1999年12月議会  一般質問

                                                日本共産党  上原秀樹

1、兵庫県行財政構造改革推進方策案における伊丹市への影響について

    兵庫県は、来年から2008年までの9年間に実施する、行財政構造改  革案を発表しました。その中身は、県民の福祉とくらし、教育を大幅に削  減する内容であり、県医師会をはじめ各市・町から批判の声がわき起こっています。
   
具体的には、高齢者の医療費助成制度の対象者を約6万人切捨て、高齢者の医療費負担を3.5倍にする。また、寝たきりや痴呆老人を介護した場合の毎月1万円の在宅老人介護手当を廃止し、1万人あまりの手当をカットする。さらには、民間の特別養護老人ホ−ムで働く職員の労働条件改善するための助成まで廃止するなど、福祉の分野での切捨ては明らかであります。
   
また、教育の分野でも、「30人学級を早期に実現してほしい」との県民の願いに対して、教職員を3360人も削減、全日制高校と定時制高校を統廃合しようとしています。これでは30人学級は遠のくばかりです。 さらには、私学助成への県の補助単価を72000円から42000円へと4割も切下げ、深刻な不況のもとで、授業料の引き上げなど父母の負担は必至です。
   
あるいは農業の分野では、農業改良普及所の対象農家を10分の1にしたり、中小企業支援策でも、技術革新に大きな役割を果たしている工業技術センタ−の業務を3分の1に縮小し、不況下に苦しむ中小企業や地場産  業をより深刻な事態に追い込もうとしています。
   
兵庫県はこれらの県民への負担の押しつけ、福祉などの切捨てで、9年間に1兆600億円の収入不足を解消し、新たに1千億円の財源をつくるとしています。しかし一方では、公共事業は毎年3900億円も確保し、 むだなゼネコン型公共事業は維持するものとなっています。たとえば、毎年10億円前後の県費をつぎ込んでいる大赤字の但馬空港の例がありながらも、今度は1200億円もかかる播磨空港も計画していますし、宝塚北部の開発に1500haを1200億円で買収し、「高級住宅」を分譲する計画は宙に浮いたままであります。大規模開発のために県下各地で買いあさった用地は、県土地開発公社だけでも今年3月末現在で4100ha、その金利だけでも188億円が毎年銀行に支払われ、そのうち半分の2604haが5年間まったく手つかずで遊んでいます。
   
このようなむだに手をつけないで、県民のくらしを直撃するような改革が本当の行政改革でしょうか。私たちは行財政改革は必要だと考えています。しかしその内容が重要であり、行政からむだを省き、住民本意の行政を効率的に行うことでなければなりません。
   
そこでお伺いいたしますが、一つは、このような県の行政改革案をどのように認識されているのか。二つには、本市への影響は具体的にどのような形で表れるのか(金額も)。三つには、この案に対して市長はどのような意見を言われたのか。お聞かせいただきたいと思います。

 2、伊丹市の行財政改革についての考え方

  伊丹市においても当局から基本的な考え方が示されています。先程もいいましたが、行財政改革は必要でありますが、それは行政のむだを省き、住民本位の行政を効率的に行うことであります。具体的には、憲法と地方自治法で明らかにされている、住民の安全、健康、福祉の維持・増進をはかり、住民生活を擁護・向上させる内容でなければならないと考えます。
 この方向でこそ、市民の消費購買力を高め、経済を活性化させ、ひいては税収も増え、財政の健全化につながるものとなるのであります。
  今後5年間の行財政を全般的に見直すということでありますから、その方法も含めて、市民の意見を聞き、十分に論議する体制をとっていただくことが必要であります。その再検討する上で第一に、今の財政危機を生み出した原因を全面的に明らかにすることであります。
 第二に、この目的を明確にすることであります。今回の当局案は全体的に、「縮小」「廃止」、あるいは「民間委託」「受益者負担」という形で、行政サ−ビスの切捨て、いかに行政をスリム化していくかが中心になっています。そうではなく、市民のくらしと福祉、教育を充実していくことをこの目的として明確にしなければならないと思います。
  市長の見解を伺うものです。
 
さらに、今後のこの論議のありかたについてもお伺いしておきたいと思います。

 、平和をめぐる問題について

  1)日米共同方面隊指揮所演習について

    この問題では6月と9月議会でそれぞれただしてきましたが、そのうえにたって改めて市長の考えをただしたいと思います。まず指揮所演習とはどんな演習なのか、今年1月に行われた指揮所演習などから見てみたいと思います。「指揮所演習(CPX=Command Post Exercise)」は、1981年に師団規模からはじまりました。この年以降、アメリカ(主としてハワイ)と日本で年2回実施されています。規模は現在、一個の戦略単位である方面隊規模になっており、このCPXシリ−ズは「ヤマサクラ」と名付けられています。米参謀本部作成の「米軍用語辞典」では「CPX」を次のように定義しています。「指揮官、その参謀、通信部隊が参加して、司令部内あるいは司令部間で行う演習のこと」。
 
