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綾 長安人中伝(ちょうあん じんちゅうでん) 人中とは、武将の中の武将を言う。 本編は三国志正史とは関連しません。 全くShyオリジナルとして、読みくださいませ。 第43話(最終回)更新 (16話以降は次頁となります。) ヒロインのあや☆ちゃんがイラストを描いてくれました。 次頁に掲載しています。 この↓イラストは球ちゃんから当小説&あや☆ちゃんへのプレゼントです! |
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第1話 遥か昔、中国は漢王朝の終わりごろ。 やがてはかの有名な三国志へと舞台は移っていくことになるが、その発端となったのが、黄巾賊(こうきんぞく)の存在であった。 当時の王朝はすでに衰退一途で、黄巾賊(こうきんぞく)が都を暴れまわっても、それを抑える力が無かったため、彼らの反乱はとどまるところを知らなかった。 黄巾賊は頭に黄色い頭巾を締めていたので、民からそのように呼ばれ恐れられていた。 彼らの合い言葉は「蒼天すでに死す。黄夫まさに立つべし」。 「蒼い天(=漢王朝)はもう終わった。これからはまさに黄色い人(黄巾族)の王朝が立つのだ!」という意味で、五行説に基づいていると言われてる。 五行説では、青色の次は黄色である。 他に赤と白と黒があるが、この小説と直接関係が無いので説明は省略する。 首領は張角(ちょうかく)という男で自分のことを大賢良師などと名乗っていた。 また張角の片腕とも言うべき弟の張宝(ちょうほう)は、自らを地公(ちこう)将軍と名乗っていた。 彼らは超能力が使えると自慢したり、人々の病気を治したりして人望を集めておいてから、反乱開始したものだから、人々も次第に彼らを正義の集団と見誤る者もいた。 これでは王朝は倒されてしまうと危ぶんだ帝と彼を取り巻く宦官たちは、各地の豪族に檄(げき)を飛ばした。 待ってましたとばかりに駆けつけて来たのが、実力者ではあるが腹黒い董卓であった。 彼は多くの軍勢で、黄巾賊を木っ端微塵に打ち砕いてしまった。 この後、帝を擁護すると騙り、都で好き放題することになるのだが、黄巾賊を打ち砕いた旗頭に、呂布という恐ろしく強い怪男子がいた。 第2話 呂布(24才)に関する記録を紐解くと、身の丈は六尺五寸あったと記されているところから、身長195cmは優にある大男だったようだ。 しかもうどの大木などではなく、筋骨隆々とした体格でしかも機敏であったと言うから、まさに武将の鑑(かがみ)のような男だったと言えよう。 その強さはまるで鬼神とも言うべきもので、後日、三国志では有名な関羽、張飛、劉備、の武将3人掛かりでも歯が立たなかったほどだ。 さらにかなりのイケメンであったことから、密かに彼を慕う女性もかなりいたようだ。 ところがそんなもてもての呂布ではあったが、こと女性に関しては実に純粋で一本気なところがあった。 彼が脇目も振らず愛し続けた女性、その名を【綾蝉】と言ったがここでは分かりやすく【綾】と呼ぶことにしたい。 綾は後世に名を残すほどの絶世の美女であり、呂布が他の女性に目もくれなかったのも充分に肯けた。 綾はその卓越した美貌だけではなく、若干18才にして歌・楽器・踊り等の芸にも秀でており、帝の宴に招かれることも少なくなかった。 今夜も1日の勤めから戻った呂布は愛する綾と心行くまで愛し合っていた。 「ねえ、綾〜、もう1回やろうよ〜。お願い!もう1回だけ!」 