歩絵夢
POEM 6







雪の夜 乱れ髪



言葉はなかった
そこにあったものは ただ沈黙だけ
重苦しい空気の中で
艶めかしい肢体が横たわるだけ

シーツに包まった女は
スリムな煙草を吹かせていた
ふっと 一息
天井を見上げて息を吐いた

紫煙が輪になって
そして消えていった

女はたずねた
「ねえ 外は雪なの?」
「え?」
「別れる前に旅に出ようよ
そう… 雪の積もったところへ」
「余計別れが辛くなるよ」
「永久に別れない方法もあるよ」
「まさか君は」
「そう まさか…」
女の無表情な唇からフッと言葉が洩れた

もう一度女を抱き寄せた
乱れた髪が 額を覆う
女はひとくし 指で掻き揚げて
そして 顔を傾けた
僕のくちづけを待っている…
むせかえるような官能的な香り…
それは 憂いに満ちた雌豹の香り…

それから
一月後 ふたりに別れが訪れた

冬が来るたびに
思い出す 一夜がある
そう 雪の降る日はことさらに…















雪降る夜ひとりなら


雪降る夜が ひとりなら
チーズを肴に
バーボングラスを傾けて
君のことを思い浮かべよう
白く冷たい雪だけど
君を偲べば 暖かくなるさ

雪降る夜が ふたりなら
君の肩を抱き寄せて
何度も何度もキッスをして
互いの温もりを感じよう
外はしんしん雪だけど
君と過ごせば 心はいつも春さ












君は眠ってる


起こさないように
そっとベッドを抜け出し
静かにカーテンを開ける
外は雨

君が寝返りを打った

窓ガラスを濡らす雨が
子守唄となって
君を夢の間にいざなう
さりげなく

君は寝息をたてている

シーツの波間で
無邪気に泳ぐ君
微笑む寝顔が僕をやさしく
現実に導いて行く

君は眠ってる

この幸せなひとときが
永遠であればと ふと願う
抱きしめたい衝動を堪えて
煙草に火をともした

カチッという音で
君の眼が覚めた









過ぎ去りし彩りの季節


1月 夢見夢見た初月の朝も

4月 萌えに萌えたる若葉の色も

7月 茨の木々に照り注ぐ太陽も

10月 自由が丘にこだまする奈々つの鐘も

12月 聖なる愛染めしイヴの夜も



時が過ぎ 季節が巡るたびに

すべてのものが 穏やかに

ひとつの物語として

記憶といふ名のノートに

グレイの文字で刻まれていく

03/01/04



Shyrock




















縮図


人は思い悩み何かを得ん



真実と虚偽

真相と虚報

愛と憎悪

好意と悪意

賢明と暗愚

実在と虚無

光明と暗黒

尊敬と軽蔑

歓喜と悲哀

貫徹と挫折

期待と憂慮

明朗と陰鬱

永劫と刹那

勇気と臆病

黎明と薄暮

和解と決裂

起点と終点

老巧と稚拙

表面と裏面

満潮と干潮

明瞭と曖昧

暴露と隠蔽

清潔と不潔

安堵と危惧

円満と不和

信頼と不信

解放と束縛

賞賛と批判

愉快と不快

尊重と無視

創造と模倣

  自立と依存

対決と逃避



このネットという 広い空間の中に
人間の縮図が 凝縮されているのか知れない
見たくないものを 見てしまったり
見たいのに見えなかったり
世の中 とかく うまく行かぬものだ

















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