3月議会に提出された請願書に対する討論

中村孝之議員

@自衛隊中部方面隊・第3師団からのイラク派兵中止の意見書採択を求める請願書
A「教育基本法の理念を生かすことを求める」国への意見書採択を求める請願書
B日本国憲法の人権規定を今こそ全面的に実質化させ自由と平和等、国民の生命とくらしを守る実効的な措置の実施を求める請願書
C「市場化テスト」や「給与構造見直し」に反対する意見書採択を求める請願書
D「人権侵害の救済に関する法律」早期制定の意見書提出を求める請願書

 

 

   ただ今、議長より発言の許可をいただきましたので、私は日本共産党市会議員団を代表いたしまして、請願第1号、第2号、第3号、第4号に賛成し、請願第5号に反対する立場から討論を行います。

はじめに、請願第1号「自衛隊中部方面隊・第3師団からのイラク派遣中止の意見書採択を求める請願書」についてであります。

  米国によるイラク侵略戦争開始から2年を過ぎました。多くの犠牲者を生んでいるイラクへのアメリカの一方的な先制攻  撃、この最大の口実だった大量破壊兵器が存在しなかったことが明白になり、先制攻撃の大義を失った米国の軍事支配は、「治安維持」も「復興支援」もはたせず、完全に行き詰まっています。

治安は悪化の一途をたどり、米兵の死者は(一月末現在)1,436人、多国籍軍全体で1,607人にも達していますが、イラク派兵が何の正当性も持っていない中で、これまでイラクに派兵した国は、国連加盟国191ヶ国中37ヶ国であり、そのうちすでに11ヶ国が撤退を完了し、さらに撤退を表明・検討する国も相次ぎ、併せて19ヶ国になっています。

  日本の世論も、昨年末の日経新聞による調査のとき、政府によるイラク派兵一年延長決定に対し、反対する人が過半数(54%)を占めていたことにも示されていますが、派遣は中止すべきであります。

今年5月には、伊丹市に司令部がある陸上自衛隊第3師団を中心に、派兵を強行されようとしています。伊丹市民の中からイラクの人を殺し、あるいは殺される自衛隊員が出ることも予想され、多くの家族の方々が心配されていることもあり、なお更のことであります。

自衛隊のイラク派兵は、アメリカのイラク攻撃・占領を認め、さらに軍事的に援助することとなっており、これはまさに憲法違反の暴挙であります。以上の理由により請願の願意は妥当であり、賛成するものであります。

 

次に、請願第2号「教育基本法の理念を生かすことを求める国への意見書採択を求める請願書」についてであります。

今日子どもを巡る環境は深刻です。請願趣旨にも触れられていますが、母親は、「子どもが毎日通う学校は楽しいところであって欲しい、どの子も勉強がわかるようにして欲しい、何よりも平和な社会であって欲しい」と願い、また、相次ぐ痛ましい事件や依然として多い「不登校・登校拒否・いじめや学級崩壊」などに心を痛めています。

しかし、政府・自民党・文部科学省などは、今日の「教育危機」の原因が教育基本法にあるとして、教育の憲法である教育基本法を全面改正しようとしています。

その改正の理由として、愛国心・国への忠誠などの徳目がないとか、日本の歴史・伝統・文化が欠落している、外国の占領下で制定された、50年たち現状とかけ離れている等としていますが、今日の憲法改悪の動きと連動したものであり、人の命を奪う戦争をすすめるための教育への道を歩むようなことは、絶対に許せるものではありません。

国連子どもの権利委員会が異例の警告を発しているように、受験中心の競争教育や、暴力やポルノなどに子どもが無防備にさらされている文化の現実こそ、解決すべきであります。

1947年に制定された教育基本法は、戦前の「忠君愛国」の教育を反省して、国民のための教育をめざし制定されたものであり、その中心は、「人格の完成をめざし」「平和な国家及び社会の形成者」を育てることを教育の目的としたことです。

即ち、子どもは教育を受けることによって、学力や技術、体力、情操を身につけ、人間らしくなるということで、誰もがその権利を持っているとしたのです。

教育基本法は古いどころか、世界人権宣言や国際人権規約、子どもの権利条約など、国際的な教育の流れにつながるものであります。この精神を生かすことこそ、今日の教育の荒廃・危機を打開するうえで一番重要だと思います。

