2009年9月 伊丹市議会

日本共産党伊丹市会議員団

2008(平成20)年度一般会計決算の認定に同意できない立場からの討論

上原ひでき議員

 日本共産党議員団を代表して、報告第10号「平成20年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」の認定に対して同意できない立場から意見を述べます。

 2008年度の地方自治体をめぐる情勢の特徴は、自・公政権による構造改革によって国民の暮らしと地方自治体の財政が破壊されてきたことにあります。何よりも、「ルールなき資本主義」といわれる、極端な大企業中心主義により、大企業はバブル期の2倍近くの利益を上げる一方、労働者派遣法を改悪して人間らしい雇用を破壊し、日本社会に貧困を広げました。人間を使い捨てにする派遣労働などの非正規雇用の拡大は、若年層の生きる望み、未来を奪い、そのことで経済、社会の希望ある未来さえ危うくすることになっています。

その上、後期高齢者医療制度に見られる社会保障の改悪とともに、庶民大増税で、減少している可処分所得をさらに切り縮めてきました。

 一方、地方自治体財政は、「三位一体の改革」や社会保障費補助・負担金の削減、財政健全化法などを背景に、自治体の役割の縮小を押し付けることで、地方財政の危機を招き、自治体の存続さえ危うくしています。

 2008年度は、このような市民にとっても自治体にとっても厳しい情勢の中で、市民のくらしや権利を守る上で自治体の果たす役割は重要でした。この立場から、本会議の議論も踏まえて本決算に対し以下意見を述べます。

 2008年度一般会計決算は、歳入総額6075,794831円、歳出総額6019,1017,425円で、実質収支額が39,5577,406円の黒字となりましたが、単年度収支額は3186,814円の赤字となっています。

はじめに歳入について述べます。

市税では、対前年度比で1.3%増となっていますが、その要因は個人市民税における税源移譲と定率減税の廃止によるものであり、給与所得者の一人当たりの所得は毎年減り続け、5年前と比べて2.29%の減、営業所得者では5年前と比べて6.99%の減となっているように、依然として個人所得の厳しさを反映しています。

また、地方財政を左右する地方交付税と臨時財政対策債の合計では、対前年度比で5億3,029万円の減少となりました。政府に対し、公務員削減、公務員賃金の縮小、公務の民間移管等「集中改革プラン」に基づく「行革インセンティブ」で地方行革を前提とするような「地方財政計画」はやめ、「住民の福祉増進」を使命とする自治体が、地方自治と住民の暮らし・地域を守るために必要な地方財源を確保するため、地方交付税の増額を強く要望することを求めるものです。

また、国有資産等所在市町村交付金、国有提供施設等所在市町村交付金に関しては、それぞれ対象の拡大と適正な交付金の算定を、航空機燃料税では外国人市民を対象とするなどによる増額を国に要望することを求めます。

次に歳出における問題点に関して意見を述べます。

 第1に、行財政運営改善計画についてです。

 一つには、2008年度では新たに公務員の「地域手当」の支給率を10%から8%に引き下げました。一昨年の給与4.8%引き下げに続くもので、合計6.8%もの賃金をカットするものです。このことは、賃金を引き下げることで公務員のモチベーションを低下させ、公務・民間の賃下げの悪循環を引き起こします。

さらに、職員適正化計画によって201041日を到達点として2,000人を数値目標として掲げ、20094月1日時点で1,992人と、目標を上回って職員を削減してきました。このことが職務の複雑化も加わり、職員の心身両面での負担を増加させることになっています。しかし市民の自治体に対する需要は多様化するとともに増大しており、これに応えるための行政水準を維持発展させるためには、職員の増員こそ必要です。さらに、職員における非正規職員数が増大しており、しかもその賃金が低く、全国で問題となっているワーキングプアを生み出すことにもなっています。正規職員を増やすとともに、非正規職員の賃金の改善を求めます。

 二つには、公立保育所の民営化を引き続き推進する立場であるという問題です。党議員団は、従来から主張しているとおり、公立保育所の民営化は、保育コスト削減が目的であり、そのことは保育の質を低下させる要因となること、さらに保育の公的責務の放棄であることなど、民営化は絶対に認められない立場であることを改めて強調しておきます。

