かまいたちの夜隠しメッセージ

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「あしでも、もう少し時間があったら、
多分ぐ分かったでしょうね」
「負惜しみを言うんじゃないよ。素直に
ほめくれたっていいじゃないか」
とぼは言い返した。
「そにしたって……まあ、いいか。君は
偉い ……これでいい?」

「もう少し時間があったら、あたしでも分か
ったでしょうね」
「負け惜しみを言うんじゃないよ。素直にほ
めてくれたっていいじゃないか」
ぼくは言い返した。
「それにしたって……まあ、いいか。
は偉
い!……これでいい?」

「とろでその宝石やけど……」
覗きみながら、香山さんが言う。
「何すか?」
また屈をこねて、わけ前を……?
「任てくれへんかな?」
「え? どういう意味ですか?」
きょんとした顔の真理
「わの知り合いに、宝石屋もおるから売
ったかっていう……」
「ところでその宝石やけど……」
香山さんが覗きこみながら言う。
「何ですか?」
また変な理屈をこねて、わけ前を……?
「任せてくれへんかな?」
「えっ? どういう意味ですか?」
真理がきょとんとした顔をする。
「わしの知り合いに、宝石屋もおるから売っ
たろかっていう……」
「そいで、その宝石やけど……」
気持ち悪い猫なで声を香山さんが出す。
「何といいました?ハッキリどうぞ」
またロクでもないことをいいそうだ……。
「いくらやったらゆずってくれる?」
「何をいっているのか意味がわかりません。
少しおおきい声でお願いします」
「見せたいんや。知り合いの宝石屋に……」
金でもしめようというのか、香山さんは
驚き呆るようなことを言う。
まった商魂たくましい人だ。
「きっそう言うと思いましたよ。……で
もこれ売ることはできませんよ」
少しおげさに真理は言った。
「どうニセモノなんだろう?」ぼくは言っ
た。

隠しメッセージ

スーパーファミコン版 プレイステーション版
わたしはまだ、生きている。
そのことを神に感謝すべきなのかもしれな
い。
1994年、この『かまいたちの夜』がスーパ
ーファミコン用ソフトとして発売された時、原
作者であるわたしは、ある秘密文書をその
カセットの一部に忍び込ませることに成功
した。
恐ろしい陰謀を止めるために。
当時の秘密文書を
A読む
B読まない





今これを読んでいるあなたが誰なのか、
わたしには分からない。子供なのか、大人
なのか、男なのか、女なのか……。この
ゲームの購買層を考えるなら、高校生くら
いの男の子というのが可能性としては高
いのかもしれない。


今これを読んでいるあなたが誰なのか、わ
たしには分からない。子供なのか、大人な
のか、男なのか、女なのか……。このゲーム
の購買層を考えるなら、高校生くらいの男の
子というのが可能性としては高いのかもし
れない。


いずれにしても、純粋にゲームを楽しもう
としてこのソフトを買ったごく普通の人であ
って、”彼ら”の仲間などでないことを痛切
に願う。




いずれにしても、純粋にゲームを楽しもう
としてこのソフトを買ったごく普通の人であ
って、”彼ら”の仲間などでないことを痛切に
願う。




あなたが誰なのか、わたしには分からない
わたしはさっきそう書いた。しかし、あなた
の方は、わたしのことを知っているはずだ。
少なくともその名前を、このゲームのパッ
ケージなり、スタッフロールなりで見かけて
いるに違いない。


あなたが誰なのか、わたしには分からない
わたしはさっきそう書いた。しかし、あなた
の方は、わたしのことを知っているはずだ。
少なくともその名前を、このゲームのパッケ
ージなり、スタッフロールなりで見かけてい
るに違いない。


わたしの名前は我孫子武丸。いや、そうい
う名前で知られている人物の影にいる、本
当の作者。それがわたしだ。パッケージや
マニュアルに顔写真が出ているかもしれな
いが、それはわたしではない。わたしの名
前をかたっている"彼ら"の仲間だ。


わたしの名前は我孫子武丸。いや、そうい
う名前で知られている人物の影にいる、本
当の作者。それがわたしだ。パッケージや
マニュアルに顔写真が出ているかもしれな
いが、それはわたしではない。わたしの名前
をかたっている"彼ら"の仲間だ。


わたしはこの『かまいたちの夜』のストーリ
ーのほとんどすべてをチュンソフトの社内
の一室で書かされている。そしてわたしは
今、仕事をしているふりをし、"彼ら"の目
を盗みながらこれを書いている。そう、"彼
ら"とはすなわちチュンソフトの社員達のこ
とだ。

