2006年9月伊丹市議会
「議員定数削減条例」に対する反対討論(2006年9月19日)
日本共産党伊丹市会議員 上原ひでき
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議員提出議案第4号「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例」に対する反対討論 日本共産党議員団を代表して、議員提出議案第4号「伊丹市議会議員定数条例の一部を改正する条例」に対して反対する立場から意見を述べます。 本条例は、伊丹市議会における議員定数を32名から28名に、4名減員しようとするものであります。 まずこの間の議員定数に関する議会での御論を振り返ってみます。 1996年3月議会には、「伊丹市議会議員定数の削減など議会改革を求める請願書」が出され、1998年9月議会では、議員定数を2名削減するという議員提案が行われ、さらに1999年1月臨時議会では、直接請求にもとづく議案「伊丹市議会の議員の定数を減少する条例の一部を改正する条例の制定について」が提案されましたが、いずれも賛成少数により否決されています。 これら議員定数問題の審議の中では、議会・議員の重要な役割、市民の少数意見の反映、地方分権時代における議会のあり方、議会への「不信感」にどう答えていくのかなどが真剣に議論されました。 定数削減の立場からは、伊丹市の財政の厳しさを指摘しながら、「住民の議会不信、住民の議会離れと言う現実を認識し、外からの改革を待つことなく、議会自ら・・・積極的な努力を払うことが、行政全体のスリム化になる」「議員30名であっても選挙という手段で選ばれて、十分市民の代表権を確保できる」「議員削減は時代の流れ」(当時の会派「未来」)など意見が述べられています。 一方削減反対の立場から、「議会制民主主義の基本を全く無視して、今回の議員削減の議論はできない。(削減は)現憲法の基本である民主主義の後退につながる危険性を危惧せざるを得ない」「議会に関わる経費は、民主主義を守り発展させるための必要経費」(「連合議員団」)、「30人に変更すると、間接民主制において市民の代表権を奪うことになりかねない」(「公明党議員団」)と主張し、党議員団も議員の役割と民主主義を守る立場から積極的に論戦を交わしました。 そしてその後、地方自治法の改正により法定定数主義が改められて、人口区分ごとの上限数を定めた条例定数主義となったことから、2000年6月議会において、上限34名に対して2名少ない32名と定めました。日本共産党議員団は反対しましたが、2名の削減にとどまったことは、それまでの議会での議論が一定生かされたものと理解しています。 次に今回の定数削減条例について意見を述べます。 第一に議会の役割についてであります。 いうまでもなく議会は憲法第93条第1項により各自治体に設置される議事機関です。議事機関とは、多数人の合議によって団体の意思を決定する機関、すなわち議決機関であり、執行機関に対応する意味で用いられるものです。同時に議会は憲法第93条第2項の規定により、住民の直接選挙によるものであり、住民代表機関としての性格を持っています。よって議会の意思は住民の意思とみなされるのであり、それだけに議会には住民の意思を反映させ、統合、調整する機能が求められています。 ところで首長主義を採用する地方自治にあっては、執行機関である長も住民が直接選挙を行うことで、首長もまた住民の意思を代表するものとなっています。また、直接民主主義制度も、今日の地方自治の重要な仕組みであり、直接請求制度を始めとした住民意思を直接反映させる制度があります。このように、住民意思は法的にも多様なルートで反映されるのであり、議会が唯一住民を代表する機関とはなっていません。 では、議会にはどのような代表機能が期待されているのでしょうか。言うまでもなく、議会が多種多様な住民意思を反映する複数の議員からなる合議体であることから、議会に求められているのは、討論を通じて多様な住民の意思を反映し、それを統合調整して自治体の意思を形成することにあります。あわせてそれによって執行部を監視することにもなります。また、個々の議員を通じて執行部に対し住民の意思を伝え、同時に執行機関を批判、監視していくことも大きな役割です。 このような重要な役割持つ議会の議員定数を削減することは、憲法と地方自治法によって保障された民主主義制度を揺るがす問題であるとともに、この制度によって期待された、多種多様な住民の意思を反映し、統合調整して自治体の意思を形成するという点で欠陥を生じることになります。議員定数は人口区分ごとの上限数が定められ、自治体の条例によって定められることになっています。二元主義的代表制の下での議会に、自治体内の多様な住民意思を反映させる役割が期待されているとすれば、効率性ないし経済性のみの観点からの定数削減には、大きな問題があります。 第2に、経費を削減するためという議論があることについてであります。 経費削減に関して言うならば、議会費すべての費用は、本市の場合一般会計歳出総額のわずか0.8%(2004年度)にすぎず、中でも議員に関する費用は0.6%であります。