2003年9月議会 個人質問

日本共産党伊丹市議団 上原秀樹

 

1、学齢期の肢体不自由児に対するリハビリ支援について

 伊丹市では、就学前の肢体不自由児に対する療育に関して「肢体不自由児通園施設きぼう園」を設置され、積極的に障害児施策に取り組んでおられることに対して一定の評価をしているところであります。

しかしながら、就学後によって、それまでの「福祉」という行政区分で対応していたこどもが「教育」へ移り、そのこどもや保獲者に対するフォローが、行政区分の変化によって切れてしまっているのが現状です。

 肢体不自由児と言いましても、その原因や症状は様々であり、成長とともに体の状態や生活パターンによって変化していくことから、症状に応じた専門的な訓練やアドバイスが必要であることは言うまでもありません。

 伊丹市における肢体不自由児に対するリハビリの現状を見ましても、一般的には乳幼児健診などで早期療育が必要であると判断をされた場合、「きぼう園」で外来指導を受けながら経過を見た後、リハビリの必要があると判断されれば、「きぼう園」に通園してリハビリを受けることになります。しかし、「きぼう園」を卒園すれば、市内では専門家によって継続的にリハビリを受ける場はないのです。そして、そのこどもが再び「福祉」の対象として、「アイ愛センター」でデイサービスやリハビリを受けられるのは18歳ということになります。この「きばう園」卒園から18歳に達するまでの肢体不自由児に対するフォローが、あまりにも希薄でないかという観点から、その対応について当局並びに教育委員会の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 

 まず1点目でありますが、「きぼう園」では外来訓練という形で、リハビリを希望する卒園児等のフォローを実施されています。これは入所児のリハビリが終了した後に、学校などから帰った卒園児等が「きぼう園」に出向いてリハビリを受けるというものであり、希望者が多くいらっしゃることはご承知の通りです。

 こうした状況であるにもかかわらず、「きぼう園」の現状は定員40名の入所児のリハビリで手一杯であり、卒園児等の待機が経常的になっていることや、リハビリを受けられるようになっても回数が10回程度で終了し、その後リハビリを受けたくても、また順番待ちをしなければならない状況であります。当局はこの現状をどのように認識され、どのような対応を考えておられるのかお聞かせをいただきたいと思います。

 

 2点目でありますが、「きぼう園」の卒園児など市内の肢体不自由児を受入れておられる「伊丹養獲学校」ならびに地域の学校でのフォローについてお伺いをいたします。

 伊丹養獲学校では多くの教諭が配置され、日々こども達の成長・療育に努力されているところでありますが、就学前の「きばう園」のように専門の療法士は配置されておらず、普通学校の教諭免許を持った教諭が、赴任後にベテラン教諭からの知識や経験または研修などによって、リハビリについての知識や方法を学びながら対応されている現状とお聞きしております。したがって、「養獲学校」では独自の方法でリハビリが行われていると判断をいたしますが、こども達の発達支援を考えると「養護学校」と就学前の福祉施設等との連携が十分に図られることが就学児童の療育効果を高めるものと思いますが、現状と今後の対応をお聞かせください。

 また、「養獲学校」以外の地域の学校に進学した場合は、もちろん学校にはリハビリの専門家はおられませんし、外部からのフォローを受ける機会もなく、担当教諭や介助者に保護者がポイントを伝えて授業にリハビリの要素を取り入れてもらうのが現状です。こうしたことも重ねて見解をお聞かせください。 

 

次に、「養獲学校」や「地域の学校」に通学する児童が、専門的なリハビリを受けたいために、市外の訓練施設に通っている現実も多々あることのご認識をいただきたいと思います。

 また、肢体不自由児は、下肢を安定させるための装具や座位を保持する机や椅子、車いすなどをオーダーメードで作成しなければなりません。「きぼう園」在園中は、外来の整形外科医の診断に基づいて発注、作成したものを届けてもらうことができるのですが、卒園すると、リハビリと同じようにこどもを連れて専門病院に出向き、診断書を書いてもらって作成してもらったものを持ち帰るという煩わしい仕事が増えることになります。

 こうした学齢期にある肢体不自由児のリハビリをはじめとする支援は、ボッカリと穴の開いたような状態であり、児童はもとより保獲者の相談や支援の拠点となる施設を作ってほしいというのが切実な願いであります。景気が低迷し、財政事情が厳しい折、新たに施設を建設するということは困難であることから、学齢期にある肢体不自由児のフォローの多くを担っておられる「養獲学校」や「総合教育センター」などで支援機能を発揮できないものか、教育委員会の所見をお伺いいたします。

 

最後に、現在、障害者計画の策定に向けた取り組みをされていますが、こうした学齢期にある肢体不自由児に対するフォローをどのように認識され、どのように計画に反映されようとしているのか、当局のお考えを伺うものであります。

