夢の果て
いま、ナリスはカラヴィア領内の奥地の森林の中に横たわっていた。
ナリス軍の激しい抵抗も虚しく、アルド・ナリスの反乱は国王軍によって遂に鎮圧され、ナリス軍は崩壊し幾多の将兵たちも、今やちりじりと霧散してしまった。
既に回りは国王軍に蟻の這い出る隙間もないほどに何重にも囲まれている。
供廻りの者達がここまでナリスを落ちのびさせたが――さほど遠くないところで剣戟の音と怒声が聞こえる。
ナリスがもっとも信じ頼っていたヴァレリウスも行方不明で、側にはカイの他に二人の小姓がいるだけ。
そのカイは片手に短剣を身構えて、キッと森の外に目を向けている。
ナリスはけむるようなぬばたまのように深く暗い瞳をカイに向けるとやっとの思いで声を出した。
「ありがとう、カイ。――どうやら、ここまでだ。……敵が来る前に……この指輪の中の……苦しまないで済むだろう」
カイは両目からとめどもなく溢れこぼれ落ちる涙をぬぐおうともせずナリスの手をやさしくそっとにぎった。
「ナリスさま――私には出来ません」
ナリスは優しく笑うとカイに語りかけた。
「おお、カイよ。――お前は私が国王軍に捕まって拷問の末に殺されるのを見たいとでも云うのかい」
「ナリスさま――」
カイは身体のふるえが止まらなかった。
「わたしは――」
ナリスは力無くカイを見上げた。
と、その時――すぐ近くにもやもやと黒い影がなにやらあらわれると人の形となった。
カイと小姓たちは、はっとして身構えた。
「なに奴ッ!」
やがてその影は裸の男だと解った。
男は妖しく口元から舌を出した。
ナリスをどうしようもない不安が襲った。
(こいつは――こいつは危険だ)
「やあ、おいらユリウス。あんたを助けにきたよ」
「お前など知らぬ。もはや、私の体力も限界だ。どうせ、助からぬ、要らぬ手助けは無用だ」
「そんなつれないこと言わずにさ。せっかく助けに来たんだから」
ユリウスはそういうと舌なめずりしながらナリスに近づく。
「こっちに来るなっ」
カイは叫ぶとユリウスに躍りかかったが、あっさりと身体をくねらさせ、それをかわすとカイに絡みつきショックを与えるとカイは気絶した。
改めて、ユリウスはナリスに近づく。
「……止めろ。私に触れるな」
ユリウスは身体を変化させるとナリスに覆い被さった。
二人の小姓は腰を抜かしてその状況を見ていた。
やがて――
二人は融合した。
まれに見るくらい、美しく繊細な、貴族的な顔だが、目元にあやしいまでの色気、肌が異様に白い、紅唇。
ここに、ナリウスが誕生したのである。
「……なんてこったい。吸収できなかった」
「――私は手に入れたぞ。ファハハハハ」
・コメント
どわ――ッ! ナリスふぁんの方、ごめんなさいm(_
_)m