2002年12月議会一般質問要旨

上原ひでき議員

1、大阪空港問題について

この間、国土交通大臣の発言をめぐって、大阪空港のあり方について様々な議論がされている。

突然に出された今後の空港のあり方を問う発言だけに、議会としても戸惑いと怒りが起こるのは当然のこと。今後国土交通省は、交通政策審議会で検討し、年内にも「大阪国際空港のあり方の方向性」の結論を出すことに。その大臣発言の内容は、@現在の1種空港の位置付けの変更A発着枠の変更など空港運用のあり方の見直しB環境対策費の負担のあり方の見直しなど。

私がここで問題としたいことは、国土交通省のヒヤリング質問事項に対する本市の意見について、これまでの伊丹市の考え方と変わったところがあるという点である。

1)市長と伊丹市の立場の大転換(?)

@     市長の公約(93年 市長選挙)「開港を間近かにした新空港は、滑走路が1本という極めて不完全な姿であり、将来、全体構想が完成し、神戸沖にも空港ができたとき、現大阪国際空港の広大な敷地を再生、活用することが可能となります。当面は、跡地利用計画について、市民の総意をまとめる努力をするとともに、『空港撤去都市宣言』中に示されている住民の『安全、騒音、周辺』対策に全力をあげて取り組みます。」

A     「空港撤去都市宣言」に関する市長答弁(2000年3月 基本構想の議論)

     「環境対策がなされ、騒音が軽減されたとはいえ、まだ本市におきましては、騒音被害があるわけでございます。そうした中で、このたびの基本構想の中におきましても、空港の環境対策ということで、とりわけ騒音の防止、あるいは安全対策について、これからも国等に対して要請をしていくと、こういうことで基本構想の中で盛り込まさせていただいているところでございまして、そうした基本構想の記述の中に大阪国際空港撤去都市宣言の精神を受け継いでいると、そのように私たちは基本構想の中に盛り込まさせていただいた、そのように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。」

     「国の責任において大阪国際空港の存続が決定し今日、撤去都市宣言は、航空機公害撲滅の歴史と成果を検証する象徴的な存在となっています。一方、航空機騒音の改善により、平成10年に対象区域の縮小がなされたとはいえ、なお、騒音影響区域が市域の相当範囲に及ぶこと、また空港のもたらす効果を必ずしも市民が享受していない現状を見たとき、課題はまだ残されているものと考えています。今後も空港撤去都市宣言に盛り込まれた真に人間として憩える静かで安全な生活環境をとり戻すという精神を機軸に据えて、諸課題の早期回復のため全力で取り組む所存であります。」

B     今回の「空港整備部会における『大阪国際空港のあり方について』に関するヒヤリング質問事項に対する本市意見」(2002年11月)

     「現在の本空港は環境問題と利用者利便の確保という大きな課題のバランスがとれている状況で運用されており、あえてそのバランスが損なわれるような運用の変更を行うべきではない。」

     「ジェット機枠の見直しや機材の制限、長距離路線の見直しは、本空港の基幹空港としての機能を大幅に低下させる」

     「将来にわたって本空港の現在の機能を維持し、利用者利便が確保されるべきである。」

2)今回のヒヤリング意見の内容は、従前の伊丹市の立場とぜんぜん違う。市長の公約と空港撤去都市宣言に盛り込まれた精神を機軸に据えて、諸課題の早期回復のため全力で取り組むという立場は、全く見受けられない。そこで伺いたい。

@今までの市長答弁で、「空港のもたらす効果を必ずしも市民が享受していない現状を見たとき、課題はまだ残されている」「空港撤去都市宣言の精神を機軸に据えた、諸課題の早期回復のため全力で取り組む」としていたが、今回の「意見」からはそんな市民の願いを実現する意志は全くない。ヒヤリング意見の中のどこに、残された課題の解決、諸課題の早期回復を図ろうという内容があるというのか。

A今まで、環境基準の達成に向けた不断の努力を国に強く求めてきたが、現在騒音が増加しているという事実がありながら、そのための意見は全く言えないのか。言わないばかりか、ジェット機枠の見直しや機材の制限、長距離路線の見直しに反対しているのはなぜか。本空港の機能を将来にわたって維持することを国に求めるということと、環境基準の達成との関係をどう説明するのか。

B最高裁において、安全性、騒音において「欠陥空港」とし烙印を押された大阪空港―――その性格は、環境基準の達成が事実上困難であることにおいても変わっていない。ヒヤリング意見で言われた「環境問題と利便性のバランスがとれている」とはいったいどういうことなのか。

C市長の選挙公約との関係をどのように考えるのか。

 

