ときめいて子育てを

 

 
                 
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 4月28日(金)晴れ
 おやつの後、ひよこ組はホールに行った。年少のれんげ組と一緒に、初めてのリズム遊びをした。
 初体験に慎重な子は壁の花を決め込んだが、たいていの子は先生と一緒に見よう見真似でそれらしく楽しんで動いた。ウサギになってピョンピョン跳ね、メダカになって全速で走り、カメになって胸を張る。最後に、カエルで跳ねながら部屋に戻った。
 最初なので簡単な四つをやったが、それにしてもどうしてこんなに上手なの?と不思議だった。写真はひよこ組の「カメ」である。できる子はさまになっている。ふじみ野保育園や麦の家から来た子は、やったことがあるかもしれない。お兄ちゃんがいる子は家でやったことがあ

るのだろうか。本当に上手だ。
 ひよこ組とれんげ組が帰った後、やはり年少(3歳児)のなのはな組とちゅうりっぷ組がきて、同じリズムをやった。園長のピアノに合わせて、メダカになって走るとき、ちゅうりっぷ組のこうだい君が、助手の先生と手をつないで走っていた。

 こうだい君にすれば楽しんでやっていたのだろうが、「そのBaby]にいたときは、両手を合わせて走るリズム活動ができていた子だったので、「こうだい、メダカは一人でやりな」と大きい声で言った。その後、「カメ」になると、こうだい君も同じBabyから来たひかるちゃんもしっかりできていた。

 リズムが終わった後は外で遊んだ。ちゅうりっぷ組のひかるちゃんが泥だらけの手を「ほらァ」と見せてくれた。友だちと一緒に笑っている。水たまりの泥水で洗って「ほらァ」とまた手を見せる。
 入園してからずうっと元気がなかった。慣れるのに時間のかかる子だとは分かっていたが、どうしようと思うこともあった。このところ機嫌よく友だちとはしゃいで遊ぶ姿が見られるようになって来た。
 そのひかるちゃんが、泥水にぬれた手を拭こうともしないで言った。
 「おじさん、どうしてこうだいのこと、怒るの?」 

 「怒ったわけじゃないけど。…ちゃんとできるのに、ふざけていたからさ」 「怒ると、こうだい、かわいそうだよ」。
 感じやすい心を持っているからこそ、慣れるのに時間がいるのだろう。「ごめんね。もっとやさしく言うようにするからね」と、ボクはひかるちゃんに謝った。何気ない言葉を子どもたちはしっかり聞いているものなのだ。


 4月25日(火)雨のち晴れ
 きょうは年少組・ひよこ組の合同クラス会だった。雷鳴がとどろき黒い雲が広がって、いつにわか雨といった空模様だったせいか、例年より出席は少なめであった。
 講師としてはまじめに準備したが、前夜なぜか寝つかれず、午前中はひよこ組と格闘していて、調子はイマイチだった。終わってホッとするより、後味の悪さが残る。
 オレンジのゆみちゃんが倉田先生のそばで泣いていた。この子もひよこ組から始まってぞう組になったのだが、お姉さんぶって小さい子の面倒を見ているかと思うと、朝お母さんに甘えて泣き別れというところもある。「ひよこのときはよく抱っこしたじゃないか」と言いながら、ずしりと重いからだを抱き上げる。オレンジに戻って、抱いたままうずくまるように座っていると、ゆみちゃんは小さい子のように胸に頭をうずめて、じいっとしていた。
 ひかるちゃんが来て、不思議そうに「どうしたの?」と聞く。
 「ひかるも抱っこするかい?」
 「わたし泣いてないよ。それでお母さんが来るまで待ってるんだ」

 明るい笑顔でひかるちゃんは走り去った。しばらくゆみちゃんと一緒にいた。合同クラス会の不調を引きずって、じっとうずくまっていたい気分だった。

 昨日は、ひよこ組と初めての散歩に出た。すぐ近くの休耕田までだが、それなりに気を遣う。雨上がりでアマガエルが結構いた。「抱っこ抱っこ」のはるかちゃんも、カエル探しとカメラに「抱っこ」と言えないで、草むらを健気にも必死でついて来た。アマガエルを1匹捕まえて、ビニール袋に入れて渡す。お兄ちゃんがいる子らしく怖がらずに手に持った。
 給食は全員がそろって食べられた。それから初めての昼寝をした。てんやわんやで、面白いこともいっぱいあったが、合同クラス会が終わったら、すっかり忘れてしまっていた。


