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中編/ありさ 淫虐女武者 |
フィクション |
| 第一話〜第五話 | 第六話〜第十話 |
第一話 慶長17年(1613年)、大坂城重鎮木村重成(22歳)からの命を受け、実妹ありさ(18歳)は懐に密書を忍ばせて高野山中を登っていた。行く先は、関ヶ原の戦で西軍に味方して敗れたあと、信州上田の地を追われ高野山へ配流の身となっていた真田幸村の庵であった。 密書には次々に要求を押しつけてくる徳川家康に対抗するため、大坂城へ決起を促す豊臣秀頼からの檄文がしたためられていた。重成は密書が極秘中の極秘文書であったことから間者を使うことを避け、実妹のありさに託したのであった。因みに、ありさが幼い頃より剣術を嗜み男子も舌を巻くほどの腕前を重成が見込んでのことでもあった。 ただし、ありさが幸村の元に行くためには、ひとつだけ大きな難関が待ち構えていた。高野山は開山以来硬い女人禁制の掟があり、ありさが入山することは不可能と考えられた。 そこで重成は一策を講じた。ありさに男物の着物と袴を着けさせ“若武者”に仕立てあげることにした。さらに若武者らしく髪型も前髪を眉の辺りまで左右に垂らし、後方は束ねて紐で結んだ。これで外見は凛々しい“若武者”のでき上がりとなったわけだが、日焼けもなく武者としては肌が白過ぎることが些か気にかかった。 四月十日早朝の寅の刻、重成は密かにありさを大坂城から送り出した。春とは言っても夜明け頃はまだまだ冷える。ありさは緊張した面持ちで大坂城を後にした。 ありさは二日後の夜更けに高野山の裾野までたどり着いた。幸村のいる庵まであとどのくらい掛かるのだろうか。ありさは竹筒の水を口に含んで先を急ぐことにした。 高野山は山深く道はさすがに険しい。途中ほとんど眠っていないため疲れが限界にやってきたようだ。ありさは少し休息をとることにした。道端の手頃な石に座って、額に浮かんだ汗を手拭いでぬぐった。 「ふう・・・かなり歩いたなあ。あとどのくらい掛かるのだろう。明け方には着くかな?」 それにしても山中は暗い。いくら腕には自信があると言っても、それは人間相手のこと。大自然が作り出す漆黒の闇への恐怖は拭い去れない。 「真っ暗だなあ・・・」 しばらく休んでいるうちに、どこからともなく清涼感のある良い香りが鼻腔をくすぐった。その香りは凛とした夜のしじまの中に悠然と溶け込んでいた。高野山の深い森には針葉樹が多く、香りの源はこれら針葉樹であった。 ありさは大きく息を吸い込んで、すくっと立ち上がった。 「さあ、急ぐとしよう」 ありさは行く先の山道を眺めた。漆黒の闇が山道を包んでいる。いや山道だけではなく辺り一面が暗闇に覆われている。ひとつ間違うと足を踏み外して谷底へ転落してしまうかも知れない。ありさは懐中から松明を取り出した。石を擦って火を熾した。赤々と松明の火が点り周囲が視野に飛び込んできた。 「これでだいじょうぶだわ」 ほっとした表情で、ありさは再び山道を登り始めた。 それから半時ほど歩いただろうか。右側の藪からがさがさと音が聴こえてきた。 「・・・!?」 ありさは一瞬険しい表情に変わった。右手に持った松明を高く掲げた。左手が刀のつばに掛かった。敵が現われたとしても、松明を投げ捨てて、いつでも刀を抜ける態勢だ。 (バサッ!) 「わっ!!」 藪のかなり高い位置から座布団のようなものが飛び出してきて、空を飛び、瞬時のうちに左の藪へと消えていった。 「な、なんだ、今のは・・・!?鳥か・・・?」 その時、前方から笑い声が聞こえてきた。 「がはははは〜〜〜!今のは鳥じゃないよ〜。