2000.6月議会(6月6日)

報告第2号「地方自治法第179条の規定による専決処分報告」のうち、専決第1号「市税条例および都市計画税に関する条例の一部を改正する条例の制定」に対する質疑(要旨)

日本共産党伊丹市議 上原秀樹

 

1、           個人市民税の所得割及び均等割の非課税限度額の改正について

@      今回の改正によって、所得割の非課税限度額にかかる加算額を31万円から32万円に1万円引き上げ、非課税限度額を標準4人世帯で所得172万円に、また均等割の非課税限度額にかかる加算額を18万円から19万円に1万円引き上げ、非課税限度額を標準4人世帯で所得159万円にしました。収入ベースに直しますと、所得割の限度額が271万4千円に、均等割の限度額が252万8千円になります。

   消費不況といわれる中での非課税限度額の引き上げに対しては、不十分とはいえ一定の評価をするものでありますが、今回の引き上げられた金額の根拠をお示しいただきたいと思います。

 

A      今日の日本における課税の原則として、生活費非課税が課税原則となっていますが、伊丹市における生活保護の基準を調べましたところ、標準4人世帯の保護基準は、324万5千円となっています。今回の改正による均等割の非課税限度額は252万8千円、所得割の非課税限度額が271万4千円となっており大きな開きがあります。生活費非課税の原則を逸脱していると思いますが、その見解を伺うものです。

 

 

2、           土地にかかる固定資産税の税負担の調整措置について

@      今回の条例改正は、負担感の高い商業地等に配慮して、負担水準の高い地域の税負担の上限を現行の80%から、2000年度と2001年度は75%に、2002年度は70%に引き下げるものであります。そもそも固定資産税の評価額については、前々回の評価換えのときに、評価額を公示価格の7割まで引き上げたことで、それまでの課税標準に比べて2倍から3倍の引き上げとなることから、税負担を一定の軽減を図るために「負担水準」という制度を導入したことにより、「土地の値段が下がっても固定資産税は上がりつづける」という矛盾した税制になっています。市民の中から「なぜこんなことになるのかわからない」という声が出るのも当然であります。今回の改正で、75%、70%としたことでどういうことになるのか、またその根拠はどこにあるのかまずお伺いします。

A      今回の改正で、固定資産税は一定の引き下げとなるものでありますが、調べましたところ伊丹市の場合、引き下げのところが全体のわずかの134%、据え置きが2068%、引き上げが77,98%となっています。ところが、土地の評価額そのものは、商業地では105%、住宅地では47%、工業地では58%とそれぞれマイナスとなっています。改善はされても依然として土地の値段は下がっても約8割の納税者にとって固定資産税は上がるということになるわけで、その矛盾は解決されません。当局はこのことに関してどのような見解をお持ちなのかお伺いするものです。

B      また昨年の一般質問でも言いましたが、固定資産税の制度が課税明確主義に反する問題では、今回の改正でも何ら変わりません。市民の中で「今回うちの負担水準が何%になったから固定資産税の金額は納得できる」と理解される人がいったい何人おられるでしょうか。答弁では政府は「今後の課税の仕組みの検討にあたって、簡素化に関しては十分配慮してまいりたいと考えている」とのことでありましたが、いったいここまで混迷した固定資産税の仕組みをどのような形で簡素化するつもりなのでしょうか、伺っておきます。

C      さらには、今回の条例改正のように今のままの制度が続くならば、すなわち、固定資産税の評価額を公示価格の7割にするということを続けるならば、際限のない増税を市民に押し付けることとなります。今でも生存権的財産にも課税されており、これ以上の増税は益々生活を圧迫するものとならざるを得ません。従って憲法の必要最低限の生活を保障するということからも、今の固定資産税の制度は生活費非課税の原則から逸脱をしていますが、この点に関する今回の改正での考え方についてお伺いをするものです。

 

 

 

2回目質疑要旨)

1、           市民税の非課税限度額について

 答弁では、今回の改正は、生活保護の生活扶助の水準、さらには生活保護基準額の水準を考慮して引き上げられたこと。税制度と社会保障制度の違いが、結果として非課税限度額が伊丹市の生活保護基準を下回ったとのこと。

 

 税の制度が全国一律の制度とはいえ、伊丹市の市税条例の改正についての質疑であること。税の制度によっては、伊丹市における生活保護基準との整合性が確保できないとすれば、市民はそれだけ不利益をこうむらざるを得ないことに。この点では、現時点では税制度以外何らかの方法で解決する必要があるのではないか。

 

 一方、生活保護基準は何によって決まるのかといえば、国民の消費動向によって決まるとされています。では国民の消費動向は何によって決まるのかといえば、時の景気に大きく左右されます。たとえば今の状況は、国民の消費動向はきわめて低下しています。リストラ・合理化が行われる中、失業者・失業率は戦後最悪の事態。消費する力自体が落ちている。家計消費の調査では、1993年以降毎年減少。90年に比べて4%の減。総理府の調査でも生活に不安があると答えた人が8割にも達し、その中でも将来に対する不安がそのほとんどを占めています。だから消費はしない、一方貯蓄率は上昇。したがって今日のような状況では、生活保護基準はほとんど上がりません。

それに従って非課税限度額もほとんど上がらない。‐‐‐‐という関係。悪循環。

だから今回の税改正では、わずか1万円しか限度額が上がらなかった。

 

 今日のような不況続きのときには、国民の消費する力を強めるという立場から、もっと課税最低限を引き上げるべき。

 国際比較について、1ドルを163円として購買力平価で比較すると、アメリカは日本とほぼ同じ。フランス・ドイツは日本よりも100万円から200万円も課税最低限が高い。

 フランス・ドイツ並までいくかどうかは別として、今回の改正のようなわずかな引き上げではなく、景気対策の面からも今後もっとあげるべきかと思うがどうか。

 

2、           固定資産税について

 答弁では、一定の引き下げを行うために今回の改正を行ったが、税額が下がるところの割合を低く抑えたのは市の税収への配慮があったこと。

 また、土地が下がっているのに今後も税は上がるという仕組みは続くこと。相変わらずわかりにくい税制度も続くこと。生活費非課税という原則はこの制度には関係ないこと。

 

 先ほども課税明確主義のところで、政府も簡素化を検討するとしていますが、簡素化とは、固定資産税の評価額と課税標準が同一のもの隣、単純に課税標準に税率を乗じた制度。

となると、公示価格の7割まであげた評価額を元に戻すか、あるいは評価額が公示価格の7割になるまでこの制度を続け、際限のない増税を行いつづけながら、公示価格の7割と一致するのを待つかのいずれか。

 後者の方向に向かいつつあるが、7割に行き着くまでは負担水準という制度があるため増税は続くが売買実例価格にはあまり関係ない。しかし、公示価格の7割に達したときは、その後は公示価格の変動によって、固定資産税が変動することに。すなわち、バブルまではいかなくても、公示価格が上がれば、土地取引にまったく関係ない、生活するだけの土地・家屋をもっているところでも税が上がるということになる。

 

 今回の税改正を見れば、以前から税制度の簡素化をいいながらそれが今すぐ実現できる要素はない。それならば、生存権的財産非課税を原則とした制度を今実現することが必要。すなわち税額の控除制度を実現し、収益還元方式にすべきと思うがどうか。