日本共産党 上原ひでき議員の代表質問

2007年3月伊丹市議会

上原ひでき議員の代表質問 項目

1、 国内外の情勢認識について市長の見解を問う

  • 1) 国際情勢について…市長の提案説明にある「イラク情勢」と「北朝鮮の核実験」について。

  • 2) 国内情勢について…国民の間で広がっている格差と貧困について。

  • 3)地方交付税について。

  • 2、住民福祉の機関としての自治体の役割を発揮すること

  • 1)国民健康保険税の値上げはやめ、引き下げを求める。

  • 2)誰もが安心できる介護保険制度に向けた改善を。

  • 3)障害者自立支援法について(利用料の負担軽減)。

  • 3、 政府の「地方行革」に反対し、住民本位の効率的な行政を

     総務省の「新地方行革指針」に基づく「集中プラン」策定の押し付けで、全国どの自治体でも同様の計画が策定されている。憲法92条の「地方自治の本旨」の立場と住民福祉の増進、効率的な行政運営について、伊丹市の「行政運営改善計画」の問題点について問う。

     具体的には

      1)母子・障害者(児)福祉金と障害者福祉医療制度市単独分助成制度の廃止をやめよ。

      2)公立保育所民営化に関する問題について

      3)同和行政の完全終結を

    4、中小企業と商店への支援拡大、安定した雇用の拡大策を

  • 1) 大型店出店問題と商店街への支援、中心市街地への活性化策について。

  • 2) 住宅リフォーウム助成制度、小規模工事登録者発注制度の創設を。

  • 3) 「伊丹版企業誘致制度」の創設について。

  • 4) 特に青年雇用対策の充実を。

  • 5、 憲法に基づく一人ひとりを大切にする教育を。

  • 1) 教育基本法による「教育再生会議」の答申が出されたが、その方向は競争教育とふるいわけの教育を一層激化させ、国による教育内容への介入を公然と進めようとするもの。しかし、憲法と新教育基本法は明らかに矛盾する。伊丹市として憲法に基づく教育行政・施策をすすめるべきで ある。教育長の見解を問う。

  • 2) 伊丹市教育ビジョンについて(高校選抜制度改革)

  • 3) 学力テストについて(参加を中止すること他)

  • 6、 自治体病院の役割と市立伊丹病院「経営健全化計画」について(医師確保に関して)。

    7、 伊丹市交通事業アクションプランについて(民営化の考え方を断念すること)。

    上原ひでき議員の代表質問 要旨

    1、国内外の情勢認識についての市長の見解を問う

     1)国際情勢について

     市長は「提案説明」のないかで、「厳しいイラク情勢や北朝鮮の核実験など政治的に不安定な地域が存在し、国際社会と国民の安全の確保が大きな課題となっている」とされました。

     「イラク情勢」については、戦争がつくりだした「内戦状態」が日々深刻になり、米軍が「武装勢力」掃討作戦を空前の規模で継続。「地獄」とも言われる状況下、国連の推計では、人口約2500万人のうち、380万人が国内外避難民となり、現在も増えつづけています。イラク国民の死者は数十万人で、米軍の死者も3000人を超えました。アメリカは2万人の米軍の増派を決めましたが、イギリス、デンマーク、リトアニアがイラクからの撤退を表明。イラク戦争の破綻は誰の目にも明らかなのに、日本政府はイラク戦争を支持したことを「正しかった」と言い続け、航空自衛隊の派兵を続けています。イラクにおける政治的不安定な状況をつくったのはアメリカであり、それに無批判に従った日本政府の責任は重大です。

     今日の国際社会は、世界の諸国民と大多数の政府が、イラク反戦と国連憲章に基づく平和への大きな流れをつくりだし、「戦争のない社会」を強く求めています。

     「北朝鮮の核実験」に関しては、6ヶ国協議において、北朝鮮が核施設の活動停止・封印と国際査察を受け入れる共同文書が採択されました。この共同文書は北朝鮮の核兵器開発の放棄に向けた第一歩であり、国際社会が一致して求めていた外交的・平和的な解決の方向に沿った重要な前進といえます。