2、中小企業対策について

1)政府による「不良債権処理」の本市企業への影響と対策

 @ 「金融は経済の血液」といわれるほど、金融機関による円滑な融資は、中小企業にとって文字通りの命綱であり、地域経済の発展にとって不可欠なもの。しかしこの間、政府による「不良債権処理」策によって、金融機関の貸し渋り、貸しはがしがひどくなる一方で、多くの中小企業が大不況による売上減少のうえに、金融の道をたたれるというかつてない苦境に立たされている。

   日銀の資料によれば、97年から2002年の5年間で、銀行の中小企業向け貸し出しが60,2兆円も減っている。率で言えば15.8%の減。そのうちこの1年間小泉内閣になってからは30兆円の貸し出しの減少。このことによって戦後最悪の企業倒産と失業者の増大を招いていることは政府も認めるところ。

   日本共産党が独自に入手した(UFJ)銀行の内部マニュアルでは、「適正金利への引き上げに応じなければ取引解消も辞さない」という「方針」にそって「交渉」を進めると書かれている。また(三井住友)銀行では、貸しだし先の中小企業に対し、企業の「格付け表」を示しながら10%などというともうもない高金利を要求している。伊丹市内の企業に対しても、貸しつけ条件の変更の際に金利を5,6%にすることを要求している。

   このように小泉内閣の不良債権の早期処理策が、「不良債権」とされた中小企業を倒産に追い込むだけではなく、「健全」とされている中小企業を含めて中小企業全体に対して金利引上げや貸し渋り、貸しはがしを引き起こす原因になっている。

 Aそこで当局に伺いたい。このような政府による「不良債権処理」の方針が、伊丹市内の企業にどのような影響を与えているのか。銀行による中小企業全体に対する金利引上げや貸し渋り、貸しはがしの現状をどのように把握されているのか。

 Bその下で、伊丹市として対策はお考えなのかどうか。

2)中小企業・地域経済振興条例の制定を

@中小企業・業者の実態、伊丹市での地域経済に果たしている役割

伊丹市はこれまで、大阪近郊の良好な住宅地として発展するとともに、阪神工業地帯の一翼を担う都市としても発展してきた。「伊丹市産業の防災振興ビジョン」にも書かれてある通り、市民一人あたりの市内純生産、市民税に占める法人市民税の割合、人口に占める通勤流入者の割合などの指標は阪神各市の中では最も高い比率になっている。伊丹市においては産業の発展が都市活力の大きな源泉。

ところが長引く深刻な不況と、小泉内閣による「不良債権早期処理策」によって、企業倒

産と失業者数が急増し、出口の見えない深刻な不況をより一層深刻化させている。

99年での伊丹市における従業員100人未満の市内事業所は全事業所の98,7%、従業員数は66,7%を占めており、96年と比べると、事業者数で283社の減少、従業員数で1,968人の減となっている。そのうち10人未満の小規模事業所では、192事業者の減、713人の減となっている。

伊丹市の産業を支える中小企業が大変な危機にさらされている。

A     伊丹市の中小企業施策

このような事態に対して伊丹市では、「伊丹市産業の防災振興ビジョン」の策定、「伊丹市

中小企業対策委員会の答申」などにより施策を展開しておられるところ。

B中小企業基本法と地方公共団体の役割

    中小企業基本法第6条は、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、中小企業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と定めている。

    この第6条は、旧法第4条で国の施策に準じた施策を実行するとしていたものを、「近年の地方分権の考え方に沿い、国と対等な政策主体」として「その区域を管轄する地方公共団体が第一義的に実施」することとして、中小企業施策における地方の役割を定めたもの。

C中小企業・地域経済振興条例の制定の必要性

    伊丹市としてもこの法律の「地方公共団体の責務」の項目を受け止め、伊丹市としての経済政策の基本を中小企業対策に置くことを位置付けて、市及び事業の責務等を明確にすることが必要ではないか。条例の制定は、現在展開されている施策を、改めて「振興条例」に位置付けることによって、自治体の法律として担保すること。

D今までの答弁の特徴に対して

    今まで数回、条例制定を求める質問をしていますが、その答弁は、国においてはすでに中小企業基本法といった理念規定を定めた法があることから伊丹でつくる必要がない、また行政計画でもある伊丹市産業の振興防災ビジョンがあり、これを着実に実行していくことにより、まちづくりとの整合性を図りながら、本市の産業振興を図ってまいりたい、とされている。

    しかし地方分権の時代にあって、国が基本理念を規定しているからといって地方自治体がその実情に応じた基本理念等を決めなくても言いということにはならない。国の基本法はあくまでも全国的視野にたった大まかなものであり、地域の実情など入る余地はないもの。だから改めて「その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」とさだめた。

    以上のことをふまえ、改めて中小企業・地域経済振興条例に対するお考えを伺う。