 4月20日(木)雨のち晴れ
 朝から断続的に雨が降った。登園直後はちょっと外で遊べたが、後は室内に閉じ込められた。
 そのせいか、自分が出せるようになってか、ケンカがいくつも起きた。最初、あやかちゃんが大型ブロックを並べて電車を作っていた。「おじさん、乗って」という段階で、ゆうすけ君が仲間に入ってきた。
 「階段、階段」とゆうすけ君は、長く続けた電車の上にブロックを積み重ねようとした。前に階段状に積んだブロックの2段目から跳び下りる遊びをして、それが面白かったのを、もう一回やろうとしたに違いなかった。

 でも、もう電車ごっこは始まっていた。次々お客さんが乗ってきて、ゆうすけ君の階段を積むスペースがない。「電車やってから、後で階段を作ろうか?」と提案したが、後なんて嫌に決まっている。ゆうすけ君は大声で泣き叫んだ。
 「じゃあいいよ。階段作って」と、ボクも子どもたちも電車を降りたが、ときすでに遅く、ゆうすけ君の怒りは収まらない。泣き声は最高になる。あやかちゃんは押入れから別のブロックを運び出して、別の場所に電車を作り始めたが、もうごっこ遊びにはならなかった。
 ゆうすけ君を抱いておしゃべりしながら落ち着くのを待った。あやかちゃんの電車のブロックをバラバラに配置換えして、みきちゃんがブロックの一つひとつの上に、小さなぬいぐるみや玩具を乗せて、「おうちだよ」と言う。
 すると、このところ急に元気になったりょう君が、足でブロックの上の玩具を蹴り落とした。「だめ!」とみきちゃんが叫んでもお構いなし、みきちゃんが怒って立ち上がると、いきなり胸をドンと押して、倒してしまった。まあ、小さい子の世界ではよくあることだ。先生が泣いているみきちゃんを抱き、「ほら、泣いてるよ。ドンって押したらかわいそうでしょ」などと言い聞かせて、この一件は終わった。
 でも、みきちゃんの気持ちは治まらない。先生は負んぶして他のことができず大儀そうだ。「みきちゃん、石原先生が忙しそうだから手伝ってくれない?」と言うと、目がきらっとして、うなずいた。二人で職員室に行くと、「手伝ってくれるの? 助かるなあ」と石原先生がひよこ組の手紙の束を渡してくれた。それを持って、みきちゃんはご機嫌でひよこ組に帰った。

 おやつになった。今日のおやつは、みりん干風の小魚だった。口当たりのいい物ばかり食べている子が多いので、硬いおやつは苦手な子もいるようだ。今日もボクの膝の上のはるかちゃんは、一つ食べただけで小皿を押し返し、「にいにい、にいにい」と涙声。こうちゃんは手もつけないで「ママ、ママ」としがみついてくる。
 先生が「雨で外に行かれないから、新聞でビリビリ遊びをしようか」と言っていた。ボクは二人を連れて年長組に行った。あやかちゃんはお兄ちゃんのそばへ行くと、すっかり落ち着いて座っている。くま組は畑に植える野菜の話し合いをしていた。
 こうちゃんとらいおん組に行ったが、こうちゃんはお兄ちゃんの姿を見るとなぜか逃げてしまった。こうちゃんがいまほしいのはママのわけだ。二人を連れてひよこ組に戻ると、新聞紙を破いたり、丸めてボールにしたりして遊んでいた。新聞紙を細かくちぎって、「雪だ!」と投げ上げると、「ボクも、ボクも」と、ゆうすけ君、ゆうた君、りょう君、ゆうき君…元気な男の子たちが寄ってきて、しばらく雪を降らせて遊んだ。