「もう〜呂布ってエッチね〜、すでに3回やったのよ〜。それにもうこんな時間じゃないの〜。あなた明日仕事でしょう?遅刻したら董卓のおじさんに叱られるよ〜」 「董卓のおじさん・・・って(・・;)ワハハハ〜!綾に掛かったら飛ぶ鳥を落とす勢いの董卓閣下もかたなしだな〜。ワッハッハッハ〜!」 「おじさんじゃまずかったか?あはは〜。じゃあ、もう1回だけよ〜。呂布って本当に好きなんだから〜エッチね〜」 「綾だってやりかけたらあれだけアヘアヘ言ってるくせによく言うよ」 「え〜!?そんなこと私言ってないもん〜。フンだ!」 「言ってるよ〜だ」 「もう!そんなこと言うんだったら私先に寝る!プリプリ!」 「うわ〜!怒らないでよ〜」 「嫌い!」 「機嫌直しのキス〜」 (チュッ・・・) 第3話 ご機嫌斜めだった綾も、少々強引だったが呂布に甘い接吻をされて、急に大人しくなってしまった。 「綾、この大陸でお前が一番好きだよ〜。(チュッ)」 「大陸で?じゃあ、大陸以外でもっと好きな人がいるの?」 「バカ、俺が大陸以外に行ったことあると思ってるのか?毎日、董卓閣下にこき使われてそんな暇はないよ〜」 「それもそうね。董卓のおじさん人使い荒いものね〜。可哀想な呂布。よしよし・・・」 「うん、そういってくれると癒されるよ」 剛勇で鳴り響く呂布であったが、綾の前でだけは、人前で滅多に見せたことのない意外な一面を包み隠さずさらけ出していた。 綾も自分だけに少年のような素顔を見せてくれる呂布をいとおしく思っていた。 衣服をまとう暇もなく、瓶の水を勺ですくってゴクゴクと飲み干した2人は、まもなく寝所で絡み合いはじめた。 195cmの呂布と155cmの綾。 ふたりの愛の姿はまるで『仁王と天女の契り』を見るかのようであった。 怪力無双で鳴らす呂布は立位のまま軽々と綾を抱き上げて交わった。 しかも呂布の股間でそそり立つものは、まるで馬並みと言って良いほど巨大な持ち物であった。 通常、男性がいくら立派な体格をしているからと言ってイチブツまでが立派とは限らない。 逆に小柄であっても意外に立派な男性もいる。 ところが、呂布の場合はその仁王のような見事な肉体に見合った、実に立派なイチブツを持っていた。 しかも先端のエラがしっかりと張っていて、女性を狂わせるには充分過ぎるほどのイチブツと言えた。 (ズッチュズッチュズッチュ、ズッコンズッコンズッコン) 「はあ〜、りょ、呂布〜、いやぁ〜、はぁ〜ん・・・あぁ〜ん〜」 「あ・・・綾ぁ〜・・・はぁはぁはぁ〜」 「あぁん〜、いい、いいわ〜、あぁん、すごい〜、はぁ、あぁ、す、すごい・・・」 |
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第4話 呂布はまさに仁王立ちの姿で、綾の臀部をしっかりと握りしめ、己の怒張するいかずちに突き刺した。 今風に呼ぶならば【駅弁】とでも言うのだろう。 「りょ、呂布〜、大好きよ〜、愛してるわぁ〜」 「はぁはぁはぁ、俺だって綾が大好きだ〜。綾が俺を愛してるよりも、俺のほうが綾を愛してるよ〜。はぁはぁはぁ〜」 「あぁ〜ん、そ、そんな事ないわ!呂布が私を愛してくれてるよりも、私のほうがずっとずっと呂布を愛してるわ〜」 「はぁはぁはぁ〜、そ、そんな事ないって!」 「どうでもいいけど〜、あぁん、今、いいところなんだからぁ、こんな議論やめておかない?あぁ、あぁ、あぁ〜」 「うん、確かに。さあ、もっと奥までねじ込むぞ〜〜〜!」 「いやぁ〜ん、これ以上ねじ込むと、私、壊れちゃうわ〜!やめて〜」 「ん?やめていいの?