2005年3月議会

上原ひでき議員の一般質問 趣旨

1、 障害者自立支援給付法案について

   政府は障害者福祉制度の一元化を掲げて「障害者自立支援給付法案」を提出。

   法案にはサービス利用に原則1割の「応益負担」を求めることが盛り込まれ、大きな波紋広げている。市内障害者に与える影響について伺いたい。

2、伊丹市で実施した「総合学力調査」について

   結果をどう分析され、今後の教育にどう生かそうとされているのか。「点数競争が教育をゆがめることがないように」との立場から伺いたい。

3、学校における障害児に対する介助員の増員を求める

 1)必要とされるすべての障害児に介助員の配置を

  2)LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)等への特別支援介助員の配置を。

 

 

1、障害者自立支援法案に係る市内障害者への影響と考え方について

1)法案提出の背景

      政府は2月10日、障害者福祉制度の一元を掲げて「障害者自立支援法案」を国会に提出した。法案にはサービス利用に1割負担を求めることが盛り込まれ、大きな波紋を広げている。

      政府は様々な法案提出のねらいを言っているが、そもそもの理由は、支援費制度が始まって深刻な予算不足となっていること。1年目の2003年度は100億円以上。今年度は250億円以上。本来予算の立て方が悪かったのだから、必要な予算を確保すれば解決できることなのに、制度改悪でサービス利用者の負担を増やして予算不足をかわそうとするもの。

      介護保険と同じような利用者負担の構造にして、次の段階では介護保険と統合する方向を示した。

 

2)障害者の負担

      法案ではサービスに対して原則1割の応益負担にするもの。

      しかし5年前の福祉事業法改正論議の中で、政府は「自分でサービスが選べる」「公的なサービスが後退する事はない」といって、負担は所得水準に応じた「応能負担」という考え方で支援費制度をはじめた。これをわずか5年で投げ捨て、「応益負担」にしてサービス料が増えれば増えるほど自己負担を高くする。重度になればなるほど負担が重くなる仕組みにする。

      全国的に見れば、例えばホームヘルプサービスや通所サービスは、現在95%の人が住民税非課税で費用負担なし。厚生労働省によれば、現在実質的には1%の負担。10倍の負担となる。具体的に、1割負担になれば平均的な身体障害者のサービス利用で月8400円の負担。通所施設や入所施設でも食事負担も加わり大幅な負担に。このことは障害者が生きていく上で不可欠なサービスを抑制する事態になりかねない問題である。このような負担押し付けの法案に対して、障害者の人権を守る立場にある当局としてどのようにお考えなのか、見解を問う。

 

3)市内障害者の所得状況と影響をどう考えるか

      応益負担の導入は負担増に加え、サービス抑制につながる重大な改悪である。具体的に市内障害者に与える影響、負担はどうなるのか。

      


 

2、伊丹市で実施した学力テストについて

1)       伊丹市では今年1月、小学校5年生と中学校2年生で「総合学力調査」という学力テストと意識調査が行われた。教育委員会は、この目的について当初予算審議の中で、「教育課程の実現状況の調査」であること、「科目と意識調査を行い、その関連、クロス集計をとって授業改善に生かしていく、子どもを励ますことに行かしていく」こと、「学力低下が起きているかどうかの検証」「授業者自身が自分が受け持っている児童生徒の結果を見て授業を改善することに生かす」ことなどの答弁。

結果をどう受け止め、どう分析されているのか、との質問通告をしたが、まだ十分分析できるところではないとのこと。したがって「総合学力調査」を行ったことに関しての考え方と今後の教育への生かし方について質問したい。

教育委員会が今回の学力調査を知るきっかけは、昨年二つの学力に関する国際調査結果が発表され、いずれも日本が前回を下回ったことから、伊丹の教育は大丈夫かとの懸念があったこと。

全国的に「学力の低下」が問題になり、「学習到達度調査」「学力テスト」など様々な取り組みがなされている。特に東京都や各区においては異常なほどの「点数競争」によって教育がゆがめられる事態が生じていることから、伊丹市においてそういう事態を生み出さないようにとの立場からいくつか伺いたい。

