(第1回 不定期エアガン批評)

タナカ PYTHON.357
by 上村 純


タナカ ガスリボルバー「ペガサス」シリーズ
オートマチックガスガンにおいての技術革新がWA社のマグナBLKだとするならば、タナカのペガサスは、まさにガスリボルバーの技術革新と言っていいだろう。これまでのガスリボルバーは「パワーがない。当たらない。メカがリアルでない」の三重苦で、総ての面で満足できる物は存在しなかった。

ガスガンとして、一応満足のいく完成度を持った物としては、マルイの24連発ガスリボルバーがある。メカ的には、グリップ内にガスタンクがある旧来のガスリボルバーの延長戦にある銃だが、独自の多弾数シリンダーと、高い命中精度で、初めてまともにターゲットを撃って遊べるリボルバーとして評価は高い。しかしそのマルイさえ、パワーはせいぜい0.3−0.4Jしか出ず、また、グリップ内のガスタンクのせいで、実物グリップを取り付けることもできなかった。

タナカのペガサスシリーズは、シリンダーを金属のガスタンクとすることで、リアルなメカと0.7−0.8Jという高いパワーを引き出している。命中性能の面では、マルイに一歩譲るが、カスタムパーツでグルーピングが改良されれば、ゲームにも使える無敵のガスリボルバーとなることは間違いない。


タナカ PYTHON.357

ペガサスシリーズ第2弾として登場したパイソンだが、このモデルは大きな問題を抱えているのだ。ともかく、当たらないのだ。 5mから10発のグルーピングが20p代にちらばってしまい、このままでは精密射撃にはとても使えない。
また、アクションの面でも不安定さがある。シングルアクションでハンマーを起こし、トリガーを引いても、引っかかりが多すぎてハンマーが落ちにくいものや、別の銃ではハンマーを一杯に起こしても、シリンダーが定位置まで回転しきれないものがある。どちらも撃って遊ぶのにそれ程問題はないし、当たりが取れてくればスムーズに動くようになるだろうが、この辺の不安定さはパイソンならではのメカのデリケートさによるものだろうか?。
全作のピースメーカーの作動が完璧だっただけに、パイソンの不安定さが気になる。

それより何より5mからのグルーピングが20pとはいくら何でもひど過ぎる。3インチバレルと6インチバレル両方共似たようなもので、バレルの長さの違いが問題なのではない。明らかにどこかに欠陥があるとしか思えない。
原因として考えられるものを列挙してみると・・・・

@ホップが掛かりすぎている。
Aインナーバレルと、シリンダー前面のガス噴出ノズルのセンターがズレている。(ピースメーカーは合っているのだが・・・)
Bインナーバレルと、シリンダー前面の6コの穴のセンターがそれぞれ、微妙にズレている。(ピースメーカーも微妙にずれている)
Cシリンダー前面の、B.B.弾を押さえのゴムパッキンがきつすぎる。


ゴム製チェンバー(パッキン)は、明らかにピースメーカーよりきつい。これはパイソンではシリンダー内にB.B.弾の収納部があり、常にスプリングの力でB.B.弾をシリンダーから押し出そうとする力が働いている為、B.B.弾が飛び出さないようパッキンをきつくする必要があるからだ。
ピースメーカーの場合は、B.B.弾がこぼれ落ちないようにすればいいだけなので、パッキンはゆるめで良いのである。パッキンについては、6個すべてを均一に緩める加工をするのは難しいので、とりあえずAのガス噴出口のセンターサイズを修正してみる事にした。
方法としては、直系5oある噴出口に、センターの偏心したあなの開いた小さなパイプを差し込み、噴出口がインナーバレルのセンターにくるように加工してみた。

左の図はパイソンのマズルから、シリンダーのガス噴出口をのぞいた状態を見ている。ピースメーカーでは噴出口はインナーバレルの中心にあるのだが、パイソンではこのように下にずれてているのである。そこでこの穴が中心にくるように前述の偏心パイプを差し込む。これで一応ガス噴出口はバレルのセンターに来る。