すごくいいとこなんだけどさぁ(・・;)」 「それは言葉のあやというものよ。やめなくていいのに〜」 「言葉のあや?うひゃひゃ〜!綾が言葉の綾だってさ〜。うひゃひゃ〜!で、昨夜、お前が1人でやってたのが『あやとり』か〜?うひゃひゃ〜!」 「あのねぇ・・・」 「はい、何か?」 「もっと真面目にやれ〜〜〜!」 (ピシャッ!) 「いててっ!何もぶたなくったって〜」 「フン!」 「くそ!怒ったぞ〜〜〜!よ〜し!では嫌というほど挿し込んでやるぅ〜〜〜!」 「きゃあ〜〜〜!壊れちゃう〜〜〜!」 「それ、それ、それ!」 (ズンズンズン!) 「あんあんあん〜!」 「ほれほれほれ!」 「やんやんやん〜!す、すごく硬くなってきた〜!」 「太く長くて硬いのが俺の自慢よ!うんうんうん〜!」 「いや〜〜〜!あぁん!あら、どうしよう〜あぁん!はふ〜ん〜!」 (グッチョグッチョグッチョ!) 「はぁ〜ん、もう、いやぁ〜、あぁ〜、はぁ〜、あぁ〜ん〜」 第5話 「りょ、呂布、すごくいいよ〜、あ、でも、この格好のままイクのいや〜!私を寝所に連れてって〜!」 「もしかして『私をスキーに連れてって』をパロったのか〜?」 「そんな古い映画のタイトル言われたって、私知らないわ〜」 「古いということを知ってるじゃないか(ーー;)」 「何となく・・・(^^;)」 「というか、今の時代に映画なんかあるか〜!」 「主演の知世ちゃん、三上さんカッコ良かったわ〜」 「綾、お前、本当に18才か?」 「モチ、そうだよ〜ん、ピチピチ18才だもん〜♪このボディ見れば分かるでしょ?」 「(ニタリ)うん、まあ(^^;」 「あぁん、それより早く寝所に行って正常位で突きまくって〜」 「何と、エロい18才だな〜。まっ、いっか〜。俺もエロいのは嫌いじゃないし〜」 「行こ、行こ〜」 「うんうん〜(デレデレ〜)」 呂布はニヤニヤと鼻の下を伸ばしながら綾を寝所へと運んでいった。 もちろん、綾の股間には呂布の肉槍がグサリと突き刺さったままであった。 寝所に仰向けに寝かされた綾の上に、巨体は覆い被さった。 しかし女性には優しい呂布のこと、全体重を綾に預けることは無かった。 綾の2倍以上の体重が華奢なあやのに圧し掛かると相当な負担になる。 呂布はうまく肘で自分の体重を支えながら、綾との睦戯を愉しんだ。 肌の触れ合いに心を濡らし、濃厚なくちづけに谷間を濡らす・・・。 呂布の怒張したものはもちろん綾の中。 先程の駅弁以来、一度も和合を解いていない。 ずっと結合したままだ。 呂布が動くたびに襞がこすれる。 綾はもうとろけそうになっている。 声はうわずり、実になまめかしい。 およそ18才とは思えないほど妖艶な声で泣いている。 それは決して意識的な媚びの嬌声ではなく、無意識のうちに上げる艶声。 艶声を聞けば男というものは一段と奮い立つ。 呂布の肉槍は怒涛の攻撃を開始した。 「綾〜、おお、おお〜、すごい〜、うう、いいよ〜」 「ああっ、りょ、呂布〜、すごい〜、あぁん〜、やん〜、あぁん〜」 第6話 肉槍は綾の中でやんちゃ坊主のように暴れ廻る。 呂布の身分は将軍だから、これが本当の『暴れん坊将軍』というのかも知れない。 綾は敷布をひっぱり、歓喜に顔をゆがめる。 女が感極まると苦しげな表情に見えることがある。 だが明らかに違うのは声だ。 歓喜に咽ぶ女の声には艶がある。 綾はあまりにも快感すさまじく、ついには瞼に涙を滲ませた。 まもなく女の絶頂を示す悩ましげな嬌声が轟いた。 「あっ、あっ、あっ、ああっ、りょ、呂布!