2002.6月議会 一般質問    上原秀樹議員  

1、有事法制3法案に対する市長の見解を問う
 1)法案による地方自治体と市民の「戦争協力」の内容をどのように認識されているのか。
 2)市長として法案に対する反対の意思表示を。


2、伊丹病院における財政健全化と薬剤費について
 1)診療報酬改定における薬価引き下げの影響は。
 2)伊丹病院における先発薬品と後発薬品はどうなっている のか。

1、有事法制3法案に対する市長の見解を問う

 「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」の有事法制3法案が国会で審議中。地方自治体と市民生活に重大な影響を及ぼす法案であることから、あらためて市長の見解を伺いたい。

国会での審議のなかで法案の危険性とともに、法案を審議している国会議員にも答弁している政府にも明らかにしなければならないことが明らかにならないことが明らかになってきた。

5日には鳥取、仙台両市で公聴会が開催された。鳥取市では今国会での成立を求めたのは7人中1人だけ。片山鳥取県知事は、「都道府県知事が何をすればいいのか、何ができるのかちゃんと明確にしてほしい」とし、「議論は不十分だ」と述べている。仙台市では8人が陳述し、「法案の中身が国民に知られていない」という意見が共通している。

NHKが10日に放送した6月世論調査では、「今国会で成立すべきだ」は8%に過ぎず、「今国会にこだわらず十分審議すべきだ」が70%、「廃案にすべきだ」が17%で、あわせると9割近くが今国会成立に反対という結果。

では有事法制3法案とは何か、明らかとなったのは。

@        政府は、他国からの日本への武力攻撃を想定し、「備えあれば憂いなし」などといっている。しかし実際に有事法制の研究に携わっていた竹岡勝美元防衛庁長官官房長は、「周辺隣国に一方的な対日侵攻の意図など全く見えないのに、今なぜ騒ぐのか」と疑問を呈しているとおり、日本への武力攻撃など考えられない情勢であることは明白。なぜ今法制化を急ぐのか。アメリカのブッシュ大統領は、「今年は戦争の年である」といい、イラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」として先制攻撃も辞さないことを公言している。このアメリカの戦略から、アーミテージ国務副長官は日本に対し「新ガイドライン」の具体化をあからさまに求めてきていた。すなわち有事法制制定の目的が、このアメリカの行う介入戦争に日本が参戦協力することにある。

A        法案が、海外での自衛隊の武力行使にはじめて公然と道を開くもの。「武力攻撃事態法案」は、武力攻撃が発生した場合だけではなく「おそれのある場合」「予測される場合」にも自衛隊が武力の行使などができる余地を残している。しかしこの問題では政府の答弁が支離滅裂で、統一見解も出せない状況。

B        アメリカの戦争への参戦のためには、憲法を停止し、国民の人権や自由を踏みつけにして強制動員する戦時体制をつくるもの。

 こんなひどい法案だからこそ、全国の自治体の首長は反対や懸念の意見表明をしてきている。 

高知県橋本知事 「政府に白紙委任はできない」

長野県田中知事 「国残って民滅ぶ」といって反対を表明

国立市長 小泉首相に42項目の質問状 「首長が市民の生命、財産を守るため戦争協力拒否した場合は、当該自治体及び首長に対してどのようなことが起こるのと想定されるのか」など。

九州地方知事会は5日、国と地方の責務・役割分担の明確化や、地方自治体の意見の尊重などを求める特別決議を採択した。

自治労連が行っているアンケートでは、5月23日現在474の自治体首長から回答が寄せられている。その内容は、70.3%が慎重審議を求め、明確に反対を表明した首長が11.6%。その意見メッセージのなかでは、「この法案には問題がある」と反対表明、「私権の制限、自治行政行為の制限など原初的権利を制限するものであり、広く国民の合意が得られる内容とすべきであり、慎重な取り扱いを求める」など・・・。

いったい、地方自治体にどんな役割を担わせようとしているのか。武力攻撃事態ともなれば、政府機関のみならず、地方自治体や指定公共機関に対処措置の実行が義務付けられ、国民にも対処措置への協力義務が課せられる。

地方自治体の責務に関する問題で、法案では「地方公共団体は、必要な措置を実施する責務を有する」(第5条)とされている。また「所要の措置が実施されないときは、内閣総理大臣は、地方公共団体に・・実施を指示する」(第15条)ことができ、それでも措置が実施されないときや必要と認められるときには「・・自ら対処措置を実施し、または所管の大臣を指揮してこれを実施させることができる」(第15条の2)とされ、「代執行権」も明記している。また自衛隊や米軍のために、住民の土地等の使用、業者の物資保管命令、施設等の収容、民間人の業務従事命令などを行う「公用令書」交付の事務が自治体に強要される。

しかし地方自治体は、憲法第92条「地方自治の本旨」に基づき、住民意思に基づき住民の生活を守ることを本来の任務とし、「地方自治」が保障されている。また地方自治法第1条の2、第1項では「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」とされている。有事法制はこの地方自治の本旨、自治体の役割を真っ向から踏みにじるものであることは明白。

