2000.3月議会 個人質問(要旨)
日本共産党 上原秀樹
次の3つの事柄について質問しました
1、 大震災から5年経過した震災対策について
死者6,432人、全半壊家屋467,000世帯という未曾有の被害を出した阪神・淡路大震災からまる5年が経過し、6年目に入りました。ピーク時には48,000世帯が生活していた仮設住宅がすべて解消されるなど、被災地は一見平静を取り戻したかに見えます。
伊丹市におきましても、4つの仮設住宅は比較的早く解消することができ、住宅の再建と災害公営住宅の建設で、なんとか落ち着くことができました。しかし、くらしと営業の実情は、歳月を重ねるごとに厳しくなっているといわざるをえません。
失業率は、最悪となった震災直後の水準に戻りつつあり、伊丹市での有効求人倍率は、その兵庫県下でも最低水準の0.2%前後を推移しています。さらに中小業者の売上の大幅な落ち込みや、家を再建したところでも新旧の二重ローンの負担が新たな苦しみをもたらしています。
先日食堂を経営されている家庭を訪問したところ、「周辺企業のリストラの影響でお客さんが激減し、これ以上続けることができない。近代的な設備に変えたいが震災で修理したために資金がない」と切実に訴えられました。
また復興住宅での孤独死が、98年には27人から99年には37人と増えています。
被災者の懸命な努力にもかかわらずこのような深刻な事態が続いているのは、何よりも国と県の復興対策が、ゼネコン型のむだな大型事業には湯水のようにお金を注ぎながら、肝心の被災者には「自力」再建を押し付けてきたからにほかなりません。
日本共産党は広範な被災者のみなさんとともに、生活再建に500万円、住宅と店舗の再建に500万円を限度とする被災者支援法の制定を要求してきましたが、引き続きこの実現に力を尽くしていきます。
一方政府は2月23日、震災復興対策本部を解散し、阪神・淡路復興関係省庁連絡会を設置されました。今後の対策のあり方をこの機関で審議されるとしていますが、私はここでは、以下いくつかに限って質問をしたいと思います。
1) 災害援護資金の返済の問題
震災後生活支援のために実施された災害援護資金の5年の返済猶予期間が早い人でこの3月に切れ、4月から返済が始まりますが、「とても返せない」という声が上がっています。伊丹市でも1917件の利用があり、総額は35億8,360万円にものぼります。返済期間が5年ですから、350万円借りた人は半年に1回約38万円返済しなければなりませんし、毎月返済でも約64,000円になります。不況が追い討ちし、二重ローンに苦しむ被災者の実情を踏まえて、災害援護資金の据置期間の延長と利子補給をすべきではないでしょうか。また、延滞者に対する延滞利息10、75%という制裁措置の廃止を求めるものですが、見解を伺います。
2)被災者向け公営住宅家賃減免打ち切りの問題
5年間の期限で実施されている、被災者向け災害復興公営住宅の家賃減免制度が、来年7月から順次期限切れとなり、家賃が上がります。同制度の利用者は全入居者の84%、約27,000世帯であります。復興公営住宅の入居者は、高齢者や低所得者が多く、しかも兵庫県社会保障推進協議会の調査では、健康に問題がある人が78%にものぼるといわれています。このような世帯にとって家賃の値上げは深刻な問題となることは言うまでもありません。
入居者の実態を十分踏まえ、減免の適用期間の延長とその充実が必要ではないでしょうか。見解を伺います。
3)民間賃貸住宅家賃補助制度の問題
民間賃貸住宅に住む被災者への家賃補助については、現在家賃6万円以上の人には3万円、6万円未満の人にはその半額の補助があります。制度が延長されましたが、この4月からはそれぞれ2万円と3分の1に縮小されてしまいます。この点でも補助額の縮小をやめ、期間の延長が必要と思いますが、見解を伺います。
4)家屋の耐震診断補助の問題
大震災で家屋の倒壊によって尊い命が失われたことを教訓に、81年以前に建築された家屋を対象に耐震診断補助制度がつくられました。しかし実際にはこの制度の利用がすすんでいないように思われます。
一方兵庫県は先月23日、この制度の利用がすすんでいないことから、無料で耐震診断を行う制度をつくると発表しました。
伊丹市でのこの制度の利用状況と今後の対応についてお伺いします。
2、国民健康保険事業について
国民健康保険法の第1条は、この法律の目的を「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定めています。ところが、国民健康保険への加入者が高齢者、低所得者などがその多くを占めているため、財政基盤が脆弱で、高齢化などによって医療費が上昇すれば事業会計は赤字になり、その解消を被保険者に求めざるを得ないという仕組みになっています。国民皆保険制度の中で一番財政基盤の弱い国民健康保険事業であるにもかかわらず、政府はかつて医療費の50%を国費として支出していたのを、38.5%にまで引き下げ、このことが一層この事業を困難にし、今では低所得者を中心に「払いたくても払えない」保険税を押し付けるものとなっています。これではとうてい「社会保障および国民保健の向上に寄与する」ものとは言いがたい状況にあるのではないでしょうか。