     ところがこの6ヶ国協議が行われている中、日米両政府は朝鮮半島有事を想定した軍事対処計画づくりを開始し、秋の合意をめざしていることが明らかになりました。北朝鮮の非核化をめざして、戦争ではなく話し合いによる一致した努力がなされているとき、日米共同の軍事作戦計画をつくるなど、国際的努力を損なうものです。

     軍事一本やりの政策では、国際問題を解決できないことはイラク戦争の失敗を見ても明らかであり、軍事同盟で紛争に介入する時代は過去の遺物となりつつあります。紛争を戦争ではなく外交的・平和的に解決する流れが世界で広がっていますが、この立場は憲法9条と同じです。安倍首相が、自分の任期中に憲法9条を変えると言明しましたが、その目的は「集団自衛権の行使」、すなわち日本をふたたび海外で戦争する国にするためです。

     市長が言う「国際社会と国民の安全の確保が大きな課題となっている」いまこそ、日本は世界の流れに逆行するのではなく、憲法9条の立場が必要であると考えます。

     市長の見解をお伺いします。 

     2)国内情勢について

     市長の提案説明で、企業の景気の回復と個人消費の伸び悩み、格差がクローズアップされていることが述べられているとおり、国民の間での格差と貧困が大きな問題となっています。

     OECD(経済協力開発機構)は昨年7月、日本の「相対的貧困率」が先進国の中で急増し、その原因が非正規雇用の増加によるものだと指摘をしています。18歳から65歳の労働年齢人口に限れば、日本の相対的貧困率は13.5%で、比較できる17カ国のうちアメリカについで第2位。人口全体でみれば、15.3%で比較できる25カ国中第5位です。

    また、国税庁の民間給与実態統計調査によると、2000年から2005年の間に、年収300万円以下の給与所得者が約185万人増加し、逆に300万円から2,000万円までの人が180万人減少していることが明らかになっています。

    一方、大企業に関しては、例えばトヨタ自動車は、20064月から20073月期の通期で営業利益22千億円を見込むなど、一部大企業は空前の利益を更新しつづけています。

    この中で生活保護世帯が2005年に100万人を突破し、自殺者も2005年に32,552人、そのうち「経済生活問題」を原因とする自殺が7,756人にもなっています。

    このような事態を招いた原因は、政府が労働法制の改悪と減税で大企業を応援し、その横暴を野放しにする一方、庶民には増税などの負担増と社会保障改悪などを次々と押しつけた結果です。

    伊丹市はこのような政治の中で、「住民の福祉を増進する」責務があります。政府が社会保障を改悪すればするほど、市民のくらしを守るための施策が必要になりますが、市長はこの政治にどのような見解をお持ちなのか、そしてこの政治の下での地方自治体の役割をどのように認識されているのか、お伺いするものです。

     3)地方交付税について

     地方交付税については、総務省によると「算定方法の抜本的な簡素化を図り、人口と面積を基本とした基準による基準財政需要額を算定する」「新型交付税」となりますが、伊丹市への影響はどうなるのか。

     また、来年度の地方財政計画によると、地方交付税と臨時財政対策債の合計が178300億円で、2006年度比約1兆円の減となっていますが、その要因が定員削減と給与構造改革による給与関係費と投資的経費であり、あらかじめ国が地方自治体の給与費を削減することを前提として算定をしていること。「頑張る地方応援プログラム」においても、政府の「地方行革新指針」を踏まえた行政改革指標などを「頑張りの成果」として算定することにしたこと。公債費負担の軽減措置に関しても、繰上げ償還を補償金なしでおこない、高金利の地方債の負担を軽減しようとすることは意義のあることですが、「集中改革プラン」を策定し、進めている団体が対象となっていることなどは、市長がいうような「自己決定・自己責任を伴う地方分権時代」などではなく、相変わらずの中央集権型といわざるを得ないと思いますが、市長の見解を伺います。