そこで試射となる訳だが、これがダメ!!。グルーピングにはほとんど変化なし。どうもこの部分のセンターのズレはグルーピングには関係ないようだ。となると、外の原因を調べなければならない。

そこで今度は@のホップパッキンをはずした状態で試射を行ってみたが、これもほとんど変化なし。何が原因なのか?。あれこれ考えながらいろいろ試射をしていた時、一つ気が付いたことがあった。1発1発撃つたびに、インナーバレルをのぞいてみると、バレルの中に何かゴミのような物が付いているのである。何のゴミだろうと採ってみてると、これが何とB.B.弾がインナーバレルに突入する時に、B.B.弾とセンターがズレているため、インナーバレルの入り口のエッジでB.B.弾が削られ、この削りカスがバレルの中に残っていたのだった。もちろんインナーバレルの後端にはテーパーがつけられており、B.B.弾がスムーズに進入できるようにはなっているのだが、テーパーの角度が急な為、エッジが立っているのである。

ここにB.B.弾がこすって削りカスが出る。

そこで今度はインナーバレルの後端部分をなめらかに削り、試射を行ってみた所、今度は明らかにグルーピングに改良が見られ、5mから10発で10p程度と当初の半分の大きさになった。


以上のことから、パイソンのグルーピングの悪さの原因は、インナーバレル後端内側のエッジに、B.B.弾が引っかかる事によるB.B.弾スピンと、削りカスによる悪影響であることが判明した。対策としては、インナーバレル後端のテーパーがかかっている内側のエッジを丸く削って、B.B.弾が引っかからないようにすれば良い。(つるつるに磨く)
ちなみにホップの無い内径のタイトなカスタムバレルを使えば若干パワーも上がるし、加工に自信のない人は、てっとり早くカスタムバレルに交換すれば良いだろう。私が行った改良方法では、3インチ、6インチ共に5mから10発のグルーピングの平均は約8pとなった。(市販状態のピースメーカーとほぼ同じレベルだ)
加工前は20pにも散っていたのだが、この簡単な改良により悪くても10p程度にまとまるようになるので、お悩みの方には是非試してみてほしい。

結果として、グルーピングに悪影響を与えているのは、バレル後端内部の仕上げと、シリンダーの6コの穴とインナーバレルのセンターのズレ(最初に原因と疑われたB)であった事が判明した訳だが、さらにグルーピングの向上を目指すならこの2点をもっと改良する必要がある。

ただバレルの方は簡単に修正することができるが、インナーバレルとシリンダー前面の6つの穴すべてのセンターを合わせるのは個人レベルではちょっと難しいだろう。
この場合、シリンダーのボルトが引っかかるノッチの位地を一つ一つ修正しなければならないからだ。シリンダーがプラ製ならともかく、金属でできている物を加工するのは大変な作業だ。ここはひとつ、センターがぴったり合うカスタムシリンダーを出してもらいたい。そうすれば、B.B.弾がインナーバレルに突入する際に変なスピンがかからないので、グルーピングが向上するはずだ。


(SIGHT編集部注;今回レポートされた初期ロットABS製6インチと最新ヴァリエイションのHW製6インチのバレルエンドを比較した結果、前者に対し、かけられたテーパー=面取りの角度が、後者は、かなりなだらかになり面取りをされているストロークが前者に比し1.5〜2倍位に改良されています。)


