2001年9月議会 本会議最終日(2001.10.5)

「平成12年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」の認定に同意できない立場からの意見

日本共産党伊丹市議会議員団 上原秀樹

 

2000年度、市民をとりまく社会・経済情勢は、依然として長期に低迷する景気と大企業によるリストラ・合理化の中で、市民のくらしは深刻さを増していました。この事態を解決すべき政府の対応は、不況の最大の原因である個人消費の落ち込みを解決する手立ては全くなく、逆に産業再生法によって企業のリストラを財政的に支援し、戦後最悪の失業者数を生み出してきました。

このような深刻な市民のくらしの状況下で、本市に求められたのは、政府による国民いじめの政治から市民のくらしを守る対策であります。以下この立場から歳入歳出それぞれ意見を述べます。

 

初めに歳入についてであります。市税では、個人市民税が対前年度比で92.3%と落ち込み、不況と企業によるリストラの影響が市民のくらしを直撃したことを表しています。固定資産税では、国の制度の一部見直しによって引き下げと据え置きがあったものの、78%の納税者は増税となりました。この点では、個人の小規模住宅などの生存的財産に対する課税の見直し、低所得者に対する減免制度創設を求めましたが、これには応じられない旨の答弁であります。ぜひ国に対して要望されますようお願いしておきます。さらに航空機燃料譲与税に関しては、本市の航空機騒音調査による公正な譲与税の確保と地方自治体に対する税率の引き上げを、地方交付税では削減計画をやめ地方自治体固有の財源確保を、また国庫補助に関しては、事業費と補助基本額の差による自治体の超過負担が、本市において、2000年度で38,653万円もあり、特に保育事業での超過負担が25,082万円、小中学校の就学援助費では50%の補助率が実質的には21%しか補助がないなどとなっており、この超過負担をなくすことをそれぞれ国に強く要望されるよう求めるものです。

 

次に歳出であります。

1に大阪国際空港レールアクセスについてです。当局は神津地域のまちづくりの展望も含めて調査結果を発表され、神津地区に中間駅をつくるBルート案を伊丹市の意見として兵庫県に提出されています。しかしこの構想は、乗客の需要予測を過大に見積もり、それでも採算の見込みが薄いこと、膨大な事業費が自治体財政を大きく圧迫し、市民負担が増大することは目に見えています。当局はこの構想に関しては近畿圏全体のものにしなければできないとし、関西国際空港と神戸空港との3空港連携のために必要とされています。しかし関西国際空港の二期工事も、多くの市民が反対している神戸空港の建設も将来の航空機需要を過大に見積もり、厳しい財政状況を無視した無駄な大型公共事業です。この公共事業の一連のものである大阪空港レールアクセス事業で、国・県・市のどこがどれだけの事業費負担をするかはどうであれ、この構想は、それぞれの財政を圧迫し、市民負担を増大させることになり、やめるべきであります。

2に、同和問題についてであります。この問題では今年の1月総務省は、今年度をもって特別対策の法令上の根拠がなくなることで、来年度からの施策ニーズに対しては、他の地域と同様に一般対策を講じていくことによって対応することとする立場を改めて明確にしました。その理由は、特別対策は本来時限的なものであり、特別対策をなお続けることは差別解消に必ずしも有効ではないことをあげています。伊丹市においては、1974年からの27年間で226億円の同和対策事業を行ない、当局も「環境整備を中心としたハード面での基盤整備は完了、実質的な差別解消の課題は終了している」とされています。党議員団は、当局がこの成果の上にたち、国の特別対策が終了するにあたって、今年度限りで同和特別対策は終了すべきであることを求めました。しかし当局は、差別意識があることで、なおこれを継続するとされています。このことは総務庁地域改善対策室長も述べているとおり、なお残る差別の感情、意識を行政による啓発だけで解消しようとすることは正しくありません。さらに同室長は、今までの同和行政は、民間運動団体の要望にどう対処するかという側面が大きかったとも指摘していますが、伊丹市においても、部落解放同盟による窓口一本化によって、行政がゆがめられてきました。例えば共同会館への部落解放同盟の事務所設置に関しても、政府が再三中立・公正な運営を行なうように指導を続けてきた問題であります。さらに、学校給食における食材購入の一部業者からの随意契約による購入、市民税・固定資産税・保育料などにおける特別減免、市職員が同和教育指導員として日常の職務として派遣される場合の講師謝礼の支給等々が続いていますが、大きな問題であります。政府の今年度限りでの同和特別対策の終了は、伊丹市にとってもこのような不公正な同和行政を終了する契機としなければなりません。公正・中立な行政を確立するために、改めて公募による委員を含めた同和対策審議会を開催し、同和行政と同和教育終了を議題とした審議を行なうことを強く求めるものであります。