    2、住民福祉の機関としての自治体の役割を発揮すること

     地方自治体は、地方自治法第1条の2にあるように、「住民の福祉の増進を図る」のが本来の役割です。その一つが、国の悪政に対して住民の立場からストップをかける、国による暮らし破壊の政治の被害を住民に広げないということ。もう一つは、国の様々な暮らしと福祉、教育などの施策に不十分な点があれば、自治体の独自施策を上乗せして住民のいのちとくらしを守っていくということであると考えます。

     この立場から以下の点で見解を伺います。

     1)国民健康保険税の値上げ提案について

     当局は、来年度の国民健康保険税を世帯あたり87%引き上げる提案をされました。12月議会でも紹介しましたが、生活保護基準に近い給与収入320万円、所得206万円の3人世帯の国保税が、8年前には112300円だったのが現在302400円、今回の値上げ案では336700円となり、8年前と比べて3倍にするものです。その上高齢者には、年金課税における増税影響分の負担が増えることになります。

     党議員団がおこなった市政アンケートで、生活が苦しくなった1番の原因が国保税と介護保険の負担でしたが、今回の値上げは、格差と貧困が広がる中、市民が一番困っている問題に手を差し伸べようとしないばかりか、国による暮らし破壊の政治の被害を住民に広げ、市民をさらに貧困へとおとしめようとするものであります。

     国・県に対して補助金の増額を求めるとともに、一般会計から繰り出しをおこない、国保税の値上げを中止するだけではなく、引き下げを求めるとともに、減免制度の充実を求めるものであります。当局見解を伺うものです。

     さらに「資格証明書」発行の問題についてであります。全国的にも高すぎる国保税が払えず、国保証を取り上げられ、「資格証明書」に置き換えられた世帯が急増し、32万世帯をこえています。新聞の報道によれば、保険証を取り上げられ、医者に行くのを我慢した末、手遅れで死亡した痛ましい例が、この数年で少なくとも全国で21件にのぼっています。伊丹市でもいつこの痛ましい事件が起こってもおかしくありません。12月議会での答弁では、「納税意識の希薄な滞納者には発行せざるを得ない」「生活実態に合った納税計画を立てて公平に納税していただく」などと答弁されました。しかしもともと加入世帯のうち約70%が生活保護基準以下の所得しかなく、しかも国保税が収入の10%をこえる負担となっていることから、憲法25条で保障する生存権の立場からすれば、いくら納税意識があっても、生活実態に合った納税計画など立てようがありません。したがって、「資格証明書」の発行は、経済的に弱い人にも必要な医療を保障するという国民健康保険の目的に、真っ向から反するものといわざるを得ません。当局の見解を伺うものです。

     2)介護保険事業について

     昨年7月、「介護心中事件」の判決で、京都地裁の裁判長は、「裁かれているのは日本の介護保険制度」であると異例の指摘をしました。ところが全国的に深刻な介護の現実は改善されず、介護保険法の改悪による「介護とりあげ」がさらに進んでいます。改悪法による「介護とりあげ」の政省令の撤回、国庫負担の25%から50%への計画的な引き上げを国に求めるとともに、伊丹市としても改悪から市民を守り、安心できる公的介護制度をめざす改善の取り組みが求められています。

     第1に、伊丹市でも全国的にも問題となっている、軽度者の介護ベッド等の利用が制限されている問題についてです。制度改悪によって、いわゆる「貸しはがし」といわれる事態が広がり、国民の批判を受けて、厚生労働省は先月19日、利用制限を一部緩和する方針を決めざるをえませんでした。しかしこの方針でも依然として厳しい要件には変わりはありません。必要な人がこれら福祉用具を借りることができるように、ケアマネージャーや主治医の意見を最大限尊重することが必要と考えます。必要な人が厳しい要件に適合せず保険給付ができない場合は伊丹市として助成を考えるべきであります。見解を伺うものです。

