2007年度伊丹市一般会計予算に対する反対討論
伊丹市議会3月定例会(予算議会)
(日本共産党 かしば優美議員)
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ただいま議長より発言の許可を得ましたので、私は日本共産党議員団を代表して上程となりました議案のうち、第11号、32号、39号、40号、46号、51号について反対の立場で討論をおこないます。 初めに議案第11号「平成19年度伊丹市一般会計予算」についてであります。 市長の提案説明で、企業の景気の回復と個人消費の伸び悩み、格差がクロ−ズアップされていることが述べられているとおり、国民の間での格差と貧困が大きな問題となっています。国税庁の民間給与実態統計調査によると、2000年から2005年の間に、年収300万円以下の給与所得者が約185万人増加し、逆に300万円から2000万円までの人が180万人減少していることが明らかになっています。一方大企業に関しては、例えばトヨタ自動車は2006年4月から2007年3月期の通期で、営業利益2兆2千億円を見込むなど一部大企業は空前の利益を更新しつづけています。 こうした格差の広がりを創ってきた原因は、政府が労働法制の改悪と減税で大企業を応援し、その勝手なふるまいを野放しにする一方、庶民には増税などの負担増と社会保障改悪などを次々と押しつけた結果です。 国による、さまざまな市民のくらしと福祉破壊の施策にたいし、本市の2007年度予算が市民のくらしと安全を守るという本来の自治体の役割をはたしているのかどうかを基準に以下意見を述べます。 今回提案されている平成19年度一般会計予算は、歳入歳出それぞれ589億円で対前年度比0.7%減となっています。主な財政指標を見ますと、経常収支比率は前年度対比1.3ポイント減の96.3%、公債費比率は1.5ポイント減の10.9%、市債残高は前年度対比2.0%減となったもののなお658億8千7百万円と厳しい状況となっています。 歳入面において個人市民税は、前年比21億8800万円の増となっています。増の主な内容は税源移譲で13億円、定率減税廃止によって4億7千万円となっており、特に定率減税廃止によって市民には昨年度につづく大変な増税が直撃します。法人市民税は前年比3億3千万円あまりの増となっていますが、主として製造業の伸びによるもので、他業種は依然として低迷状況にあります。 さらに地方交付税と臨時財政対策債の総額ではほぼ前年分を確保されていますが、政府の地方財政計画によると、地方交付税と臨時財政対策債の合計が17兆8300億円で、2006年度比約1兆円の減となっています。これはあらかじめ国が、地方自治体による給与費と職員の削減を前提として算定しており、「新型交付税」の本格的導入とともに、市財政はまったく予断許さない事態といえます。 以上、歳入から見えてくるものは、安倍内閣によるさまざまな負担増の押しつけによってくらしが壊され、市民の生活不安はますます高まっていること、税源移譲の名のもとに、財政負担を地方自治体に転嫁し、国の支出を削減すること等であります。 日本共産党議員団は昨年来、平成19年度予算編制にあたっては、住民の福祉の増進をはかるという自治体の役割を遵守(じゅんしゅ)することを市長に申し入れてきたところです。また今議会でも代表質問や委員会の場で、種々意見を述べたところです。しかし市長は「第4次総合計画・後期事業実施五ヵ年計画の2年目」にあたって、昨年に引き続いて「財政健全化計画」推進するとしています。その内容は市場原理万能論の路線にもとづいた総務省の新指針に沿ったものとなっており到底認めることができません。 その第一は、政府の「地方行革」に対する市長の姿勢であります。 総務省は一昨年3月に「新地方行革指針」を策定し、全国の自治体に通知、「集中改革プラン」を策定・公表することを求めました。その内容は、公立保育所等の民営化や職員定数の削減、給与の見直しなどが特徴となっており、そして交付税の算定にあらかじめこれらの内容を盛り込むという驚くべき「中央集権」そのものであります。市長は施政方針の中で、「給与構造改革による人件費総額の抑制、民営化・民間委託化などの推進など行財政改革を引き続き推進」するとし、国いいなりの姿勢に終始しています。 第二は、市の行財政運営改善計画についてであります。 まず母子・障害者児福祉金事業の廃止、障害者福祉医療制度の市単独分の廃止によって、5億4千万円の負担を押しつけました。しかし母子・障害者児等の社会的弱者といわれる人たちは、今問題となっている格差と貧困の拡大の中で最も底辺にあたる人たちであります。国によるくらし破壊の政治から市民を守るためにも、これらの事業の復活を求めます。 