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球ちゃんは実在の女性ですが、登場する組織名・ストーリー等は全てフィクションです。 |
| 1〜3話 4〜6話 7〜10話 |

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第1話 その日、新進のビールメーカーである夕陽ビールの『サマーキャンペーンモデル選考会』が行なわれていた。 独自の製法でコストダウンを図り、あっという間に大手のビールメーカーと肩を並べるほどに成長を遂げた夕陽ビールでは、名のあるモデルを退け、一般公募でキャンペーンガールを募ることになった。 全国的に新聞広告をうった効果もあって、700人を超える応募者が殺到した。 上原球(うえはら きゅう 22才)もその1人であった。 類稀なる美貌と恵まれたプロポーションを生かし、既にレースクイーンやキャンギャルを経験していたが、それはあくまでアマチュアとしての参加であって、決してプロになろうと思ったことはなかった。 その証拠に今は丸の内のOLとして、この春社会人への第1歩を踏み出していた。 第1次審査は面談はなく写真と書類だけの選考会があり、ここで多くの応募者が振り落とされた。 700人のうち残ったのはたった30人であった。 球は1次を悠々通過した。 第2次審査は水着審査だった。 全員がビキニ水着を着用し、3分のスピーチを行なった。 球は2次も通過し、メンバーは5人となった。 いよいよ最終審査を残すのみとなった。 5人は応接室に呼ばれ、宣伝担当部長から最終審査の方法について説明を受けた。 周囲を見渡してもいずれ劣らぬ美女揃いである。 (にゃっ、ここまで来るとさすがに皆きれいな子ばかりだなあ〜。ああ、ドキドキしちゃう。でもここまで来たからにはがんばらなくちゃ) 球は説明を聞きながら、心の中でひとり呟いた。 ところが主催者側からの次の発言は驚くべきものであった。 「はっきりと申します。最終審査はいささかセクハラとも取れる審査内容が含まれています。もちろんセクハラが目的ではなく、あくまでキャンペーンガールを決定するための審査の一環であるのですが。それでもそういった審査は嫌だとおっしゃる方は、どうぞこの場でご辞退ください。私どもはあくまでご本人の意思を尊重したいと思っていますので。ご辞退される方は遠慮なくお申し出ください。いらしゃいませんか?」 (シ〜ン・・・) 担当部長は並んでいる5人をゆっくりと見渡した。 誰一人として辞退の意思表示などしない。 一様に『セクハラ』と言う言葉に引っ掛かりを感じたとしても、厳しい予選を勝ち抜いてきて最後の決勝という段階まで来て、辞退する者など皆無といって良いかも知れない。 「それではこの誓約書にサインしていただけますか」 球は書類を覗いた。 そこにはたった2行 『貴社の審査内容に対して一切異議申立てをしないことを誓約します。』 と書いてあった。 一番下に記名欄がある。 球は考えた。 (これは主催者側の保険のようなものだわ・・・。後で応募者から文句を言わせないようにするための。どうしようかなあ・・・でもここまで来たんだし、それにセクハラと言っても今話題の企業だし、あんまり無茶なことはしないと思うんだけどなあ・・・よし、受けよう。最後までがんばっちゃおう) 球は差し出された誓約書にボールペンを走らせた。 第2話 球はサインをしてからもう一度周りを見回した。 やはり他の女性達も同じようにサインをしたようだ。 まもなく若い男性担当者が素早い動きで書類の回収に廻った。 書類の回収が終わった頃、担当部長が最終試験の説明を始めた。 球はごくりと唾を飲み込んだ。 (どんな試験だろう・・・?) 「誓約書のご提出ありがとうございます。申し遅れましたが、私は宣伝担当部長の重村と申します。この度は当社のキャンペーンガール選考会にご応募いただき誠にありがとうございます。ここまで勝ち残られた5人の皆様はどなたも素晴らしい方々ばかりです。皆様全員に選ばせていただきたいところですが、実際にはそうもまいりません。非情なようですが皆様の中からお1人を選ばせていただきます。 では、ただ今から試験内容につきましてご説明をさせていただきます。皆様には今から白いレオタードをお渡しします。予めサイズをお聞きしていましたので、それに基づいてレオタードご用意しましたが、多少サイズの大きい小さいがあるかも知れませんがその辺はどうかご容赦ください。 