2006年度伊丹市一般会計予算に反対(討論趣旨)

「平成18年度伊丹市一般会計予算」等の反対討論

日本共産党市議会議員  中村 孝之

 

ただ今、議長より発言の許可をいただきましたので、私は日本共産党議員団を代表して、議案第17号、議案第41号、議案第45号、議案第47号、議案第49号に対して、反対の立場から意見を述べます。

はじめに、議案第17号 平成18年度伊丹市一般会計予算案についてであります。

今日の情勢の特徴は、小泉内閣の構造改革、すなわち社会保障など政府の機能縮小と大幅な規制緩和、市場原理万能を特徴とする「新自由主義」にもとづく「改革」が、国民生活と矛盾を激化させています。

その第一は、「三位一体の改革」の名で地方財政への攻撃が強められている点です。財源の一部を地方に移すのと引き換えに、国の責任でおこなうべき福祉・教育のための国庫補助負担金を縮小・廃止し、地方交付税を削減することで、住民サ−ビスの大幅な切り下げがおしつけられようとしています。

第二は、政府・総務省が、2005年3月に発表した、「地方行革推進のための新指針」に基づき、すべての自治体に2005年から5年間の「集中改革プラン」を策定させて、職員の削減、業務の民間委託・民営化など、市民の福祉と暮らしを守るための施策の切り捨てをおしすすめようとしている点です。

このような情勢の中で、市民のくらしを守る上で、地方自治体が果たす役割はますます大きくなっています。 

平成18年度伊丹市一般会計予算案は、藤原市長就任後初めての本格予算であります。予算の規模は、歳入・歳出それぞれ593億円と前年度6月補正後の予算との比較で0.6%増となっています。

しかし、主な財政指標を見ますと、経常収支比率は前年度比1.2ポイント減の97.6%、公債費比率は同1.9ポイント減の12.7%となったものの、市債残高は同2.3%増の672億7800万円が見込まれるなど、依然として厳しい状況にあります。

市長は、第4次総合計画・後期事業実施計画5カ年計画を策定し、その実現に向け平成18年度〜22年度までを計画期間とする第五次行財政運営改善計画と財政健全化計画を策定されました。

これは今後五年間の財政収支見通しについて126億円の財源不足になり、「行財政運営は立ち行かない危機的な状態」だとしていますが、重要なことは、住民福祉の増進を図る自治体の役割を遵守することを基本とすることであります。

今回の計画内容は、小泉内閣の市場原理万能論の構造改革路線に基づいた総務省の新指針に沿ったもので、到底認めることはできません。

第1の問題点は、市職員の大幅削減計画と市職員の給与に能力給成績給を導入する計画についてであります。

そもそも市職員・公務員は全体の奉仕者であり、住民の福祉を増進するため、憲法に基づき住民の人権と何よりもくらしを守ることを使命としております。  

住民サービスを行う市職員を大幅に減らすことは、市役所・自治体が本来の役割を果たすこと不可能とするものであり、再検討すべきであります。  

次に市職員の給与への能力給導入についてであります。伊丹市ではそれぞれの職場で行政目標の達成に向け全職員が一体となって取り組んでおり、勤務実績による給与の査定は事実上困難であり、職員の士気の向上にも逆行するものであり、止めるべきであります。 

第2の問題点は、「民間でできるものは民間に委ねる」という計画についてであります。

今政府・小泉内閣は、大企業・財界の要望に応えて、自治体の業務を民間の儲けの対象とする政治を推し進めています。JR福知山線脱線事故や耐震強度偽装事件は、「民間でできるものは民間に委ねる」という小泉内閣の構造改革路線に基づいた規制緩和の結果であり、このことは今後の行政のあり方に対して警鐘を鳴らしているものであります。地方自治体の業務は、市民のくらしに直結するものばかりであり、止めるべきであります。

第3の問題点は、福祉切り捨てについてであります。

敬老祝金給付事業の廃止で1,650万円、母子・障害者(児)福祉金事業廃止(二年間)で3億円、市独自の福祉医療制度の廃止で1億7,500万円合わせて五億円近い削減となっています。社会的に弱者といわれる人に医療支援および経済的自立支援として大きな効果をもたらしてきたこれら諸事業は何としても継続すべきであります。

次に歳入・歳出それぞれについて意見を述べます。

 歳入では、個人市民税は、2005年度決算見込みと比べると8億円の増となっています。しかしその要因は、定率減税の廃止で4億1600万円、老年者控除の廃止で1億500万円、公的年金控除の縮小で9900万円など小泉内閣の税制改正、つまり増税によるものが6億7000万円であり、市民は新たな負担を強いられることになります。