わたしはこの『かまいたちの夜』のストーリ
ーのほとんどすべてをチュンソフトの社内の
一室で書かされている。そしてわたしは今、
仕事をしているふりをし、"彼ら"の目を盗み
ながらこれを書いている。そう、"彼ら"とは
すなわちチュンソフトの社員達のことだ。


正直に言うと、わたしも始めは"彼ら"の仲
間、チュンソフトの社員だったのだ。しかし、
この『かまいたちの夜』の制作に参加し、
プロジェクトが進むにつれ、この会社の真
の姿とその恐るべき陰謀に気がついたの
だ。


正直に言うと、わたしも始めは"彼ら"の仲間、
チュンソフトの社員だったのだ。しかし、この
『かまいたちの夜』の制作に参加し、プロジ
ェクトが進むにつれ、この会社の真の姿とそ
の恐るべき陰謀に気がついたのだ。



わたしはもちろん逃げだそうとしたが、あと
一歩のところで"彼ら"に取り押さえられて
しまった。それ以来ずっとこの部屋に監禁
され、強制的に仕事をさせられている。"
彼ら"にとって都合のいいことに、わたしに
は身寄りもなく、社外の友人も少なかった
から、わたしの行方を探してくれる人もい
ないだろう。
わたしはもちろん逃げだそうとしたが、あと
一歩のところで"彼ら"に取り押さえられて
しまった。それ以来ずっとこの部屋に監禁
され、強制的に仕事をさせられている。"彼
ら"にとって都合のいいことに、わたしには
身寄りもなく、社外の友人も少なかったから、
わたしの行方を探してくれる人もいないだ
ろう。
この仕事が終わると同時に、わたしは殺さ
れるだろう。だから多分、あなたがこれを
読んでいる今、わたしはもう"彼ら"の手に
よって抹殺されていることと思う。ここから
何度も逃げ出そうとしたが、そのたびにつ
かまり、思い出すのもおぞましい数々の拷
問を受けた。

この仕事が終わると同時に、わたしは殺さ
れるだろう。だから多分、あなたがこれを
読んでいる今、わたしはもう"彼ら"の手によっ
て抹殺されていることと思う。ここから何度
も逃げ出そうとしたが、そのたびにつかまり、
思い出すのもおぞましい数々の拷問を受け
た。

わたしはもはや生き延びる希望など抱いて
はいないが、"彼ら"の陰謀を世間に伝え、
阻止してもらうため、これを書いている。
普通のゲームの背後に、暗号を解かなけ
れば見つけることのできないよう、このメッ
セージを隠しておく……そうすれば"彼ら"
の目に触れずに、外の人間に情報を伝える
ことができると考えたのだ。
わたしはもはや生き延びる希望など抱いて
はいないが、"彼ら"の陰謀を世間に伝え、
阻止してもらうため、これを書いている。普
通のゲームの背後に、暗号を解かなけれ
ば見つけることのできないよう、このメッセ
ージを隠しておく……そうすれば"彼ら"の
目に触れずに、外の人間に情報を伝えるこ
とができると考えたのだ。
マスターのROMにこのメッセージを仕込む
ことができればいいのだが、わたしの立
場ではそれは不可能だ。一ケース分、ある
いは二ケース分をすり替えるのがせいぜい
だ。



マスターのROMにこのメッセージを仕込
むことができればいいのだが、わたしの立
場ではそれは不可能だ。一ケース分、ある
いは二ケース分をすり替えるのがせいぜい
だ。



その何十本かのうち、果たしてこのメッセ
ージにたどり着ける人間がいるのかどうか、
そしてたとえこれを読んだとしても、信じて
もらえるのかどうか……わたしにはまった
く分からない。そしてまた、出荷する前に
チェックを受け、"彼ら"によって破棄されて
しまうことがないという保証もない。

その何十本かのうち、果たしてこのメッセー
ジにたどり着ける人間がいるのかどうか、そ
してたとえこれを読んだとしても、信じても
らえるのかどうか……わたしにはまったく分
からない。そしてまた、出荷する前にチェッ
クを受け、"彼ら"によって破棄されてしまう
ことがないという保証もない。

……あれこれと心配するのはよそう。誰か
善良な人間がこれを読んでくれていること
を信じ、わたしはこれを書き続けることにす
る。




……あれこれと心配するのはよそう。誰か
善良な人間がこれを読んでくれていること
を信じ、わたしはこれを書き続けることにす
る。




あなたは多分どこかで、サブリミナル知覚
という言葉を耳にしたことがあるだろう。気
がつかない程度の刺激……潜在知覚とも
呼ばれているものだ。聞こえないほど小さ
な音、認識できないほど短い時間だけ映
しだされる画像……そういった知覚できな
い刺激が、潜在意識に影響を及ぼす。

