巴山蜀水

[其十八]


海螺溝(HaiLuoGou) - 〈海螺溝氷河

  貢嗄山は大雪山系に横たわる主峰で、康定、濾定の両県に跨っている。この貢嗄(コンガ)とは、チベット語で言う「白雪」と言う意味で、海抜高度は7,556mあり四川省の第一峰、「蜀山之王」と呼ばれている。


    山道から原生林を通して見える二層山


 山は巨大な花崗岩により構成され、その岩盤は強固である。それが長年の風化作用で、山の表面が削られ峻厳になり、登山が困難な一因になってる。そして貢嗄山周辺には、中国でも有数の氷河が発達しており、氷河の数は110本、面積は292kuに達し、四川省内にある氷河面積の57%が集中している。大きな氷河群は四つ存在し、一番長い海螺溝氷河は15kmにも達する。そしてこれら氷河群が、貢嗄山周辺に特色ある独特な風景を作りだしている。


    原生林に新しく作られたと覚しき山道


 
また、麓の濾定県の年平均気温は15.5度、降水量は674ミリと亜熱帯に属しているのに対し、康定県は年平均気温7.2度、降水量は798ミリと温帯気候に相当し、もう少し山側の新都橋では、それぞれ5.1度、947ミリと寒帯に属している。この様に近在の町の気候が一様でないのは、高度差による影響で、この特種な気候条件により、
植生にとんだ多彩な野生動物の生育する環境も形成している。


    磨西の街外れにある杉の大木


 貢嗄
山へのアプローチは三つのルートが存在する。海螺溝か燕子溝を遡るルート、もう一つは貢嗄寺のある山の反対側から回り込むルートである。この内山頂を極めるのに一番適しているのは、貢嗄寺から回り込むルートだと、一緒に行った登山協会の連絡官の方から教えてもらった。海螺溝のルートは道程が長くアップダウンも多い為、中でも一番厄介だそうである。
 今回二人の四川登山協会の連絡官が同行したが、旅行中偶然出会った通訳の人を介して知り合う事となった。以降、この二人とは留学を経て、長い間親しい友人として現在迄至っている。


    一号氷河へと続く海螺溝   


 途中村を抜け、小さな小学校の手前を横切った際、先生と子供達が物珍しそうに私達の隊を見つめていた。子供達だけで無く、農作業をしていた村人まで、通り過ぎる先々皆好奇の眼差しだった。


    海螺溝の入口付近に点在する農家


 私が海螺溝を訪れた当時は、観光地として開放したばかりの様子で、一号から三号まで、都合三つの宿泊施設が整備されていた。当然の如く、私達はテントを用意して来たので、ここらには泊まらず、初日は三号営地の近くにテントを張った。ここには渓流が流れており、生活用水には事かかない。沢に向かう途中看板を見かけた。そこには、遭難後自力で下山した日本人登山者が発見されたのがこの場所だった事を示していた。


    朝焼けに染まる雪景色の三号営地付近


 この日、夜半から降り始めた雪がテントの薄い生地の上に積もりだしたのが見えた。翌朝起きた時には、辺り一面が雪景色になっていた。寒さで身が打ち震える中、炊事を住ませ身支度、ポーターを先行させ一号氷河まで、再びキャラバンを始める。

つづく...。


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