二年坂 産寧坂 官能坂



木々がくれないに染まった薄寒い夕べ
突然現われた 幽玄に満ちた庭園
静寂という名の奏楽の響きが
ふたりを包み込む

てのひらの中のあなたの手
愛に震えてる・・・
そして濡れている・・・

二年坂の扇子屋も
産寧坂の香具屋も
もう眠ってしまった
石段を踏む足音だけ静かに響く
ここはすでに異次元世界なのかも知れない

ふと立ち止まり
あなたを抱き寄せて
くちづけを交せば
甘く匂い立つ 妖しき香り

タクシーが1台 空車を告げている
まるで僕たちを待っていたかのように
運転手が退屈そうにあくびをしている

クルマのエンジン音が
静寂を破るかのように
夜更けの官能坂をくだっていった・・・














藍染扇


遥かな御代より 変わりなく
京の街なか ゆるやかに
さらさら流るる 鴨川に
ひとひら紅葉が 川面に浮かぶ

川のせせらぎ 背に受けて
あなたの色に 染まってく
蒼く蒼く 染まってく
わたしは 藍染め 舞扇
見事 開いて 舞いましょう
夢の舞台で 舞いましょう

ふたりで願掛け 清水の
買ったお守り 縁結び
両手合わせる 横顔に
あなたの真心 垣間見た

遥か彼方に 大文字
京の都は 子三刻
寝物語と 熱き指
恋の夢路に 咲く花は
真っ赤に真っ赤に 咲き乱れ
夜露に濡れて 愛一献













夢枕


ひさしぶりに
君が夢枕に現れた
「たまには私も出演させてね」
って言っているかのように思えた


ふたりは
海の見える小高い砂山を歩いていた
砂山があまりにも急勾配だったから
危なっかしくて
海を眺めることなんてできなかった

夢の中の君 
なぜか笑顔がなかった

「今 幸せかい?」

そんな僕の問いに
君は肯くことも
首を横に振ることもなく
黙って俯いていた

どうして?
新天地に旅立って
白い薔薇を見つけたんじゃないの?


ひさしぶりに
君が夢枕に現れた
「たまには私を思い出してね」
って言っているようにも思えた

夢の中の君
どこか疲れていた

「食事に行こうか?」
「お腹が空かないの・・・」

浮かない顔の君
どこか悲しげだった
そんな場面で夢は終わった

夢の中の君
僕に何を告げたかったのだろう
もう僕の元から去ってしまったのに・・・













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