あら、どうしよう〜、私、イキそう〜、あぁん、イキそう〜、ああん、あん、あん、ああ、あああああ〜〜〜〜〜!イクぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜!!」 「おお、おお、俺ももう出そうだ!!おお、おおっ、おお、おお、おおおおお〜〜〜!」 (ドピュ〜〜〜ン!) (ドボドボドボド〜) 「あああああ〜〜〜・・・あああ〜・・・ああ〜〜〜・・・」 「はぁはぁはぁはぁはぁ〜、はぁはぁはぁはぁはぁ〜・・・」 綾が呂布に抱かれて、絶頂の後の余韻を楽しんでいると、部屋の外から突然、けたたましい男の声がした。 「将軍!呂布将軍はいらっしゃいますか!い、一大事です!」 「なんだ!?慌しい!」 呂布の眉が急にキリリと吊り上った。 その表情は実に凛々しく、綾と乳繰り合ってた(いちゃつくの意味で現在は死語に近い)時のでれ〜とした表情と格段の差があった。 綾は慌てて衣服を着用した。 呂布は下半身だけはまといはしたが、上半身は裸のままであった。 「あのぅ〜、呂布、上、着なくていいの?」 「構わない」 「将軍、おじゃましてよろしいか!?」 「入れ」 「では、おじゃまします!」 鎧に身を固め武装した男がズカズカと入ってきた。 呂布から少し離れてはいるが、室内に綾がいることに気遣いながら、一礼をした後、語り始めた。 |
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第7話 「どうしたのだ?」 「実は黄巾賊の者どもがまたもや村を襲って、略奪など好き放題を行なっているとのこと!いかがいたしましょうか!?」 「いかがするかだと!?馬鹿者!決まっているだろう!今すぐ出陣だ!準備をしろ!」 「はい、準備はもうできております!」 「ん?できておるのか?(・・;)それを早く言え。すぐに支度をするから整列して待っていろ!」 「はい、将軍閣下!承知しました!隊列を整えてお待ちしております!」 「ちぇっ、綾とせっかくいいところだったのになあ〜。まあ、見てのとおりだ〜。今から黄巾賊退治に行って来るから、綾、大人しく待ってろよ〜」 「呂布、気をつけてね、私、心配・・・」 「心配するな。俺が簡単にやられると思ってるのか?」 「呂布がめっぽう強いのは分かってるんだけど、やっぱり心配だわ」 「大丈夫だって。それより、綾の方が心配だ。この館も一部の兵士しか残さないから少し不安だ。念のためお父さんのところに戻っておれ」 「うん、分かったわ。ねえ、呂布?」 「なんだ」 「帰ってきたらまたいっぱいしてね?いいこと」 「むふむふむふ〜♪もちろんだよ〜。嫌と言うほど、ほじってあげるからね〜」 「その言い方、なんか、嫌らしい・・・(−−;)」 「穴ほじりだ〜い好き〜」 「いいから早く行ってあげて。みんな待ってるわ」 「うん、じゃあ、行ってくるよ」 呂布はそう言うと綾に頬を近づけ、軽くくちづけをした。 「気をつけてね」 「うん、じゃあ」 呂布が千の兵を率いて館を出て行く後姿を、綾は窓から眺めていた。 「どうぞご無事で・・・」 呂布が天下無双と呼ばれるとほど強い武将であることは、綾としては充分に分かっている。 それでも不安を拭えないのが女心というものだ。 綾は呂布との約束どおり自宅に帰るため、身支度を整えはじめた。 準備が整うと、呂布が出て行きがらんと静まり返った館を後にした。 自宅までは牛車で30分ほど掛かる。 綾と同行する者が5名付けられた。 4名の武将と1名の御者(ぎょしゃ)である。 物々しい姿では反って目立つところから、武将はあえて平服を着用した。 