2007年9月 伊丹市議会

「平成18年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」本会議討論

日本共産党伊丹市議会議員団 中村孝之議員

 日本共産党議員団を代表して、報告第9号 「平成18年度伊丹市一般会計歳入歳出決算」に対して、認定に同意できない立場から意見を述べます。

 2006年度本決算は、歳入総額で対前年度比0.69%増の604億5627万5千円とし、歳出総額では、対前年度比0.04%増の593億7618万円8千円とするもので、この結果、実質収支額は9億5336万6千円、実質単年度収支でも7億365万7千円の黒字となるものであります。

 この2006年度は、国政の上では、小泉内閣による構造改革、すなわち社会保障など政府の機能縮小と大幅な規制緩和、市場原理万能を特徴とする新自由主義に基づく改革が行われ、その結果、格差と貧困が拡大して国民生活との矛盾を激化させ、その破綻も明らかになった年でした。

また地方にたいしては、新地方行革指針を押し付け、公務員給与の引き下げと人員削減による総人件費の抑制、民営化の促進、福祉分野の切り捨てなどを前提とした地方財政計画により、さらに地方財政の縮小を押しつけた年でした。このことが市民の暮らしを一層困難にしています。

 このような中で伊丹市に求められたのは、小泉内閣による国民生活破壊の政治から、市民の暮らしを守り応援する施策でありました。以下問題点について意見を述べます。

 問題点の第1は、庶民大増税です。

この増税によって、定率減税の廃止で4億1600万円、老年者控除の廃止で1億500万円、公的年金控除の縮小で9900万円、65歳以上の非課税措置の廃止で3800万円、妻の均等割非課税措置の廃止で1900万円と、合計6億7700万円の負担を押し付けました。

格差と貧困が広がり、市民の所得は9年間連続して減少する中での増税は、市民の暮らしを直撃しました。本会議等でも求めましたが、伊丹市としての市民税減免制度の拡充と、徴収においては納税者の生活実態を考慮し、徴収猶予等法律に基づく納税者の権利を保障することを強く求めるものです。 

問題点の第2は、民営化・民間委託の推進です。

 第1点は、公立保育所の民営化計画についてであります。

 決算委員会の審議の中でも明らかのように、伊丹市は伊丹市立保育所が今日まで果たしてきた役割については大きく評価しながらも、人件費が民間保育所と比べて高いとし、民間に移管して浮いた財源を下に、子育て支援のための施策を行っていきたいと答弁されました。

 もともと公立保育所の民営化は、政府が福祉の分野についても、財界の意向に沿ったビジネスチャンスとするため、民間企業が参入できるよう規制緩和を図ったことにあります。子どものためでないことは明らかであります。

 日本共産党議員団は、伊丹市が民営化計画を打ち出した時から、財源対策として行政の公的責任を放棄してはならないと指摘してまいりました。

 また、昨年8月に設置されました「伊丹市立保育所民営化計画に関する懇談会」は、8ヶ月を超える審議を通じて市長に提言書を提出しました。この中で公立保育所は、地域の子育て支援の中心であり、伊丹の保育のスタンダード(標準)の形成、先駆的な保育事業の開拓など多くの役割があるとし、公立保育所の民営化は、「在園の子どもたちに特にメリットはない」などと提言しました。

しかし、この提言内容に反して、伊丹市が財源対策を理由とした公立保育所の民営化を強行しようとする姿勢は重大です。伊丹市の財政危機の原因は公立保育所がつくりだしたものではなく中止すべきであります。

 第2点は、指定管理制度の導入についてです。

党議員団は、「公の施設は、住民の福祉を増進する目的をもって住民の利用に供する地方公共団体が設ける施設」であり、営利の対象としてはならない、地方自治体の役割の放棄にもつながるとしてとして、民間企業の参入を止めるよう強く求めてきました。従って、緑ヶ丘体育館などスポーツ施設への民間企業の指定管理者に反対をし、市立美術館、図書館北・南分館については伊丹市が直接管理するよう求めてまいりました。

市長は、次回の2009年度からの指定管理者の選定に当たっては、すべての公共施設について公募していきたいと答弁されてきていますが、これは財界が狙うビジネスチャンスに道を開き、公の施設の設置目的にも逆行するものであり止めるべきであります。

特に文化施設については、指定管理者の文化振興財団の職員の雇用責任は伊丹市にあることを踏まえた対応を強く求めておきます。

 第3点は、秘書課業務の委託です。秘書業務は市長・副市長のしごとを補佐する重要な業務であります。2006年度より人材派遣会社に委託しましたが、個人情報の保護の点からも、経費の削減のためとして人材派遣業を活用することは問題であります。 

問題点の第3は、伊丹市行財政運営改善計画についてです。

第1点は、母子・障害者(児)福祉金の廃止、障害者・母子に対する福祉医療制度の縮小です。母子世帯に関しては、その9割が就業しているにもかかわらず、平均収入は約200万円と一般世帯に比べて低所得層が圧倒的です。その上厚生労働省は、児童扶養手当を縮小しようとしています。