今こそ見直すべきは教育基本法をないがしろにしてきた教育行政であります。請願者の願意は妥当であり、賛成するものであります。

次に、請願第3号「日本国憲法の人権規定を今こそ全面的に実質化させ、自由と平等、国民の生命と暮らしを守る実効的な措置の実施を求める請願書」に賛成し、請願第5号「「人権侵害の救済に関する法律」早期制定の意見書提出を求める請願書」に反対することについてであります。

 

2002年3月、国会に提出された人権擁護法案は、法曹界、言論・報道界をはじめ、人権にかかわる多くの分野から疑念と批判が出され、参議院において三度におよぶ継続審議の上、2003年10月に廃案となったものであります。

廃案となった理由の一つは、人権侵害を調査・救済する人権委員会を法務局の外局として設置するとしたことが、国連が示す国内人権機構の在り方(パリ原則)とは異なるものであり、公権力からの独立性の保障がないと、国内外からの強い批判を受けたこと。

さらに、公権力と社会権力による人権侵害を事実上除外するものとなっており、最も必要性の高い救済ができないと指摘されたこと。また、報道によるプライバシ−侵害を特別救済手続きの対象としており、表現・報道の自由と国民の知る権利を奪うことになるとして、報道界から強い反対を受けたことであります。

また、「人権」や「差別」についての明確な規定なしに、「差別言動」を「特別救済手続き」として規制の対象としたことが、国民の言論・表現活動への抑圧であり、憲法に抵触するとの批判を受けたことなどです。

  人権侵害救済は、本来的には司法(裁判)による解決を基本としますが、HIVやハンセン病の問題、企業における女性差別や思想差別、障害者差別、あるいは刑務所での暴行致死事件など、基本的人権を侵害する事態が相次いで起こされたことに見られる通り、救済の緊急性が求められることから、真に国民の人権を擁護する新たな機関は必要です。

人権侵害を効果的迅速に救済する法律を新たに求める場合、先に廃案となった人権擁護法案の問題点を指摘し、改めさせていく立場を貫く必要があります。

請願第5号の請願理由を見ると、「パリ原則」にのっとって政府からの独立についてはふれていますが、人権擁護法案の廃案理由の解決とはなっておりません。

また、人権侵害の禁止を差別言動、虐待、差別表現行為に限定しており、人権を国民間の差別問題だけに矮小化し、逆に憲法の人権規定を侵すものであり、認めることはできません。

請願第3号で述べているように、いま大切なのは日本国憲法の基本的人権を尊重する具体的な実効ある措置の実施であると考えます。以上の理由により、請願第三号に賛成し、第5号には反対するものです。

 

次に、請願第4号『「市場化テスト」や「給与構造見直し」に反対する意見書採択を求める請願書』についてであります。

政府は、2004年4月に設置された「規制改革・民間開放推進会議」で、「市場化テスト」の導入を打ち出しましたが、その後、「官」から「民」への事業移管を急速に進めようとしています。

「市場化テスト」とは、推進会議の説明では、公共サービスの提供について「官」と「民」とで競争入札をさせ、価格と質の面で優れたほうが落札し、当該サービスを提供していく制度となっています。

この推進会議は昨年10月、国の事業から先行するとして、先ずハロ−ワ−ク(公共職業安定所)業務を「市場化テスト」のモデル事業の対象にするとしています。

このネライは、指定管理者制度等では制約や限界があるので、「市場化テスト」が可能な新しい法律を制定して、従来の法規制を次ぎづぎと緩和し、「官」と「民」を競わせ、国・地方自治体の公共サービスを営利企業にゆだねる手段として導入し、行政コストを下げていこうとするものであります。

この市場化テストの導入は、国民・住民の基本的人権の保障のために、公共の責任で実施されてきた国・地方自治体の事業を、財界・大企業がねらうビジネスチャンスにさらすもので、特定企業のビジネスの道具にされるおそれがあります。

また、住民サービスの低下・特定業者と政府・地方自治体との癒着のおそれ、また雇用問題など重大な問題があります。

また、政府・人事院は、国家公務員の地方勤務の賃金を民間賃金より高いとして、同一の職務には同一の賃金を支払うという職務給原則を事実上踏みにじろうとしています。これは職員の士気を低下させ、人材確保を困難にするものであり、また民間賃金の引き下げへの連鎖をもたらし、地域経済をいっそう深刻な状況にするものです。

以上の理由により、願意は妥当であり、賛成するものであります。議員各位のご賛同をよろしくお願いいたしまして討論とします。