 給食になった。ボクの膝の上にはるかちゃんを座らせて食べさせていると、向こうでこうちゃんが大泣きをしていた。「ちょっと待ってて。ホラ、友だちが泣いてるから」と、ボクははるかちゃんを自分のイスに座らせ、デザートのみかんを持たせて、こうちゃんの救援に行く。結局、ボクのそばで食べさすことにした。二人を並べた後ろから、交互に食べさせた。Babyの赤ちゃんにはこんな風にして離乳食を食べさせるのだ。二人に食べさせながら、自分の分も食べなければならない。のどは通っても、おいしさはほとんど感じない。

 でも、はるかちゃんが一人で座って食べたのはよかった。怪我の功名だ。帰りのバスに送っていったとき、お兄ちゃんに一人で座って食べたことを話した。お兄ちゃんは「すごいなあ!」と妹を褒めてくれた。いやぁ、お兄ちゃんありがとう。

 先生たちが家庭訪問に出かけた後、オレンジで寝るのを嫌がるこうちゃんを抱いて寝かせつけ、3時過ぎにBabyに行く。前年度の補助金の額が確定したので、決算関係の仕事をした。2歳児たちは、イスにきちんと座って、和やかな雰囲気で、午後のおやつのジャムつきパンを食べていた。やはり赤ちゃんのときから集団生活をしてきた子どもたちは、生活する力がある。それを見ると、「その」ひよこ組の幼い感じの残る子どもたちが、ひとしおいとおしく思えてきた。

 ところで写真はひよこ組のとき、この日誌に時折登場したりんたろう君だ。この頃は落ち着いて話題にならなかったが、年長組らしいこの素敵な泥細工に乾杯しよう。


 4月18日(火)晴れ
 年長組は畑づくりに、年中組は初めての散歩に近くの休耕田へ出かけて行った。
 ついていけないのがひよこ組助っ人の辛さだ。写真は深野園長に頼んだ。
 泣き声はずいぶん少なくなった。泣き方も「ママ、ママ」ではなくて、自分の思うようにならなかったり、友だちとのトラブルが原因の涙になってきた。2週目に入って、登園から帰宅までの見通しが、その子なりに持てるようになってきたのだろう。
 ひよこ組でも一番月齢の遅いはるかちゃん以外は笑顔で遊べるようになって来た。はるかちゃんも抱っこし

ていれば泣かないし、鉄棒にぶら下がったり、ヤギやウサギにえさをあげたりして遊べるようになってきた。「にい、にい」と言って、くま組のお兄ちゃんに会いたがるのも少なくなった。はだしも平気だし、給食も食べさせてあげればよく食べる。あと少しで先生や友だちと一緒に遊べるようになるだろう。
 おとなしい感じだったりょう君が、事務所前の階段から両足跳びで跳び下りたのにはビックリした。新生活になれ、周りの人に安心できるようになると、持てる力も封印を解かれるようだ。

 午後、そのサービスの保険事業について打ち合わせをした後、ひよこ組・年少組の先生と合同クラス会の打ち合わせをした。25日、何人参加してくれるか、楽しみでもあり、不安でもある。先生たちの意見も入れて、夜、発言要旨をまとめた。


 4月13日(木)晴れ
 久しぶりの日差し、気温も高い。新学期4日目、朝のひよこ組に泣き声がなかった。それぞれにぬいぐるみやブロック、先生の膝で機嫌よく遊んでいる。奇跡だ。ゆうすけ君とりょう君とこうちゃんの三人を連れて外に出た。
 暖かい陽をあびて、あちこちで泥遊びをしていた。年中組の子どもたちがツバキの落花を拾ってきて、平均台の上で泥料理を作っていた。
 雨上がりで土はやわらかく、ところどころ水たまりもあって、泥んこ遊びには絶好だ。「どろだんごを作ろうか」…ひよこの三人にやわらかい土をあげた。