     第2に、介護給付についてです。必要な人に必要な介護給付を提供することは「介護の社会化」を宣伝文句に出発した介護保険の趣旨から当然のことです。しかし、昨年の改悪介護保険によって、様々な形で給付の縮小がおこなわれ、介護を受けている人から不満の声が出されています。例えば介護の生活援助について時間が短縮されたとか、新予防給付の対象となる軽度と判定された場合、訪問介護が以前と比べて減らされたなどです。また、「適正化」の名のもとに「日中独居」方の利用制限も出ています。これらは介護給付を抑制するための政府による政策誘導としておこなわれており、公的介護制度によって生活を維持している高齢者の暮らしや基本的人権を踏みにじることにもなりかねません。給付の制限ではなく、介護を必要とする人への決めこまやかな対応が必要と考えますが、見解を伺います。

     3)障害者自立支援法に関する問題について

     2006年4月から施行された障害者自立支援法により、福祉サービスや自立支援医療に原則1割の「応益」負担が導入され、障害が重い人ほど負担が重くなり、負担に耐えられない障害者はサービスを受けられなくなるなど、障害者と家族を苦しめています。党議員団としてこの間、施設や障害者から事情を聞き、本会議で、この法律は「自立」どころか「自立破壊法」であることや、施設や事業所では報酬の日払い化や報酬単価の引き下げで大幅な減収となっている実態などを指摘し、その改善を求めてきました。障害者の要望とあいまって、伊丹市として独自の支援策を講じられたことは評価をするものです。また、政府も全国の悲痛な叫びから、一定の改善をせざるを得ませんでした。しかし基本的に「応益」負担が継続されていることから矛盾が解決されているわけではありません。

    利用料負担軽減についてですが、政府は利用料月額上限負担額に関して、今までの3段階の階層区分にそれぞれ資産要件を追加し、資産が一定以下の場合の上限額をそれぞれ引き下げる措置をとりました。この措置によって最低でも、市民税非課税世帯で本人の収入80万円未満の人は最低月に3750円の利用料を払わなければなりません。そこで、伊丹市としては今まで単独の助成をしてこられましたが、引き続きさらに低額の市独自の上限負担額をすべての階層で定めることによって、上乗せ助成することを求めるものですが、見解を伺います。

     

    3、政府の「地方行革」に反対し、住民本位の効率的な行政を

     総務省は、一昨年3月に「新地方行革指針」を策定し、全国の自治体に通知し、「集中改革プラン」を策定・公表することを求めました。一昨年10月の総務省の調査では、ほとんどの自治体が策定し公表する予定となるなど、その拘束力はきわめて強力なものがあります。どの自治体の「集中改革プラン」をみても、公立保育所等の民営化や職員定数の削減、給与の見直しなどが特徴となっており、総務省の指導がいかに行き届いているかわかります。そして交付税の算定にあらかじめこれらのことが盛り込まれており、まさに中央集権制そのものというべき事態であります。

     いうまでもなく地方自治体の組織及び運営は、憲法第92条の「地方自治の本旨」に基づくものであり、団体自治、住民自治が基本とならなければならず、自ら住民本位の効率的な行政運営をおこなうことは当然であります。しかしいまの政府のやり方は、この立場に逆行するものといわざるを得ません。この点に関する市長の見解をまずお伺いをします。

     次に具体的に「伊丹市行財政運営改善計画」について伺います。

     第1に、母子・障害者(児)福祉金事業の廃止と障害者福祉医療制度の市単独分の廃止についてです。この二つの事業の廃止によって、母子・障害者(児)に54千万円の負担を押しつけました。

