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巴山蜀水
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[其七]
酒郷宜賓 (JiuXiangYiBing) - 〈白酒の郷〉
洛表の宿で目を覚ますと、宜賓行きのバスの発車時間までもう余り時間がなかった。昨晩は宿の主人が起こしてくれるというから、友人と深酒してぐっすり眠りについたが、危うく乗り遅れる所だった。どうやら宿の主人はまだ深い眠りについている。宿泊代を前金でとっておいて、いい気なものだ。
洛表から宜賓へ向かった時の記憶は、ほとんど残っていない。多分車中眠ていたからだろう。宜賓は来る時に立ち寄ったが、ほとんどどこにも行っていない。早速駅で自貢行きの切符を手に入た。今度はちゃんとした座席に座れそうなので、一安心した。まだ列車の発車迄時間があるので、街を歩いてみる事にした。
金沙江の川沿いにある家並み
宜賓は北宋以前は「義賓」と呼ばれていた。後に皇帝の名と避ける為、宜賓と改めれた。
私のこの街への知識は、中国全土でも有名な白酒、「五糧液」の産地としてである。五糧液とは米、とうもろこし、高粱、もち米、小麦の五穀を原料とし、豊穣な味と香りがいつまでも残る銘酒である。現在市場に出まわっている半数以上が偽物と言われる程人気があり、政府関係者への贈物は五糧液と相場が決まっている。味と人気は貴州の「茅台酒」を凌いでいるが、貴州は他に特産品が無い為、政治的配慮から中国酒第一の称号を譲ったとも言われている。
またこの街は、ユン・チアンの小説「ワイルドスワン」にも出て来る町である。私はここに行った後、小説を読んだのでなんとなく想像出来たが、小説に登場する当時は、もっと辺鄙な所だったのであろう。私のこの街の印象も、街を取り囲む赤茶けた山肌のイメージが強く残っている。
岷江と金沙江の合流点、ここから長江の流れが始まる
市内にある観光名所はそれ程数がない。有名な所として、翠屏山と流杯池がある。翠屏山(海抜507m)は公園になっており、街の郊外にある。山頂からは市内全景と金沙江も見渡せ、街の様子が一目瞭然である。流杯池は北宋時代に書家の王義之の故事に因んで作られたもので、岩に彫られた水路を巡り、杯が手元に流れてくる風流(作らされた人はご苦労な話しだと思うが)な作りになっている。共に少ない時間で見て回るには、ちょうど良かった。
文革で破壊された翠屏山の千仏岩
岩石をくり貫いて作られた流杯池
私達は夕方発の列車に乗り、宜賓を後にした。
つづく...
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