありがとう。いっぱい出た? よかったなあ」。この子のウンチも健康なものだった。ハンドタオルを水で濡らして、「ちょっと冷たくてごめんね」とお尻を拭く。着替えると、さくと君はすっかり明るくなって飛び跳ねた。
 よく遊んで、よく食べて、よく出して…この時期にウンチができるということは、心を開いて生活できるようになったという意味もあって、すごくいいことなのだ。
 オレンジ(延長保育)のまゆちゃんがぐずりだしていた。今日も一番遊んだ子の一人だ。抱き上げると肩に顔を埋めて目をつむったらしい。下手な子守唄を歌っているうち、だんだん重くなる。蒲団の上に仰向けに寝転がり、まゆちゃんの頭を布団に落とし、呼吸をはかって足を下ろす。それから自分の腕を抜いた。「さすが、上手ですねえ」と助手の小野先生が言った。「いやあ、子どもとの信頼関係がなくちゃね」と、ボクは自慢した。

 午後、ちょっとだけBabyに寄る。あまり時間がなかったので、0歳児の部屋に直行した。屋良先生が愚図るひとりをおんぶして、二人に離乳食を食べさせていた。一応、様になっている。森坂先生と萩野先生は授乳していた。目をまん丸にしているひろき君の離乳食を手伝った。よく食べる。
 食べ終わって遊んでいたみずき君がボクに気づいて泣きだした。「人見知りが始まったんです」と森坂先生。「え、なんで?」。もう終わったのかと思っていた。今週の月曜日からで、お迎えの他のママにも、南園長にも泣くと言う。「なんで? オレは違うよね?」。抱っこすると、顔をじいっと見ていたが、思い出したかどうか、泣きはしなかった。二人でしばらくおもちゃで遊んだ。
 機嫌よく座っているところで、バイバイした。まだハイハイして移動することのできないみずき君は、上半身を揺すってボクを見ていた。後追いの気持ちだけはあったような気がする。


 4月13日(月)晴れ
 週の明けた今日もありがたいことにお天気だ。園庭の椿越しにケヤキの新緑が美しい。ヒメリンゴの真っ白い花も満開となり、気分も晴れやかな春だ。
 4月1日からのBaby新学期いらい、泣く子を日がな一日抱っこしていたせいか、単なる老化現象か、左肩が激しく凝って、夜半に痛みで目が覚めるほどになり、指圧の医者にかかった。土日はおとなしく静養に努めた。(サラリーマンなら連休は当たり前だが…)恐ろしく退屈で、時間を持て余した。
 月曜日、子どもたちに会いたくて、8時に出勤した。ひよこ組の子どもたちが登園するのを待って、砂場で遊ぶ。作ってくれる砂料理を「おいしいなあ」と食べて

いると、年少組の子も次々作ってくれ、食べれば「お代わりする?」とキリがない。
 突然、ちゅうりっぷ組で「おかあさんがいい」と大声で泣く。大暴れで先生も手こずっている。「いいよ。お母さんのところへ連れてってあげる」と抱き上げて、さてどうやって気を紛らそうと思いながら歩いていると、事務所から出てきたお母さんとばったり出会ってしまった。声が一段と大きくなる。バスで来たのかと思っていたが、自主通園の子らしい。「一、二の三で行っちゃって下さい」。
 泣き叫ぶ重たい子を抱いて歩いていると、事務所の前で山中さんが金網のふたをあげてU字溝の掃除をしていた。「あっ、面白そう!」。溝の中に吹きだまった桜の花びらを一つかみ、パラパラと振りまく。「ほら、雪だよ。やってみる?」。
 花びらを両手に持って部屋に戻った。「ゆうき先生。ほら、雪だよ」「あっ、楽しそう」。もう男の子は泣かなかった。もともと遊べる子なのだろう。 

 少し遊んで、10時前にひよこ組だけおやつタイム。園庭いっぱいに広がって遊んでいる子どもを、助手の先生と手分けして探し集めた。手を洗ったり、拭いたり、トイレに行ったり、ひと騒動して、絵本を読んでまらって(半分くらいの子は見ていたか)、いよいよおやつだ。いつの間にか、わたる君とるなちゃんがボクの膝の間にいた。
 おやつが終わって、ほかのクラスが朝の集まりになる頃、ひよこ組はまた外で遊ぶ。「おーい、みんな、外で遊ぶんだって。砂場へ行こう…はだしでもいいよ」。自分が率先して裸足で出た。
 「はだしでいいの?」そうすけ君が踏み板の上まで出て、振り返った。「りゅうは?」と、双子のりゅうすけ君を探している。先週もそんな姿を見た。りゅうすけ君は割とマイペースで遊んでいるが、そうすけ君はお兄さんらしくいつも気遣っているみたいだ。
 砂場へ裸足で出て、「ああ、気持いい」とボクは言った。「キモチイ」と、そうすけ君。「気持ちいいね」。
 「キモチイイ」と、今度は正しく言えた。裸足で砂場に立つ感覚、それを気持ちいいことだと、そうすけ君が感じ取ったのが分かった。…いま幼児は五感を駆使して新しい世界を知ろうとしている。感覚の発達を通じて感性を豊かにし、感覚の刺激によってもたらされた情緒、こころの働きを豊かにしていく時期なのだ。

