|
を食べたら見に行こうね」…でも、みんなはサケご飯と味噌汁を食べるのに夢中だ。ボクの左側の席にいるゆう君は、豆腐とわかめの味噌汁を何回もお代わりしたが、サケご飯はあまり進まない。右側のまゆかちゃんは、サケご飯はもうからっぽで、「もっともっと」とお代わりの催促だ。「まゆかちゃん、お野菜とおつゆを食べてからお代わりしようか」と言っても、「もっともっと」とせわしなくボクのご飯茶碗にスプーンを入れる。いつも定席で食べているので、3月生まれのまゆかちゃんはデザートのイチゴでも自分のを食べた後はボクのを狙うのだ。いまは「みんな食べようね」と声はかけるが、好きな物を楽しく食べるのが一番の課題である。「じゃあ、あげるよ」と、まだ手をつけていなかった自分の分を分けてやった。「まゆかちゃん、おいしい?」「もっともっと」
食べ終わったときお客さんが来て、事務所へ戻る。用が終わってひよこ組へ戻ろうとすると、助手の佐々木先生が飛び出してきた。「のとさん、だいじょうぶですか?」SOSを言いに出たらしい。
二人でひよこ組に戻った。きょうから昼寝が始まるのだ。家庭であまり昼寝の習慣のなかった子どもがこの頃は多いのだ。Babyの一時保育で午睡を経験している子が4人いるのが頼みの綱だ。カーテンが閉められて薄暗くなった保育室は、阿鼻叫喚、大変な騒ぎだ。とりあえず大声で泣いている3月生まれのばんびちゃんを抱き上げた。「あっちあっち」と叫びながら泣く声の大きいこと。とりあえず他の子に悪いので外へ出た。
けろりと泣きやんで、「あっちあっち」とひよこ組の部屋から遠ざかりたがる。ふらふらと年長組しかいない園庭を子守唄を口ずさみながら歩いた。そのうち1時10分前になった。1時から今年最初の班長副班長会議なのだ。オレンジ(延長保育)のばんびちゃんは、1時半頃になれば疲れて眠ると分かっていたが、とりあえず深野園長に手渡して、ボクは会議に出た。
ひよこ組では、ばんびちゃんに加えて、きょうからはやと君とだいり君もオレンジになる。3人を連れてオレンジの部屋に行った。倉田先生が絵本を読んでいた。昼寝をちゃんとしたはやと君は一人で座って聞いていた。少し難しい絵本だったが、おとなしくしていられた、ちっとも寝なかっただいり君は、年少組のお姉ちゃんと一緒にオレンジになるので、安心なのかもしれない。ばんびちゃんはボクの膝の上だ。絵本が終わり、出欠をとってから、オレンジのおやつだ。ひよこ組の3人とだいり君の姉のひなちゃんの4人、ボクと一緒にテーブルに着いた。初日だから、4人で勝手に「いただきます」をして食べ始めた。「なんでもう食べてるの?」と年長組のわかなちゃんがとがめたが、「ひよこだし、最初だからさ」と言うと、やさしい目で許してくれた。
軽いせんべい、ゼリー、ラスクのような菓子、それにサケご飯を炒めてもの。4人ともよく食べた。はやと君はサケご飯を2階お代わりした。
元気よく外へ飛び出していく子どもたちを見送って、ボクはようやく自由の身となった。
|