あなたは多分どこかで、サブリミナル知覚と
いう言葉を耳にしたことがあるだろう。気
がつかない程度の刺激……潜在知覚とも
呼ばれているものだ。聞こえないほど小さ
な音、認識できないほど短い時間だけ映し
だされる画像……そういった知覚できない
刺激が、潜在意識に影響を及ぼす。

"彼ら"はこのサブリミナル知覚をゲームソ
フトにおいて実験しようと試みた。その最
初が『弟切草』というソフトだった。埋めこ
まれたメッセージは比較的他愛のないもの
だった。「チュンソフトのソフトは面白い」と
いうものだ。


"彼ら"はこのサブリミナル知覚をゲームソ
フトにおいて実験しようと試みた。その最初
が『弟切草』というソフトだった。埋めこまれ
たメッセージは比較的他愛のないものだっ
た。「チュンソフトのソフトは面白い」というも
のだ。


メッセージを埋めこんだものとそうでないソ
フトを別々の地方に出荷し、次回作の売れ
行きを比べて結果を探ろうというものだっ
た。そして『トルネコの大冒険』というソフ
トによって実験の効果は確かめられた。メッ
セージを埋めこんだソフトを出荷した地域
の売れ行きはめざましいものがあったのだ。

メッセージを埋めこんだものとそうでないソ
フトを別々の地方に出荷し、次回作の売れ
行きを比べて結果を探ろうというものだっ
た。そして『トルネコの大冒険』というソフト
によって実験の効果は確かめられた。メッ
セージを埋めこんだソフトを出荷した地域
の売れ行きはめざましいものがあったのだ。

この段階でも、商業モラル上若干問題が
あることはお分かりだろうが、"彼ら"の真
の狙いはビジネスの成功などというささや
かなものではなかった。やがては日本をに
なうことになる若者達を子供のうちに洗脳
し、熱狂的なチュンソフトの支持者にする
こと。

この段階でも、商業モラル上若干問題があ
ることはお分かりだろうが、"彼ら"の真の狙
いはビジネスの成功などというささやかな
ものではなかった。やがては日本をになう
ことになる若者達を子供のうちに洗脳し、熱
狂的なチュンソフトの支持者にすること。

このソフトをプレイした子供達が大人にな
る頃には、チュンソフトは単なるゲームソフ
ト会社ではなく、宗教法人、政治結社、多
国籍企業の複合体となっているだろう。そ
の時、洗脳された若者達は中村光一を神
と崇め、"チュンソフ党"に投票し、チュン
食品のインスタント・フードを食べながら、
廃人のようになってチュンソフトのゲームを
プレイし続けていることだろう。
このソフトをプレイした子供達が大人にな
る頃には、チュンソフトは単なるゲームソフ
ト会社ではなく、宗教法人、政治結社、多国
籍企業の複合体となっているだろう。その
時、洗脳された若者達は中村光一を神と崇
め、"チュンソフ党"に投票し、チュン食品の
インスタント・フードを食べながら、廃人のよ
うになってチュンソフトのゲームをプレイし
続けていることだろう。
それこそが"彼ら"の目的なのだ。経済、政
治、信仰のすべてにわたって日本全体を支
配すること。笑い話のように聞こえることは
承知している。しかしこれは本当のことなの
だ。



それこそが"彼ら"の目的なのだ。経済、政
治、信仰のすべてにわたって日本全体を支
配すること。笑い話のように聞こえることは
承知している。しかしこれは本当のことなの
だ。



現に、このソフトをすでに何度かプレイして
いるはずのあなたは、チュンソフトに対して
奇妙な信頼感を覚えているはずだ。十回
以内であれば、まだ洗脳されきってはいな
い。二十回、三十回目でこれを読んでい
るのだとすると、おそらく何を言っても信じ
てはもらえないことだろう。

現に、このソフトをすでに何度かプレイして
いるはずのあなたは、チュンソフトに対して
奇妙な信頼感を覚えているはずだ。十回
以内であれば、まだ洗脳されきってはいな
い。二十回、三十回目でこれを読んでいるの
だとすると、おそらく何を言っても信じては
もらえないことだろう。

しかし、これは真実なのだ。誰か"彼ら"の
陰謀を暴いてほしい。簡単なことだ。わた
しがこれから教える電話番号に、電話を一
本かけるだけでいいのだから。わたしが全
面的に信頼できる唯一の友人の電話番号
だ。彼にすべてを話してくれ。それだけで
いい。

しかし、これは真実なのだ。誰か"彼ら"の
陰謀を暴いてほしい。簡単なことだ。わた
しがこれから教える電話番号に、電話を一
本かけるだけでいいのだから。わたしが全
面的に信頼できる唯一の友人の電話番号
だ。彼にすべてを話してくれ。それだけで
いい。