 「散歩に行ってきまーす」。何人か連れてトンネル山に行ったが、年中組の砂場にたどりついたときは、わたる君とみゆちゃんしかいなかった。
 わたる君は初めてのことには慎重なタイプだが、誰もいない砂場で、自分からシャベルとカップを手にした。みゆちゃんは砂場が飽きると、太鼓橋に登る。てっぺんまで登って、高いところで方向転換をする無理はしないで、片足ずつゆっくり、しっかり降りてきた。下ろす足を宙にまさぐりながら、確実に横棒を探り当てる。運動神経もいいが、経験もあるのだろう。
 年中組は、水道のところで順番にうがいをしていた。ちゃんと並んで争いもない。それがすんで、朝の集まりなのだろう。
 きょうは園内探検に行くということで、先生にもらった望遠鏡に飾りをつけていた。

 きょうから給食が始まる。ひよこ組は一足先に準備を始めた。2人お休みで、子どもは13人。先生はボクのようなお助けマンを入れて5人。3つのテーブルで食べた。
 カレーライスにツナサラダ。最初はおとななら二口という量をよそる。お変り自由だ。ボクの右前のまゆちゃんはスプーンを上手に使って自分で食べ、「おいしいね」と口ずさみながら、カレーを2回、サラダを2回お代わりした。左前のるなちゃんも1回お代わりする。当然のように自然に食べさせてもらっていた。

 他の子たちもよく食べた。来週から昼寝が始まると、どうなるか分からないが、いまのところ今年のひよこ組は上等のスタートを切ったと思う。
 オレンジになる3人のお昼寝を少し手伝ってから、Babyにいく。こちらは1歳児で、こうちゃんとももかちゃんがおじさんの取りっこでひと騒ぎ。そろそろ考えなくちゃなるまい。
 夕方、指圧に行った。


 4月8日(水)晴れ
 新学期一日目。園長がハンドマイクで、「1号車しろコース到着しました」と放送すると、担任や助手の先生が、旅館の番頭よろしく玄関まで出迎えに走る。バスを降りても、新入園児は自分の部屋がどこかも知らない。先生たちは、何色コースなら誰と誰が乗ってるはずと承知して、「〇〇ちゃんおはよう!」とにこやかに出迎える。
 今年は泣きながら降りてくる子は少ない。天気がいいので、カバンを置くと次々外へ出て、砂場やアスレチックで遊び始めていた。
 ひよこ組も誰も泣かないで砂場で遊んでいた。

 新学期はひよこ組を手伝うことになっているので、ひよこ組の子と砂場で遊んでいると、ちゅうりっぷ組のはる君が来て、「おじさん、これやりたい」と小声で言いながら、両手をすり合わせた。意味が分からなくて、あいまいに砂場遊びを続けていると、「これやりたい」とまた手をすり合わせる。ハッと気づいた。「竹トンボ?」。入園のお祝いに飛ばした竹トンボのことらしい。
 それはお祝いのとき手で受け止めたとんぼ組ののり子先生あげてしまった。はる君ととんぼ組へ向かった。途中で竹トンボを持って庭に向かう男の子にあった。「花組の子だけど、竹トンボ貸してくれる?」。「いいよ」。男の子は、親切に飛ばし方をはる君に教えてくれた。

 砂場に戻ると、ひよこ組のこうた君が一人でトンネル山に向かうところだったので後を追った。少し怖がりながらトンネルを抜けて、年中組の砂場に入る。派手に砂を弾き飛ばすので、誰かにかかりそうだ。
 「こうた君、ヤギさんに葉っぱをあげよう」。落ち葉を拾って、園庭につないだヤギのところに行った。山羊のメリーはおいしそうな草を食べていたが、落ち葉の方が好きなのだ。

