2009年6月伊丹市議会
日本共産党伊丹市会議員団
上原ひでき議員の個人質問の要旨
| 個人質問骨子 |
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1、生活保護世帯の一人親世帯(主に母子世帯)に対する支援強化を求める 政府は今年4月生活保護世帯に対する母子加算を廃止した。「就労促進費」だけでは、就労が困難な中で母子世帯に一層の貧困を押し付けることになっている。さらに、経済的自立支援だけでは子どもの成長という視点が不十分で、「貧困の連鎖」を生むことにつながっている。以下の提案に対する見解を伺う。 1)伊丹市独自に生活保護世帯に対し、「福祉給付金」を支給すること。 2)生活保護世帯の子どもへの支給を強化し、「貧困の連鎖」をなくすための施策を行うこと。 2、開かれた学校と学校評価のありかたについて 教育長の「平成21年度の教育方針」で、開かれた・信頼される学校園づくりを推進するため全学校園で学校評価を行い公表すること、学校評価の結果から可能な限り数値目標を明確にし、PDCAサイクルに基づいた改善を進めていくとされた。学校評価についての意見を述べながら、以下の見解を伺う。 1)伊丹市教育委員会としての「学校評価」の理念とは何か。具体的に数値目標は各学校でどのような目標として掲げられ、どのように評価されているのか。 2)伊丹市立伊丹高等学校において、生徒・父母・教職員による「三者協議会」をつくり、より「開かれた・信頼される・地域に根ざした」学校をめざすことを提案するが、見解を伺う。
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個人質問要旨 |
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1.生活保護世帯の一人親世帯(おもに母子世帯)に対する支援を求める 「子どもの貧困」については昨年の12月議会で取り上げ、児童虐待問題と子どもの無保険問題を取り上げました。今回も「子どもの貧困」の克服という視点に立って、生活保護世帯の母子世帯への支援について質問したいと思います。 いま、貧困と格差を広げる政治のもとで、子どもの貧困も広がり、特に日本の場合は国際的に見て一人親世帯、とりわけ母子世帯の貧困率が高く、貧困率が57・9%、OECD平均の21・0%の三倍近くと、飛びぬけて高率になっています。しかも就労率が80%を越えているものの、過半数がパートタイムや派遣など、不安定で低賃金で働いており、中には二つも三つもの職場で働いている人も少なくありません。それでも給与の平均が171万円と低額です。そして今の深刻な不況の中で、その母子家庭において母親の就労が派遣切りや病気などによって途切れることなどによって、生活保護に頼らざるを得ない家庭も増加しています。 このようなもとで政府は、今年4月から生活保護世帯における母子加算を全廃しました。同加算廃止は小泉「構造改革」に基づく社会保障削減路線のもとで2004年にきめられ、翌年から段階的に廃止されてきたものです。4年間で廃止対象となった世帯は10万500世帯にもぼり、そのうち5万3,200世帯はこの4月から打ち切りです。「自立促進」が名目ですが、経済危機が深刻になる中で母子家庭の就労が困難になる中での廃止は、自立促進どころか貧困を広げるだけで逆行しています。そして廃止への怒りが広がる中、日本共産党は、6月4日、野党4党と共同して復活法案を衆議院に提出しました。 一方、政府は第1次補正予算の中に「生活保護制度における子どもの健全育成のための支援」を盛り込みました。その中身は、子ども健全育成プログラムの策定・実施に約21億円、子どもの学習支援のための給付金に約42億円というもので、廃止の代わりにできた高等学校党就学費59億円と就労促進費約40億円をたしても、母子加算廃止200億円には遠く及びません。 政府は低所得母子家庭の水準と比べて生活保護水準が高いとの理由でこれを廃止しましたが、貧困な状態にある母子世帯の底上げこそが必要であり、子供の貧困化、貧困の連鎖を断ち切ることが社会的課題となっているときの母子加算の廃止はそれに逆行するものであり、復活を強く求めるものです。 その上に立って下記の点を提案し、見解を求めるものです。 1)伊丹市独自に生活保護世帯の母子世帯及び高齢者等の世帯に対して、福祉給付金を支給すること。 伊丹市においては、今年3月末現在で、母子加算対象世帯は134世帯で、そのうち就労している世帯は49世帯(約37%)となっています。