2006年9月伊丹市議会

請願第4号「大阪国際空港との共生都市宣言を求める請願書」に対する反対討論

日本共産党 上原ひでき議員

 日本共産党市会議員団を代表して、請願第4号「大阪国際空港との共生都市宣言を求める請願書」に対して反対の立場から意見を述べます。

 本請願書は、「大阪国際空港撤去都市宣言」が一定の成果をあげたことで共存・共生への道が拓かれたこと、内陸型空港としての機能の活用を図る必要があることなどから、空港との共生都市を宣言することを求めています。

 しかし大阪空港に関する問題を考える場合、いままでの安全性と航空機騒音問題を解決し平穏な生活を確保するための住民の運動や、国との関係、市議会の経過などを踏まえることが必要であります。

 ご承知の通り大阪空港は、1970年にB滑走路が供用開始になってから、周辺地域で、WECPNLが90を大きく超えるなど生活破壊の騒音が大問題となり、「公害紛争処理法」に基づき、伊丹市民約2万人をはじめ宝塚市尼崎市などの住民が調停申請を行いました。このような状況のもとで伊丹市議会は、1973年3月、「大阪空港の撤去を求める決議」を全会一致で採択、空港に関する「一切の計画に反対し、物理的にも欠陥空港である大阪空港の撤去を強く」求めました。そして同年10月、伊丹市は「大阪国際空港撤去都市宣言」を行い、今まで全市一丸となって空港撤去運動を展開してきた経過を踏まえ、「真に人間として憩える静かで安全な生活環境を取り戻すために、大阪国際空港の撤去にまい進していく確固たる決意をひれきし」ました。これらの経過から、1974年の運輸省航空審議会答申で「関空は、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置及び規模を定める」旨が明記され、81年の最高裁判決は、大阪空港を「欠陥空港」と指摘し、国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を認めました。

 一方空港が存続に至った経過に関しては、1980年、「運輸省が必要な調査を行い、調停団や関係自治体の意見を聞いた上で、運輸省の責任において決定する」旨の調停がなされ、89年までの騒音、安全対策、利便性、経済効果などの調査の上にたって、調停団や関係自治体の同意を引き出し、90年に、国の責任で存続が決定されました。1973年に静かな空を求める住民運動に押されてつくられた「航空機にかかる環境基準」は、空港が存続する限り達成できないことは事実でありながらも、関西経済圏における空港の重要性から国の責任で存続が決定されたことは、まさに住民は「苦渋の選択」を迫られたのであり、ここから「撤去宣言」と空港存続という矛盾は始まりました。

 しかし、この二つが矛盾するからといって、「撤去宣言」をなくすことやこれを打ち消すような「宣言」をすることにはなりません。

それは一つには、「航空機にかかる環境基準」で、もっぱら住居の用に供される地域で70WECPNL以下、通常の生活を保全する地域で75WECPNL以下であるのに対して、本年7月の調査によると西桑津で78.8、北村で84.2、大野で74.5WECPNLの数値を示しているとおり、現在もなお環境基準を大きく超えています。「真に人間として憩える静かで安全な生活環境を取り戻す」という「空港撤去宣言」の趣旨は、益々重要であります。

また二つには、安全性に関して、航空機会社の利益最優先のための航空行政の規制緩和による航空機定例整備の海外工場委託や飛行間点検の一人化、専門検査官の削減などによって、航空機トラブルが多発し、安全性が確保されているとは言い難い状況にあります。

 そして三つには、神津地区大阪国際空港対策協議会と伊丹市自治会連合会神津ブロックから、議長宛てに意見書が提出されましたが、その意見書のとおり、空港に隣接する住民にとっては、航空機の安全運行、逆発信時の安全・騒音・排気ガス対策、空港内雨水対策、環境基準の達成など、航空機と空港による被害が根本的に解決されていません。

 したがって以上のことから、請願書の趣旨にあるような「空港撤去都市宣言」が一定の成果をあげて共存・共生への道が拓かれた、とする条件はないと考えます。

 もちろん、内陸型の空港として、防災機能など空港を活用することを否定するものではないということは言うまでもありません。

 国の責任で存続を決めたからには、国の責任で発生源対策や環境対策、安全性の確保を最重要課題として行うことは当然のことでありますが、共生都市宣言をすることで、空港撤去宣言を事実上死文化してしまうことは、先人たちが一丸となって公害をなくすために闘ったシンボルをなくすことになるとともに、安全対策、環境基準の達成に関する国に対しての伊丹市のスタンスを希薄にするものであります。

 また、伊丹市議会自らが1973年3月に全会一致で採択した「大阪空港の撤去を求める決議」に関してですが、今回、この決議を打ち消す趣旨の請願が提出されていることに対して、自らの決議を省みることなく、簡単に請願に賛成するなどいう行為は、議会の決議の権威に関わる大問題でもあります。

 以上るる述べましたとおり、本請願書には到底賛成できるものではなく、反対するものであります。

 議員各位のご賛同たまわりまして討論とします。