あんた、ムササビを知らないのかい?こいつは傑作だなあ〜。がはははははは〜」 「ぬぬっ・・・!?」 見たところ品のよくないごろつき風の男であった。 「もしかしてあんた、都の腰抜け武士か〜?その格好からすればそんなとこだろう〜?なあ、みんな」 「そうだなあ。見たところ武士のようだなあ。しかし身体は華奢だし腕は立たなさそうだなあ。もしかして刀はただの飾りじゃねえのか?何ならもらってやってもいいんだぜ〜?ひゃっひゃっひゃっひゃっ〜」 第二話 男は一人ではなかった。最初に現れたあご髭の男に続いて、鉢巻をした男、眉間に傷のある男、黒い眼帯をした男など、人相の悪い男たちが次から次へとありさの前に現れた。少なくとも五人はいるようだ。いずれも風体からして、世間からはみ出したごろつきにしか映らなかった。 ありさは一瞬たじろぎはしたものの、彼らの威嚇に屈するまいと、あえて虚勢を張ってみせた。 「貴様たちは何者だ」 「さあ〜、何者でしょうね?高野山のタヌキとでも言っておこうか。がははははは〜〜〜」 「むむっ、悪ふざけはよせ。それよりも早くそこをどけ。先を急ぐゆえ」 「こんな夜中に急いでどこへ行くつもりなんだ?高野山にお参りに来た風でもなさそうだし・・・。どうなんだ?若武者さんよ〜」 幸いにも彼らの目には、ありさが男武者に映っているらしい。 ありさは毅然とした態度で臨んだ。 「お前たちに言う必要はない」 「ふん。威張るんじゃねえよ〜!」 ふと気がつくと二人がうしろに回り込み、ありさはいつのまにか男たちに取り囲まれていた。 ありさは刀のつばに手を掛けた。 「ん?お前、俺たちを切ろうと言うのか?」 「・・・・・・」 「面白いじゃねえか。切れるものなら切ってみやがれ」 「くっ・・・」 ありさを取り囲む輪が、次第に狭まっていく。 男たちは錆びた刀やこん棒など思い思いの武器を構えた。 「若武者さんよ〜。もし運良く一人を切ったとしても、同時にお前もあの世に連れてってやるから覚悟しておきな〜」 あご髭の男がにやりと笑って凄んで見せた。 「なあ、悪いことはいわねえ。今のうちなら勘弁してやるから、身包み脱いで置いて行きやがれ」 彼らは物盗りが目的のようだ。 (冗談じゃないわ。ここで衣を脱げば、私が女だと言うことがばれてしまう。ここは絶対に突破しなければ・・・) 「断る」 「なんだと?着物だけで許してやろうと言ってるのに、俺たちに逆らうつもりか?へ〜、これは面白いや。おい!おめえら、この若武者をやっちまえ!」 親分格らしきあご髭の男の号令で、突然、正面にいる鉢巻の男が鎌を振りかざしてありさに襲い掛かってきた。 (カチャッ!) ありさは目にも止まらぬ速さで腰の刀を抜いた。 白刃一閃、鎌を握った男の悲鳴が聞こえた。 「ぎゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 男はうつ伏せになって道端に崩れ落ちてしまった。 ありさはさらに剣を中段に構えた。中段の構えは、別名『正眼の構え』とも言われており、攻防自在で、相手のどんな動きにも対応しやすい構えと言われている。 男たちの顔がにわかにこわばった。 「こ、こいつ、本気でやりやがった!く、くそ!やっちまえ〜!!」 続いてあご髭の男が剣で切りつけてきた。 様子からすると、どうもこの男が親分格らしい。 (ガシッ!) 男の剣をありさはがっちりと受け止めた。剣が合わさり、男がすごい力で圧してくる。刃は欠け落ち剣はまともな代物とは言えないが、そこそこ腕も立ち、何より力が半端ではない。ありさは、相手をはねのけようと試みたが、力ではとても敵いそうになかった。