重要な補足 あるいは 最終結論
前回のレポートでパイソンのグルーピングが悪いと書きましたが、その後気が付いたことがありますので補足しておきます。
パイソンのグルーピングに悪影響を与えている原因として、一つ重大な点を見逃していた事がわかりました。それはガスタンクの『冷え』です。
本来ガスタンクにおいて、グルーピングの悪いときに考えなければならない要員の一つとして、タンクの冷えによる初速の不安定があります。通常であれば、一番最初に疑われるべきタンクの冷たさを見落としたのは、ペガサスの場合、シリンダーが金属のタンクで冷えに強いという思い込みが強すぎた事にあります。
実際、他のガスリボルバーに比べ、ペガサス方式は寒さに強く冬場でも強いパワーを発揮します。しかし、パワーがある程度出ていても、初速が不安定だったり、リボルバー特有の6個の穴の位地のばらつきの悪影響が、初速の低下により増大されて、初速が高い時よりグルーピングに大きな影響を与えているらしいのです。
それなら、どうしてピースメーカーはパイソンよりグルーピングが良いのか?、という点についてですが、それは恐らくピースメーカーの場合、シリンダーにB.B.弾のマガジンとしての機能が無い為、タンクのスペースがパイソンより広く取れる為、パイソンより冷えに強いのではないか・・・と考えられるのです。
またパイソンの場合、B.B.弾マガジン部分が、タンクと外部の間にある為、ピースメーカーよりタンクが暖まりにくいという事もあるかもしれません。
タンクの冷えによるグルーピングの悪化は、ピースメーカーにも見られる現象で、タンクか暖まっている一番最初のグルーピングが一番良く、2ステージ、3ステージと撃ち進むのに比例してだんだんグルーピングが広がっていきます。この時、ためしにシリンダーをドライヤーで暖めてみると、またグルーピングが小さくなるのです。
おそらくタナカのペガサスは、夏場はとても良く当たるリボルバーなのに、冬場になると全然当たらなくなるガスガンなのでしょう。 ガスガンには多少の初速の低下があっても、グルーピングには余り変化が無い物もありますが、タナカのペガサス方式は、特にタンクの冷えがダイレクトにグルーピングに影響を与えてしまう特徴があるものと思われます。
こうなると、前回私がレポートしたインナーバレルの影響というものが、いったい、どれほどのものだったのかが、少々疑問になってきます。
私としては、この部分も確かにグルーピングに悪影響を与えていると思いますが、私の物はすべて加工してしまっているので、検証できません。もし新たにペガサスを購入する人がいたなら、とりあえず1ステージごとにシリンダーをドライヤーで暖めて、グルーピングをチェックし、それでもまだグルーピングが10p以内にならない場合は、インナーバレルを加工することをおすすめしたいと思います。



参考までに私がパイソンに施した加工を記しておきます。

インナーバレルの後端をテーパー状に加工する。
マズル・トレーサー装着 (インナーバレルは6インチ分の長さ)
パックマイヤーラバーグリップ装着(少しの加工で付けられます)

タナカのインナーバレルは、ホップパッキン用のスリットがあるので、他の余っている内径のタイトなインナーバレルを加工してホップのない、近距離精密射撃用バレルを作り、ゲーム等の遠距離射撃の場合には、タナカ純正のホップバレルを使うと良いでしょう。
私の場合は、6インチのパイソンには他のガスガンの余ったインナーバレルを流用してノンホップのバレルを組み込み、また、3インチのパイソンにはタナカ純正の6インチ・インナーバレルを前後逆にしてノンホップバレルを作り銃口から突き出したインナーバレルにマルイのフルオート・トレーサーをサイレンサーとして取りつけています。

この場合、ホップパッキン用のスリットがマズル近くにありますと、グルーピングに影響を与えるといけないので、スリットの後ろの部分でカットしてしまい、カット面はキレイに仕上げます。

私がインナーバレルに加工を加えたパイソンの場合、十分にシリンダーが暖まった状態で、5mから10発のグルーピングは平均6−7pにまとまります。ただし、ステージが進むにつれ、タンクが冷えると、たちまちグルーピングは10p以上となってしまう。



ペガサス方式のシリンダーは、金属製の為、冷えに強いというイメージは少し考え直さなければならないだろう。なぜなら、ペガサスのシリンダーは固定されている内部ガスタンク部の上に、回転する金属シリンダーが被った二重構造となっているので、一度内部タンクが冷えると、手のひらでシリンダーを握って暖めようとしても、手の温度がなかなか中のタンクまでは伝わらないのである。それゆえ、マグナBLKのマガジンのように、直接手で暖める事はできないし、ワンタッチで別のマガジンと交換することもできないという所がどうしてもオートにかなわない点として残る。
もしペガサスを射的競技で使おうとするなら、オートのマガジンのように、替えのシリンダーを用意する必要があるかもしれない。  (以上)