そこで次の二つの点について見解を伺いたいと思います。
1)保険税の引き下げを求める問題
伊丹市では今年度から、所得割の計算方法を旧ただし書き方式に変え、このことによって低所得者層では一気に2倍から3倍に保険税が上がりました。昨年度の特別減税のもあり、所得階層によっては3倍から4倍の値上げという人もあって、通知書が送付されたあと約3,000名の市民がビックリして市役所に来られました。
来年度には、介護保険の2号保険料が合算され、さらには低所得者対象の単年度限りの特別減免もなくなり、今年度よりさらに過酷な保険税が課せられることになります。
わが党議員団の代表質問で、保険税の引き下げを求めましたが、その答弁は――
問題は、「払いたくても払えない」という中身の問題があります。昨年度までの市民税所得割方式のときには、市民税非課税世帯にはもちろん所得割はかかっていません。しかし今年度からは、生活保護基準と整合性を持つものとされている市民税非課税所得基準の世帯にも7.34%の所得割が課せられています。さらに介護納付金の所得割が0.82%で、合計8.16%です。三人家族で昨年まで所得割がなかったところ、すなわち年間所得122万円のところでも、所得割額が基礎課税額63,858円と介護納付金7,134円で合計80,992円課税されます。均等割と平等割をあわせれば、年間172,600円の国保税となります。生活保護基準の世帯にこれだけの保険税を課税すること事態が「払いたくても払えない」中身であり、憲法で最低限の生活を保障されているにもかかわらず、国民健康保険税のためにこれが保障されないことになるのではないでしょうか。
全国のいくつかの自治体で、介護保険実施に伴い、国保税の引き下げが行われています。代表質問でも紹介しましたが、いずれも一般会計からの繰り入れ、もしくは介護保険に移行される医療部分を引き下げの財源にしています。
隣の宝塚市でも保険税の引き下げが行われました。宝塚市は所得階層が違うから、といいますが、実際に98年度決算資料を比較しますと、宝塚市のほうが平均所得が高いにもかかわらず、1人あたりの年平均国保税は63,817円で、伊丹と比べて500円高いだけでほとんど同じです。したがって同じ所得の世帯で国保税を比較すると伊丹市が割高となっています。ですから収入未済額では宝塚市のほうが約35,000,000円少なくてすんでいます。
黒字を計上して基金があったことが引き下げの要因の一つかもしれませんが、決算を比較して大きな違いは、一般会計からの繰り入れ金額、伊丹市で言う「その他繰入金」が約4億円宝塚市のほうが多いことです。伊丹市に比べて所得が高い宝塚市で、伊丹よりも一般会計からの繰り入れが多いこと、このことが低所得者の保険税の負担を軽くし、ひいては収入未済額を少なくしているのではないでしょうか。
伊丹市においても低所得者対策として、一般会計からの繰り入れを増額し、国保税を引き下げるべきであると思いますが、見解を伺います。
2)資格証明書の発行の問題
4月から「改正」国民健康保険法が施行され、法第9条の第3項の「改正」で、滞納している世帯主に対して被保険者証の返還を求めることができるという規定を、返還を求めるものとするとしました。
滞納者に対する制裁措置を強化したものでありますが、全国的な傾向を調べましたところ、一番多く資格証明書を発行している千葉県の収納率は89.58%、最も交付が少ない岡山県で収納率が91.05%です。まったく関係ありません。
資格証明書ですと医療費はいったん全額支払をしなければならず、保険税を払うことができない事態から、お金がないために医者にかかることができずに、死亡された事件が全国でも相次ぎました。このことをさして、「国保が人を殺すとき」という本が出版されるほどであります。まさに保険証の取り上げによる資格証明書の発行は、国民皆保険制度のもとで、憲法第25条の「生存権」にかかわる重大問題であります。「自治人権部」という部署を作るほど人権問題に熱心な伊丹市がこんなひどい人権問題を起こそうというのでしょうか。
問題は先ほど申しました通り、生活保護基準にまったく関係なく保険税を課税している過酷な保険税に問題があります。ここをまず先に改善をすることこそが必要ではないでしょうか。被保険者の実態を十分踏まえて、保険証の返還を求めることはやめ、資格証明書の発行を中止することを求めるものでありますが、見解を伺います。
3、 まちづくりに関する問題について
1)まちづくり条例について
この問題では過去に何回か条例制定の提案をしてきましたが、この4月から本格的に地方分権が図られ、その力が発揮されることになるとともに、6月には大規模店舗立地法が施行されることになり、まちづくりの観点から大型店舗の出店を市民の立場からコントロールできる仕組みを作る必要があると考えたからであります。
全国的にまちづくり条例の制定が行われていますが、これらはいずれも住民の立場から土地利用をコントロールしようというものであります。
