− 客星 −
応永六年(1399)九月の頃、客星(かくせい)が南方に出た。陰陽頭有世(阿倍有世)が、これを判じて言った。「太白(金星)が
惑(けいわく。「けいこく」とも。兵乱の兆しを示す星。火星の別称)と相交わり、九十日の大兵乱となろう。大きな戦(いくさ)で血が流れ、大将軍に憂いが有る。一年のうちに易地(えきち。地位を変えること)があろう。三か月のうちに大兵乱の憂いがある。」
それを聞いて、諸寺・諸社において御祈祷などもあったという。
あるいは、「陰陽頭の考えは、『兵乱があるとはいえ、国主の凶ではない。ただ、謀叛の大将が現れて易地があろう』というものである。」とも言われていた。
それを聞いた人々は、「これほど天下太平の世に、いかなることが起きようか。」などと言い合った。