 だんごに丸めて、先生に見せに行った。褒めてもらって、また庭に戻った。今度は土俵の水たまりに泥を投げて遊んだ。
 「おやつだよ」と部屋に戻ろうとしたが、こうちゃんはもっとやりたくて両足を踏ん張って、梃でも動かない。「もう少し遊んでもいいよ」と様子をみていると、じきに立ち上がった。
 遅バスできたはるかちゃんが「にいにい、にいにい」と泣いていた。「おやつをもらったら、お兄ちゃんのところへ行って、二人で食べれば?」。 おやつの皿をしっかり持って、抱っこでくま組に行った。

 くま組は朝の点呼が終わって、昨日の続きの絵本を読んでもらうところだった。はるかちゃんは、皿からラムネを一個渡した。こうへい君は「オレ、いま食べられないよ」と困惑している。「食べて上げなよ。食べないと妹が納得しないよ」「いいのかなあ」と言いながら、お兄ちゃんはラムネを口に放り込んだ。約束は果たしたわけなので、泣くはるかちゃんを抱いて庭に下りてきた。
 年中組のウサギを見た。ハコベを採ってきてあげると、喜んで食べる。はるかちゃんも怖がらずに食べさせた。泣き止んで部屋に戻った。今日から年長組は給食が始まった。はるかちゃんは”にいにい”と一緒に帰ることができない。泣きながらバスに乗った。明日はもしかしたら泣かないかもしれない。


 4月12日(水)
 新学期3日目。ひよこ組に顕著な変化が現れた。雨で部屋の中で遊ぶ時間が長かったのだが、ゆうすけ君とゆきちゃんがままごとの道具をめぐってケンカをした。ひよこ組初めてのケンカだ。二人は砂場でカップを使って上手にプリンが作れる。2歳児なりに遊びこんでよく発達しているようだ。
 ことの始まりは分からないが、ゆうすけ君が泣いて、ゆきちゃんのもっている木の茶碗は自分のものだと主張していた。ゆきちゃんも私のだよ、と譲らない。昨日までは緊張していてトラブルは起きる余地がなかったが、ようやく自分を出せるようになったのだろう。

 朝、りょう君が雨具を着けたまま先生に抱かれて泣いていた。いま従兄のしゅんすけ君の所へ行って帰ってきたのに、また行きたいらしい。他の子も登園してくるので、ボクが抱いてもう一度、年長のきりん組に行く。
 しゅんすけ君はままごと用の畳と大型積み木を使って家を作っていた。「おじさん、遊んでもいいけど、ももバスが来たら、連れて帰ってよ」と言う。ももバスで何人も仲良しが登園するらしい。
 りょう君は、大型積み木を運んで、しゅんすけ君を手伝った。嬉々として動いていた。ももバスが来た。「りょうちゃん。この積み木をひよこ組に借りていこうか?」。りょう君は納得してうなずいた。二人で丸い大型積み木を一つずつ持って帰った。
 りょう君は、部屋の積み木も使って、高く積み上げた。もう泣いていた朝までのりょう君には戻らなかった。終日笑顔でいた。二日間の体験があって、それを基礎に、ちょっとしたきっかけが子どもを変える。

 りょう君と一緒のとうま君は早生まれで幼いせいもあって、今日も終日「ママ、ママ」とぐずっていたが、後半機嫌が直って、おやつも自分でお代わりをもらいに先生の所へ行くまでになった。帰りのあおバスに乗るときは、泣かないで、自分の座りたい席を選んだ。明日が楽しみだ。


 4月10日(月)曇りのち雨
 新学期が好天かどうかで子どもたちの新生活は大きく左右される。今年はどうも何年に1回かの不運な年になりそうな気配である。気持ちのいいお天気なら、自然に外に出たくなるし、広い園庭、トンネル山やアスレチックの面白さに触れれば、通園することが楽しくなるものなのに。
 でも、第一日目のきょうは午前保育で、午前中は雨が落ちてこなかったので良かった。砂場、トンネル山、アスレチックなどで遊べた。
 今年もひよこ組の補助に入る。男の子6人、女の子6