 「食べた!」。こうた君は喜んで落ち葉拾いに走る。
 ヤギの傍らにちゅうりっぷ組の浅田先生がいて、「おかあさんがいい」と泣き叫ぶ子が二人、今にも泣き出しそうな子が一人いた。一番大声のまなみちゃんに「お母さんに電話してあげる」と抱き上げて、事務所へ向かった。すると、もう一人の大柄なりゅうへい君も泣きながらついてきた。「もしもし…まなみちゃんのお母さんですか?」。一人芝居で「洗たくが済んだらすぐお迎えに来るって。お母さんが来たら、抱っこしてって言うんだよ。きっと抱っこしてくれるよ」。
 泣きやまない二人と玄関の引き扉の前でお母さんを待っていると、「おじさんがいいんですって」と、浅田先生がたいと君を連れてきた。 この子はBabyのりんご組で一緒だったから、朝泣いてバスに乗ったと聞いていたので、「いいよ。おじさんと一緒にいな」と、みんなでお母さんが来るのを待った。「みんな部屋に入って下さい。おやつの時間ですよ」と放送が聞こえた。「あっ、おやつだって」。やはり泣きながら移動した。途中で給食室でおやつのボールを受け取って、ちゅうりっぷ組に行く。「おーい、おやつもらって来たよ」。
 みんなはトイレに行ったり、手を洗ったりしていた。まなみちゃんには断られたが、りゅうへい君は男の子の便器で上手におしっこができた。助手の先生がお子さんの入学式でお休みとか、そのままおやつを配ったりして、ちゅうりっぷ組で過ごす。まなみちゃんも泣きやんでおやつをお代わりして食べた。てんやわんやだが、新学期はえてしてこんなものだ。(後で園長に聞くと、ほかの年少組は大泣きする子もなく、静かに輪になっておやつを食べたとか。でも、もしかしたらちゅうりっぷ組が一番活力を秘めているのかも知れない。)

 ひよこ組にもどって、ひと遊びし、帰りの支度とバス乗車を手伝った。大人は緊張して間違いのないように神経を使うが、今年のひよこ組はゆうゆうとしている。早バスを送って、事務所へ戻った。とんぼ組・新入園のあすかちゃんが、「おじさん、ロケット貸して」という。一足早くオレンジに来ていて、すっかり慣れたようだ。あすかちゃんが上手に飛ばすと、次々子どもが集まって「ひとり一回だよ」と制限した。

 午後は所用でサティ前の麦っ子保育園に寄り、その足でBabyに行く。例によって1歳児のこう君と遊んでいると、お客様。ぞう組を卒園した倉根ひかるちゃんとご両親が挨拶に来られた。ランドセルの中、真新しい教科書も見せてくれた。前に、「みかん組(1歳児)からぞう組まで、あっという間の5年間でした。子どもも親も育てていただいて感謝しています」と、手紙をもらっていた。こちらこそお世話になりましたとこみ上げるものがあったが、「ひかるちゃん、また遊びに来てね」とは、なんとありきたりな言葉だろうか。 

 1歳児のみかん組がおやつになって、食べるの大好きなこう君が静かに座って手を拭いたので、そのままそっと抜け出して、また「その」へ戻った。

 くま組のとうま君やちょうちょう組のこうき君が、砂場のシャベル、カップを桜の花に投げて遊んでいた。うまく当たると、ハラハラと花びらが散る。「雪だ、雪だ!」とはしゃいでいる。「友だちにぶつからないように、よく見て投げなよ」。オレンジの子は面白いあそびを考える。


 4月7日(火)晴れ
 去年の暮、玄関のカイヅカイブキの重たい植木を抜いて球根を植えた花壇に、見事にチューリップが咲いた。園庭のサクラも満開だった。
 45回目の入園のお祝い。何回重ねようと、入園のお祝いは新鮮だ。バスを降りて、お母さんやお父さんと手をつないで入ってくる姿に、初々しい緊張感が読み取れる。…子どもたちにとっては初めての社会生活、しっかり受け止めてあげなければ、と覚悟する。
 お祝いは子どもたちが主人公だ。「その」ではいつでもそうでありたい。子どもたちが初めて先生たちと向かい合い、自立の第一歩を記す大切な瞬間なのだ。…親は子どもたちの後ろに立って見守ってほしい、子どもの目の前から写真を撮りまくるのでは、誰が先生かもわからない、と入園説明会でくどいほどお願いした。その甲斐があって、大部分の親は「その」の方針を尊重してくれた。ありがたいことだ。
 けれど、何人かは注意すると一瞬後ろへ下がるが、またすぐビデオカメラを抱えて前へ出てくる。世間にはどうしようもない人がいるものだ。
 園長の「♪ぶたがいくよ」は進級の年中組の子が大勢で歌ってくれて、いっぺんに雰囲気が柔らかくなった。ボクの竹トンボもよく飛んだ。飛んだきり帰ってこなかった。誰がもっていったのいかなあ。ロケットは卒園生が持ってきてくれた。