ありさはあご髭の男に圧倒されて、一歩、二歩と後退していった。 (く、くっ!何と言う馬鹿力なの!でもここは絶対に負けられない。ここを突破して早く真田様に密書を届けなければ・・・) そう思った矢先、ありさの頭部に動物捕獲用の網がかぶせられた。 「ううっ!!な、なに!?」 「掛かったか〜!この愚か者めが!がはははは〜〜〜!」 刀で切ろうとしても、網が邪魔をして思うように腕が動かない。 まもなく手首をはたかれ、刀が手から離れてしまった。 それを見た男たちが一斉にありさに飛び掛かった。 「うわっ!!やめろっ!!」 第三話 網の上から押さえつけられ、ありさは身動きができなくなってしまった。 「暴れるな!大人しくしろ!」 ありさの捕獲は手下に任せて、あご髭の男はありさが落とした刀の品定めをしている。 「ほう〜、結構いい刀持ってるじゃねえか。これは貰っとくぜ。おい、てめえら!その若武者を身包み引っ剥がしちまいな!結構高く売れそうだから」 「へえ〜、お頭!」 「あいよ!」 ありさの足首に縄が絡んできた。 「うわっ!」 立ってられなくなったありさは思わず横転してしまった。 ありさを取り押さえようとする眉間傷の男の手が、偶然にもありさの胸元に触れた。 「あれ・・・?」 眉間傷の男が怪訝な表情をしている。 「おい、みんな・・・」 「なんだよ?」 「この若武者・・・男じゃねえぜ・・・」 「な、なんだと〜!?女だと言うのか!?」 「ほ、ほんとか!?」 険しい顔をしていた男たちの顔色が突如変わった。 「武者にしては厳つくないし、それに肌がやたら生っ白いし、どうもおかしいと思ってたんだよ〜」 「へへへへへ〜、これは願ってもない拾いものだぜ〜」 「女郎屋へ売り飛ばすのか?」 「それもいいが、その前にたっぷりと可愛がってやらなきゃな〜」 「そういえば最近、あっしはご無沙汰だな〜。ひっひっひ〜」 「がははははは〜。よし、女武者を小屋までしょっ引け」 ありさは網をかぶされたうえ、念入りに手足に縄を巻きつけられ、文字通り雁字搦めにされてしまった。 それでも懸命に脱出しようともがくありさ。 男はそんなありさを揶揄しながら、肩にひょいとと担ぎ上げてしまった。 「やめろ!どこへ連れて行く気だ!」 「いつまでも男を気取ってるんじゃないぜ。もう女だってことはばれてるんだから。後から女である証拠をちゃんと拝ませてもらうぜ。がはははは〜!」 厳重に拘束されてもなお抵抗をやめないありさに、担ぎ手の男は手を焼いた。 そのため担ぎ手がもう一人加わり、まるで駕篭かきのように前後二人になった。 「放せ〜!」 「いい加減大人しくしろ!いくら喚いたってこんな山奥じゃ誰も助けになんかこねえぜ。とっとっと諦めるんだな〜」 風が無く静寂の中を盗賊たちは尾根伝いに進んだ。 時折梟の鳴く声が聞こえてくるが、ありさの悲痛な叫び声にかき消されてしまった。 ありさは口惜しくて唇を噛みしめた。 真田幸村の隠遁する庵のそばまでたどり着いておきながら、まさか盗賊団に囚われてしまうことになるとは、何と言う運の無さだろうか。 男たちは自分をいったいどこへ連れて行こうと言うのか。 この野蛮で薄汚い男たちの慰みものにされてしまうのだろうか。 己の運の無さを呪わしくさえ思えた。 (生き恥を晒すぐらいなら、木村重成の妹として潔く死を選ぶべきではないだろうか。いや、私の使命は真田様に密書を届けること。無事に届けるまでは死ぬ訳にはいかない。隙を見て逃れなくては・・・) 闇の中をどれくらい進んだのだろうか。 自分の足で歩いていないから距離感がつかめない。 不安は募っていく。 まもなく、軒に蜘蛛の巣が張った薄汚れた小屋に着いた。 小屋はかなり傷んでおり、長い年月、人の暮らしが途絶えていることを物語っていた。 「よし、着いたぞ」