人の2歳児クラスだ。去年、男の子は一人しかいなかったのに比べれば均整のとれた構成だが、今年は男女に関係なくよく泣く。
 お母さんの後を追って泣くこうちゃんを抱いて、「お兄ちゃんのところへ行く?」と連れ出した。途中で元気に走っている年長組のがく君に会って、「ちょっと遊んでくれる?」「いいよ」。がく君は承知したが、こうちゃんはお兄ちゃんよりおじさんを選んだ。「ま、いいか」。
 こうちゃんを抱いたまま砂場のヘリに座って、たんぽぽ組の新入のなつみちゃんとプリンを作ったりして遊んでいると、きりん組のようすけ君が来て、「おじさん、オレ用ができたんだけど…」という。さっき、ひよこ組で泣いていた従兄弟のりょう君を連れて行ってくれていたのだが、友だちと遊びたくなったのかもしれない。「ありがとう。もういいよ」。
 ようすけ君が行ってしまうと、りょう君はまた激しく泣き出した。バスの先生の庄子さんが見かねてりょう君の相手をしてくれる。膝の上にいたこうちゃんが降りて砂で遊び出したので、向こうで大泣きをして若い先生を手こずらせている に・とうま君を受け取った。「ママがいい。お家に帰る」と泣き叫ぶのに逆らわず、帰ろうね、バスはどこにいるかな、となだめたが、容易なことでは収まらない。気づくと、こうちゃんがボクの手を握って立っている。3人で砂場に戻った。
 この間に次々とバスが着き、担任の二人の先生は旅館の番頭よろしく出迎えに走っているのだろうが、ボクはひよこ組の全体はまるで分からなかった。とりあえず難物の2,3人を視野に入れて、自由遊びの時間を過ごし、部屋に入ってからは二人のおしっこの面倒を見るだけで精いっぱいだった。
 よく活動できそうなゆうすけ君と、そばを離れないこうちゃん、ようやく泣き止んだとうま君の4人で、給食室へおやつをもらいに行く。
 初日の子どもたちの様子を撮影しようとデジカメを持ってきていたが、ついに撮る暇はなかった。たった一枚撮った上の写真は、みどりの遅バスに乗る最後の3人、ゆうた君、は・とうま君、ゆきちゃんがたらいを風呂に見立てて遊んでいるところだ。この三人は一日泣かないで遊んだかもしれない。
 あっという間に午前保育が終わった。どのクラスも、どの先生も似たようなものだったろう。薄紙を剥ぐというが、明日はきょうよりも楽になり、やがて新学期の大変さがウソのようになるだろう。

 午後ベビーへ行く。0歳児のクラスは、慣らし保育が終わったというのに、初めての集団生活で疲れたのか、何人も休んでいた。わが親友のこうたろう君は離乳食の午後食を食べていた。「もうお肉は最初に食べちゃいました」と先生。手づかみでも、食べさせてもよく食べる。先生が「お願いします」と言ってスプーンを渡す。食べ終わって、二人で少し遊んだ。
 人見知りで、ボクの顔を見れば泣いていたまゆちゃんが、泣かないでこうたろう君と遊んでいるボクを見つめていた。こうたろう君と仲良しをすることで、たまにしか顔を出さないハンディを帳消しにして、どの子とも遊んでもらえるようになるだろう。

 事務所で打ち合わせをして、3時過ぎ、そのに戻る。オレンジに向かうと、オレンジの年長組の子どもたちが、「おじさん、ひかるちゃんが泣いてるよ」「早く行ったほうがいいよ」と教えてくれた。Babyから来た4人の3歳児の中で一番繊細なひかるちゃんは、きょうからちゅうりっぷ組になり、午後は活気に満ちた騒がしいオレンジで、少し負担なのだろう。慣れるまでのことだろうが、二人で少し静かに時間を過ごした。
 5時頃、ホールで今年年中組になった女の子たちが、宮寺先生と「かごめかごめ」をして遊んでいた。さやちゃん、あやちゃん、かなちゃん、まきちゃん、あすかちゃん、めいちゃん、あやかちゃん、それにひよこ組から年少組になったももこちゃん。8人中4人がBaby出身の子だった。「かごめ」が飽きると、今度は「はないちもんめ」になる。ひかるちゃんに一緒にやろうかと言ったが、首を横に振った。しばらく見て、「おじさんに抱っこしたままでやろうか?」。勝っても負けてもひかるちゃんはニコリともしなかった。お母さんがお迎えに来るまで一緒にいた。お母さんに抱かれて初めて明るく声を立てて笑い、「のとじじい」と言って、お母さんを慌てさせた