    しかし母子・障害者(児)などの社会的弱者といわれる人たちは、いまの政治の中で広がる格差と貧困の中で一番底辺にあたる人たちです。OECDの調査によると、働いている母子家庭においては、日本の貧困率が579%で、OECD諸国平均の210%と比べて3倍近くで、きわだって貧困率が高くなっています。障害者(児)にとっても自立支援法により負担が増えています。

     伊丹市として、国による暮らし破壊の政治から市民を守るためにも、これらの事業を復活することを求めるものですが、見解を伺います。

     第2に、保育所民営化に関する問題です。党議員団は、一貫して保育所民営化は行政の公的責任の放棄であり、保育サービス全体のサービス低下につながると反対してきました。現在は「保育所民営化に関する懇談会」で議論が続いています。

    提案説明で市長は、「保育所民営化に関する懇談会よりいただきます提言を尊重し、課題や対応策について検討をおこない、その推進に向けた具体的な計画を策定する」と述べられました。しかしこの言い方では、懇談会の提言が民営化を推進するという結論を出すことを前提としたものになっています。第1回懇談会では、懇談会の設置要綱が問題となり、結論として会長の次のような発言がありました。「会としては民営化ありきの議論をする予定はない。民営化のメリット・デメリットの議論をより具体的にすすめる中で、会としての意見集約をしたいと考えている。」終始熱心な議論がなされている最中、民営化の結論が出ているわけでもないのに、市長がこのような提案説明をすることは間違っているのではないかと考えます。また、「伊丹市の保育を考える連絡」から民営化に反対する署名が2万人分市長に提出されていますが、この民意をどのように受け止めておられるのか、あわせて見解をうかがうものです。

     第3に、健全化計画の中で、同和に関する項目が2ヶ所あげられています。一つは「解放児童館学童保育事業の一般対策化」二つには「人権関係講座事業(共同会館)の見直し」で、改善見込み額が合計約300万円となっています。

     党議員団は今まで、同和行政の終結を求めつづけ、一昨年の6月議会において市長から同和特別対策を終結する旨の表明があり、来年度から一部段階的に終結する事業をのぞいて、すべて一般対策化するという確認がなされたと理解しています。今年度の同和対策関連予算は約3億3千万円余りありましたが、過剰ともいえる旧共同会館と旧解放児童館への職員配置の改善はされたのか、また事業の一般対策化といいながら、部落解放同盟を中心としたNPO法人伊丹人権啓発協会に委託することで同和行政を引き継ぐことになっていないのか、お伺いするものです。

     

    4、中小企業と商店街への支援拡充、安定した雇用の拡大を

     大企業と大銀行が史上空前の大もうけを上げている一方、中小零細企業と地方経済は切り捨てられ、経済の分野においても格差が広がっています。こうしたときこそ、伊丹市が、中小企業と地域経済を下支えする役割を果たさなければなりません。

     第1に、大型店出店と中心市街地の活性化についてです。(仮称)イオン伊丹西ショッピングセンターの出店計画で、市内東西に超大型店が2ヶ所存在することになります。市内の小売店舗面積に占める大型店の割合は75%を超え、既存の中小小売店の存続を脅かし、歩いて買い物ができるまちづくりを破壊するとともに、交通渋滞によって市民のスムーズな移動の阻害と住環境の悪化を招くことは間違いありません。これらのことから党議員団は出店に反対していますが、当局も、今回の大型店の出店に関して、必ずしも歓迎しているわけではない旨の答弁がなされました。しかし規制緩和された現在の法律では出店拒否はきわめて困難であることも事実でありますが、伊丹市はまちづくりにとってマイナスになることは発言し続けなければなりません。

