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返事は家に帰って夜の仕事にした。これが意外に大変だ。判読するのに時間のかかる手紙もある。その子にふさわしい内容を考え、わずか120字に記入する。いまかな文字を習得しようとしている子どもが対象だから、撥ねる、はらう、止めると言うことも意識して一字一字書き込んでいく。根を詰めてやっても、大体一人6分くらいかかった。一日目は夜半に終わらず、朝5時起きで9時過ぎまでかかった。
部屋のポストに届に行くと、ワッと子どもたちが寄ってくる。返事を楽しみに待っていた。
第二日目は、くま組とぞう組だ。57人60通のほかに、返事を受け取ったきりん組、らいおん組の13人が二度目の手紙をくれたから、多分今夜は手首が痛くなるだろう。
手紙の中に「おじさんはなんさいですか?」という質問が多い。年齢は子どもにとって関心の的なのだ。ある子にはこう返事をした。「おじさんは74歳だよ。〇〇ちゃんとおなじ6さいのとき、いなかのまちで1ねんせいになりました。ともだちがたくさんできて、せんせいがやさしくて、しあわせでした」。
「おじさん、どうしてきりえがじょうずなの」というのも多い。ある子にはこう返事をした。「おじさんはこどものたのしそうなようすをみると、うれしくなって、きりえをつくります。〇〇ちゃんもたのしいこと、うれしかったことをえにかくといいよ」。
就学前にかな文字に興味や関心を持ち、50音を読み、書こうとする気持ちを育てるというのが手紙ごっこの狙いだろうが、自分を表現しようとする意欲も引き出していきたい。「おじさんはどんなくだものがすきですか」という手紙には、ぶどう、あ、いちごかな、ばななもすき、と考えさせて、「〇〇ちゃんはなにがすき?」と問い返す。子どもたちが飽きるまで、夜なべ仕事が続くだろう。
姉妹で通園している姉のほうが「らいおんくみがみんなそつえんしても、〇〇のこと、よろしくね」と妹を心配したり、「そつえんしてもわすれないでね」と心の内を表現するのは、大体女の子だと言うのも面白い。
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