また法人税でも、均等割のみで収益を上げていない法人は、全体の57%にもなり、景気が上向きとはいえない状況となっています。

 さらに地方交付税は、2004年度からの3ヵ年で8億9000万円程度の減少になることが答弁で明らかになりました。総務省の「新地方行革計画」により、公務員の定数削減、事務事業の民間移管を前提とした地方交付税の削減は、市財政をいっそう厳しいものにしています。

 以上のことから、市民の暮らし、福祉、教育充実のために、地方交付税の財源保障、財政調整機能を確立するよう政府に強く要望すること、さらに必要な財源を確保するためにも、国有資産等所在市町村交付金の改善・増額が図られるよう、国に要望されることを求めておきます。

次は歳出に関連して、市民の目線から評価できない主な点について意見を述べます。

第一は、公立保育所の民営化計画についてであります。

 市長は行財政運営改善計画の中で、公立保育所の民営化計画を打ち出しました。しかしこの件に関連して審議された福祉対策審議会では、わずか二時間ぐらいの審議で終わっており、しかもその中には保護者など保育所関係者や専門家も入ってない中で答申を出しましたが、伊丹市の姿勢に対し、入所児童の保護者から「子どもの権利条約」を踏まえた保育行政をして欲しい、市民意識調査を生かして欲しい、などなど大きな不安と強い反対・怒りの声が大きく広がっています。

 なぜ保護者が強い反対の声を上げているのかであります。それは現在の公立保育所が信頼されており、保育士と子ども・保護者が密接に結びついているからであり、この信頼関係をつぶさないで欲しいと願っているからであります。

党議員団は、公立保育所が今日まで果たしてきている役割を、さらに充実させることこそ行政の重要な課題であることを指摘してきました。コスト削減優先の保育行政であってはなりません。これでは未来を担う子育て支援はできないものであり、私立保育所を含めた保育サービスの充実を求めておきます。

第二は同和行政・同和教育についてであります。

 党議員団は、今日まで一貫して同和行政・同和教育の終結を求めてきました。昨年6月市議会の中で、藤原市長の同和特別対策事業終結表明を受け、2005年度末までには終結し、2006年度予算に反映できるよう、市長の決断を求めてまいりました。

 今議会での質問に対し、15項目の特別対策について部落解放同盟と協議してきた経過と結果が答弁されました。一定部分については18年度内に終結できたことは評価しますが、部落解放労働事業団への委託料の改善には8年間、同和住宅駐車場の利用料金の改善には五年間の経過措置を設けていること、解放児童館の運営については従前どおり継続し、新たに共同会館、解放児童館、ふれあい交流センタ−の3施設を統合して、(仮称)人権文化センターの構築を予定するなどについては認めることはできません。見直しを強く求めるものです。

第三は、伊丹市が国民保護計画を策定されようとしていることについてであります。

この計画は、武力攻撃事態、緊急対処事態に際して、国の指示により国民保護の名のもとに、有事法制の具体化をするものであり、アメリカが行う海外での戦争に協力させようとするものであり、認めることはできません。

第四は、大型店出店問題です。

 池尻地先の三菱電線跡地に、ダイヤモンドシティに匹敵する大型店の出店が予定されています。大型店舗が従来の商店街・商店に与える悪影響については、すでにダイヤモンドシティによって実証済みであります。歯止めのない大型店の郊外出店が、中心市街地の疲弊や都市の無秩序な拡散を引き起こしたことから、政府は規制を求める世論に推されて、今国会に「まちづくり三法」見直しの都市計画法等改正案を国会に提出しています。

工業地域には出店できないとする法改正案の主旨から考えても、三菱電線跡地への大型店出店は認めることができません。将来を見すえたまちづくりや環境保持の観点から、福島県や長野市が独自の条例や指針をつくり、実際に出店を拒否している姿勢をぜひ参考にし、拒否することを求めておきます。

第五は、「学習到達度及び学習意識調査」の実施についてです。

 近年の学力低下を克服することが大きな課題とされ、本市においても学力向上のためとして、学習到達度調査を行うとしています。また政府も2007年度から、小学校六年と中学校3年全員を対象に全国学力調査を行なうとしています。この全国学力調査も伊丹市が行おうとされる「学習到達度及び学習意識調査」も、子どもと学校のランク付けにつながり、「比べ癖」をつけ、自己肯定感を喪失(そうしつ)させるものであり、止めるべきであります。