 4月7日(金)曇り
 第42回入園のお祝いのきょう、ロケットとスペースシャトルは気持ちよくかなり高くまで飛んだ。子どもたちも「5、4、3、2、1、0!」と大声で唱和してくれて、子どもたちとの一体感を感じながら調子よく発射することができた。
 花冷えの不運な天候だったが、わが子の成長と入園・進級を祝う親たちの喜びが伝わってきて、心は温かかった。
 きょうの入園のお祝いで特筆すべき二つのことを感じた。一つはお父さんたちのマナーの良さだ。

 去年は3月の入園説明会で、お祝いの父母席を図示するチラシを配布して、「入園のお祝いは子どもたちが初めて先生と向かい合い、自立の第一歩を踏み出す大事な行事です。父母席は子どもの横と後ろだけ。写真を撮るために子どもの目の前に立つのはやめて下さい」と事前にお願いしたが、われ関せずと職員席の間へ割り込んでくる人が少なくなかった。注意しても平気の平左だった。
 今年は手落ちでそうした手紙を出さなかった。会場で白線を引き、マイクで協力を訴えただけだったが、カメラやビデオを抱えた人もすぐに協力してくれた。
 もう一つは、記念写真の撮影で親と離れるとき、泣く子が多かったことだ。「いいね、いいね」と園長もそばにいた由美先生も喜んでいる。「近年泣く子が減っていたのに、今年はいいね」。
 嫌だから泣くというのは、気持ちを表現できるということだし、いま泣ける子は、園生活の見通しがもてれば、しっかり活動できるようになる場合が多い。悲しいとき、泣くことで悲しい自分を素直に出せるというのはいいことなのだろう。
 肌寒いような陽気だったのに、お祝いの行事が終わっても園庭で遊ぶ子どもたちを見守って、ゆっくりする人たちも少なくなかった。


 4月4日(火)晴れ
 そのBabyの新学期は2日目、前日の強風がウソのような穏やかな晴天だった。りんご組(2歳児)はさっそく泥んこあそびだ。
 土山のくぼみに水を流し込んで、大胆に泥まみれになって遊んだ。さすが進級児だ。0歳児から3年目のみくちゃんは、泥水にどっかと座り込んでいる。ゆうた君は泥水をシャベルで弾き飛ばして遊び、友だちの服を泥んこにして泣かせてしまった。しゅんすけ君やかこちゃんも泥になじんで遊べている。ももちゃん、ゆなちゃんたちは水道の水に夢中になってビショ濡れだ。

 心を開いて遊ぶことで先生との信頼感が育ち、友だちにも目が向いていくだろう。
 全員新入の0歳児は、4月生まれから1月生まれまで、月齢の幅が広い。お母さんから離れてまだ2日目、泣く子も多い。フリーの先生も看護師も総出で当たっている。
 月齢の高い子は離乳食を食べ、小さい子はまだミルクだけの子もいる。献立も食事の介助も一人ひとりに対応しなければならない時期だ。
 ちょうど今日が誕生日のこうたろう君は、部屋に入ってきたボクを見て泣いた。人見知りの頃だ。無理やり

抱き上げてなだめ、あやしているうちに、少し笑った。少しあやした後、布団に寝かすとまた泣いたが、子守唄を歌って背中をトントンするうちにまどろみ、やがて眠りに落ちた。からだも気持ちもよく発達しているのを感じた。