病気や障害、育児などで就労できない世帯が多く存在し、就労促進費は63%の世帯には支給されません。また子どもの学習支援のための給付についても、対象とならない0歳から5歳の子どものいる世帯は関係ありません。対象世帯に支給されたとしてもわずかな金額です。 そこで、伊丹市独自に、生活保護世帯の母子世帯等に対し、「厚生事務次官通知」による収入認定されない項目を活用して、「福祉給付金」制度を創設することを求めたいと思います。同「通知」では、「収入として認定しない」17項目の一つとして、「心身障害者(児)、老人等社会生活を営むうえで特に社会的な障害を有するものの福祉を図るため、地方公共団体またはその長が条例等に基づき定期的に支給する金額のうち支給対象者ひとりにつき8,000円以内の額(月額)」と示されています。 この通知を活用して「福祉給付金」制度を今年4月から創設したのが、人口わずか7,800人の北海道・東川町です。町長は、「母子加算が全廃されると聞き、一人親世帯でも元気にがんばっている親子の姿を見て、応援したい気持ちになった。厳しい時期でもあり、生活が困難な町民の激励になればと思います」とその動機を語っています。 伊丹市で同様の制度を創設することについての見解を求めます。 2)生活保護世帯の子どもへの支援を強化し、「貧困の連鎖」をなくすための施策を。 生活保護は収入及び資産が基準以下にあるときに適用されることから、生活保護における自立とは経済的自立のみをさすとの認識が一般的には強い面があります。しかし2005年3月の厚生労働省社会・援護局長通知「自立支援プログラムの基本方針」では、生活保護における自立を、就労自立、日常生活自立、社会生活自立の三つのものとして整理しています。生活保護の支援が経済的自立に偏向している実務の現状からすれば一定の前進です。 この問題は、生活保護世帯の子どもたちを福祉事務所がどう見るかにも影響を与えます。すなわち、経済的自立の視点だけではなく、子どもたちが自らの可能性をどのように開花させ、将来どのような社会で生活するのかという視点での支援が必要となるということです。 特に現在は、母子・父子・両親のいる世帯いずれの生活保護世帯ではうつ病等の病気による就労困難世帯が多く、日常生活自立においても社会生活自立においても大変な困難を抱えています。子どものことにどれだけかかわることができるのか、とても現在のケースワーカーでできるはずもなく、もともと子どもへの支援は生活保護行政ではほとんど想定されていないといっても過言ではありません。そのため結果として、生活保護世帯の子どもは低学歴、不安定就労となりやすく、貧困の連鎖を生じることになりかねません。 そこで伊丹市としても、日常生活自立支援、社会生活自立支援を思い切って強化し、専門のケースワーカーを複数以上配置し、子ども支援を強めることです。その内容も、子育て支援・子どもへのケア、仕事と育児の両立支援、高校進学等教育支援等が必要と考えるものですが、見解を伺います。 2.開かれた学校と学校評価のあり方について 教育長の今年度の教育方針では、「開かれた・信頼される学校園づくりを推進するには、学校園の運営についての透明性を高め、説明責任を果たし、保護者関係者の理解を得ることが重要」とし、「全学校園における自己評価や学校関係者評価の実施、ホームページ等での公表を推進するとともに、学校評価の結果から可能な限り数値目標を明確にし、PDCAサイクルに基づいた改善を進めて」行くとされています。 しかし、もともと文部科学省が進める「学校評価」の性格はどのようなものであったのでしょうか。発端は義務教育の「構造改革」を打ち出した2005年10月の中教審答申です。その特徴は、全国一斉学力テストを押し付けて子供たちへのいっそうの競争強化を行うこと、「教員免許更新制度」や「主幹制」導入、「教職員評価」など教職員と学校への管理統制強化と新たな格差づくり、そしてこれらを国が目標を決めて「評価」を行って進めるという内容です。その後2007年に教育基本法が改正され、2008年7月、「教育振興基本計画」が閣議決定されました。同「計画」は、教育基本法改正時にさまざまな議論があったとおり、全領域にわたる教育内容を国が統制管理する方向が示されるとともに、その実践手段としてPDCAサイクルによる目標管理システムを導入し、その重要なパーツとして全国いっせい学力テストがおかれています。その中心的思想が新自由主義です。すなわち、「小さな政府」の立場から教育予算の削減、教育の分野に市場原理・競争原理の適用、学校と教員への統制強化です。 「学校評価」に関しては、すでに2002年3月の学校設置基準の制度改正によって導入されています。