AH-64

用語:Hughes (McDonell Douglas/Boeing) AH-64 Apache
和訳:AH-64 アパッチ

【要目】(AH-64A)
 メインローター直径: 14.63m 全長:17.73m
 全幅:5.23m 全高:4.64m
 エンジン:GE T700-GE-701 (1857hp)x2 最大速度:160kt
 武装:M230 30mm機関砲、2.75inロケット弾ポッド、AGM-114対戦車ミサイル等

【説明】
 AH-56A開発計画の中止の後、米陸軍はNATO正面における対機甲戦力として高性能攻撃ヘリコプター開発計画(AAH)を1972/11に開始した。これは夜間全天候を含む運用や生存性確保、匍匐飛行(NOE)時の運動性、大量の対戦車ミサイルの搭載能力、大航続力などを盛り込んだ厳しい内容のものであったが、5社の応募の中からベルとヒューズの2社が試作に進んだ。ベル社のYAH-63がチンターレットにガトリング砲を配したAH-1の流れを汲む構成であったのに対し、ヒューズ社のYAH-64は胴体下に新開発の30mm機関砲を配した機体であった。比較評価の末ヒューズYAH-64の採用が決定したのは1976/12であった。6機の試作機を経て量産機の初飛行は1984/1となった。

 米陸軍は最終的に800機余りを取得し、25個大隊を編成している。(取得機数がはっきりしないのはイスラエル向け等米陸軍のシリアルを一度取得しているものがあるため)中近東を中心に輸出も行われており、使用国は上記以外にエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ギリシャを数える。
 また改良型であるAH-64Dはイギリス、オランダでの採用が決まっている。
(米陸軍向けAH-64DはすべてAH-64Aからの改修機)

 機体構成としては一般の攻撃ヘリと変わる事はなくタンデムコクピット、武装搭載用スタブウィングを持つが、機首をPNVS/FLIR/TADSといった光学装置に明け渡し30mm機関砲(駆動方法からチェーンガンと呼ばれる)をコクピット下の胴体腹部に持つ。また、機首左右に電子機器室を置いているため正面から見ると昆虫のような印象を与える。スタブウィングには本機の主兵装であるAGM-114 HELLFIRE対戦車ミサイルを最大16発搭載できる他、ロケット弾ポッドやStingerクラスの対空ミサイルも最大4発塔載できる。
 メインとテールのローターは共に4翔で、テールローターは飛行騒音を減らすために非等分に配置されている。
 機体構造上は当初から23mm機関砲クラスの攻撃に耐えられることを要求されていたためコクピット周辺には当初から装甲板を配し、トランスミッションもオーバーサイズ化され一撃では破壊されないようになっている。エンジンは元々UTTA(後のUH-60)向けに開発されたT700を2基搭載しているが被弾・火災時の生存性を確保するために間を空け、防火壁を設けるなどの工夫がしてある。これらの生存性対策には機体重量の30%近くが当てられている。

AGM-114 HELLFIRE:レーザー誘導対戦車ミサイル。誘導レーザーは発射機だけではなく、外部から照射する事も可能。また発射後ロックオンが可能なため発射機と目標の間に遮蔽物があっても攻撃できる。タンデム弾頭装備やミリ波レーダー誘導型の第2世代と呼ばれるモデルも90年代半ばから登場している。

PNVS: Pilot Night Vision System、機首上面ターレットに設けられているパイロット用暗視システム。画像はIHADSS上に表示できる。

FLIR: Front Looking InfraRed、機首ターレットに設けられたガナー用の暗視システム。

TADS: Target Acquisition and Designation System、目標捕捉兼誘導用レーザー照射システム。

IHADSS: ヘルメットに統合された小型HUDのようなもの。

【各型解説】
AH-64A:量産モデル

AH-64B:湾岸戦争のフィードバックを受けて開発されたアビオニクス強化モデル。AH-64C/Dが採用されたため生産されず。

AH-64C:AH-64Dのミリ波レーダーを除いたモデル。当初はエンジンの改修を行わないなど、コスト削減に努めたモデルだったが途中からレーダー装備関連以外の相違点は無くなった模様。またその頃からレーダー装備の有無に関わらず名称はAH-64Dに統一された。

AH-64D(アメリカ向け):アビオニクスを全面的に更新すると共にエンジンをT700-GE-701Cに強化してある。最大の特徴はローターマスト上に装備されるロングボウ・ミリ波レーダーで、多数の目標の識別、危険度評価を行える。全機がAH-64Aからの改修機である。米陸軍は最終的には保有機全てをロングボウレーダー付のAH-64Dに改修する意向。

AH-64D (オランダ向け):ロングボウレーダーは装備しない他は基本的に米陸軍向けと同様の機体。

AH-64D (イギリス向け):全機がロングボウレーダー付で英ウェストランド社においてライセンス生産される。

参考:世界の傑作機 No.34

筆者:けい殿