牛車を挟んで前方に2名、後方に2名。 最小限の人数ではあるが、一応陣形をなしている。 ましてやあらかじめ呂布が綾に気遣って、腕の立つ武将4名を選りすぐっておいてくれた。 仮に賊に襲われたとしても、滅多なことで倒されることはないだろう。 (ガタンガタン、ゴトンゴトン、ガタンガタン、ゴトンゴトン) 牛車は夕闇迫る長安の郊外をゆっくりと進んでいた。 第8話 呂布が軍勢を引き連れて駆けつけた時、黄巾賊の黄色い旗がなびき、村はすでに阿鼻叫喚(あびきょうかん)の巷と化していた。 ある者は家を焼かれ逃げ惑い、抵抗する者は刃の餌食となり、若い娘達は衣服を引き裂かれ男達の慰みものになっていた。 「おのれ〜!黄巾の下衆どもめが!1人残らず切って捨てい〜!」 「わぁぁぁ!」 呂布の号令一過、兵士たちは黄巾の旗を目指して一気に攻め込んだ。 殺戮、窃盗、陵辱に没頭していた男たちは、呂布の急襲に慌てふためいた。 それもそのはず、呂布軍が村に近づいてからは、下馬し、蹄の音を響かせないで進軍したのであった。 「うわ〜〜〜!呂布だ〜〜〜!逃げろ〜〜〜!!」 「なに!?呂布が現れただと!?おい、そんなもの放っておいて逃げようぜ!」 黄巾の男達はまるで蜘蛛の子を散らしたように四方八方に逃げ惑った。 賊はせいぜい50人足らずであろうか。 つわもの揃いの一千の呂布軍に追われては全く歯が立たなかった。 呂布軍の刃の前に次々倒れていく黄巾賊。 たちまち屍(しかばね)の山を築き上げた。 「おかしい・・・」 呂布の知恵袋ともいえる参謀の陳宮がふとつぶやいた。 「何がおかしいのだ?」 「将軍、変だとは思いませんか。賊たちの中に張角も張宝も見当たりません。死体を探しても小者ばかり。今までなら村を襲う時、必ず彼らのどちらかが指揮を執っていました」 「そういえば確かにいないようだなあ。何か訳があって来なかっただけではないのか」 「訳ですか?う〜ん、何かありそうだなあ・・・」 「そのうちヤツラのそっ首を2つ並べて、董卓閣下に進呈するよ。まあ、あんまり気にするな」 「はい、そうですな。私の思い過ごしだったようで」 呂布軍は村を襲った賊を1人残らず一掃したあと、村の怪我人を手当てをし、まもなく砦の中に併設させた屋敷へと戻っていった。 その頃、4人の武将に警護された綾は長安郊外の林を通り抜けようとしてた。 季節柄、道の両側には色とりどりの花が咲き乱れ、綾たちの目を楽しませていた。 第9話 「綾様、この季節は緑も生き生きとして、草花もたいそう美しいですなあ」 「そうね。本当にきれいだわ」 「しかし三国一の美女との呼び声高い綾様の美貌に比べたら、一面に咲く花々もかすんで見えますなあ」 「まあ、そんな。お上手を言って」 「いえいえ、お世辞などではございませぬ。まことそのように思っておりますゆえ」 「そうなの?嬉しいわ。おほほほほほ〜」 綾たちが和やかに談じていた時、木立の間から何かがきらりと光った。 その数は1つではなく、10,20と増えて行った。 (ガサガサ・・・) その時、異様な空気を肌に感じたのか、綾の前を行く林寧(りんねい)という武将がふと立ち止まった。 (ん・・・?) 「林寧、どうしたのじゃ?」 林寧の横を歩いていた武将が尋ねた。 「うん・・・何か気配を感じる・・・」 「なんだと?」 「何者かが我々を狙っている。それも1人や2人ではなく、おびただしい数だ。皆の者、用心せよ」 「な、何?」 「我々を狙っているやつがいると言うのか!?」 「何者であろうが返り討ちにしてくれるわ」 殺気だった空気が綾とその周囲を包み込んだ。 