     市長の提案説明では、大型店の出店にともない、商業者等への意向調査を実施し、新たな商業支援策を検討するとのことですが、ダイヤモンドシティにおいて、ほとんど効果のあがらない、中心市街地への誘導策に税を投入しながら、またその対応策として支援策を講じなければならなくなります。イオン伊丹西ショッピングセンターの事業目的では、「地域経済の活性化への貢献」「人と環境にやさしい開発」とされていますが、本当にそうならば、これらのために相当な負担を求めることが必要ではないかと考えるものですが、見解を伺います。

     一方中心市街地の活性化計画の改定によって中心市街地の活性化を推進するとされますが、その中心は図書館の移転となっています。この問題では市民の間に賛否両論があり、十分な議論が必要であります。党議員団がおこなった市政アンケートでも、賛成意見では、「図書館への交通の便がよい」「中心市街地の活性化につながる」とする意見がある一方、「税金のムダづかい」「いまの図書館で十分」とする反対意見が賛成意見よりも多数を占めています。この意見は、いまの政治による貧困と格差の広がりに加え、庶民大増税による負担によって、建物をつくるよりよりもくらしを守ってほしいという市民の率直な意見であると思います。図書館の移転は図書館機能の充実と市内中心市街地という立地条件からみれば一定意義のあることとは思いますが、限られた税金の使い道として、今本当に必要なのかという市民の意見にどう対応され、どのような形で市民間の議論を尽くそうとされるのか、見解を伺います。

     第2に、住宅リフォーム助成制度や小規模工事登録業者発注制度を創設することについてです。いま、中小零細建設関連業者にとってくらしを維持するためにも仕事の確保は切実であり、党議員団は、今まで幾度となくこの二つの制度の新設を求めてきました。埼玉県では23市町で住宅リフォームへの助成をおこない、66市町で小規模講じ登録者制度を設けて、地域の中小企業を応援し、地域経済の活性化に大きく貢献しています。再度これらの制度の新設を求めるものですが、見解を伺います。

     第3に、「伊丹版企業誘致制度」の創設についてです。この数年、企業誘致に対する補助金や優遇税制を新設する自治体が増えています。しかし兵庫県の実態を見ると、あまりにも異常な補助金の支出となっています。松下電器プラズマパネル製造の三つの工場に建設補助とともに地元雇用に対する補助金の総額175億円の補助をしていますが、その雇用のあり方は、新規採用は、正社員がたったの6人、派遣社員が236人で、ひとりあたり60万円から120万円の補助をしています。しかし1年後にはその派遣社員は直接雇用義務のない請負に切り替えられ、典型的な偽装請負となりました。派遣業者は業務停止となりましたが、松下電器は補助金を返そうとしていません。このように大企業の場合、地元雇用はわずかであり、ほとんどが業務請負などの非正規雇用です。このことに関して内閣府でさえ、「雇用面を見ると、補助金の効果が明確に現れているとは言い切れない」と認めざるを得ません。

     「伊丹版企業誘致制度」の内容が、このようなことにならないようにするべきでありますが、見解を伺います。

    第4に、特に青年の雇用対策についてです。政府による労働法制の規制緩和によって、非正規社員が増大し、特に青年の2人にひとりはアルバイト、派遣などの非正規社員で、低い給料で独り立ちできない人が増えています。先ほどの「企業誘致制度」では、正規の青年雇用を重視するとともに、中小企業が青年を新規雇用した場合にも補助をするという仕組みをつくることが必要と考えますが、見解を伺うものです。


     

    5、憲法に基づく一人一人を大切にする教育を

     1)先の12月国会で自民・公明の安倍政権は、「学力世界一」といわれるフィンランドの公教育改革の手本となった、日本国憲法に基づく旧教育基本法を改悪しました。新教育基本法は、自民党、公明党によって、慎重審議を求める国民世論を押し切って強行される結果となったことからも、これは戦後日本の教育史上に最悪の汚点をきざむものであり、国民の支持を得られるものではありません。新教育基本法は、「やらせ基本法」とよばれているようですが、今後、この悪法がつづくかぎり、タウンミーテイングなどで「やらせ質問」でつくられた悪法という恥ずべき傷が消えることがないでしょう。