次に公立保育所の民営化についてであります。「保育所民営化に関する懇談会」から答申が提出されましたが、提起された課題を真摯に検討し、課題の克服が困難な場合は民営化を中止すべきであります。また市長が、「市民世論」の基準とまでされた、2万人を超える民営化反対の署名を文字通り重く受止めるべきであります。 第三に、人材派遣業者への会計業務の委託であります。昨年の秘書課業務につづいて会計業務のうち、納付書類と支払い命令書類の整理業務を人材派遣業者に委託するとしています。人権無視、低賃金で安上がりを目的とする人材派遣業を導入することは、常々人権を最も重視する自治体行政のあり方から見ても、個人情報保護の点からもやめるべきであります。 第四に、同和行政についてであります。2006年度に同和行政の見直しに向け、市は部落解放同盟と協議し一定部分については2006年度内に終結することになったことは周知のとおりであります。同時に共同会館、解放児童館、ふれあい交流センタ−の3館が統合して人権啓発センタ−として発足することになりました。その結果職員は10名から7名へと3人縮減となりますが、「人権文化創造活動支援事業」と名称を変えて行われてきた「解放学級」を新たに会員制登録して継続するとしており、これは完全にやめるべきであります。 第五に、生活保護行政についてであります。政府は、「生活保護をうけている世帯と受けていない世帯の公平性をはかるため」として、2007年度から段階的に母子加算を廃止するとしています。しかし生活保護を受給している母子家庭は、母親が働けないか、または働いても最低限度以下の生活しかできないために生活保護を受給しているわけで、「自立支援」の名のもとに母子加算を廃止することは認めることはできません。さらに厚生労働省は、3月5日都道府県・主要都市の生活保護等の担当者を集めた社会・援護局関係主幹課長会議で、「窓口で申請書を出さない対応は不適切であり違法だ。くれぐれも適切な対応を」と強調したとしています。現在本市が行っているような、申請する前に「相談」と称する面談を繰り返し、申請すらさせないやり方は明らかに違法であり即刻改善すべきであります。 第6に学力テストの問題です。政府は4月24日に小学校6年生と中学校3年生を対象に全国いっせい学力テストを実施し、委託先のベネッセコ−ポレ−ションとNTTデ−タが採点・集計を行うことになっています。しかし同テストが、子どもたちに学校名、個人名を書かせて提出するとしている点は個人情報保護にとって重大問題であることは明らかです。教育委員会として、国に対し学力テストの中止を求めるとともに、学力テストへの参加・不参加は生徒・児童、学校の判断にまかせること、個人名を書かないことも認めるべきであります。 第七に、総合選抜制度の改革についてであります。2007年度教育基本方針の中で、公立高等学校入学者選抜制度については、新しい時代に対応した選抜制度を取りまとめていくとしています。しかし今年2月10日に提出された「伊丹市公立高等学校入学者選抜制度検討委員会の検討結果報告書の中で、「学校間格差の是正や受験競争の緩和、地域に根ざした高校の育成など一定の成果をあげてきた」と総合選抜制度を評価しています。一方、「総合選抜制度は、中学生にとって『あまり勉強しなくても伊丹市内の全日制公立高校に行くことができる』という安易な気持ちを生じさせ、学習意欲の低下に関係している」などの意見があること等を、選抜制度を変えていく理由にしています。しかしこれはきわめて主観的な見方であると同時に、生徒・児童を過度の受験競争に追いやるものであり、総合選抜制度は守るべきであります。 最後に、他の項目についても本会議や委員会で取り上げてきましたが、以下に述べる施策についてもいっそうの充実を要望するものです。 障害者自立支援法の関連では、福祉施設運営円滑化補助、月額負担上限軽減補助などの施策は評価しますが、時限的でなく制度創設による拡充を求めておきます。また小学校3年生まで対象年齢が引き上げられた子育て支援医療費助成制度については、引き続き中学校3年すなわち義務教育が終了するまで拡充することを要望します。教育ではいじめ対策、少人数学級にむけての充実を、雇用、仕事起こしに関しては、中小企業への若者の就職支援補助や小規模工事登録者発注制度は早期に実現されることを強く求めておきます。
次に議案第32号「伊丹市一般職の任期付職員の採用に関する条例の制定について」であります。
