日本共産党 上原ひでき議員の個人質問要旨

2007年9月 伊丹市議会

上原ひでき議員
9月21日(金)

1、「伊丹市まちづくり基本条例の推進状況に関する提言」について

 1)審議会のあり方と「公募市民」の問題 ・・・ 審議会として広く市民の意見が反映できる仕組み、公募のあり方と公募人数の拡大等、改善についての見解を伺う

2)パブリックコメント制度のあり方 ・・・ 報告・説明会との併用型のパブリックコメントなど、改善に関する見解を伺う。

3)行政評価と市民参画 ・・・ アンケート等により、市民満足度を視野に入れた評価を実施するなどの改善についての見解を伺う。

2、伊丹市の公契約の在り方について

 1)国に対してILO94号条約の批准と「公契約法」の制定を求めるとともに、伊丹市として「公契約条例」を制定すること。

 2)労務費中心の業務委託等における入札にも、最低制限価格を適用すること。

 3)地方自治法施令167条の10の2に規定されている「総合評価一般競争入札」を取り入れることについて、見解を伺う。

 

発 言 要 旨

1、「伊丹市まちづくり基本条例の推進状況に関する提言」について

 この「提言」は、「伊丹市まちづくり基本条例」付則2の「4年以内ごとに、市民の参画と協働によるまちづくりの推進状況について検討を加え、その結果に基づいて、見直しを行う」という規定に基づき、「伊丹市まちづくり基本条例の推進状況を検討する会」がつくられ、今年3月30日に提出されたものです。伊丹市はこの「提言」にもとづき、来る10月1日までに改善を行うこととなります。

 「提言」の委員会の検討経過にあるとおり、「検討する会」としては、現時点では条文の改正の必要はないことを確認しながらも、現行制度で十分でないものに関して改善を求めています。

 「市民の参画と協働によるまちづくりを推進し、力強い市民自治を実現する」ことを目的としたまちづくり基本条例が施行されて、4年が経過しようとしています。この間この条例によってラウンドテーブルやパブリックコメントなど様々なまちづくりや参画と協働における新たな実践が行われるとともに、従来から市民の中で行われてきたまちづくりも一定発展してきたように思います。

 この「条例」を豊に発展させることは、憲法の地方自治の基本原則に規定される、地方自治の本旨にもとづく地方自治体の運営における「住民自治」を発展させるためであり、そのことはすなわち住みよい伊丹市につながるものといえます。

 そこで、「提言」では多くの分野で提言が出されていますが、この中のいくつかの問題に絞って当局の見解を伺います。

 第1には、審議会のあり方と「公募市民」の問題についてです。

審議会のあり方の問題では、例えば公立保育所の民営化を巡って福祉対策審議会で民営化の考え方を答申したとき、当事者が入らないで議論されているとの批判がありましたが、このようなことのないように、審議会として広く市民の意見が反映できる仕組みが必要として、審議会前にワークショップを行い、審議会に反映できる仕組みをつくり、意見をまとめる場を設置すること、また審議会として「市民の意見を聞く場」や報告会の開催、パブリックコメントの実施が提案されています。さらに公募のあり方の改善と公募人数の拡大についても提案されています。

もともと審議会は、市長の「諮問」に対して「答申」を出すという形で、行政の政策決定過程における「専門的知識の導入や利害の調整」を目的として位置付けられてきました。しかし行政過程の民主的発展という立場から、委員構成の公正性や情報公開、そして政策決定過程への市民参画などが課題となり、伊丹市でも一定の改善がなされています。「検討する会」からのこれらの「提言」は、審議会は広範な市民の声を聞いて慎重に結論を出してほしいという思いから出されているものと思います。

当局は「提言」を受けてどのような改善をされようとしているのか、見解を伺います。

 第2には、パブリックコメント制度についてです。

 「提案」の中には具体的にはあげられていませんが、「問題・課題整理」の中では、パブリックコメント実施の広報のあり方や、パブリックコメントを出しても市は受け入れる体制があるのかという疑問などが出されていました。

