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マーケティングの言葉


最終更新日:2003年12月29日
マーケット・ニッチ戦略/ニッチ戦略
market niche strategy

マーケット・ニッチ戦略あるいはニッチ戦略とは、競争対抗戦略で採用されうる策のひとつであって、経営資源の集中により、利潤とイメージや名声の獲得を実現しようとする特徴がある。

コトラーによれば、競争対抗戦略において企業が取り得る策は4つあると言う。すなわち、リーダー戦略チャレンジャー戦略フォロワー戦略ニッチ戦略の4つである。ちなみにニッチとは元々は聖像を置くための壁の窪みを意味し、そこから適所という文脈で使われるようになったという。経営の言葉には生態学から借りてきたものが少なくないが、これもそのひとつ。

ニッチ戦略は、経営資源が限られている小規模企業や大企業でも事業単位毎にみていくと採用されていることがある。そのポイントは、集中にある。言い換えるなら、細分化された特定のマーケットにおいてリーダー戦略をとっているとも言えよう。

たとえば、日本のコンビニエンスストア業界において、エーエム・ピーエム・ジャパンとセイコーマートはニッチ戦略をとっている企業と言ってよいだろう。

表1.主なコンビニエンスストアの売上高と店舗数
順位 企業名 店名 全店舗
年間売上高
(百万円)
期末
店舗数
セブン-イレブン・ジャパン セブン-イレブン 1,848,147 7,732
ローソン ローソン 1,157,181 7,016
ファミリーマート ファミリーマート 758,222 4,398
サークルケイ・ジャパン サークルK 406,769 2,289
デイリーヤマザキ デイリーヤマザキ 381,127 2,782
サンクスアンドアソシエイツ サンクス 310,605 1,739
エーエム・ピーエム・ジャパン am/pm 188,446 942
ミニストップ ミニストップ 172,856 1,104
セイコーマート セイコーマート 141,990 843
10 国分グロッサーズチェーン コミュニティストア 106,932 656
出典:『日経流通新聞』1999年7月22日(日本経済新聞社)

エーエム・ピーエム・ジャパンは、最後発の参入企業である。同社が1号店を出店した1989年には業界トップのセブン-イレブンは、すでに約4000店もの店舗を展開し、コンビニエンスストアの代名詞のような存在としてすっかり定着していた。そんな企業と規模的な競争をしてみたところで、勝負にならないのは明らかだ。そこで競争の方向を質的なものに変えたのである。具体的には環境と健康にフォーカスする戦略を打ち出している。それを具現化するとともにam/pmの象徴となっているのが、「とれたてフローズン弁当」である。弁当はコンビニエンスストアの稼ぎ頭だけれども、ロスが出やすい商品でもある。しかし、作りたてを冷凍保存してしまえば無駄な廃棄物も出ないし、他のチェーンのように少量多頻度配送などしなくてすむから、省エネルギーにも役立つことになる。そこでそのことを徹底的に訴えたのである。そうすることで、リーダーやチャレンジャーなど同業他社との違いを出し、埋没せずに存在を主張している。

一方、セイコーマートの方は、営業地域を限定することで、他社との違いを打ち出している。経営資源の量が限定されているとき、出店地域を限定するというのは、よく取られる戦略である。商品を調達し、各店舗に必要なときに過不足なくデリバリーすることは流通業であれば当然のことと言えるが、地域が広くなればそれに伴ってコストも急増する。リーダー企業やチャレンジャー企業の場合には、それを規模の拡大で補ってしまうのだけれども、経営資源に限りのある小規模事業者の場合は、そのような方策は取れない。そこで地域を限定してしまう代わりに、そこで高収益をあげるためのしくみづくりに努力を傾けるのである。

「ニッチ=隙間=限定的=先細り」というような捉え方をしている人々には、ニッチ戦略が消極的なものに見えてしまうようだ。しかし「ニッチ=適所」なのである。決して日陰者の生き方などではないのだ。(平   誠)

●もっとニッチ戦略について勉強したい方はこちら


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