     政府は、「教育再生会議」での答申を受けて、三つの法案を今国会に提出する方針を決めました。その方向は、全国一斉学力テスト、習熟度別指導、学校選択制の拡大など、競争とふるいわけの教育をいっそう激化させ、教育現場の矛盾と混乱をひどくするものです。いじめ問題でも、教員への「評価」と「免許更新」の問題でも、上から子どもと教師を押さえつける権力的統制を強化することが、その方向であります。新教育基本法では「教育の目標」に「国を愛する態度」を書き込んで、戦前と同様に「愛国心」を押しつけようとしています。また、国が教育振興基本計画を立案し、国による教育内容への介入・支配を公然とすすめようとしています。

     しかし新教育基本法と憲法とは明らかに矛盾します。法案審議の中でも、政府は、内心の自由について、「子どもの愛国心を評価することは適切ではない」と答弁せざるをえませんでした。「日の丸・君が代」強制についても、政府は「批判する子どもの思想・良心の自由も保障しなければならない」と答えました。教育の自由に関しては、政府は、1976年の最高裁判決の「国家権力による教育内容への介入はできるだけ抑制的でなければならない」という論理を認めています。本市の教育行政においてもこれらの政府の国会答弁をふまえて、憲法に基づく教育行政、施策をすすめるべきであると考えますが、教育長の見解を伺います。

     

     2)伊丹市教育ビジョンについて

     ここでは、「第3章 教育が抱える主要課題」の中の「(4)今日的な課題に対応した幼児期・学校教育の推進」の項目で、総合選抜制度の改革に関してお伺いをします。

     ビジョンでは、「中学生の学習意欲の低下や学力低下が指摘されているとおり、その原因の一つとして、現在の高等学校の入学者選抜制度をあげる意見があります」とされていますが、この意見をわざわざビジョンの中で紹介するということは、その意見が多数であり、なおかつ教育委員会としてもその根拠が明確でなければならないと考えますが、いかがでしょうか。現行の制度の改善を望む意見が、現状維持の意見より多数であることは、その根拠にはなりません。

     何度かフィンランドの教育について紹介してきましたが、学力世界一といわれるこの国の教育の特徴は、競争教育を排除したことでした。競争教育の根源が高校・大学の入試制度そのものにあり、できるだけ競争の激化を防止する制度にすることが必要と考えますが、あわせて見解を伺います。

     3)学力テストについて

     全国一斉学力テストに関して、党議員団は、競争を激化させ、子どもたちをふるいわけするものとして、参加しないことを求めてきました。政府は、424日に小学校6年生と中学校3年生を対象に、全国一斉学力テストをおこなうとし、委託先のベネッセコーポレーションとNTTデータが採点・集計をおこなうことになっています。しかし、同テストが個人情報保護にとって重大な問題を持つものであることが明らかです。同テストでは、試験問題・回答用紙とともに、児童・生徒に対する「質問紙」を配布し、子どもたちは学校名、個人名を書いて提出をしますが、質問項目には、「一週間に何日塾に通っていますか」「学習塾でどのような内容の勉強をしていますか」「あなたの家には本が何冊くらいありますか」などの質問もあります。

     この通り実施すれば、二つの企業が全国の小学校6年生と中学校3年生の個人情報をすべて握ることになり、受験産業がさらに拡大することにつながります。教育委員会として、国に対してこのような学力テストの中止を求めるとともに、伊丹市は参加しないこと、仮に参加する場合には、学力テストへの参加・不参加は生徒・児童、学校の判断にまかせること、個人名を書かないことも認めるべきであると考えますが、見解を伺うものです。

     

    6、市立伊丹病院について

    市立伊丹病院の経営が深刻な事態に陥り、市民の中から、「市民病院は大丈夫なのか」など不安が広がっています。党議員団が行った市政アンケートにも、約20%(複数回答)の市民が市民病院の充実を要望しています。