 三つには、党議員団はこれまでも福祉医療の市単独助成と福祉金の復活を求めてきましたが、当局は障害者や母子家庭への就労指導・支援を強化することや財政難を理由に、これに応じようとしません。格差と貧困が広がる中で、その最大の犠牲者である障害者や母子家庭などの生活を守ることは自治体の役割であり、この復活を強く求めます。

 第2に、同和・人権についてです。

 この問題は、同和特別対策を終了する一方で、部落解放労働事業団に対する清掃管理等委託料に関して、昭和50年の確約書にある「就職の機会均等」がいまだに保障されていないという認識で8年間の経過措置とされたことです。現在の雇用問題は、労働者派遣法の改悪以来正規雇用が激減し、低賃金の非正規雇用の増大で、格差と貧困を拡大していることが最大の問題です。特別に部落解放事業団の就労を保障するということではなく、これを早急に一般対策化し、高齢者、障害者、若年層など自治体の雇用施策全体の水準を引き上げることこそ求められている課題です。この点では2006年に結んだ確認書、すなわち2011年度から段階的に見積もり合わせによる契約が実行できるような協議を急ぐことを求めます。

 また、「人権教育のための国連10年伊丹市行動計画」終了後、新たな計画をつくろうとされていることも問題です。「人権教育及び人権啓発の推進関する法律」における地方公共団体の責務を根拠とされていますが、そもそもこの法律が、国民の人権に対する理解だけを問題にし、国民の責務として人権が保障される社会の実現に寄与することとされています。しかし基本的人権とは日本国憲法に定められている自由権、生存権、社会権、参政権などあらゆる権利であり、これを保障するのは国や地方公共団体の責務です。この法律が憲法の立場から見て重大な問題を含んだものであり、法に基づく計画や指針は必要ありません。

 第3に、宮ノ前地域における新図書館等整備に関する問題です。

党議員団は、当初予算のときに述べたとおり、この問題は、土地の取得を除いた事業費は、行財政健全化計画、すなわち公立保育所民営化や母子・障害者福祉金の廃止、福祉医療制度の市単独分廃止など約5億円の歳出削減と表裏一体のものとして出されているものであり、公立保育所の民営化計画を断念し市民サ−ビスの切捨てをやめることが、基本的に市民合意を得られる前提になると考えること。さらに、図書館の移転は他の公共施設再配置計画とも連動しており、これらの財政的な裏づけを市民に示し、引き続き市民との議論を続けることが必要であることを主張し、市民の理解は得られていないことから、当初予算における「基本設計委託料」の削除を求めました。

 市民は新図書館の必要性や中心市街地の活性化とともに、市民の暮らしや権利を守れるのかどうかという財政問題にも関心があります。この問題を含めた市民との議論が必要です。

第4に、教育に関して、一つは、「国旗・国歌」の問題についてです。

もともとこれらを法制化するときの国民の議論は十分ではなく、法制化することには国民の過半数が反対していました。そして当時の小渕首相も「義務付けをするものではありません」と答弁し、学習指導要領の規定に関しても「児童・生徒の内心まで立ち至って強制しようとする趣旨のものではない」としていました。それは何よりも「日の丸・君が代」が日本の誤った戦争の手段の一つに使われたという歴史的な経過があるからです。このことを十分踏まえ、教育現場における強制はやめることを求めます。

第5に、教育に関する二つ目として、「全国学力・学習状況調査」と「伊丹市学習到達度調査」についてです。

2008年度もこれら二つを併せて行なわれました。しかし全国で様々な問題が露呈しているとおり、このような問題のある全国一斉悉皆学力調査を毎年行わなくても、必要があれば数年に一度、サンプル調査を行えば済むことです。伊丹市の学力テストも同様です。伊丹市でも、結果を分析して今後の課題も明らかになったと毎年繰り返えされています。全国学力テストへの参加も、伊丹市独自のテストもやめるべきです。