第4次総合計画の、基本目標5.「地方分権・地方自治のまち」の項目では、「生活に根ざした総合的なまちづくりの推進」として、「各地域でのまちづくりについて市民同士が対話して合意形成を図ることができるよう、市民のまちづくり組織化を図り、またその組織に対して事業助成や専門家の派遣等の支援を行うなどの総合的なまちづくり支援の制度化を図る」としています。伊丹市は他市に比べて地区計画の策定がすすんでいます。このことは伊丹市の積極的なまちづくりの支援があってこその成果であると思います。自分たちのまちは自ら決めるという、この流れが全市域に広がることを期待するものです。
しかし一方、開発事業者は市民の合意ができ、地区計画が策定されるのを待っているわけではありません。伊丹市中高層建築物の建築に関する指導要綱で、建築計画の事前公開、紛争の調整、建築主等の住環境保全義務、関係住民との紛争の未然防止等が明記されていますが、実際には住民が詳細を知らないうちに、もしくは戸別訪問による説得によってこれらがクリヤーされています。さらに関係住民の範囲が対象建築物からその高さの2倍の距離と限られ、建築物の性格によっては幅広い住民の参加が必要なのに、そのことが阻害されています。
大型店舗の出店に関しても、6月施行の「立地法」では、自治体独自の規制に関してわざわざ「地域的な需要を勘案することなく」と明記し、商業上の影響を理由に大型店の規制をすることを禁止しました。自治体が独自に規制する条例は作れないとのことであります。
ところが富山県滑川市でまちづくり条例として大型店などの建築物の建築を規制する条例ができました。この条例は、北陸ジャスコの進出をきっかけとし、滑川商工会議所の商業部会を中心とした「滑川街づくりを考える会」による直接請求によるものであります。この条例では「開発事業者との協議」により、市民にとって問題がある開発計画を変更させたり、あるいは開発を事実上、止めるという仕組みを明記しています。しかも開発業者に不服申し立ての権利を与え、最終的に議会で判断することになっており、民主的な手続きによって開発をコントロールしようというものであります。
さらには兵庫県でも芦屋市でまちづくり条例が提案されています。
伊丹市においても、第4次総合計画を生かす上でも、独自の「まちづくり条例」を制定するときであると考えるものでありますが、見解を伺うものです。
2)TMOのあり方について
来年度予算の第7款商工費のうち、TMO設立コンセンサス形成事業補助(30万円)ならびにTMO構想策定補助(400万円)についてお伺いします。
伊丹市におきましてはすでに昨年「中心市街地活性化基本計画」が策定され、通産省に提出済みであります。全国的にも201団体からの提出があり、すでにTMOの認定を受けた団体が35団体になっています。この構想は、全国的に従来からの中心市街地が衰退・空洞化していることから、これを立て直し、新たな発想で発展させようとする試みであります。TMOは、商店街、行政、市民などの地域を構成する様々な主体が参加をし、広範な問題を内包するまちの運営を横断的・総合的に調整・プロデュースし、中心市街地の活性化と維持に主体的に取り組む機関とされ、商工会、商工会議所、第三セクター特定会社、第三セクター公益法人のいずれかの団体がその組織となります。今後TMO構想の策定、TMO計画の策定とすすんでいくわけですが、いくつかの点でお聞きしたいと思います。
@通産省の中心市街地活性化推進室の資料によりましても、中心市街地衰退の第一の要因が、商業サービス施設の郊外移転・展開となっています。全国的には大型店舗の郊外展開に対抗する組織作りとして出発をしていますが、伊丹の場合は、JR伊丹駅東の大型店出店予定地もこの構想の中に含まれています。いわば矛盾したこの計画に、地元商店街を始めとした組織の主体者の合意をどのような形でとろうとされているのでしょうか。
ATMOの主体形成の問題であります。岐阜県大垣市でもTMO設立に向けて準備がされていますが、ここでは96年の大手スーパー出店計画に対して地元商店街、自治会、学校やPTAなどが反対運動を展開したことが契機となっています。出店に関しては、大垣市が独自の「事前手続要綱」を策定し、現在凍結されたままですが、反対だけではなく地元商店街を見直そうという機運が高まり、商工会議所を中心として空き店舗対策事業を進め、TMOへと結びついています。したがって「基本計画」の策定でも、市民参加が重視されました。すなわち、市民意識調査、懇談会、インターネット等により市民の提案が基本計画に反映できるようにした「情報参加」と、基本計画の検討と審議に市民活動団体や学生が新たに加わる「決定参加」とからなるものです。TMO設立準備に向けても公募市民の複数の委員、地元商工業の代表、市民活動団体などが加わっています。
伊丹市において、このような市民的な機運をどのように高め、広範な市民による主体をどのように形成されようとされているのでしょうか。またTMO組織の4種類のうちどこを考えておられるのでしょうか、お伺いします。