答弁 @本年度、関係機関や医師、学識経験者等で構成する「療育支援研究会」を立ち上げた。この研究会で検討し、課題解決していく。伊丹市障害者計画にも盛り込んでいきたい。

A養護学校では、福祉におけるリハビリテーションに替わる「自立活動」を行っているが、性質が異なっている。通常の学校においても、ここの児童に合わせて「自立活動」を組み込んでいる。学齢期のリハビリテーションについては、人的、物的整備を含め、市民福祉舞踏、関係部局と調整しながら研究していきたい。

2回目の質問で、現在障害児が保護者とともに市外の専門医に診察に出かけたり、装具などをわざわざ専門医の診断で発注し、受け取りに行かなければならない状況を解決する事を求めたところ、できるだけきぼう園で行っていくとの答弁がありました。

 

2、特別支援教育のあり方について

文部科学省の調査研究協力者会議は、3月28日「今後の特別支援教育の在り方について」の「最終報告」をまとめ、LD・ADHD・高機能自閉症などの障害を持つ「特別な教育」の新たな対象者を含む、これからの教育のあり方について提言しました。
 これまで通常学級の中で、「切れやすい子」「集中力が続かずすぐにふらふらしてしまう子」「他の学力は問題がないのに、たとえば話を聞き理解する力だけが極端に苦手な子ども」など、「気になる子」の問題が話題になり、その中には、本人の努力や、生育環境や、担任の教え方の問題ではなく、障害を持ち特別な教育的な手立てを必要とする子どもたちが大きな比重で存在すると考えられてきました。文部科学省は今回、これまで障害児教育の対象としてこなかった、LD・ADHD・高機能自閉症などの障害児が通常学級に約6パーセントの比率で在籍している可能性があること、その教育的対応が重要な課題であることを言明したものであります。この点では一定の前進を評価するものであります。

しかし最終報告は、「これまでの特殊教育は、障害の種類や程度に対応して教育の場を整備し、そこできめ細かな教育を効果的に行うという視点で展開されてきた」が、児童生徒が増加し障害も多様化しているので、これからは「一人一人の教育的ニーズに応じて特別の教育的支援を行う『特別支援教育』への転換を図る」とし、新たな支援体制を整備することにしています。

6月議会でもこの問題での質問がなされ、答弁もされているところでありますが、いよいよ伊丹市でも全学校でモデル事業としてスタートすることから、改めて「特別支援教育」のあり方、並びにモデル事業についてお聞きしたいと思います。

 

はじめに、「特別支援教育」のありかたについてであります。

1に、人員の配置、施設や設備の整備等についてでありますが、「最終報告」を見る限り、国としては新たな人的配置や施設設備の予算化ではなく、これまでの障害児学校・学級の人的・物的資源の再配分、「教育のリストラによる体制づくり」の方向を強く打ち出している問題があります。

小中学校における「固定式の特殊学級の見直し」と「特別支援教室」という構想では、これまでの特殊学級の児童・生徒も通常の学級に在籍し、教諭は、LD・ADHD・高機能自閉症などを含め、すべての障害児一人一人のニーズを把握し、個別の教育支援計画を策定すること、そして必要な時間のみ「特別支援教室」の場で特別の指導を受けることになるというものであります。

しかしこれでは、40人学級の枠の中で、すべての障害者のニーズを掌握することなど不可能に近いのではないでしょうか。特別支援教育コーディネーターも新たな人員配置は考えておらず、既存の教諭への校務としての位置付けがされるだけであります。特別支援教室も誰が担うのか明確ではありません。学校全体で支援するといっても、新たな配置ができなければ無利としかいいようがありません。

また、養護学校は、地域の小中学校における教育について支援を行うなどにより、地域における障害のある子どもの教育に関して、中核的機関として機能することが必要とされているとしています。しかしここでも新たな人員増がない中で、教育的機能を削りながら、地域のセンターとしての機能が新たに要求されることになるのではないかと危惧するものでありますが、教育委員会の見解を伺うものであります。

 

2に、「中間まとめ」が公表されて以来、固定式の障害児学級の存続や、障害種別の学校を存続させ専門性を確保する事などが強く要望されていた問題であります。

障害児学校や障害児学級等には、教科学習の遅れ・困難や障害への対応など、通常教育に不足する部分的なニーズを補うだけでなく、一人一人の豊かな成長・発達のために全面的に特別なカリキュラムを必要としてきた子どもたちが学んでいます。子どもたちは障害を持っていても、人間として発達する権利や、常に学びの主体として学習する権利を持っており、これを保障してきたことが、いままで築いてきた憲法・教育基本法に基づく障害児教育の到達点でもあります。

最終報告での「できるだけ自らが在籍する学級において他の児童生徒と共に学習し、生活上の指導を受け、障害に配慮した特別の教科指導や障害に起因する困難の改善・克服に向けた自立活動といった特別の指導が必要な時間を、この特別支援教室において担当の教員等から指導を受けることになる」との教育は、特に兵庫県は障害児学級を率先して増やした経過もあり、これまでの障害児教育と本質的な違いを持つ事が懸念されるところです。教育委員会の見解をうかがうものであります。

