南森町にて


台風のつむじ風にあおられて
仕事先に向かうとき
携帯がブルンブルンと振動した
誰からメールだろう?
違う 電話が鳴ってる
耳にあてると
少しハスキーでアルトな声が
もう2年も経つのに
あの頃と
ちっとも変わっていない

「元気?」

「元気だよ」

「もう一度 あなたに謝りたくて・・・」

「もういいさ 全然気にしてないし」

「苗字が変わったので
この機会に 電話を変えようと思って・・・
その前にもう一度 あなたに謝りたくて・・・」

「苗字が変わったの・・・?
そうだったんだ おめでとう」

「前よりも少し複雑な苗字になったかな?」

「うん、私の苗字はどこにでもある苗字だったものね」

「ははは 全くだよ」

「そうね」

「髪は相変わらずショートなの?」

「今は肩ぐらいまで伸びてるわ
あの頃は男の子みたいな頭だったわね」

「ははは そんなことは無いよ
ボーイッシュなヘアスタイル好きだったし」

「そうだったの?」

語り合っているとあの頃と何にも変わっていないみたい
でも君も僕もまったく状況は変わってしまった
お互いに遠い遠い存在になってしまった


間が空いた
僕は言葉を探し求めた
今言ってあげられる最もふさわしい言葉は何だろうか
僕の口からポツリとこぼれた

「幸せになるんだよ」

「うん・・・ ありがとう・・・Shyもね・・・」

「うん・・・じゃあな」

「うん またね・・・」

「またねじゃないだろう」

「あはは そうだね それじゃね・・・」


僕は突風でくしゃくしゃになった髪を手櫛でといて
再び歩きはじめた

とっくに終わったものが
とっくに消えたものが
昨日のことのように蘇ってくる
苦い思い出はすっかり消え去り
楽しかったことだけが脳裏をよぎる
南堀江の朝カフェで
ベーグルサンドをほおばる
君の顔が浮かんだ

「あの頃は楽しかったなあ・・・」

ポツリとつぶやいた僕は
高層ビルの中へと吸い込まれていった




2004/08/30











ミッドナイトシャワー


梟すらも寝静まった 漆黒の夜
シャワーの水音だけが響く
無言・・・ あなたは無言・・・
いくさを終えて 冷え切った銃口
今一度 私のてのひらへ

私の温もりを あなたに伝え
私の想い感じてくれるなら
再び私の中へ・・・

熱い湯が 胸を通過し
括れを過ぎて 谷間へと注がれる
無言・・・ あなたは無言・・・
あなたのてのひらが湯を追いかける

脚から胸へと這い上がる情欲
再び炎が燃え滾る

あなたのてのひらに
あなたの愛を感じて
無言のまま愛撫する
あなたに優しさに触れて
伝う熱きもの 太股にひとしずく

強く握っても
いいでしょう?
もう耐えきれないの
あなただって もう
私の掌に一杯になっている

銃口を向けて
私に向けて
無数の透明な銃弾で
あまねくこの身体貫いて・・・
どうぞ思う存分貫いて
決して逃げたりしないから

男を誘って止まないこの乳房
淫らなまでにくびれたこの腰つき
あなたのために 息づくこの花びら
全て全て あなたに捧げたい

脈打つような 肉襞を分け入って
奔流となって押し寄せる
ああ 愛しきあなたよ・・・
ああ 狂おしい・・・

熱く潤って

私は女になる・・・











温めてあげる・・・


君 昼間はそんなに恥ずかしそうに
微笑んでいるのに
どうして 夜はあんなに大胆になれるの
澄んだ瞳
整った鼻筋
キュートな唇
とても素敵だね
ミニスカートから伸びたきれいな脚
見ているだけで 僕はもう・・・

散歩を切り上げて 早めに戻ろうよ
雪がちらついて来たから
道路が凍りつく前にね

そのうなじに汗が滲むほどに
君を愛してみせるから
冷え切ったその身体
温めてあげるから

ライトブラウンな髪
一枝までも愛しくて
その白い華奢な指
青い爪の先までも愛しくて

愛してるよ・・・

だからこっちを向いて
僕の膝にお座り
揺れて揺られて
ふたりして 夢路をたどろうよ












おまえとラビリンス


男達と出会うたびに 指輪を変えて
男達と待合わせるたびに ピアスを変えて
男達とくちづけするたびに ルージュを変えて
おまえは夜のしじまに 溶けていく

Baby その悲しげな瞳で
俺を誘惑しないでおくれ
もうだめだ たまらないさ
T fall in love for you

俺と逢うとき 指輪はオニキス
髪をかきあげれば 耳元はシルバー
そっと抱き寄せれば 甘いデューンの香り
ふたりで闇夜の国へ 旅に出よう

Baby そのハスキーヴォイスで
謎かけするのは やめてくれ
もうだめだ たまらないさ
T fall in love for you

Baby おまえとラビリンスに迷い込んで
もう出口が 見つからないぜ
いっそ光なんて 見えなきゃいいさ
T fall in love for you












不昼城




ずっと夜が続いても かまわない



君とともに過ごせるならば・・・

































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