●「さいはての地に」
二人は地の果ての、さらに最果ての極北のミズガルドにいた。
女王クリームヒルドのためにいくつもの冒険を果たした二人ではあった。
が、今回の冒険は厳しく想像を絶し、二人は遂に極北ミズガルドで力尽き果ててしまった。
回りは完全に氷壁で囲まれ進むも退くも出来ない状態であった。
「今度ばかりはダメか――」
どんな逆境に遭っても挫けたことのない、トパーズ色の目が弱々しく光る。
「お前にもすまぬことをした」
傍らにいる従者に声をかけた。
「何を仰せです。この世にあなた様ほどの英雄はいません。あなた様の行くところ、常に私が在り、そして最後まであなた様に従えたことは光栄です」
それを聞いて、そのトパーズ色の目が潤む。
「しかし、俺は本当はこの地上に来たのは別な目的が有ったように思えてならない」
ふさふさとしていた頭の毛は凍てつき、丸い耳と斑入りの毛皮、黒い鼻づらも凍りつきはじめている。
「が、そんなことはもう良い。気がかりはクリームヒルド女王の最後の願いを果たせなかったことだ」
(ふっ)
その口もとから巨大な牙がのぞく。
初めは確かに覚えていた。
そして、そのために動いていたように思える。
しかし、ヨツンヘイムにたどり着いた時、運命は変わった。
(例え、この地に来た当初の目的が何で有れ、俺はクリームヒルドを愛した。そして彼女のためなら何でも叶えてやりたいと望んだ)
極寒の寒さが二人を容赦なく襲い、全身を氷が覆い始める。
(いつかの日にか――)
段々と意識がぼやけてきた。
もう、目に映るものは幻か――。
(おおっ、あれは見たことがある。――遠い、遠い俺の国)
それが最後の意識であった。
二人の身体はやがて完全に氷に覆われて氷壁の一部となった。
こうして、二人は目的半ばにして永遠の眠りについた。
しかし、命失いても、尚そのトパーズ色の目は遙か彼方にいる愛するひとを見つめているかのようであった。
『ルゥ――ルゥ――。プッ。ツ―――――』
わずかに、振れていたシグナルが途切れた。
「〈調整官ザーム〉殿。信号が途絶えました、どうやらシノレスは任務に失敗した模様です」
「失敗しただと。まことか」
〈調整官ザーム〉は正直驚きを隠せなかった。
「あやつがのう……。仕方がない、すぐさまランドックに連絡を取り、グインを派遣せよ」
「グイン! ――豹頭王をですか? 果たしてアウラ一族が納得するでしょうか」
「納得するもしまいも、シノレスはグインの息子だ。息子の失敗を父であるグインに償ってもらおう」
「はっ、ただちに」
◆―それから数百年後―◆
「グインはどうなっている?」
〈調整官オリオン〉は副官に尋ねた。
「はっ、それが――」
副官は気まずそうに答えた。
「現在、出奔したケイロニア王妃を追ったきり行方が知れません」
「なんだと! 間もなくインガルスの竜人族との最終決戦が始まろうかという、この大事な時に。むぅ〜。子も子なら親も親。血筋かのう」
・コメント
シリアスに書いたつもりですが、インパクトが足りないかな。
15分ほどで仕上げたから少し内容が大雑把ですが想いは込めました^^;
シレノスの従者はもちろん蛮人バルバスです、印象うすくてごめんなさい。
やっぱし登場人物がマイナー過ぎ?^^;