本議案は地方公共団体の一般職の任期付職員採用に関する法律にもとづき、一般職の職員を最高5年の年限で採用するための条例です。当局の説明によれば、具体的な職種としては、公認会計士、弁護士などとしています。そのほかにも国際会議やイベント開催時の通訳等、IT技術者、金融に関する専門的な知識経験を有する者も同様に採用できるとしています。この根拠になっている法律では地方自治体への附置義務はなく、近隣都市の条例設置状況は また本条例案では、有識者以外にもフルタイム、短時間職員も採用するとしていますが、職員の継続性、安定性からみて、任期付職員は一貫性が保てないという問題があります。どうしても特殊な職種で必要が出れば、嘱託や特別職の採用で対応もできます。また特定の企業などから採用すれば、企業との癒着のおそれも出てきます。さらに保育士等が任期付で採用されれば不安定雇用が拡大され、公務サ−ビスの低下にもつながりかねません。よって一般職の任期付職員採用には同意できません。
次に議案第39号「一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定について」であります。 今回提案されている議案は、国家公務員及び近隣他都市の公務員の給与その他の事情を考慮して、一般職の職員の給与構造の抜本的な改革を行うためとし、その内容は、給与改定において行政職平均で4.8%引き下げ、成績主義導入の準備などを柱としています。 国の施策に忠実に従う「給与構造改革」はいったい何をもたらすのでしょうか。給与について、条例改正後の給料が改正前の給料を下回る場合は、改正前の給料を保障するとしていますが、全体を引き下げた結果、数年は昇給ストップとなります。また成績主義導入は、もともと財界・大企業がこれまでリストラを推進し賃金上昇を押さえる一方で、従業員に競争と労働強化を強いてもうけをあげようという手前勝手な賃金論であります。この賃金論を公務労働に導入すれば、職員のモチべ−ションが下がり、その意図は裏目に出ているなど、成績主義には構造的欠陥があると指摘されています。 今日市民の要求がますます多様多岐になっている中、全体の奉仕者としての公務労働はよりきめ細かい住民サ−ビスに熟達する必要があります。よってこれを保障するためにも「給与構造改革」は行うべきではありません。
次に議案第40号「伊丹市職員退職手当支給条例及び市長等の退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定について」であります。 本条例案は職員の退職手当を国及び近隣他都市の支給状況を考慮し退職手当の支給率の見直しを行おうとするものです。給与平均4.8%減額に対する緩和策として調整額が創設されましたが、普通退職では勤続年数36年から44年まで、定年・勧奨では同25年から32年まで、傷病退職では同37年から44年まで等を中心に、退職手当支給率がマイナスとなっています。 今回の条例案は、国の指導に無批判に追随するものであります。そして市民の安全、健康および福祉の保持を使命とする職員の意欲を削ぎかねない点でも、民間で働く人の賃金等の切り下げにいっそう影響を与える点でも、今回の退職金支給率の改正は認めることはできません。
次に市長等の退職手当支給条例の一部改正についてですが、今回市長の退職金支給割合を、現行100分の48.88から100分の41.36に改正しようとするものです。減額になるとはいえ、4年間で2000万円を超える市長の退職金は市民にとって破格の金額であります。
次に議案46号「伊丹市立精神障害者授産施設条例の一部を改正する条例の制定について」であります。 今回、「伊丹市立精神障害者授産施設条例」を「伊丹市立東有岡ワークハウス条例」に改め、従前の授産施設から障害者自立支援法にもとづく就労に関する支援を行う施設に移行するためとしています。しかし障害者自立支援法により、利用者には原則1割の受益者負担が発生し、施設の支援費収入は月額単位から日割り計算となるため、サ−ビス利用者、施設運営双方に大きな不安を与えることになります。今回利用料については、国、県、市が緊急の軽減措置をとるとしていますが、今後の就労移行支援と継続支援に対し深く危惧するものであります。 次に議案51号「伊丹市立高等学校授業料徴収条例の一部を改正する条例の制定について」であります。 今回の条例案は、伊丹市立高等学校の全日制課程の授業料を月額9600円から9900円に、定時制課程授業料を月額2600円から2700円に値上げしようとするものです。伊丹市は、子ども達の学力向上のための方針を出されていますが、そのことを真に実行するのであれば教育にかかる負担はできるだけ軽減することが必要です。学力世界1といわれるフィンランドでは、「教育における平等という問題を追及し、すべての生徒の学習や発達を支えていく」という方針のもと授業料は無料であります。教育の機会均等の観点からしても、授業料の引上げはやめるべきであることを申し上げ討論とします。 |