この議員に関する費用が高いのか低いのかは、さまざまな見方があると思いますが、民主主義を保障する経費として重要なものであることはいうまでもありません。 一方、定数削減を主張する議員は、経費削減を理由にしながらも、日本共産党議員団が提案した議員報酬(現在月額63万2千円)の5%カットには反対するという態度であり、民主主義より自らの収入を優先しているとしか思えません。 また、経費削減に関連して、行政改革にも言及する人がいますが、行政改革とは、そもそも執行機関の改革を意味するものです。執行機関が肥大化して能率が悪くなり、官僚化するのを民主的、合理的に変えていくという内容のものであり、この意味での行政改革は住民の利益を守る観点から、議会はその監視機能を発揮し、行政のむだを省き、効率的な行政運営を行うなどの改革をしていくことが重要なことは言うまでもありません。もちろん議員の住民意思の効果的な集約や、効率的な議会経費の執行も大切な課題であります。 また、議員定数と議員の質の問題や議会改革について混同した意見もありますが、全く別の性格のものです。むしろ定数削減で、地域代表的性格や多様な住民の意見、さらに少数意見の排除につながるものとして、逆に議会の本来持つべき機能、議会の質を低下させることになるものであると考えるものです。 第3に、地方分権の時代における議会の役割についてです。 地方分権の一定の前進によって、自治体の仕事のほとんどが法定受託事務とするものを除き原則として自治事務(自治体自らの権限で行う事務)とされ、これらに対して地方議会の権限が及ぶこととなり、その権限が強化されています。 これらのことから、住民の暮らしと権利を守るためにも、さらに執行機関へのチェック機能を強化するためにも議会の役割は益々重要となっています。 2006年2月25日付の「全国市議会旬報」に掲載された、全国市議会議長会都市行政問題研究会の「調査研究報告書」(「都市研報告書」)概要では、分権時代における市議会の役割について「議会の執行機関に対する監視の役割が一層重くな」り、「議会の構成も都市全体を見渡すことのできる議員で多く構成されるようになることが求められる」こと、「執行部に負けないほどの政策論争を重ねることが必要」であり、「監視・政策立案機能の向上を果たす上においても相当の議員数は必要である」と述べています。 また2005年8月23日に開かれた全国市議会議長会の同研究会総会における、辻山幸宣・地方自治総合研究所主任研究員の「分権時代の市議会のあり方」と題した講演では、「地域の民主主義を代表する議員の定数が減り、代表率が低下している。これで本当に多様な意見を調整していくことが可能かという危機感がある。議員定数も多様化を求められるようになっている。議員定数が削減されていく中で、一体、少数者の意見は誰が代表するのだろうか」と述べています。 このように分権時代において議会に求められているのは、議員定数の削減ではなく、むしろ逆により多様化した住民のニーズに対応できるだけの議員の数であり、議会・議員の質的向上とともに住民のために働くことではないでしょうか。 第4に、市民の中に議員が多すぎるという感情があるという問題です。 こういう声の背景には何があるのでしょうか。それは議員に対する不信感があるからです。市民の中に「高い給料もらっていてどんな仕事をしているのかわからない」「国保税や税金を上げるだけが議員の仕事か」、また、「請願書を提出しても『反対』『賛成』の意思表示だけで、その理由を発言せず、議員が説明責任を果たしていない」という声があります。 先ほど紹介した辻山氏も、「議会は住民の意思を反映しているかどうか振り返る必要がある。住民の意思との間に乖離があるのではないか」と話しています。 市民の中に「議員が多すぎる」という声があるとすれば、伊丹市議会の質が問われているのであり、いま必要なのは「定数削減」ではなく、このような議員に対する不信感を取り除くための議会改革であり、議会全体の質的向上です。 伊丹市議会はいままで、各会派から議会改革のための提案が出され、議会の同意で一つひとつ実現してきました。たとえば「議会だより」に発言議員の氏名を明記する、庁内モニターテレビによる本会議の放映、会議録検索システムの導入、議会情報をホームページで紹介するなどです。また、政務調査費の使途の透明性を確保するため、領収書添付を条例で義務付けることが来年度実施に向けた合意がなされています。さらに、自動車借り上げ料(タクシー助成)の廃止、本会議での一問一答方式の導入、請願審査で請願者・紹介議員が請願趣旨を説明し議論すること、土・日曜日の本会議開催、インターネットなどでの議会放映など市民に身近な議会とする改革が必要であると考えています。 最後に、「格差社会」の中で益々市民の暮らしが大変なとき、多様な市民の意見が存在して要求が渦巻いているとき、議員定数を削減することは、市民に最も身近な議会とのパイプを細くし、自治体を市民にとって一層遠い存在にしてしまいます。 以上の立場から、議員定数削減の本条例に反対の立場を表明して討論とします。
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