危険なことは何もない。逆に、彼に伝えて
しまうことであなたの危険度は下がるのだ。







危険なことは何もない。逆に、彼に伝えて
しまうことであなたの危険度は下がるのだ。







……恐がらせたくはないので黙っていよ
うかとも思ったが、そうもいかないようだ。
もしわたしがこのメッセージを何十本かの
ソフトに忍び込ませ、正常なカセットにま
ぎれこませることができたとしても、"彼ら"
はいずれ本数が合わないことに気がつく
だろう。


……恐がらせたくはないので黙っていよう
かとも思ったが、そうもいかないようだ。も
しわたしがこのメッセージを何十本かのソ
フトに忍び込ませ、正常なカセットにまぎれ
こませることができたとしても、"彼ら"はい
ずれ本数が合わないことに気がつくだろう。



そうなれば、"彼ら"が小売り店までソフト
を追跡するのは簡単だ。予約して買った人
や、小さな店で買った人なら、"彼ら"はす
ぐにでも見つけ出すだろう。もし量販店で、
予約せずに買ったのだとしても、安心はで
きない。



そうなれば、"彼ら"が小売り店までソフトを
追跡するのは簡単だ。予約して買った人や、
小さな店で買った人なら、"彼ら"はすぐにで
も見つけ出すだろう。もし量販店で、予約
せずに買ったのだとしても、安心はできない。




発売後一ヶ月……多分、それだけあれば
"彼ら"の力ならすべてのソフトの行方を探
り当てることだろう。購入して一ヶ月以上経
っているのだとしたら、確実に今のあなた
は"彼ら"の監視を受けている。高性能の
指向性マイク、赤外線カメラ……そういっ
たものがあなたの部屋のすぐ外であなた
を狙っているに違いない。

発売後一ヶ月……多分、それだけあれば"
彼ら"の力ならすべてのソフトの行方を探り
当てることだろう。購入して一ヶ月以上経っ
ているのだとしたら、確実に今のあなたは"
彼ら"の監視を受けている。高性能の指向
性マイク、赤外線カメラ……そういったもの
があなたの部屋のすぐ外であなたを狙って
いるに違いない。

待って!窓から外をのぞこうなどとは考え
ない方がいい。ライフルの絶好の的にな
ってしまう。窓際には立たないこと。今あな
たがすべきことは、床を這って電話にたど
り着き、わたしの友人にかけることだ。



待って!窓から外をのぞこうなどとは考えな
い方がいい。ライフルの絶好の的になって
しまう。窓際には立たないこと。今あなた
がすべきことは、床を這って電話にたどり着
き、わたしの友人にかけることだ。



"彼ら"はこのメッセージを見つけてしまった
あなたの口を塞ぐべきかどうか、すぐ外
で思案しているところなのだ。時間はない。
電話をかけてすべてを伝えてしまえば、あ
なたを殺しても後の祭りだ。だからあなた
が生き残るためには、電話をかけなければ
ならないのだ。

"彼ら"はこのメッセージを見つけてしまっ
たあなたの口を塞ぐべきかどうか、すぐ外で
思案しているところなのだ。時間はない。電
話をかけてすべてを伝えてしまえば、あな
たを殺しても後の祭りだ。だからあなたが
生き残るためには、電話をかけなければな
らないのだ。

早く。早くしないと、"彼ら"がやって来る。
新聞の集金のふりをして。あるいは電気工
事を装って。……ああ、外で"彼ら"の足
音が




早く。早くしないと、"彼ら"がやって来る。
新聞の集金のふりをして。あるいは電気工
事を装って。……ああ、外で"彼ら"の足音





……これが四年前の秘密文書だ。
話を元に戻そう。






当然のことながら、発売数日も経たぬうちに
わたしの行為は"彼ら"に発覚し、社内にあ
る拷問部屋で様々な責め苦を受けることと
なった。
しかし、何百人かのユーザーの手元には確
実にメッセージは届いたはずだし、そのうち
の何人かは陰謀を止めるために行動を起
こしてくれたと信じている。
しかし、チュンソフトの野望はいまだ潰えて
いないようだ。
今回、『かまいたちの夜』をプレイステーシ
ョン用ソフトとして再発売するというのだ。
その結果、わたしも四年ぶりに地下の独房か
ら引きずり出され、移植作業を手伝わされ
ることになった。

当然、以前告発文書を隠していた「リセット」
の部分は使えない。
やむなく文章を手直しするふりをして新た
な隠し場所を作った。
果たして何人のユーザーがここにたどり着
いてくれるのだろうか?
そして何人のユーザーが、立ち上がってく
れるのか?
……これがばれれば、今度こそわたしは殺
されるだろう。
後はただ、運を天に託して祈るだけだ。
今これを読んでいるあなたが無事に生き
延びて、陰謀を止めてくれることを……