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黄金の神々

最終話 黄金の髪

◆ 第一章 豹頭

サイロン――黒曜宮
「グイン。ねえ、グインってばあ」
シルヴィアは甘い声でグインに寄り添うとサンゴの唇をちょっと突き出しながら、グインを見上げた。
「姫、何でござる――」
豹頭王と呼ばれ早二年、ケイロニア王グインもシルヴィア王妃には勝手が悪かった。
「お願いがあるの」
「な、何ようか」
「来旬、一緒にナタリ湖に船遊びに行きましょうね」
「ううむ――。このところ政務が忙しいので無理かと……」
「シルヴィア、いやぁーん」
シルヴィアは小さく足を踏みならした。


◆ 第二章 獅子

アルセイス――紅玉宮
「あなたっ! ――あなた、どこにいるの」
アムネリスは毅然とした表情で侍女を十数人従え、獅子の間に入っていった。
「いかがいたした、王妃?」
黒い髪、黒い目、秀麗な顔立ち、ゴーラ王としての貫禄もやっとついてきたが、アムネリスの声を聞くと内心どきどきしてしまうのは相変わらずである。
アムネリスはつかつかと王妃の副座に近づき毅然と座り込む。
「あなた! ――王子の教育がなっていません! 私は、それこそお父上に、五つ六つにもならぬうちから、よろいかぶとを特別につくって着せられ、観兵式にすわされ、ウマと剣を教え込まれ、十五歳で初陣を果たしたものですわ。このままでは王子の将来が心配ですことよ。しっかりして下さいましッ」


◆ 第三章 詩人

クリスタル――聖王宮
「ディーン、ディーン、間もなく朝の謁見の時間ですわよ」
キタラの調べにのって美しい歌声が流れる。
「ああっ、オクタヴィア――ぼくの大好きな優しい奥様。――お願いだから、あと、五タルザンで良いから、このまま歌わせてよ」
「ダメですっ!」


◆ 終章 女帝

「後世中原史歴」の千三百七十ページを開くとそこには、かように書き記されている。

『ゴーラ王、国民に慕われ、善政を行うも、王妃の麗しき姿にただただひれ伏すのみ。
パロ王国の国王に賢妻あり。王を良く助け万民の鏡となる。
ケイロニアに豹頭王あり。無類なき戦士で、人望厚きなり。王の唯一、頭の上がらぬもの、王妃なり。

これより百年にわたり、中原に戦乱の起こること一度たりと無し。
人々曰く、「中原に黄金の髪なびく時、これ黄金の平和なり」と――』


◆ エピローグ

のどかな草原を越え南に走る赤い街道は、やがて南ランダーギア大陸へと続いている。
二頭の馬に乗った四人連れがゆく。
一頭の馬には男が乗り、一頭の馬には女と小さな女が二人乗っている。
そしてその女の胸には可愛い赤ん坊がしっかりと抱かれている。
左側には丘陵がなだらかに続いており、その先には広大な青いレントの海が広がっている。
さわやかな潮風に吹かれてプラチナ・ブロンドの長い髪がふわりとそよぐ。
後ろから小さな女が話しかける。
「ひめさま、ひめさま。これからどこへゆくの」
若い女は振り返らず男の方を優しい目で見ながら言った。
「さあ、どこかしらね。――私は自由になったこの人の心について行くだけだわ」
男はふっと微笑むと、明るいがどことなく憂いを含んだ双眸を遠くに見えるレントの海に注いだ。
(風の便りで王になったと聞くが――理解することはないだろう、私が何故、謀反を起こしたのか)
どこまでも続く赤い街道に南からの風が吹く。


―― 完 ――


・コメント
グイン・パラレル・ワールド「黄金の神々」は、これにて完結です。
長い間、お付き合い下さいまして、誠にありがとうございますm(_ _)m


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