3に、不況対策についてです。深刻な不況の中での業者への対策として融資の改善等が行なわれ、一定の評価をするものです。しかし今求められているのは、中小零細業者に対する仕事確保など、業者を直接支援することであります。墨田区で行なわれている行政による製造業での仕事確保、埼玉県の各市や明石市で行なわれている建設業者に対する仕事確保などのような、思い切った対策が必要であります。このことを求めたところ、前向きな答弁はありませんでしたが、長引く不況に苦しむ業者にとって仕事の確保は緊急の課題であり、このことに対する行政の支援が必要です。ぜひ関係部局による不況対策本部を作り、今後予想される不良債権の処理による雇用と営業に対する影響への対応なども含めて対策を取られるよう求めるものです。

4に、JR伊丹駅東地区の開発についてです。当年度において同地区の整備計画策定調査が行なわれました。現在は再開発地区計画案が示され、都市計画審議会での審議が予定されているところですが、改めて同地区における大型ショッピングセンター出店に反対の立場を表明しておきます。この地区に大型店出店の計画が浮上してから今まで再三にわたって、大型店の出店は、身近な商店に大きな影響を及ぼし、中心市街地を空洞化させるとともに、周辺の環境悪化や地域経済への悪影響などから、将来のまちづくりにとってマイナスとなることを指摘し、伊丹市独自に出店を規制する手立てをとるように求めてきました。しかし当局は逆に中心市街地の活性化につながるという立場でこれを推進してきました。京都市や金沢市では、大型店の出店についてはゾーニング方式でその規模を規制していますが、伊丹市でもこの方法をとることはできたはずであります。さらに全国各地では出店の問題とともに廃業による深刻な問題も出ています。「そごう」や「マイカル」の倒産に見られるとおり、大型店の撤退による地域の荒廃が問題となっています。したがって伊丹市でも大型店同士の生き残りをかけた激しい競争のあおりを受けることも想定しなければなりません。関西最大規模のこの大型店の出店は必ず将来に禍根を残すことになります。

5に福祉行政についてです。保育行政については予算審議の中で待機児童の解消を求めていました。一部保育所の増築等で定員増をはかられたことは評価をしますが、いまだに多くの児童が待機しているとともに、各保育所は余裕のない詰め込み保育となっています。幼稚園等での保育事業等様々な工夫はされていますが、思い切って保育所増設を行なうことが必要です。高齢者福祉については、介護保険がスタートした年であり、一般会計の分野では、介護認定に外れた人に対する経過措置や生きがいデイサービス事業などが行なわれてきました。一定の評価はするものですが、ふれあい入浴サービス事業などでは今後の工夫と行政による支援が必要であり、一層の充実を求めるものです。障害者福祉では、自立に対する支援、特に雇用対策が重要であり、その充実を求めるものです。またこの年度には、伊丹市敬老祝金条例を制定し、これまで73歳以上に支給してきた敬老福祉金年額1万円を廃止して、敬老祝金を77歳、88歳、99歳に限って年額1万円を、100歳以上には年額3万円を支給することにしました。年金法の改悪で年金支給金額を減らされている高齢者にとって、楽しみを奪う冷たい仕打ちであります。

6に、教育についてです。子ども達をめぐる情勢は、いじめや不登校など深刻な事態にあります。今こそどの子どもも大切にされる、どの子どもにも行き届いた教育を行なうことが求められているときはありません。そのためにも30人以下学級の実現は急務です。早期実現を国に求めていただきたいと思います。また不登校児に対する適切な援助を行なうためにもスクールカウンセラーの全校への配置と中学校卒業後の様々な支援強化など更なる充実を求めるものです。君が代・日の丸に関しては、法制化されましたが、国会での答弁のとおり、このことはすなわち学校での強制を意味していません。学校の主役はあくまで子ども達です。大人の意見の違いによる混乱を教育の現場に持ち込んではなりません。教育委員会はこれらの強制は止めるべきであります。

 

 以上、本会議・委員会質疑の中で争点となった点の主な問題について述べました。委員会の中で要望して点につきましてはぜひ来年度予算編成に反映させていただきますよう求め、認定に同意できない立場から意見といたします。

 議員各位のご賛同よろしくお願いします。