 入園のお祝が終わって、すぐBabyに行く。慣らし保育が終わって、昨日から午睡が始まって大変なのだ。というより、1歳児のこう君が泣きながらボクを待ってるだろうな、と気になった。
 やはり先生に負われながら泣いていた。ボクの姿を見ると手を延ばす。園庭で砂場あそびや水あそびをした。そのうち、ときおりボクの姿を確かめながら、あちこち移動しながら面白いものを見つけてあそび出した。極めつけは、誰かが泥遊びをした後の濡れた土にどっかり座って、指につく泥を気にしながら遊んだ。
 入園のお祝い用のスーツ姿だったので、ちょっと気になったが、こう君がアウトドア派と分かって、お母さんが迎えに来るまで一緒に遊んだ。お母さんから家庭の様子をいろいろ聞けてよかった。

 

 4月6日(月)晴れ
 朝、「その」によって園児募集説明会のチラシの版下を仕上げた後、Babyに向かった。明日は「その」の入園のお祝いだから、仕事がないわけではないが、Babyの新入園児も気がかりで、泣いている子を一人抱いてあげるだけでも役に立つのだ。
 ボクの顔を見つけると、こう君がたどたどしい歩き方で泣きながら近づいてきた。これでボクの一日は決まりだ。りょう君も大声で泣きながらママを探しているが、この二人は無理というもの、りょう君は別の先生が担当してくれた。
 おやつと牛乳or麦茶をすますと、お天気なので、園庭で遊ぶことになった。自分の靴下を脱ぎ、こう君を抱いて階段を下りた。先生と何人かの新入園児がタライで水遊びをしていた。
 「こうちゃん、お水ピチャピチャやろうね」しゃがんで手を水に入れたが、嫌がらなかった。そこに座りこんで、地面の砂をいじる。視線の先にプラスチックの自動車があった。こう君は自分で歩いて行き、自動車をひっくり返して、タイヤをぐるぐる回して遊んだ。友だちとはかかわらなかったが、時おりボクを視野に入れながら、ひとしきり園庭で楽しそうだった。昼前、疲れたのか喉が渇いたのか少しぐずったが、まずは上出来な滑り出しだろう。

 給食の後、しばらく泣いたが、やがて抱かれたまま眠った。蒲団の上にボク自身が仰向けに寝て、こう君の頭を布団に落とし、次に手を、さらに足を落として、最後に自分の腕を抜く。成功した。この寝かせ方は、前に「その」のひよこ組の、やはり「こう君」という、なかなか寝付かない子で覚えたものだ。

 午後は「その」に戻って、竹トンボと紙ロケットを作った。明日の入園のお祝いの定番なのだ。
 そのの入園のお祝いは45回目だ。考えてみると、自分は45回を欠席することなく参加した。熱があるとか、具合が悪い中を頑張って…ということは、一回もなかった。いつも快適な健康状態で出席できたのは、これに勝る幸せはないかもしれない。


 4月3日(金)晴れ
 きのう、きょうとBabyの新入園児と遊んだ。遊んだというか、子守をしたというべきか。
 1歳児は定員9名に対して3名オーバーの12名というのは昨年並みだが、そのうち半分の6名が新入というのはちょっと多い。保育園というのは親の都合で入退園が結構多い世界のようだ。
 0歳児の8人は全員新入園だが、まだ人見知りをしない月齢の低い子もおり、泣いてもあやせば泣きやむが、1歳児ともなれば自我が芽生え始めていて、「ママァ!」と言葉に出して後追いもできるから、となりの0歳児のクラスよりずっと騒がしい。
 きのうは泣き叫ぶりょう君の相手をしたが、部屋をでて玄関まで行き、ガラス越しにママの姿を見ているうち、行き過ぎるクルマに見とれて泣きやんだ。うさぎのピョンにも興味を示し、機嫌を直してクラスに戻ることができた。おやつも給食もよく食べて、なかなか活力のある子だ。
 きょうは部屋を出ないで遊ぼうと意図したが、あまり泣き叫ぶのがかわいそうで、玄関まで下りたが、今度はクルマではだまされない。外まで追いたくて泣きやまなかった。無理やり部屋に戻ると、きょうは風もなく暖かい天気なので、みんな園庭に出ていた。「庭に行くよ」抱いて外階段を降り、自分も靴下