    全国的に今日の経営困難の背景には、患者負担増による受診抑制や診療報酬引き下げなどの医療制度改悪によるもののほか、とりわけ医師不足が深刻な問題として浮上しています。

     とりわけ市立伊丹病院においては、深刻な医師不足によって一部診療科の休止や病床の縮小などが行われています。現在の医師不足の背景には、政府が「医療費の抑制」を目的に「医師過剰論」に基づいて医師養成の抑制策をとるとともに、医師の過酷な労働条件、産科・小児科などの医師不足を放置してきたことにあります。さらに2004年から始まった「新臨床研修制度」で、大学への派遣医師の引き上げが始まり、医局に依拠していた自治体病院の医師確保の困難に拍車がかかったことにあります。

     自治体病院は、生存権を保障すべき国の医療に対する責任を補完することを目的に、不採算医療や政策・行政的医療を積極的に推進していく責務があります。市立伊丹病院が地域の中核病院としてのこれらの役割を果たすことにより、民間病院、開業医との連携で市民のいのちと健康を守るための地域医療供給体制を確保するため、以下の点を強く求め、見解を伺うものです。

    第1に、政府に対し、国民のいのちと健康を破壊する医療大改悪を中止するとともに、「医師は足りている」という認識を改め、医師養成数を抜本的に増やすことを求めること。

    第2に、兵庫県が地域医療をになう医師の緊急確保と医師派遣の支援体制を確立することを強く求めること。

    第3に、政府に診療報酬の引き下げ等の「低医療政策」を改めることを求めるとともに、市立伊丹病院においては医師の意見をよく聞き、過酷な労働条件を改めること。とりわけ新しく小児科・産婦人科をめざす医師の3分の2が女性であり、女性医師が子育てと両立できる労働条件にすること。

    第4に、市立伊丹病院が地域の中核病院としての役割が発揮できるように、不採算医療や政策医療に対する伊丹市の財政支援を強化すること。

     

    7、伊丹市交通事業アクションプランについて

     昨年の1月に出された「市バスのあり方」についての答申に基づき、伊丹市交通事業アクションプランが策定されました。私は昨年の3月議会の代表質問で、答申の問題点について、特に民営化に関して次のように質しました。

    「地方公営企業法第3条は、地方公営企業は常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないと規定されていますが、まさに市バスが公共の福祉増進という本来の目的を果たすところに存在意義があり、市民の安くて安心、安全な移動手段としての役割が求められています。ところが答申は、『赤字となるいわば市場価値のないサービスを、それ以外の社会的理由の名のもとに、税金を投入して維持することは、相当に例外的措置だ』といって、市場原理主義による民営化を推進するものとなっています。この言葉には、福祉という要素はみじんも見えません。赤字路線を民間に移管すると一体どんな事態が起こるのか」と、県内のある自治体の例を紹介し、「伊丹市バスは、伊丹市の地域的特性から言っても、住みよいまちづくりと地域の活性化のためにも、本来の公共の福祉増進という目的に邁進する以外に生き残る道はないと思います」との意見を述べました。

    今回のアクションプランでは、民営化の問題について様々な形態を考慮して検討し、結論として、経営形態としては当面内部効率化による直営、改善型直営方式を選択するとしています。この点では一定の評価をしますが、目標年度である2010年度において、議論を踏まえて路線の見直し、委託・移譲・分社化等の経営形態の見直しも必要で、中でも「分社化」の方向が望ましいの立場であります。

    しかし「分社化」等民営化は、昨年もある自治体の例をあげて紹介しましたが、結局は人件費の抑制によって、自治体自ら地域の給料水準を引き下げ、過労死寸前の労働条件つくることになります。民営化の考え方を断念することを求めるものですが、見解を伺うものです。