綾の表情が突然険しくなった。 「どうしたの?」 「綾様、何者かが我々を付けねらっているようです。しかしご心配はご無用です。我々がお守りしますゆえ」 「・・・・・!?」 綾とお付の武将との会話も終わらないうちに、道の左右から辰の声(ときのこえ)が巻き起こり、一斉に男達が躍り出た。 男達の身形(みなり)からすると、いずこかの国の兵ではなく、野武士か盗賊のようだ。 「掛かれ〜〜〜!」 「お〜〜〜!」 「やっちまえ〜!」 「女は生け捕りにしろ〜!」 「く、くそっ!両方から挟み撃ちとは卑怯な!?み、みんな、気をつけろ!!」 「うっ、すごい数だ!」 「何を!一命に代えてでも綾様をお守りするぞ!」 |
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第10話 綾の左翼には林寧ともう1人が、右翼には雁建(がんけん)ともう1人が綾を乗せた牛車を背に防御体制を敷いた。 牛車を操る御者も槍を取り出し構えた。 「とりゃあ〜〜〜!」 先ず1人、大きな掛け声とともに髭面の男が林寧目掛けて長槍で突いてきた。 「何の!」 林寧は軽く槍先をかわし、態勢の崩れた男に長剣が見舞った。 「うぎゃあ〜〜〜!」 赤い血しぶきが飛び、男がもんどりうって地面に倒れた。 それにしても恐ろしい強さだ。 豪傑呂布が指名だけのことはある。 一瞬、襲撃した側の男たちがたじろいでしまった。 頭(かしら)と思われる男が号令を掛けた。 「怯むな!やつらは少数だ!掛かれ〜!掛かれ〜〜〜!」 牛車を挟んで左右からおびただしい人数の野党たちが躍り出た。 「お〜〜〜!」 「行け〜〜〜!」 「倒せ〜〜〜!」 「くそ!何という数!」 「我らを呂布将軍の配下と知っての狼藉(ろうぜき)か!?」 「おのれ!」 「返り討ちにあわせてやる〜〜〜!」 あまりにも牛車のそばでの戦闘だと、綾にまで被害が及ぶと考えた林寧たちは数歩前に出て戦いに臨んだ。 ところが結果的にはそれが彼らの命取りになってしまった。 少数で多勢を相手にしなければならない時は背中を壁に向けるのが最も安全だ。 攻めてくる方向が特定できるからだ。 いくら強者であっても、周囲を取り囲まれては勝ち目がない。 数歩前に出たことによって横からの攻撃を受けやすくなってしまったのだ。 林寧の隣で戦っていた武将が敵の刃に捕まり倒されていった。 さらに襲いかかる無数の剣と槍の嵐。 それでも呂布配下の武将たちはよく戦った。 死体の山を築き上げるのは敵方ばかりであった。 しかし倒しても倒しても止め処もなく襲い来る敵方の前に、林寧たちの疲労は次第に色濃くなってきた。 「ぎゃあ〜〜!」 林寧の裏側で断末魔の声が響いた。 林寧が手塩に掛けて育ててきた若き武将、延瑞が倒されたようだ。 「え、延瑞〜!!」 続いてもう1人の右翼を守る武将も敵の凶刃を浴び遭えない最後を遂げた。 同じ頃、牛車の上から巧みに槍を繰り出していた御者も敵の数本の槍の犠牲となっていた。 残ったのは綾と林寧の2人だけだ。 第11話 綾は牛車の中で、瞳を鋭く吊り上げ短刀を構えた。 まさか帰宅の途上で素性も知らない暴漢に襲われ、全員壊滅の危機に瀕することになるとは・・・。 無念ではあるが、これもまた天が与え給うた運命なのかも知れない。 それならばせめて散り際だけでも豪傑呂布の恋人らしく、取り乱すことなく立派な最後を遂げようと思った。 その矢先、どこからか命令を下す甲高い声が綾の耳に入った。 ふと見ると黄色い戦旗のなびく下で、吊り目でどじょう髭の男が戦扇を振っていた。 