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残る手紙の1通はきりん組の由美先生からのもので、「のとさんの手紙を友だち同士で見せあったりして、とても喜んでいました」とあった。
確かに返事を届に行くと、子どもたちが待ちかねていたのが分かる。読んで、すぐその場で返事を書き、返事とボクの手紙を両手に握ったまま、返事の投函に来る子どもたちは、顔が合えば「てがみ入れたよ」「よんでね」と声をかけていく。
何度も手紙を書くうちに、字がだんだん上手になっていくのが分かる。文もビックリするような表現に出会うことがある。
ぞう組のありなちゃんの手紙には「おにはおもいどうりにできました。よかったです」とある。他の子は「おにのさくせんうまくいったよ」や「さくせんだいせいこう」が多い。「おもいどおりに」というのは、思い描いたイメージがはっきりあったことを示しているように思える。その先に続けて、「やましたがつれさられそうでした」と書いている。担任の先生が鬼の親分に連れて行かれそうになって、さぞ怖かっただろう。強烈な印象があったとはいえ、「連れ去られそう」という表現は見事というしかない。
鬼は怖かったが、自分の気持ちだけでなく人を思いやるやさしい手紙もある。「のとさんはだいじょうぶだったですか。つれていかれなかったですか」と書いたのは、きりん組のゆうりちゃん。「ゆうりはおおごえでなきました。のとさんはないた?」。
ひよこ組から4年目のゆみちゃんは、「のとおじさん、あそんでくれてありがとう。もおそつえんするよ。もおあそべないんだよ」と書いた。男の子でも、れん君は「そつえんさみしいよ」と、力強い、少し乱暴な字でただ一行、叫ぶように書く。万感をはらんだまま、日時計は静かに時を刻むのだ。
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