 

@      業者に問題用紙作成から採点等を依頼された。学習指導要領に従って授業が進められているとはいえ、全国一律のテスト問題となっている。一部からまだ教えていないところから出題されていたとの声があるが、伊丹の授業の進行状況に合致したものだったのか。本来学力テストとは、子どもが教わった内容をどの程度理解できているかを調べ、一人一人のつまずきをつかみつつ、教え方の点検をするもの。全国一律レベルでの調査で、しかも1回のテストの結果だけで十分信頼のある結果が出ていると考えるか。結果が一人歩きしないようにすることが大事と考えるが。

A      児童・生徒本人に結果はどのように伝わるのか。問題用紙と答案は返してもらえて自分で何ができて何ができなかったのかわかるようになっているのか。

B      今後同様の学力テストを続けるのか。まだ分析をされていないので結論はまだかもわからないが、定期的に行うことが結果として点数を上げるための競争をあおることになりかねないが。

C      結果の公表はするのか。するとすればどの程度の公表を考えているのか。東京都荒川区では、学校別の平均点まで公表され、まさに競争をあおるものとなっているが。このようなことは子どもの励みになるどころか、逆効果になるもの。

D      今後授業の改善に生かすとされているが、どんな分析をされ、どんな方法を考えているのか。「学力向上」という観点から。


 

3、学校における障害児に対する介助員の配置について

1)必要とされるすべての障害児に介助員の配置を。

近年保護者の要望もあり、障害児が通常学校に入学する数が増えている。教育委員会としては、基本的に保護者の意向を重視し、これを認めている経過がある。しかし自立しての移動が困難な児童・生徒の場合が多く、通常学校で学ぶためには介助員が欠かせない。

現在市内小・中学校における障害学級は54学級、児童・生徒数は180人。

教育委員会はこの間、介助員を一定数増員してこられ、今年度当初で13名、途中で1名の増員で14名とされている。来年度も何人かの障害児が新たに入学する学校があると聞いているが、必要とされる学校に必要な介助員が確保されるのか。毎年いわゆる「取り合い」が年度末に行われるとの話があるが、そういうことにならないようにすべきである。

合わせて、障害児の入学時に合わせてエレベーターの設置を行うとの答弁がなされてきたが、トイレの改造もあわせて条件整備は完了できているのかも含めてお尋ねする。

 

 2)LD、ADHDへの特別支援介助員の配置を。

   特別支援教育の件については、教育委員会は来年度、「特別支援教育相談室」を設置されることになる。個別支援計画作成のためコーディネーターの基礎研修をはじめ、個々の相談に応じるため、心理士などの人的配置を行うとされている。人的配置としては不十分と思うが、一歩前進するものと評価したい。

   この間、LD、ADHD、高機能自閉症などの子どもたちに対する見方が大きく変わった。今まで本人の努力不足や親のしつけとして片付けられることが多く、本人が自信を失ったり、保護者や教員は周囲から子育ての指導が悪いからだと責められて自信を失ったりしていたことが、「軽度発達障害」としての理解がある程度進み、その子どもが背負っている悩みを受け止めて、一人ひとりのニーズに合わせた特別支援教育によってこれらを防止することが求められるようになってきた。

   子どもは一人ひとり個性があり、障害についての理解をさらに深めるとともに、その子どもの悩みを受け止めて、ていねいにかかわる大人が必要。いまの教育現場では、兼任のコーディネーターには荷が重過ぎるのではないか。いま全面的に必要な人的配置とまでいかないにしても、尼崎市明石市での特別支援介助員配置や、神戸市での特別支援教員として大学院、学生、内地留学生の配置などの例があるとおり、伊丹市でも検討すべきと思うが見解を伺いたい。

 

 

(2回目のメモ)