第四話 「真っ暗じゃねえか。お〜い、誰か明かりをつけろ」 「おお、俺が点けてやるぜ」 まもなく蝋燭が灯され、小屋の中が明るくなった。 小屋の中もすっかり荒れ果ててしまっている。 襖や障子はぼろぼろに破れ、床には足が白くなるくらいに埃が積もっていた。 「それにしても汚ねえな〜」 「仕方ないじゃねえか。以前の隠れ処は役人に見つかってしまったし。諦めるんだなあ」 「そうだな。雨露が凌げるだけでも良しとしなければな〜」 「そ、それより、重いぜ。早くこの女武者を下ろさせろ」 「その辺りに適当に転がしときゃいいじゃないか」 「よし」 ありさを担いでいた男は土足のまま床に上がり、隅の方へありさを下ろした。 (どさっ!) 「うっ!」 男が乱暴にありさを床に下ろしたため、ありさは肩を打ってしまった。 床は板敷きなのでかなり堪える。 「うううっ・・・」 ありさは顔をしかめ、男を睨んだ。 「なんだよ、文句あるのか」 「く、くそぅ・・・」 「なんだ?その目は!」 (ぱちっ!) 男はありさの頬をぶった。 「痛っ!」 「もう一度逆らってみやがれ!ただではすまねえぞ!」 様子を見ていたあご髭の男が怒鳴った。 「おい!やめねえか!その女は高く売れるんだぞ。よく考えやがれ〜!」 「すまねえ・・・お頭・・・」 「だがよ、可愛がってやるのは別だぜ。いくら可愛がったって値打ちは一文も下がらねえからな〜。がははははは〜!」 「えへへ、たしかに」 あご髭の男はにやりと笑って、ありさに飛びかかった。 「何をするっ!」 「この邪魔な網を取ってやろうと言うんだ!大人しくしていろ!」 暴れるありさを後から眉間傷の男が押さえ込んだ。 あっという間に、縄が解かれ、かぶせられた網が取り除かれた。 「らくになったか?だがな〜、かわいそうだが縄を解くのはほんの一瞬だぜ。お前はかなり腕が立つようなので、油断はできねえからな〜」 そうつぶやくと、あご髭の男は再びありさを後手に縛ってしまった。 縛り終えたあご髭の男はありさに顔を近づけて凄んでみせた。 「これだけは言っておくぜ。俺たちは一応お前さんの命まで奪うつもりはねえ。だがな、もしも俺たちに少しでも逆らいやがったら、ただじゃ済ませねえからな。それだけはよ〜く覚えておきな。分かったか」 「くっ・・・」 ありさは憎々しげに、あご髭の男を睨み返した。 あご髭の男はありさにそう忠告すると、すぐさま、着物を脱がしにかかった。 「や、やめろっ!」 「うるせえんだよ!」 眉間傷の男が後からありさを羽交い絞めにしてしまった。 正面から、あご髭の男がにたにたと笑いながら、胸元の合わせをぐいと広げた。 ありさの白い胸元が露出してしまった。 抵抗しようとするが、後から抱えられていて身動きが取れない。 あご髭の男はありさの胸元をさらに拡げる。 ありさはこの日、一番上に濃紺の着物を着て、下に白の襦袢を羽織っていた。さらに、胸のふくらみを隠すため、胸には木綿のさらしを巻いていた。 「ほほう、胸に布を巻いて、乳を隠そうとしていたのか?がはははは〜〜〜。何とも健気だぜ〜!なあ、みんな?」 「まったくだぜ〜!それで男だと騙し通せると思うとはな〜ひゃっひゃっひゃっ〜!」 「ふんっ」 ありさはきっと睨んだ。 「どこまでも強気な女だぜ。だけど、その強気がどこまで続くのかな〜?おい!この女が着ているものは全部剥がして素っ裸にしちまいな〜!」 「待ってました〜!」 「合点〜!」 「ほいきた〜!」 四人の男たちが一斉にありさに襲い掛かった。 「うわ〜〜〜!!や、やめろ〜〜〜!!」 第五話 四人の男たちに掛かられてはひとたまりもなく、瞬く間に衣類を奪われてしまった。 