 午後、そのに行く。昨日からオレンジ(延長保育)に入ったBaby卒園のひかるちゃん、みずきちゃんは、昼寝から覚めると元気に遊んでいた。去年Babyを卒園した子とはお互い記憶がないようだが、それでも1年いた子は余裕で面倒を見てくれる。もうちょっと大きい子も、二人の名前を覚え、引き連れて遊んでくれていた。こちらも2日目でもう大丈夫と思えた。
 オレンジの子たちが「人形劇ごっこ」を始めた。ダンボールを立てかけた簡易舞台の前に、先生と子どもの観客がいた。舞台にいる子たちは「人形劇が始まるよぅ」と叫んで、手書きのペープサートのようなものを動かしながら、それでも役者同士のセリフの交換もある。やがて劇は終わり、「これから自己紹介を始めます」と宣言したが、年長の人形劇は憧れではあるけれど、自分でやるとなると、恥しい。先生に「二人で一緒にやってもいいよ」と助言されて、二人で出てきた子もいる。恥しいながら、勇気を出して、Baby出身の3歳児、かなちゃん、あやちゃん、さやちゃんたちも、みんなと一緒に自己紹介ができた。
 それから長縄跳びになった。今度年長組になる子たちは50回くらいは連続跳びができる。双子のあやちゃん、さやちゃんは今度年中組だが、二人一緒に20回以上跳べた。小太りのかなちゃんもズシンズシンと上手に跳び続けた。
 「ちょっと、さやちゃん。この頃ほっぺがふっくらしてきたんじゃないの?」とボクは言った。そっくりの二人が見分けられる感じがした。さやちゃんは微笑んだだけだったが、あやちゃんが「わたしは背が伸びたんだよ」と言う。そうか、それでほっそりした違いが見えるのか。
 縄跳びで「へび」をやっていた元ひよこ組のももこちゃんが来て、「おじさん、どんぐり」。牛乳パックの中に数個のどんぐりが入っていた。「おじさんにどんぐりご飯作ってよ」
 ももこちゃんは「待ってて」と行きかけたが、振り返って「そこに座って、待ってて!」と言う。いつももっと遊んでほしいのに姿を消してしまうボクに、釘をさしたのだ。見通しが持てるようになったももこちゃんの成長を見た。
 彼女は皿とどんぐりを持って、なぜか遠くのほうへ歩いていく。途中で振り返って、ボクが座っているのを確かめて、その先、見えなくなった。忘れた頃、皿を慎重にささげ持って戻ってきた。歩き方がおかしい。「おしっこしたの?」ボクはどんぐりご飯をご馳走になったあと、ズボンとパンツを脱がせてやった。それをボクに預けたまま、ももこちゃんはオレンジの部屋に着替えに走り去った。


 4月1日(土)晴れ
 そのBabyの第4回入園のお祝い。狭い園庭にユキヤナギが満開だ。隣の畑は菜の花が咲き誇っている。暖かい陽射しのなか、小さな子どもたちが若い親たちと一緒に次々と登園してきた。
 クラス担任の自己紹介を兼ねた手遊びを、0歳児もきれいな眼差しで見つめている。
 0歳児9人はもちろん全員新入園、1歳児12名のうち8人は0歳クラスからの進級だし、2歳児は進級11名と、一時保育からの編入1名だ。こんなに進級児が多いのは初めてのことで嬉しい。

 お祝いが終わった後、クラスごとの話し合いがあった。写真撮影で0歳児の部屋にいると、保護者会の役員が来て、役員の選出を頼んだ。0歳児クラスからは、書記1名、夕涼み会担当2名、ガレージセール担当2名、雑誌「小さい仲間」担当1名を出してほしいという。9世帯だから、ほとんどの人が何かをやらなければならない。
 「こりゃ難しいぞ」と思ったが、次々名乗り出る人が続いて、5分もしないで全部決まってしまった。共働きで忙しい人ばかりの筈だ。ジャンケンもくじ引きもない。「こりゃ凄い!」と感嘆した。
 石の上にも3年というが、4年目のBaby、これからが楽しみだ。
 一方、保育園への国庫補助は大胆に削減が続いている。延長保育への補助は、必要経費から算出する方式を変え、点数制にすることで、国の負担は3分の2程度に減額された。1点あたりの単価をいじれば、際限もなく減額できるシステムになった。
 4月だというのに、一時保育の補助予算も、国は未定として発表していない。増額は考えられないから、減額の幅を考えているのだろう。…これが小泉さんのいう三位一体改革の保育版だ。怒りがこみ上げてくるのはボクだけではあるまい。


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