「和魂洋才」 米倉誠一郎講演 2000年6月


    2000/6/15
    日本ユニシス e@ctionフォーラム
    (文中、敬称略)
    講師
    一橋大学教授
    米倉誠一郎
     (*ES7000サーバーのデモ、ビル・ゲイツの話に続いて登場)
     今日はアカデミックな話をすればいいのかと思っていたら、一大セールスプロモーションだとは知らなかった。すごかったですねぇ今のサーバーのデモ。引田天功が出てくるかと思ったけど、その割にはたいしたことなかった。(場内失笑)
     ビルゲイツのおじさんもいやそうな顔して帰ったし…。ビル・ゲイツは、「独占禁止法に負けずに頑張ります」という話から始まるのかと思ったら、全然そういう話をしませんでしたね。(場内爆笑) 代わりに僕が言うと、マイクロソフトは分割されるべきだし、それによって、さらに強くなるでしょうね。
     ワットの蒸気機関を見て、イギリスの人たちは「パワーだ!」と言った。これが産業革命の本質。Computerによって何を手に入れたか?これは人間の頭以外のもので計算できるという・・
     バーチャルリアリティ、時空間を超えることを手に入れた。
     アメリカが陽が暮れると日本の夜が明ける。日本が暮れるとインド、アイルランドの夜が明ける。
     2,3人の会社でもIBMやマイクロソフトと対等に戦うことができる時代になった。
     東芝にクレームを付けた人がいた。たった1人のパワーが35万人の人を巻き込んで、とてつもない力になった。
     「楽天市場」の三木谷くんの所で一番売れているのが、「鶏の玉子」、アトピーの子供を持つ親が買っているんだそうだ。
     楽天を、どうせショッピングモールだろ?と言う人はここには、もう居ないと思うけど、日本政府はそう見くびっていた。
     
     日本で世界と戦える企業は、どこだと思いますか?
     *聴講者に聴いて回る。
     ソニー、HONDA、村田製作所、ドコモ、任天堂、資生堂…ねぇ?
    トヨタ、マブチモーター、日本ユニシス…
     
     日本の新規開業率は3%、(米国は16%)、アメリカはものすごい速さで企業の新陳代謝が起こっている。
     (レーガン政権は)競争戦略会議のトップにHEWLETT PACKARDの、ジョンヤングを据えた。1999年、日本の産業競争力会議議長は新日鐵会長の今井敬である。…悲しい。
     日本とアメリカは違う、アメリカ型をまねすることはないと言われる。
     でも、今では日本の付加価値が高い自動車も、トップ5の2社が外国人経営者。日本の金融も大半はそうすればいいと思う。
     グローバルスタンダードというが、そんな経営はない。大事なのはデファクトスタンダード。
     デ・ファクト =事実上の
     NHKのスタッフはベータを使っていたし、小さい声で言うけど、僕はたまらなく、マックが好きだ。 デ・ファクトが生まれるということは、経済学で言うと、ネットワーク外部性。ネットワークに参加する人が増えれば増えるほど、ネットワークがさらに加速度的に膨らむ。
     ソフトウェア産業とは、どういう産業か知っていますか? それは、労働集約型産業。 Windows派が増えれば増えるほど、さらにwindowsに労働が集約していく。
     ただ、サーバーでそれをやるのはどうかな?後でぶんなぐられるな。僕はLinuxがいいと思うんだけど。ここにも、共感持ってる人居るんじゃないかな。
     ソニーの外国人資本家の比率は約50%、にもかかわらず株主数比率では10%を切る。つまり外国人の機関投資家が多い。
     皆さんの年金、特に若い人・・・出ませんよ。これからは、401kプランを導入せざるを得ない。
     昨年、トヨタが、「うちは従業員重視、株主重視ではない」といった途端、アメリカは格付けを下げてきた。それを怒る人がいたが、彼らはそれが仕事だ。
     キャックウェルチ経営(強いところを徹底的に強くしていく)
     皆さん、にこやかな顔をしているけど、もう首の皮一枚ですよ! 早期退職して、セブンイレブンやラーメン屋やるんじゃなくて、いいことを教えましょう。今やってる仕事仲間と、今やってることを持って会社を作る。そして今いる会社に、「これまで1,000万かかってたのを、800万でやるから・・」と発注してもらうんです。 そうすると、他の会社からも仕事がとれる。
     
     今、アメリカで最も競争力のある日本商品は「ポケモン」、誰が米国の子供をポケモンが魅了すると想像できただろう?
     マーケットはすごいスピードで変わっている。4〜5年前、インターネット、ブックオフ、スターバックス、こんなものが流行るとは、誰も想像しなかった。
     これから、インターネットバンキングを皆やるでしょ。でも普及にはやはりTV、10キーが必要。 あなたのお母さんに、「振込、忘れたから、パソコン起動して振り込んでおいて」と頼めますか?
     ゲームの世界では2秒、間が空いたらそのゲームは没。起動に数分かかる…なんて誰もやらない。
     技術はどんどん変わる、マーケットはどうなるかわからない、どうしたら成功できるか?それは、
     顧客から離れないこと。顧客と一緒にいること。
     もっとも顧客情報を持っているのは、セブンイレブン。(レジスターにある10個のキーを使って) 「午前6時に30台〜40台の男性がおにぎり2個と報知新聞を買った」というところまで、知っている。
     TSUTAYAだけが伸びている、なぜか?借りたビデオによって関連商品のお知らせが届く。
     セブンイレブンとTSUTAYAは何を売っているか?
     ノウハウ、個別のお店の経営ノウハウ。場所・・客層
     コアコンピタンスを持ちながら、顧客とつながることが必要。
     
     米国の大手スーパー、WALマート、会社の金は一円たりとも無駄にしない。出張はエコノミー、2人以上の時は相部屋、社長と副社長もツインに寝なければいけない。一人になりたければ、それなりに給料もらってるんだから、自分のお金を足してやればいいのだ。 そこまでしないとお客に一円安く売れない。
     お客に売れないと、自分の資産価値が減る。
     顧客の価値、会社の価値、自分の価値を同一にする、これはシステムの勝利。
     WALマートには、従業員の億万長者がごろごろいる。役員や一握りの人じゃなく、レジのおばちゃんまで。株主総会は従業員、レジのおばちゃん達が並ぶ。そこで経営者が、「最高のサービスを提供するのは?」 「W!」「A!」「L!」「−(体を揺する)」…と叫んで皆が一緒に叫ぶ。
     さぁ、皆さんも練習してみましょう。「W!」 (w…・)
     あ〜あ、21世紀はノリの悪いやつはダメよ。 少々頭悪くても、ノリがいい奴じゃなきゃダメ。
     
     ハイテクはすべて追い風。でも原点に戻れる生き方がしたい。 お台場のビルで働きたい、レクサスに乗りたい・・最悪の選択。のどかな事務所に自転車で通い、短パンとTシャツで働く方がいいじゃないか。
     2002年、ワールドカップで世界中の人がやってくる。日本の環境技術は世界トップクラス。「日本と韓国は、皆ハイブリッドカーに乗っているぞ」 「試合終わったら、ゴミを拾ってる、いや、しかも、分別しているぞ!」 それが日本的価値観
     アメリカ型 IT に欠けているのは、こういうところ。
     時間が足りなくなりました。今日(2000年6月15日)発売の「ネオIT革命」という本に書いていますので読んで下さい。
     
    「ネオIT革命」米倉誠一郎著 講談社 ¥1,600