しかし先に述べたとおり、教育における「構造改革」はいっそうの「競争と管理」を強化し、新たな「格差づくり」を狙うものであり、このような文脈の中での「学校評価」は「教職員評価」とともに、この政策を学校と教職員に担わせるための手段となる可能性が大きいといえます。 一方、教職員の子どもに対する指導が評価をふくんで成立しているように、そもそも教育実践、教育活動は、そのうちに評価活動を内包しています。すでに今まで学校がすすめてきたように、1年間の教育活動を、年度当初に立てた目標に照らしてどこまで実現できたかについて、子どもたちの実態や成長を跡付けつつさまざまな話し合いが行われてきました。それは、教職員どうしの対話と討論という双方向型でおこなわれており、学校がすすめている教育活動の評価の一つの姿そのものです。そして、学校教育をもっと前進させるためには、教職員集団だけではなく、子どもの声や父母の声をもっと取り入れて、もっと父母とも話し合って、学校教育の総括=評価がおこなわれる必要があります。「開かれた学校づくり」あるいは「参加と共同の学校づくり」はこの評価活動も共同で行なうことを要請しています。そこには数値目標化はなじまず、具体的な子どもの姿や行事や研修の具体的な場面、あり方が評価の対象となっておこなわれ、これが学校評価であると思います。 このように教育活動の目的が、こどもの成長・発達の保障にあることを考えれば、政府、文科省が進める教育の「構造改革」路線と「学校評価」システム、PDACサイクルというようなもともと生産現場におけるシステムの導入などはまったく教育の名に値しないものといわざるを得ません。そこで次の点について見解をお伺いします。 1)伊丹市においては、今年度の「伊丹の教育 重点目標編」で、ありとあらゆる実践事項に数値目標が掲げてあります。例えば、「全国学力・学習状況調査」(目標:伊丹市平均正解率 全国平均以上)、また(目標:国語・算数、数学の「授業の内容がよくわかる」と回答する児童生徒の割合 前回比5ポイント以上)などです。先ほど「学校評価」には数値はなじまないといいましたが、教育委員会の数値目標と「学校評価」における数値目標はどのような関係にあるのでしょうか。各学校における「学校評価」でもこのような数値目標をあげられ、これに対する評価が行われているのでしょうか。またどのように評価が行なわれているのでしょうか。先ほど意見を述べましたがこのことを踏まえ、伊丹市教育委員会として「学校評価」をどのような理念で取り組まれているのかも含めて見解を伺います。 2)「学校評価」は、教育活動の目的がこどもの成長・発達の保障にあることを前提にして、誰が、何のために、何を、どう評価し、その結果をどう活用することが最も合理的であるかを考慮して行わなければなりません。このことは、教職員の「自己評価」にとどまらない、児童・生徒と教職員、保護者の声を生かすことであり、このことが「開かれた学校」につながるものです。伊丹市ではすでに児童・生徒や保護者からのアンケートによって実践されつつあることは承知しています。 そこで、このことをさらに進めていくために、全国の高等学校等に広がりつつある実践、すなわち生徒、保護者、教職員の三者による協議会、「三者協議会」をつくり、学校にかかわるあらゆる問題について話し合う場を設置することです。 なかでも長野県辰野高校の実践は有名です。1997年末に「辰野高校のよりよい学校づくりを目指す生徒・父母・教職員の三者協議会」を発足させ、翌年にはこの三者に加え地域の人々も参加する「辰野フォーラム」を発足させました。以後1学期に1回(年3回)開く「三者協議会」と年1回開く「フォーラム」を軸にした「開かれた学校」づくりに取り組み、大きな成果を生み出しています。三者協議会には毎回80人から90人が参加しています。それは学校の意思決定機関ではなく規約上は話し合いの場ですが、何回も議論した結果合意に達した事項は、職員会議と校長の了解を得た後実施されています。「フォーラム」には180から190人が参加され、まさに地域に根ざした学校となっています。 伊丹市とて、市立伊丹高校でこの実践をすることを提案したいと思います。伊丹高校は今までさまざまな改革を行ってきていますし、地域に根ざした教育も実践されています。より地域に根ざし、地域から信頼され、応援される学校になるためにも、子どもの権利条約を実践するためにも、より「開かれた学校」になるためにも意義があると考えますがいかがでしょうか。見解を伺います。
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