老成都

[其十五]


永久

  成都に住むに当たり、先ず最初に買ったのが自転車です。四川大学は街外れにある為、街中で買物するにせよ、どこへ行くにも自転車は不可欠な物でした。


    1988年9月 市内に三つある毛沢東像の一つ、学内にて愛車と


 前から居る留学生の話を参考に、上海の永久(YongJiu)牌が一番品質が良いとの事で、自転車は長く使える良い物が欲しかったので、このブランドを買う事に決めました。たまたま近くにあった成都飯店の売店に、この自転車が売られていたので、一緒に寮生活を送る事になった学友と買いに行きました。価格は300元もしたので、当時としては確かに高級品だったと思います。でも払った分以上、充分の元は取れたと思います。と言うのもこの自転車を駆って街中はおろか、近郊の町へも走り回る事が出来たからです。


    
1989年11月 自転車で龍泉澤へ向う途中出くわした交通事故


 永久の自転車は非常にバランスが良く、手放しでも運転出来る程でした。そんなんで、友人宅で白酒を飲んでは、手放しで自転車に乗って帰って来た事が何度も有りました。でもなんであんな危い事をしていたのか、今考えれば、当時の自分の思考回路が分かりません。そう言えばある日、やはり自転車で酔っ払って帰って来る途中、転んで大怪我をした事が有りました。それからは少し自重する様になったと思います。留学仲間のお酒の失敗談も大抵、自転車の酔っ払い運転が原因でした。


    1989年11月 高攀橋付近にある成昆線の踏切を超えて


 当時、街の道路の造りはほとんど自転車中心でした。だから自転車一台有れば市内への交通は事足りました。でも、今はどちらかと言うと自動車中心の街造りになっています。久しぶりに成都に行った際、自転車を乗りたいと言う気持ちにはなりませんでした。


    1989年11月 自転車で先生宅へ(三瓦窯)


 私が日本へ帰国する際も自転車だけは処分するのに忍びなく、友人宅に暫く預けていました。何年か後、暫くぶりに成都を訪れさび付いた私の自転車を見た時、自転車で走り回っていた日々は、思い出として過去のものになってしまった気がしました。自転車は友人に頼みスクラップにしてもらいました。また生まれ変わって、形を変えても活躍して行く事でしょう。


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