司令部だけの演習だから、当然のこととして戦車も動かなければ、完全武装の部隊も現われません。機関銃も、大砲も火をふくことなく、戦闘機も飛ばない。たいてい建物の中か、あるいは半地下式の野戦司令部をつくってその中でやるか、テントのなかで行われます。このように「平和的」に思える演習ですが、実際の戦争の場合でも、司令官や参謀にとっては、テントの中こそ主戦場であります。すなわち、兵隊は実際に戦火をまじえる前線がまさに戦場だが、司令官や参謀はこの「第一線」には立たない。彼らはテントの中で「作戦」を立案し、そこから「命令」を下す。どのような戦闘をするかはテントの中で決められる。だから指揮官や参謀にとっては、実際に兵器や部隊を動かさなくても同じことなのであます。参加する司令官や幕僚は戦闘服に身を固め、ピストルを腰に、ヘルメットも着用するそうです。
 
中心には大きな地図が据え付けられ、そこには自分の指揮下の部隊の位置が書き込まれ、判明した限りの敵部隊も書き込まれる。戦闘中の前線や移動中の部隊も表示され、演習参加の将校は実際の戦争と同じ「状況」に身を置くのであります。地図上で部隊は移動し、戦闘する。そして恐るべき冷酷さで様々な「数字」が飛びかう。その「数字」は弾薬の消費量であり、砲弾の命中率であり、そして戦死者の数なのであります。
 
方面隊レベルでは、方面統監の作戦地図、情報・兵站参謀などのそれぞれの地図、3〜4個師団の各師団長と各参謀の地図、連隊長、大隊長の地図……。それぞれの部隊が作戦上必要な地図を持ち、作戦を立て、「戦闘」すのであります。それが中央の統裁部の地図に集約され、表示されます。ここで行われたのと全く同じパタ−ンで、彼らは実際の戦争の時も体を動かし「作戦」を立て、「命令」を下すことになるのです。
 
アメリカ軍と自衛隊がどのような「シナリオ」を作り上げているのかがいま一層問われなければなりませんが、その「想定」は全く公表されません。しかしガイドライン関連法が施行されたいま、日本を防衛するシナリオはなくなり、アメリカが行う先制攻撃に日本が参戦するというシナリオとなることは明らかであります。今年1月に行われた東部方面隊指揮所演習には、米軍約1000名、自衛隊約2000名が参加し、そこでは負傷兵収容に民間病院を利用することや道路・橋の修理に民間業者の協力を得るというシュミレ−ションがなされており、ガイドライン関連法どおりと言えます。
 
それではこの指揮所演習に参加する幕僚などが指揮をする実働部隊はどんな演習をしているのでしょうか。滋賀県高島郡あいば野演習上で、今年10月27日から11月6日、日米合同演習が行われました。この演習には、陸上自衛隊第33普通科連隊約750名とアメリカ第3海兵師団第3大体の約800名が参加しています。米軍は、演習場周辺の民間のマキノ病院や広域事務組合が運営する高島総合病院に戦闘服で訪問するなど、過去5回の日米合同演習ではなかったことが行われています。朝日新聞によりますと、米軍のゴ−ドン・ナッシュ准将は、今回の演習の目的について、「いずれ、両軍が肩を並べて戦場に立つようになるだろう」「朝鮮半島にいる我々の共通の敵のために闘う準備をしておかなければならない」と述べていますが、まさに朝鮮有事という周辺事態に対処するための実働演習でありました。  また、防衛庁は、8月25日の周辺事態確保法施行後の一ヶ月の間に、海上自衛隊と航空自衛隊が相次いで「周辺事態」を想定した指揮所演習をしていたことを明らかにしました。これによりますと、「周辺事態」を想定した指揮所演習は、「米軍から要求されたときのことを考えて」のもので、海上自衛隊と航空自衛隊とも「今回が初めて」とのことで、想定の詳細は明らかにされませんでしたが、航空自衛隊の演習は「米軍から後方地域支援と捜索・救難活動の要請があった場合の対処」であるとしています。  以上のような一連の事態からみれば、来年1月の伊丹で行われる日米共同指揮所演習がどんな内容になるのか予想されるのではないでしょうか。
 
単なるコンピュ−タ−の練習ではなく、幕僚にとってはまさに主戦場となる演習であります。ガイドライン関連法施行後の日米共同指揮所演習が伊丹を中心にしておこなわれるということは、すなわちこのことがアメリカの戦争を準備し、戦争ともなれば戦争の拠点にされることになることは明らかです。周辺事態確保法は地方自治体と民間にも戦争の協力をさせようとしていますが、伊丹市民にとってはまさに安全をおびやかされることになることから、あらためて市長に、この演習の中止を要請されることを求めるものであります。一連の軍事に関する事態に照らして、市長の見解をうかがうものであります。