私どもはまもなくこの部屋から退きますので、皆様は直ぐにレオタードに着替えてください。そして隣の部屋が試験会場になっておりまして、1人づつお名前を呼びますので隣に入室ください。試験時間は1人15分です。会場中央に台がありますので、その上を音楽に合わせてゆっくりと歩いてください。試験官がいくつかの質問をしますのでそれに答えてください。答えたくないことはノーコメントでも構いません。」 試験官の視線を浴びながら台の上を歩く・・・ モデルの試験としては珍しい方法ではなかったので、球は少し安堵のためいきをついたが、むしろ試験官から浴びせられる質問とはどういったものか、そちらの方が気になった。 最初の説明ではセクハラなものだということだったので、ある程度は覚悟をしなければならないだろう。 担当部長と若い男性担当者は説明を終えて部屋を出て行った。 と同時に5人の女性たちも着替えを始めた。 ちゃんと5つの篭も用意されている。 球は真新しいレオタードを袋から出した。 そして広げてみて、大事な箇所に当て布が付いていないことに気づいた。 ふつうは乳房と股間部分にはサポーターがついている。 他の女性達もそれに気づいたのか、ざわざわと騒がしい。 球はもしかしたら別にアンダーショーツ(サポーター)が付いているかも知れないと思い、袋の中を覗いてみたがそれらしきものは全く見当たらなかった。 第3話 「やだあ・・・サポーターがついてないじゃん。これじゃアソコ写っちゃうわ」 「レオタード自体も真っ白ですごく目立ちやすいのに・・・」 「そうね。レオタードの素材もかなり薄目だし、こんなの恥ずかしくて着れないよ〜」 女性達は口々に不満を漏らした。 球は愚痴るのが好きではなかったから、言葉にこそしなかったが、気持ちは他の女性達と変わりがなかった。 「先程の部長や担当の人はどこに行ったのかしら?」 「隣の部屋へ行ったんじゃないの?」 「困ったなあ・・・」 その時、1人の女性が壁際にインターフォンが設置されているのを見つけた。 「これもしかして隣の部屋に掛かるかも」 「そうね。掛けてみようか」 球は受話器をとり耳に当てた。 他の4人も覗き込むようにして球の様子を伺っている。 コールしている。 数字ボタンがないのでおそらく隣の会議室に接続されているのだろう。 「はい」 まもなく受話器の向こうから声がした。 「あ、もしもし。すみません。先程の担当の方はいらっしゃいますか」 「はい、部長の重村ですが、何か」 周りの女性達も球の様子を伺っている。 「あのぅ・・・いいにくいんですけどぉ・・・」 「何でしょうか。どうぞおっしゃってください」 実に事務的な喋り口調だ。 「実はレオタードに当て布が・・・え〜と、サポーターがついてないんですけど・・・」 「ああ、そうでしたね。説明不足だったようで申し訳ありません。確かにサポーターはついておりません」 重村は事も無げにさらりと答えた。 「え・・・!?サポーターついてないのですか?あの〜、それじゃ困るんですけど〜」 「確かに少し恥ずかしいかも知れないですね。でも、皆様の身体の線を少しでも美しくくっきりと見せるために、できるだけ余分なものは、事前に取り除いておいたんです」 「ええっ!?わざわざ・・・ですか?」 「はい、そうです」 「サポーターがないと困るんですけど」 球は意志をはっきりと伝えた。 「お気持ちは分かるんですが、僅かな時間ですし、それに少数の試験官が立ち会うだけですから、申し訳ないですが我慢していただけませんかねえ」 「はい・・・そうですか・・・」 「どうしても嫌だとおっしゃるなら無理にとは言いませんが、一応、皆様には合意のサインをしていただきましたのでねえ」 確かにサインはしたが、そんな破廉恥な格好になるとは聞かされていない。 これじゃまるで『騙し』ではないか。 相手の言葉を聞いているうちにムカムカと怒りが込み上げてきたが、周りにいる女性達の手前もあったので、できるだけ冷静に努めた。 「確かにそうですけど・・・」 「誓約書提出後に辞退された場合は一種の違反行為になりますので、今後当社が主催する選考会やイベントには一切応募できなくなります。それに、もしもドタキャンの噂が他社に漏れたらあまり良い結果にはならないと思いますがねえ」 「はい・・・」 第4話へ ![]() |
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