を脱いで園庭に立つ。進級児はおもちゃの自動車や三輪車にまたがって遊んでいた。4月生まれのみんよん君は、リールのホースを力いっぱい延ばして遊んでいる。新入園児も先生といっしょに砂遊びや水遊びをしていた。
 でも、りょう君は外階段を下りた園庭は、ママの行った玄関からは反対方向なのが分かるらしく、階段の上を指さして泣きやまない。いささか疲れて、南園長がやはり泣いているこう君を抱いていたので、取り替えてこう君を抱いた。この子も、きのう一緒に遊んだので、ボクに抱かれるとすぐ泣きやんだ。
 こう君を抱いたまま、片手で遊ぶ子どもたちの写真を撮っていると、こう君が声を立てて笑った。何がおかしいのか、シャッターを切るたびに笑う。カメラが好きなのか、手を延ばしていい絵がをになる。
 一方、りょう君は南先生を説得して外へ出たようだ。フェンス越しに園庭を覗き込んでいた。その後、泣きながら戻ったが、調理室を覗いて山積みのパンを見たとたんに泣きやんだそうだ。自分の気持ちがしっかりある子なのだろう。こういう子はじきに遊ぶことの面白さを獲得するだろう。
 きょうは給食2日目、二人泣いて先生に抱かれたまま食べていたが、りょう君とこう君はイスに座ってしっかり食べた。

こう君はスパゲティと鶏肉の皿から鶏肉だけを手づかみで食べる。薄味で煮た鶏肉がおししかったのだろう、次々口に押し込む。「かみかみごっくんしてから」と言って、皿に延びる手を抑えようとしすると、そっくり返って怒る。でも口いっぱいの鶏肉を噛み切って飲み下した。なかなかの咀嚼力だ。きのう、コップでお茶を飲ませたときは大半こぼしてしまったが、きょうスープは茶碗から上手に飲んだ。何回かお代わりして、おわりにさせようとすると、もっと食べたくてぐずったが、口や手を拭き、前掛けを外して、電車のおもちゃを渡すと、それを抱えたまま、ボクの腕の中で眠ってしまった。

 午後3時から、そので歓送迎会が開かれた。22歳で創業期のそのに就職、39年勤続、人生をそのに献身した小室先生と智美先生、美奈子へのはなむけに、石原先生と内山先生が滝廉太郎の「♪花」をピアノの連弾で演奏、みんな涙ながら送り出した。みんな「その」で働いたことを誇りに、思いを残したまま、それぞれの事情で「その」を去っていく。辛いことばっかり多かったよなあ、何にも報いてやれなくて…鬼の目にも涙とはこのことか。
 夜、Baby職員の花見に参加した。若い先生たちの活力が眩しい。惜別の思いが心に淀んでいて、ビールはあくまでも苦かった。

 

 4月1日(水)曇りのち雨
 子どものそのBaby保育園の7回目の入園のお祝いが行われた。光陰矢のごとく、開園して早くも丸6年が過ぎ去ったわけだ。
 受付をすませて、2階の0歳児の部屋で開会を待っている時間のことだ。赤ちゃんが二人、それぞれお母さんのそばに座っていた。黄色い洋服の子がずり寄って、友だちに手を延ばした。延ばされた方の子は心配そうにお母さんの手を握る。
 周りに大人たちがいっぱいいるのに、子ども同士は惹かれるものがあるのだろうか。

 腹這っていた別の赤ちゃん二人は、這っていて偶然近寄ったが、お互いを見つめあった。手前の子は7月生まれで、向こう側の子は9月生まれ。大人には人見知りする月齢だが、赤ちゃん同士は何となく関心を持ったように見える。
 こういうところが保育園で育つ素晴らしさの一つだろう。まだ相手を友だちと分かっているわけではないし、そもそも自分のことさえ分かってはいないのだが、模倣できる仲間が身近にいることは、これからの心身の育ちにかけがえのない力になることだろう。
 この3学期の終わりごろ、0歳児クラスの4月生まれ

の子が友だちの名前をカタコトで言うのを聞いた。「持つべきは友だち」というのは赤ちゃんにも真実な

のかもしれない。
 入園のお祝いの後はクラスごとに集まって、先生と打ち合わせがある。保護者会からの提案もあって、保護者会の役員、夏まつりやバザーの実行委員などもスムーズにその場で決まったようだ。共働きの家庭だから、集まったときに手早くやらなければならないのだが、それにしても親たちは気持ちよく協力的でありがたい。

 開園して7年目。親と先生が連帯して子どもたちを守り育てるという「子どものその」の伝統は、姉妹園の「そのBaby」でも次第に本物になってきたと思う。


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