このような憲法と地方自治法を無視した悪法に対して市長は黙っていてよいはずがない。

特に伊丹市は陸上自衛隊中部方面総監部があり、大阪空港とともに有事ともなれば真っ先に戦争の拠点となり、市長は政府の指示に基づき県とともに伊丹市民をアメリカの介入戦争に動員することになる。

有事法制3法案に対し、市長として明確に反対の意志を表明すべきである。市長は、この法案による地方自治体と市民の「戦争協力」の内容をどのように認識されているのかを含めて、見解を伺うものである。

市長の答弁趣旨

今回の法案は、危機管理法と認識している。国家の安全保障の問題であるが、国会の慎重審議を求めるとともに、自治体に対して十分な説明を行うように求めている。

再質問

     市長は地方自治法の条文 地方自治法第1条の2、第1項「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」に基づき市政を運営するもの。「住民の福祉の増進」どころか市民の命と財産が脅かさせようとしている法案。きっぱりと有事法制自体に反対を表明すべきである。

     伊丹市第4次総合計画にも、「20世紀は、第2次世界大戦をはじめ『戦争の世紀』であったが、21世紀は人類が直面する問題を市民の主体的取り組みによって解決する『平和の世紀』としていかなければならない。」と・・・

     21世紀を「平和の世紀」にする上での市長の立場が大事。

 

2、伊丹病院における財政健全化と薬剤費購入について

政府は今国会に医療改革法案を提案し、国民の医療費負担を大幅に引き上げようとしている。日本共産党はこの間、この国民の命綱を断ち切る空前の大改悪は直ちに中止することを求めるとともに、だれもが安心できる医療制度にするための3つの提案をしてきた。その一つが削られた医療保険への国庫負担割合を計画的にもとに戻すこと、二つ目に高い薬価そのものを適正な価格に引き下げること、三つに国・自治体をあげて病気の予防、早期発見と早期治療を保障する態勢を確立するということ。

今回の質問では、国民医療費に占める割合が25.9%(96年度)となっている欧米に比べて高すぎる薬剤費について、伊丹病院の財政健全化のかかわりで伺いたい。

日本共産党は97年の国会で、日本の薬価が欧米諸国と比べて2倍から4倍も高い、とりわけ効き目は従来薬とほとんど変らない「新薬」の価格が異常に高く、使用比率も異常に多いことが、日本の薬剤費を吊り上げている元凶であり、これをただせば2兆円から3兆円の節約ができると指摘してきた。その後医療費に占める薬剤費の比率は、当時の30%から20%程度に下がったが、その要因は、そのほとんどが「薬価差額」といわれるもので、この5年間で薬剤費が1兆2000億円減少しているが、そのうち8000億円が「薬価差額」である。「薬価差額」というのは、診療報酬で決められている薬の公定価格と、医療機関の実際の購入価格との「差額」のこと。医療機関の収入がそのぶん減ったことを意味しているだけ。しかし高すぎる薬価の本体、それを作り出している「新薬シフト」、大手製薬メーカーのぼろもうけの構造は変っていない。すなわち承認後9年の「新薬」の割合をみると、ドイツでは約10%、日本は約40%。さらに日本の場合は、薬価の下がった薬の代わりに、効き目は従来薬とほとんど変らないものを「新薬」といって承認し、高い薬価をつけさせる。

こうゆう日本独特の薬価の構造が伊丹病院にどんな影響を及ぼしているのか。

ひとつは、今年の診療報酬改定では、2.7%引き下げが行われ、そのうち薬価については1.3%の引き下げが行われた。伊丹病院において、この影響はどうなっているのかということ。 

ふたつには、伊丹病院での新薬、先発薬品と後発薬品の問題について。

7日には衆議院で日本共産党の児玉議員が、「高すぎる新薬や先発薬品に対し、安く販売されている後発薬品の使用を高めれば、医療費を確実に軽減できる」と指摘し、全体で1兆円程度の医療費が節約できるという試算を示した。坂口厚生労働大臣は、「できるだけ努力していく」と答弁、川村国立病院部長は「国立病院での後発品の使用推進へ、通知を出したい」と述べている。

伊丹病院でも健全化計画の下で、赤字解消に努力されているが、薬価の問題はその重要な要素の一つと考える。

そこで、伊丹病院では、先発薬品と後発薬品はどれくらいの割合なのか。また、先発薬品と後発薬品についてどのような認識をされているのか、それぞれ伺いたい。

答弁趣旨

@診療報酬の改定による薬価の影響は、実質6.3%のマイナスであり、金額にして1億2700万円となる見込み。

A全薬品1600品目の内ほとんどが先発薬品。

再質問

  日本は欧米に比べてこの新薬の使用が多く、このことが医療費を引き上げる原因となっている。昨年7月の経済産業省の試算では、薬剤比率を欧米並みの16%に引き下げれば約14500億円も医療費削減ができると。今回の医療費引き上げ分以上の節約になる。

     伊丹病院でも後発品がありながら、先発品を使用しているや薬剤はどれくらいあるのか。それらを後発品にきりかえたらどれくらいの経費削減になるのか。

     伊丹病院でも思い切って後発品にきりかえるようにすべきではないか。

     伊丹病院の経費だけではなく、医療全体の経費削減にもなるし、伊丹病院は51.1%が国民健康保険の被保険者であり、国保財政にも大きく貢献することになる。