  2)IDDN通信基地に関して

  IDDNすなわち、防衛統合デジタル通信網計画は、電波のデジタル化、地上ル−トの複線化、通信衛星を利用した宇宙ル−トの新設により、自衛隊のCIシステムの飛躍的高性能化や、陸・海・空三自衛隊の統合運用、戦時抗堪性の強化を実現すると同時に、日米共同作戦の強化を推し進めるなかで大きな懸念であった、防衛庁CIシステムの在日米軍の利用を可能にする計画です。現在の戦争では、指揮・通信システムが決定的な役割を発揮します。現に、湾岸戦争やユ−ゴ攻撃で、多国籍軍やNATO軍が開戦時に航空機やミサイルで最初に攻撃したのが防空システムと指揮・通信システムであったことがそのことを物語っています。
 
このたび、ガイドライン関連法が施行されたこの時期に、猪名川町の大野山(おおやさん)と西宮市の船坂、舞鶴市の槙山(まきやま)にIDDN通信基地が設置されることとなりました。すでに設置されています伊丹駐屯地の通信基地とともに、これらの通信群が完成しますと、伊丹−−舞鶴間の太平洋幹線ル−トと日本海幹線ル−トが結ばれることとなります。
 
新ガイドラインとその関連法では、アメリカが引き起こす戦争に自衛隊ばかりか地方自治体や民間まで動員する米軍支援を定めました。その際の「周辺事態」には「通信設備の利用」が明記され、通信分野でも米軍支援を決めています。そうなりますと、伊丹を中心としたIDDN通信網は重要な戦争支援の通信拠点となることは明らかであります。  米軍の使用が予想される防衛庁によるこのような危険な計画は中止するように求めるべきではないでしょうか。通信分野でも戦争の拠点とされようとしているこの事態に対しどのように認識されているのか、市長の見解をお伺いします。

  3)伊丹市はどんなまちにされようとしているのか

  以上のような事態が進行していることは、いったい伊丹市と市民にどんな影響を与えるのかという問題であります。
 
政府はガイドライン関連法を施行し、このことによって日本は「戦争をしない」と憲法で決めていたのに、再び「戦争をする国」にしました。日本を防衛するためではなく、「周辺事態」への対処として戦争に参加するわけであります。そしてそのための準備が、来年1月の日米共同方面隊指揮所演習であり、IDDN通信網の整備であります。
 
第4次伊丹市総合計画基本構想で、伊丹市の将来像を「豊かな生活空間 人間性あふれる成熟社会をはぐくむ  市民自治のまち」と決めましたが、いま進行している事態は、伊丹市の平和と市民の安全をおびやかすものであり、伊丹市の将来像とは相反する内容ではありませんか。市長は、憲法と地方自治法の立場から、戦争につながるものすべてに反対する立場を明確にされ、政府にこれらの計画を止めるよう政府に求めるべきであります。見解を伺うものであります。

 4、固定資産税の評価替えについて

  来年が固定資産税の評価替えの年であります。
 
固定資産税、都市計画税は評価替えのたびに複雑になり、市民にとってはなぜこの金額になるのかわけのわからないものとなっていきました。そもそも、前回新たに「負担水準」というわけのわからない考え方を採用せざるを得なかったのが、前々回94年の評価替えで固定資産税評価額を公示価格の7割にまで引き上げ、一挙に数倍に評価額を引き上げたところに原因があります。94年には従前の調整措置にさらに手を加え、最終的には評価額が前回に比べて何倍に上昇したかによって毎年税率を引き上げ、12年かけて公示価格の7割という時価課税を実現するという改正を行いました。
 
しかしその時からすでに「バブル経済」の崩壊によって地価は下がり続けるとともに、評価替えに対する不服申立てが全国で22,229件にも達し、その処理が終わらないうちに前回の評価替えを迎え、「負担水準」という考え方を生み出しました。これは、あくまでも固定資産税の評価額は公示価格の7割であることを基準にして、前年の固定資産税の課税標準額、つまり税率を乗じる基礎となる金額が、公示価格の7割の価格の何%になっているのかを計算し、これを「負担水準」として、その数字の大きさよって負担調整率を決め、前年の課税標準額に乗じて今年の課税標準を決める方法にしました。したがって、地価がどんどん下落していても、一部商業地での負担が減少することとなるほかは、引き続き1.025から1.15倍の増税が続くことになったのであります。
 
市民は地価が下がっても固定資産税は毎年上がるという矛盾の制度に惑わされながらも納税せざるを得ません。市民が払う土地・家屋の固定資産税と都市計画税の99年予算額は134億円になります。長期に続く不況のなかでなんとかしてほしいという声は当然のことであります。
 
いまこそ固定資産・都市計画税の引下げを強く求めるものでありますが、来年の評価替えと税の算定方式はどのようになるのかお伺いしたいと思います。