どうも一味の大将格のようだ。 「残る敵はたった1人だ!向こう側の兵は牛車に乗っている女をさらうのだ!いいか!決して傷はつけるな!」 「おお〜!」 「承知〜!」 「女をひっ捕らえろ〜!」 「あ、綾様っ!!」 林寧は焦った。 だが自分に切り掛かってくる敵を倒すことで精一杯だ。 一団は牛車の扉をこじ開け、綾を引きずり出そうとした。 綾は持っていた短剣で侵入してきた男の胸板をグサリと突き刺した。 「ぎゃあ〜〜〜!」 不用意に綾に近づいた男が仰向けに倒れた。 「おのれ〜!この女が!」 「おい!女に傷をつけるなよ!」 「分かっておるわ!ひっ捕らえてくれるわ〜!」 綾の繰り出す短剣をかわした男は、綾の腕を掴んだ。 「は、放して!」 「でへへへ、気の強い女だぜ。俺を突き刺しのはちょっと無理だぜ。さあ、牛車から出ろ」 男は強引に綾を牛車から引きづり降ろした。 必死に抵抗を見せる綾に数人の男が素手で襲い掛かった。 敵を倒しながら綾の様子に神経尖らしていた林寧は、ついに堪りかねて 裏側に回り込もうとした。 つまり敵に背を見せたわけである。 その瞬間、1人の男が繰り出した槍が林寧の背中を捉えた。 「ぐわ〜〜〜っ!」 さらに数本の剣が林寧を襲った。 「げっ!うぐぐっ・・・む、無念・・・あ・・・綾様ぁ〜・・・」 「り、林寧!林寧〜〜〜!!死んじゃだめよ〜〜〜!!」 綾の耳に林寧の叫ぶ声が届いた。 「どうして〜!?どうしてなの〜!?」「うるせえんだよ!」 「大人しくしな!」 「どうしてこんな酷いことをするのよ!!」 綾は涙声で辺りの男たちに訴えた。 第12話 綾が持っていた短剣はいつのまにか払い落とされ、四方から屈強な男たちに取り押さえられていた。 「いやあ〜〜〜〜〜!!は、離して〜〜〜〜〜!!」 「もう観念しな。もうお前を守ってくれる奴なんて誰もいないんだぜ」 「そうそう、皆、あの世におさらばしたんだ。諦めるんだ」 「いや〜〜〜〜〜!!助けて〜〜〜〜〜!!」 「大人しくしねえと痛い目を見るぜ」 男たちはなおも暴れる綾を荒縄で後手に縛り上げ、綾が乗っていた牛車に押し込んだ。 綾は横倒しにされ、両脚首もしっかりと縛り上げられ、さらには口に猿ぐつわまで噛まされてしまった。 1人の男が御者を務め、まもなく牛車はゴトリと動き始めた。 綾たちが去った後には、生々しい戦の痕跡が残っていた。 奮闘空しく露と散っていった林寧たちの遺体と、その数倍にも及ぶ敵方の骸(むくろ)が葬られることもなく、藪を通り抜ける風に晒されていた。 綾を乗せた牛車を中心に男たちは速足で南の方角に歩を進めた。 隊列の先頭には先程戦扇を振っていた男が馬に跨っている。 その横を歩く男がニコニコ顔で馬の男に語りかけた。 「地公(ちこう)将軍、作戦は見事に成功しましたなあ」 「全くだ」 「でもまさか、我々の別働隊が村を襲い、呂布の目をそちらに向けさせ、その間隙を縫って呂布の恋人を連れ去るとは、さすがに地公将軍ですなあ。あの馬鹿の呂布とは大違いです」 「はっはっは〜、あんな馬鹿呂布と比べられては心外だ」 「あ、これはご無礼を」 「いや、それにしても、あの呂布は単細胞な男だ。分かりやすい」 「ははあ、仰せの通りで」 「確かに滅法強く、剣を持たせばこの国で奴に敵うものがいないかも知れない。しかし、奴には大きな弱点がある。実に単純な性格であることとと、もうひとつは女だ」 「女好きということですか?」 「少し違う」 「と申しますと?」 |
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