一方障害をもつ人にとっては、自立支援費の一割負担など生活は一段と厳しい状況になっています。「格差と貧困」をもたらす政治の影響を大きく受けている母子家庭や障害者の健康と暮らしを守ることは、行政の最低不可欠の役割であり、改めて母子・障害者福祉金事業、福祉医療制度の市単独分上乗せの復活を求めるものであります。

第2点は、伊丹市職員の定数削減計画についてです。

 伊丹市は政府・総務省の方針に基づいた伊丹市行財政運営改善計画の中で、人件費総額の縮減対策として、市職員の定数削減計画を定め実施してきています。

 今日、国の政治の悪政から市民のくらしと福祉を守る役割が地方自治体に強く求められていますが、その核となるのが市職員です。市職員は、住民の福祉増進のため、憲法に基づき住民の人権とくらしを守ることを使命としておりますが、職員の健康問題が深刻になってきている現状は看過できません。住民のための本来の使命が果たせるようにするためにも、必要な部署は増員し、定数削減に安易な財源対策を求めることには止めるべきであります。

 問題点の第4は、同和行政についてであります。

 2002年3月末で30数年続いた同和対策特別法が終結し、伊丹市においても、2005年6月市議会で、藤原市長は「特別対策を続けていくことは差別問題の解決に向け必ずしも有効とは言えない」との認識が示され、特別対策の終結を表明されました。

しかし、現在においても昭和50年6月、伊丹市が部落解放同盟伊丹支部長と差別解消のためとして就労保障を約束した確約書を取り交わし、公共施設の清掃等委託契約を続けています。特に委託料の人件費算定では、今でも市職員の給与に準じた内容となっており、市民の理解と合意が到底得られない契約であり、特別対策としての継続は止めるべきであります。

問題点の第5は、教育に関して、「学習到達度及び学習意識調査」の実施です。

近年の学力低下を克服することが大きな課題とされ、本市においても学力向上のためとして、学習到達度調査を行いました。また政府も2007年度、小学校六年と中学校3年全員を対象に全国学力調査を行いました。この全国学力調査も伊丹市が行った「学習到達度及び学習意識調査」も、子どもと学校のランク付けにつながり、「比べ癖」をつけ、自己肯定感を喪失(そうしつ)させるものであり、止めるべきであります。

 問題点の第6は、日の丸掲揚・君が代斉唱です。

教育委員会は、入学式・卒業式などでの日の丸掲揚・君が代斉唱の根拠として学習指導要領をあげていますが、これは法律ではありません。同時に「日の丸・君が代」の法制化時の国会審議でも、「国民に日の丸・君が代の掲揚および斉唱を義務づけるものではない」としているものであり、国民に強要できないものを、教育現場つまり子どもや教職員に義務づけることは、教育の原理にてらしてもできないものであり、教育現場への強制そのものの中止を求めます。

 以上が認定に同意できない理由でありますが、次に評価すべき施策について述べます。

 第1は(仮称)阪神広域小児救急センター整備事業を策定されたことです。市民の小児救急の要望に応えたものであり、今後医師の確保を確実に行い、安定的で切れ目のない救急医療体制の整備を求めます。

 第2は子育て支援医療助成制度を創設し、助成対象年齢を小学校6年生まで広げられたことです。今後さらに対象を広げるためにも、政府に対し、国の制度として子供の医療助成制度の創設と、こどもの医療助成に対する国の制裁をやめることを要望されることを求めるものです。

 第3は障害者自立支援法施行に際して、市の独自軽減制度をいち早く実施されたことです。今後障害者の就労支援、サービス充実に力を尽くされるとともに、国に対して、補助金増額と1割の応益負担はやめること、施設・事業所への報酬切り下げの中止等を要望されるよう求めます。

 第4は保育所待機児童の解消にむけて、45人定数の認可保育所を新設されたことです。今後更なる増設を求めるとともに、認可外保育所への助成を検討されることを求めるものです。

 第5は、中村地区の住環境の整備がすすんだこと、公共施設・学校等のアスベスト対策にいち早く取り組んでこられたことです。

 

次に国に対する要望について述べます。

 第1に2006年度は政府による三位一体改革の第一期の改革が決着した年であり、税源移譲、国庫補助・負担金の縮小、地方交付税の抑制が行われ、その結果伊丹市にとっては、この3年間で8億9千万円という貴重な財源が縮小されました。中でも地方交付税は、地方自治体固有の一般財源であり、地方財政と市民のくらしを守る施策に直結するもので、政府によるその縮小は許せません。

2007年度から新たな「改革」が行われている地方交付税に関して、@「行革」インセンティブ等、公務員の削減や民営化を前提とするような国の一方的な政策誘導は改めること、A今後増加が見込まれる社会保障費関係などの財政需要を、地方財政計画の策定を通じて的確に反映すること、B新型交付税に関しては地方の財政需要を的確に把握するとともに、算定方法の透明性を図ることなどを国に要望されることを求めます。

 第2に委員会で質疑をしましたが、国有資産等所在市町村交付金や国有提供施設等所在市町村交付金の改善・増額を国に要望されるよう求めるものです。

 

 その他、本会議・委員会で要望しましたことに関しては、来年度予算の中に反映されることを求めておきます。

 以上、議員各位のご賛同をお願いしまして討論とします。