胸のふくらみを隠すために巻きつけていた晒(さらし)もくるくると解かれていく。 「くそ〜、面倒くせえもの着けやがって。手間が掛かるじゃねえか」 「がははは〜、だがよ〜、手間が掛かった方が後の楽しみが大きいぜ〜」 「それもそうだな。ふふふ」 これ以上脱がされまいと、ありさは足をばたつかせて抵抗したが、手を後手に縛られているうえに四人の男に押さえつけられてはなすすべもなかった。 何重にも巻かれた晒が解かれ、白い乳房がぷるんと現れた。 「へっへっへ〜、小ぶりだけど良い形の乳してるじゃねえか〜。なあ?女武者さんよ〜?」 「さ、触るなっ!!け、汚らわしい!!」 背後からありさを羽交い絞めにしていた眉間傷の男が、両の乳房を鷲掴みにしてきた。 ありさはおぞましい手を払いのけようともがくが、押さえつけられていて身動きが取れない。 「ううっ!は、手を放せ!」 「へっへっへ〜、そう嫌がることないじゃないか〜。いくら揉んだって減るもんじゃねえんだし」 「や、やめろ!」 「うるさい女だなあ・・・」 眉間傷の男が突然ありさの首に太い腕を絡めてきた。 「ううっ・・・くっ、苦しいっ・・・」 「へっへっへ〜、殺したりはしねえよ。生まれたままの姿にひん剥いてやるから、ちょっとの間、大人しくしてな〜」 「うううっ・・・」 ありさが首を絞められ苦悶の表情を浮かべている間に、腰の帯が解かれ、袴が剥ぎ取られてしまった。 その結果、ありさの身に着けているものは、男のように凛々しく締め込んだ六尺ふんどしと白足袋だけとなってしまった。 「ほほう〜、これは驚いたぜ〜。この女、ふんどしを締めてやがるぜ!がっはっはっはっはっは〜!こりゃ、傑作だ〜!がっはっはっはっは〜!」 あご髭の男がありさを見て高笑いをした。 手下達もそれにつられて同じように笑った。 「笑いたければ笑うがよい」 「ふっ、さすが女武者だけのことはあるぜ。まさか男みたいにふんどしを締めているとは思わなかったぜ。こりゃ面白くなってきやがったぜ〜」 「俺も長いこと男をやってきたが、女のふんどし姿を見るのは初めてだぜ。こりゃたっぷりと拝まねえとなあ」 「おい、蝋燭をもっとふんどしに近づけろ」 「へいへい」 盗賊の中で一番若い男が蝋燭を持って来て、ありさの腰の辺りに置いた。 序列からすればおそらく一番末座になるのだろう。 男達はありさのふんどしに鼻がひっつくぐらいに顔を近づけた。 一様に淫靡な笑みを浮かべている。 「お頭、早速、このふんどしをひん剥いてしまおうか?」 「いや、ちょっと待て。その前にこの女に聞いておきたいことがある」 あご髭の男は逸る手下を制して、ありさのあごを摘まんでにやりと笑った。 「へっへっへ〜、暗くてよく見えなかったが、かなりの玉じゃねえか。へっへっへ〜。ところで、名前は何と言う?」 「・・・・・・」 ありさはあご髭の男を一瞬だけキッと睨んで、すぐさま顔を逸らしてしまった。 「そうか、言いたくねえか。まあいいだろう。じゃあ、聞くが、お前、どうして女武者のいでたちをしていたのだ?何か深い訳がありそうじゃねえか?」 「・・・・・・」 「ちゃんと答えれば手荒なことはしねえ。どうだ話さねえか?」 「ふん、すでに手荒なことしているではないか」 「なんだと?ちゃんとしゃべらねえともっと恥ずかしい目にあうぞ。いいんだな?」 「好きにするがよい」 「ほう〜、なかなかいい根性してるじゃねえか。だが、それだけでっかい口を叩いて、後で吠え面かいても知らねえからな」 「ふん」 ( 第六話へ)
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