第六は、日の丸掲揚・君が代斉唱についてであります。

教育委員会は、入学式・卒業式などでの日の丸掲揚・君が代斉唱の根拠として学習指導要領をあげていますが、これは法律ではありません。同時に「日の丸・君が代」の法制化時の国会審議でも、「国民に日の丸・君が代の掲揚および斉唱を義務づけるものではない」としているものであり、国民に強要できないものを、教育現場つまり子どもや教職員に義務づけることは、教育の原理にてらしてもできないものであり、教育現場への強制そのものの中止を求めます。

 

次に評価すべき主な施策について申し上げます。

第一は、(仮称)阪神北広域小児急病センター整備事業であります。

三市一町による広域小児救急医療施設を、伊丹市の「こやいけ園」跡地に設置するもので、日本共産党市議団も以前から要求していたものです。ぜひ安定的で切れ目のない救急医療体制の整備に取り組んでいただきたいと思います。

 第二は、子育て支援医療費助成制度の創設であります。

女性の合計特殊出生率が、2004年度には1.29人まで低下する中、子育ての不安や負担、さらに病気の悩みなどの解決策が強く求められています。 

今回医療費助成の対象年齢を、小学六年まで引き上げる等の拡充がされています。今後、通院に対しても助成範囲を拡大し、国に対して制度化を強く要求するなどの努力を求めるものです。

 第三は、障害者自立支援法実施に向けての市独自の軽減措置であります。

障害者が介護、訓練サ−ビスや医療機関に係る場合に、原則一割負担が導入されます。これまでほとんどの人が無料か無料に近い負担であっただけに、大変な負担になります。伊丹市が4,300万円あまりの予算で、軽減制度を創設することは大いに評価するものです。合わせて小規模作業所への補助金は維持し、充実することも求めておきます。

 次に宮ノ前・花摘み園跡地の活用についてであります。

 藤原市長は、今議会での市政方針の中で、これまでの図書館に情報発信や交流機能などを新たに付加した市立図書館の移転計画を発表されました。このことは市民の学習権を保障する上で図書館機能を充実させ、宮ノ前地区や中心市街地の活性化に大きく寄与する施設にならなければなりません。

同時に、多額の費用を要するビッグ事業でもあり、宮ノ前地区をはじめ市民の意見を充分取り入れ、検討されることを求めておきます。

次に、議案第41号 伊丹市市民福祉金条例及び伊丹市敬老祝金条例を廃止する条例の制定についてであります。

 本条例案では、障害者(児)福祉金、母子福祉金は二年間で廃止するとなっておりますが、障害者に対するサービスに原則一割負担を導入する障害者自立支援法の成立や連続的な児童扶養手当制度の後退で、生活が成り立たないとの声があがっており、福祉金の継続を強く求めるものであります。

 敬老祝金については、多年にわたり社会の発展に寄与してきた高齢者の長寿を祝福し、その福祉の増進を図る意義は今日もいささかも変わっていないと思います。廃止はやめるべきであります。

次に議案第45号 伊丹市職員定数条例の一部を改正する条例の制定についてであります。

 本条例案は、現行定数2400名を2320名と80名減とするもので、中でも市長部局を大幅に削減するものです。このことは、小泉内閣が今国会で強行しようとする「行政改革推進法案」や総務省が押し付ける「新地方行政改革指針」による、自治体リストラ、住民サービス切捨ての定数削減であってはなりません。

次に議案第47号 一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定についてであります。

 政府は公務員攻撃の目玉として重視しているのは、人件費削減のため公務員給与制度の構造改革として、基本賃金の削減と併せ、従前の地域間格差を調整する「調整手当」を廃止し、新たに「地域手当」として支給内容を減額するのがネライであります。

 また、本市は、これまで三年間連続して、部長級5%、次長級4%、課長級3%、副主幹級以下は1%、それぞれ基本給を減額する措置を強行してきました。今回この措置を平成19年3月31日までさらに延長しようとする条例案であります。

このことは民間労働者・年金受給者など広範な国民の生活にも影響を及ぼすものであり、職員の士気をも低下させ、「元気な市役所作りの推進」という市長の方針にも逆行するものであり、止めるべきであります。 

次に議案第49号 伊丹市医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例の制定についてであります。

本条例案は、医療費助成制度に関し、県制度に上乗せしている伊丹市の単独施策を廃止しようとするものであります。当局はこれまで「障害者の医療費が健常者と比較して高額であることは充分理解している」と答弁されていましたが、本年四月から原則定率1割の「応益負担」になった中で、かなりの負担が増えるものであり、支援の手こそ差し伸べるべきであり、認めることはできません。

以上意見を申上げましたが、本会議・委員会の中で様々な要望をいたしました事項については、今後の施策の中に生かされることを要望して討論を終わります。