 6に、教育に関する三つ目として、市立高校(定時制)廃校についてです。全定分離は伊丹市の長年の課題でした。しかし教育委員会が決定した「今後の市立高等学校のあり方について」基本方針の中での定時制に関する内容は、兵庫県が阪神北部の定時制を統廃合して設置しようとする多部制単位制高校に発展的な統合を図るというものです。その問題点は、兵庫県が身近に存在する定時制高校を統廃合することは、教育の機会均等を保障する行政の責務の放棄であり、その上に立った全定分離であること、多部制単位制高校と現行の定時制高校は性格が異なるものであるとともに、西宮の香風高校に見られるとおり競争率が高く、入学できない生徒が生まれる可能性があること、交通の便が悪いことへの不安や新設校開校時に当該地へ移転することへの不満など保護者から様々な意見が上がっていることなどです。

 現在教育委員会の基本方針をもとに兵庫県に要望されていますが、改めて定時制高校に通う生徒の立場に立ち、教育の機会均等を図る観点から見直しを求めます。

次に、市民の要求を取り入れられ、評価する点について述べます。

第1に、全国的に地域医療体制が縮小されている中で、伊丹市においては、こども急病センターの設置や24時間医療相談事業、妊婦健康診査受診補助の充実など一定の前進が図られました。今後、子ども急病センターにおける医師の確保を兵庫県に強く求めるとともに、後送病院として重要な役割を果たしている県立塚口病院の存続と充実を求めていただくよう要望します。

第2に、地域におけるまちづくり、子育て支援の活動に対して、市民活動スタート応援事業やまちづくり活動助成事業の充実、地域子育てバックアップ事業等、一定の充実が図られたことです。今後パブリックコメント制度等まちづくり基本条例における市民の参画と協働の仕組みを充実することと合わせて、市民へのまちづくりへの支援をさらに強化していただきたいと思います。

第3に、教育の分野では、小学校4年生まで35人学級が広がり、学校図書の整備も一定充実されるとともに、学校の耐震補強等の工事も前倒しで行なわれることになりました。今後、早期に中学校3年生まで少人数学級を拡大することを国・県に求めるとともに、伊丹市独自にも少人数学級を広げることを求めます。

次に市民の暮らしを守る上で、従来から発言してきましたことも含めていくつかの要望をします

第1に、2010年までの計画である産業振興ビジョンの新たな計画に関しては、事業者市民等による幅広い議論を行うとともに、新たな農業基本計画策定とあわせて、伊丹市の産業・経済の基本施策と中小企業支援を含む「基本条例」の制定を視野に入れることを求めます。さらに、住宅リフォーム助成制度の創設を強く求めるとともに、公契約条例の制定で建設下請け業者と労働者の営業と暮らしを守れるようにしていただきたいと思います。

第2に、障害福祉に関しては、批判の強い障害者自立支援法が新政権の下で廃止の動きが出ています。どのような施策体系になるのか今後の議論となりますが、このことを国における障害福祉施策転換のチャンスと捕らえ、応益負担の廃止や財源保障等障害者の暮らしと権利を守る上で必要な提言を、現場の声として国に届けるようにしていただきたいと思います。

第4に、高齢者福祉に関しては、小規模多機能型施設整備補助として1ヶ所分が予定されていましたが、執行されませんでした。高齢者とその家族にとっては特別養護老人ホーム等の施設不足で、高齢者のたらいまわしが続いています。小規模な特別養護老人ホーム等も含めて施設整備を急ぐことを求めます。

第5に、児童福祉に関しては、一つに就学前の子ども施策に関して、検討がされている認定子ども園は、現行の市内認可保育園・幼稚園と同じ基準で実施できるようにすること。二つには、子どもの医療費助成については、入院については義務教育終了前まで広げるなど拡充すること。三つには保育所保育料の負担軽減と待機児童解消に急いで取り組むことを強く求めるものです。

以上、このほかにも本会議・委員会で多くのことを要望してきましたが、来年度予算での実現に向けた検討をされますよう強く要望しまして、討論とします。