 

次に具体的に市内小中学校におけるモデル事業について伺います。

 本市では2001年度、2002年度の2年間、緑丘小学校を兵庫県LD等調査研究協力支援事業の研究校として指定し、研究に取り組んでこられましたが、本年度から2年間計画で、市内全小中学校に校内委員会を設立し、各校に在籍するLD・ADHD・高機能自閉症などの学習障害児の実態把握や、その指導、支援のあり方について、支援体制の整備に努めるモデル事業を行おうとするものです。

 そこで1に、今回のモデル事業は、年度途中の事業であり、新たな人員配置もない中で開始しなければならない問題です。各学校では現在でもさまざまな問題を抱え、教職員は多忙を極めています。その中で「校内委員会」が設置され、その代表としての「特別支援教育コーディネーター」が指名されますが、その役割は担当教職員への指導・助言、教育委員会や福祉・医療機関等との連絡調整であり、しかも新たな研修を受けながら指導にあたらなければなりません。新たな人員配置が必要と思われますが、見解を伺います。

 2に、モデル事業が開始されるまで、各学校でどれだけの議論がなされたかという問題です。伊丹市では9月末までに校内委員会の設置を報告することになっていますが、各校校内で議論する時間は保証されたのか、校内医院の校務との調整はできるのか、さらにモデル事業を行うことが保護者にどれだけ説明がされたのかお伺いいたします。

答弁 @大切な事は、児童が受けていた特殊教育での指導時間が減少されないようにする事が肝要と考える。

Aモデル事業については、各校で「最終報告」を配布して研修を進めるよう指示した。今後保護者に対する啓発を行う。

B「特別支援コーディネーター」や「校内委員会」の設置については、既存の「就学指導委員会」を母体にしての設置をお願いしている。

C国県に対して、教員定数のみならず、作業療法士、言語療法士等の配置を含め、より効果的な人的配置ができるように強力に要望する。

D市教育委員会として、嘱託職員等の職種や定数等の見直しを行うなど、手立てを模索していきたい。

2回目の要望として、障害児に対する教育のあり方そのものを変えようとしており、文部科学省が言ってきた事の研修にとどまらず、かかわってきた教職員、保護者も含めて議論し、そのナマの声を上にあげてほしいこと。個人的な意見として、30人学級を実現する事、特別学校、学級を残し、教職員の定数を増員して、新たな障害児の教育にあたることを要望。

 

3、「公私協働」の市政運営とNPOについて

 財政健全化計画で、「費用対効果の面から民間等へ委託したほうが効率的な事業について民間委託を進める」としたことについては、6月議会でも、特に社会教育施設を取り上げ、教育行政責任の元に設置された施設は公が管理運営するのは当然であると、さまざまな観点から指摘をしたところです。

 今回は、NPOが委託先に予定される場合についての見解を伺いたいと思います。

 保健・医療・福祉、社会教育、文化、環境などさまざまな分野で、NPOの活動が注目されています。これらの運動に自主的に参加し、社会のことを考え、貢献したいという市民運動の潮流が各地で発展していくことは、日本社会の進歩にとって、積極的な意味を持っていると思います。「NPO情報ネットワークセンター」のホームページでは、NPOの5つの定義を紹介しています。それは@利潤を配分しないことA非政府、つまり政府の一部でないことBフォーマルであることC自己統治していることD自発性の要素があることです。

 このようなNPOが自治体とさまざまな分野で交流し、議論を重ねながら地域の発展に結びつけていくことは大いに進めるべきものであります。

 ところがこのNPO法人に、自治体の公的部門を委託することに関しては疑問があります。

 伊丹市の財政健全化計画における事業の民間等への委託は、事業の効率化と財政の削減が目的です。内容にもよりますが、その目的のためにNPO法人に公共施設の管理運営を委託するということは、先ほど紹介したNPOの5つの定義と矛盾するところがでるのではないかということです。すなわち、NPOを行政に変わる新たなサービス提供主体として活用することは、本来自由で主体的な判断、運動を活動の中心に置くはずのNPOであっても、一部ではあるにせよ行政が設定した枠組みの範囲内で、安価なサービスを提供するという、いわば「行政の下請け」機関になってしまうのではないかということです。

 このような手法はとるべきではないと思いますが、当局の見解を伺うものです。

答弁@NPOへの委託に関しては、民間委託の方針に加え、これからのまちづくりの重要な取り組みの方針。けっして安価なサービスを提供する下請け機関ではなく、それぞれの主体性と自発性をもとに、対等平等の関係で行う。

2回目に、公民館などで様々な講座をNPOなどと協力して行なうことを否定するものではない。公共施設を委託する事は、議会の関与がなくなることになるなど、問題点は多いことを指摘。