 パブリックコメントという行政手続きとしての性格は、@審議会とは比べ物にならない広範囲の市民から情報や専門的知識の収集ができ、市民参加が推進されること、A行政の政策形成過程情報の提供手段の一つ、B不十分ではあるが、提出意見に対して回答されるという点において、行政と市民のコミュニケーションが盛り込まれ、行政の説明責任を果たすための手段ともなっていることなどにあると思います。しかし伊丹市におけるパブリックコメントの実施状況を見ても、一部を除いて意見提出が極めて低調であることを見れば、広報のあり方や政策形成過程における情報提供の方法の改善、報告・説明会との併用型パブリックコメントなど、改善が必要と考えますが、見解を伺います。

 第3には、行政評価への市民参加についてです。

 「提言」では、「行政評価は、事業評価だけではなく政策・施策を含めた評価を実施するとともに、市民満足度を視野に入れた評価を実施し、評価の結果は概要も合わせて市民にわかりやすく報告する」と提言しています。

 伊丹市は、2003年度から事務事業評価を行い、2007年度からは施策評価もあわせて行って市民に公表しています。当局の努力もあって、着実に前進をしていると思います。しかし、当局はまちづくり基本条例第9条の規定に基づくものと説明されていますが、その評価情報が市民にとってどこまで政策情報たりえているかという点からみると、現状ではあまり意味あるものとして受け止められているとはいえないのではないでしょうか。むしろ行政にとっての後期事業実施5ヵ年計画と行財政運営改善計画の進行管理という側面が大きいと思います。

 「提言」では、「市民にとってわかりやすい評価」「アンケートなどによる市民満足度の評価点を加える」などが提案されていますが、この点では、例えば現在3年から4年の間隔で行っている「市民意識調査」を行政評価と関連性をもたせた報告書にすることや、単年度では重点政策課題に絞った抽出調査を行うことなどで、市民の声が一定反映されれば、市民生活のための行政評価を行うという点で、身近な行政評価報告書になると考えます。見解を伺います。

 

2、伊丹市の公契約のあり方について

 公契約というのは、伊丹市が業務対価を支払う建築・土木工事などの建設工事の請負や指定管理者制度も含む業務委託、委任、その他の契約のことと規定させていただいて質問したいと思います。

 建設工事の請負契約に関しては、一昨年12月議会で小樽市函館市の例をあげ、下請け契約の書面での締結や下請け代金の適正な支払いを求め、労働条件や労働環境の改善として、2省協定単価に基づく適正賃金の支払い、週40時間労働の遵守、有給休暇の付与を指導するとともに、これらを調査する仕組みをつくることを求めて質問しました。引き続きこの点では実現を求めますが、今回は公契約全体に関する問題としての質問です。

 いま政府が進めている「小さな政府・自治体」を掲げる構造改革路線のもとで、公共サービスの市場化・民営化が推し進められています。指定管理者制度に続く「市場化テスト」は、その対象をすべての自治体業務に拡大しようとしており、「安上がり」の公共サービスが何をもたらすのか、大きな懸念も広がっています。自治体が自治体としての公的責任を果たすためにも、公共サービスの市場化・民営化を押し進めるのではなく、公共サービスの現場で働く労働者が専門性を持ち、住民のために安心して働く環境が必要であります。

 ところが現実には、全国的に、自治体発注の公共事業や清掃・給食・保育など委託事業で働く労働者の賃金は劣悪であり、自治体自身が雇用の悪化と地域の賃金を引き下げる役割を果たしている事態は大きな問題と言わざるをえません。

 伊丹市の実態はどうでしょうか。

 公園等の管理委託に関する入札または随意契約に係る見積もりあわせで、ある委託事業における業者の見積書を調査したところ、労務費を時給750円として積算した見積もりが155万円。しかしこの金額を大きく下回る95万円で他の業者が落札しています。おそらく最低賃金を下回る労務費での積算です。そして同じ事業の次年度では、その業者よりもっと低い見積もりをした別の業者が落札しています。