1、障害者自立支援法案

      1割の応益負担にすることに対して、東京大学の福島助教授は「無実の罪で収監された刑務所からの保釈金の徴収に等しい」と強烈に批判した。福島さんは、ご自身がまったく目が見えない、耳が聞こえないという全盲ろうの障害者。障害者は行動の自由やコミュニケーションの自由が奪われることを、無実の罪で刑務所に入れられているような存在にたとえ、個人の力や責任を超えた困難な状態に置かれた障害者が、生きる上で基本的な自由を保障するための支援に利用料を求めるのは、刑務所から解放されるための保釈金と同じではないか、ということを述べたのである。まったく同感。

      もともと障害者にとっては、外出支援や入浴支援など生活支援サービスは、生きていく上で不可欠の支え。これを「益」とみなし、「受けたサービス料に応じた負担」を強いるなら、歩くことや家の中で移動することにも「金を払え」というに等しい。

      今回「自立支援」のための法案という形で提案したが、この間の障害者の所得保障はまったく前進していない。障害年金受給者の9割が障害基礎年金しか受け取っておらず、その月額平均は、7万6,300円。生活保護水準を下回るような基礎年金なのに、物価スライドで逆にこの5年間でいうと下がっている。

      障害者の雇用率も改善していない。作業者や授産施設の工賃なども、不況で大変厳しい事態。

      障害者の人権を預かる市長や部長として、最後の勤めと思って政府に強く中止を求めるべきである。

2、学力テスト

      答案用紙は返ってこない? 結果に基づき一人ひとりの子に指導することができないのでは。―― 目的が違う?

      教師は出題内容や設定された「目標値」が妥当なのかどうかの検討は?

      子どもの学力は、本来、各学校がそれぞれの教育活動に則して把握し、授業に生かしていくもの。実態を科学的・客観的に把握する調査は必要だが、あくまで子どもの基礎学力をどう保障するかという目的でやるもの。

      そのためには、すべての子どもに教師の目が行き届く少人数学級の実現、授業研究・研修時間を十分保障する体制。

      なぜ学力が低下しているのかの原因は?学力とは何かという問題。

      厳しい受験競争など競争教育の中で、子どもの発達と成長を無視した詰め込み教育。その中で、2002年、文部省の一斉学力テストのなかで行った学習に関する意識調査で明らかなように、勉強が好きと答えた子供で学年が上がるに従って少なくなる、授業がわかると答えた子どもも同様の回答となっていること、また家での勉強時間の減少など、「学校知識離れ」が起こっている。

      これは、学習の中身や意味、自分たちが参加して課題を解明していくような学習など、「勉強」の魅力を実感できなくしていること。

      OECDの国際的な学習到達度調査(PISA)でトップの成績を上げたフィンランドに注目が集まっている。フィンランド科学アカデミー外国会員の中嶋博・早稲田大学名誉教授が、OECD主催の講演で詳しく述べている。


 

3、障害児に対する介助員の増員について

      市内小・中学校における障害学級は54学級、児童・生徒数は180人。介助員が14名。しかも重度の障害者が入学してくるケースが増えている。介助員の中からも、教職員の中からも、「とてもやっていけない」という声が出ている。

      一昨年の決算委員会の答弁では、「基本的には必要な状況である、全体的に見て必要である場合については、配置をしていこうということの考え方が我々その配置基準であるというふうに理解をしております」と。当時の記録を見ると、学校から申請があったのが16名で配置は10名。ある学校では障害児の児童数も状態もまったく変わっていないのに、他の学校のほうが重要との理由から介助員がはずされた事例から、結局は必要とする学校が基準ではなく、財政が基準となっていると質した。そのときの答弁。

      現在来年度の介助員に関してヒヤリングが行われている。財政の枠が決まっていることから出発することのないように。真摯に介助員や教職員の実情を受け止め、必要な増員を図るべき。

      これは、憲法と教育基本法に基づく、すべての子どもの教育を受ける権利を保障する上で、さらに障害者を持つ人々の「完全参加と平等」を推進する上でも重要なこと。