 またかなり大規模な公園管理委託に関しても、先ほどと同じ業者の見積もりを調べたところ、仕様書に従って積算すると、4,800万円。しかし落札価格が2,525万円で、大幅に低い金額です。これを労務費を最低賃金の時給683円で積算してもらったところ、見積もり金額は2,500万円となりました。

 この二つの事業委託は、労務費が約8割以上を占めており、一般管理費の経費削減でまかなえる範囲ではありません。実際に最低賃金ぎりぎりかむしろそれを下回る賃金しか払えていないと推測され、自治体が格差と貧困を広げているともいう事態ではないでしょうか。

 このような、自治体が低賃金労働者を作り出すという事態をなくし、労働者に安定した賃金・労働条件を確保することによって、賃金底上げや働くルールの確立、地域における賃金水準の安定を進めること、行政サービスの質や水準、契約の公正性を確保することが必要です。

 そこで、次の点を提案し、見解を伺います。

 第1に、国に対してILO94号条約を批准し、「公契約法」の制定を求めるとともに、伊丹市として「公契約条例」を制定することであります。ILO94号条約「公契約における労働条項に関する条約」は、国や自治体が発注する事業について、「関連ある職業又は産業に適用される“一般水準”に劣らない有利な賃金(手当てを含む)、労働時間その他の労働条件を関係労働者に確保するものでなければならない」としています。

 この趣旨にもとづいて条例をつくり、ここに、入札・応募の要件基準として、@労働者への公正な賃金、適正な労働条件、A業務の専門性、労働者の適正な配置、質の高い公共サービスの提供、B環境や人権、地域経済への貢献などを規定することとともに、適正な賃金労働条件を確保する上での受注者の責務、具体的な賃金や労働条件の規定、これらの履行確保の方法、立ち入り調査などを明記することが必要と考えます。このような公契約条例を制定することに関しての見解を伺います。

 次の2点はこの「公契約条例」とも関連する質問になります。

第2に、労務中心の業務委託等における入札にも、最低制限価格を適用することを検討してはいかがでしょうか。特に労働者の賃金等のダンピングを防止し、労働条件を確保する上でも、きちんとした歯止めが必要と考えます。見解を伺います。

 さらに、シルバー人材センターの入札参加の問題ですが、この組織の性格上、民間業者と競争入札することが適当かどうかという問題であります。シルバー人材センターは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」にもとづき、「高年齢退職者の希望に応じた就業で、臨時的かつ短期的なもの又はその他の軽易な業務に係るものの機会を確保し、…高年齢者の福祉の増進に資することを目的として設立された」組織です。いわゆる「生きがい対策」が中心となっています。したがって、公契約に関しては地方自治法施行令第167条の2の「随意契約によることができる場合」の中の、第3項で「シルバー人材センターから普通地方公共団体の規則で定める手続により役務の提供を受ける契約」という項目が規定されています。このような「生きがい対策」中心の組織と民間の組織が見積もり合わせを含む入札等で競争するとなると、ダンピングを招く危険があります。何が何でも「低ければいい」という金額だけを目的として、すべて入札にするというやり方は見直す必要があるのではないでしょうか。シルバー人材センターに関しては、先ほど述べました地方自治法施行令第167条の2第3項の趣旨に応じた対応にすべきだと思います。もちろんシルバー人材センターだからといって低い労務賃金でいいということにはなりません。あわせて見解を伺います。

 

 第3に、地方自治法施行令第167条の10の2に規定されている「総合評価一般競争入札」についてです。すなわち、「予定価格の制限の範囲内の価格をもって申し込みをしたもののうち、価格その他の条件が当該普通公共団体にとって最も有利なものをもって申し込みをしたものを落札者とする」というものです。全国的にはすでに総合評価型入札制度が取り入れられ、様々な要件をつけて施行されている自治体があります。伊丹市としても、総合評価型入札を取り入れ、この要件に、企業が環境への配慮を行っているか、障害者雇用など福祉にも配慮しているか、男女共同参画を進めているか、雇用者として公正労働基準を適正に維持しているかという点などを入れて、企業を選定する方法を検討してはいかがでしょうか。見解を伺います。