ファンタジー官能長編/ アリサ 蒼い伝説



フィクション







第7話


 目前に現れたのは人跡未踏とも思われる洞窟の入口であった。
 入口附近は青々と苔がむし、人が寄りついた形跡がまったくなかった。
 中は真っ暗な闇に包まれており、灯りがなければ足を踏み入れることは難しそうだ。

「ありがとう、アリサ。君のお陰でここまで来れた。感謝するよ。じゃあ君はここから村に引き返してね」
「にゃんにゃん〜、やだよ〜、私もいっしょに行くの〜」
「それはだめだよ。どんな危険が待っているかも知れないから、ここから先は君を連れて行くことはできないよ」
「やんやん〜、アリサも着いて行くの〜」

 駄々をこねるアリサに手を焼いたシャイローは、ついに根負けしてアリサを洞窟に連れて行くことをした。

「だけどアリサ、もしも何かが襲ってきたら、僕に構わずさっさと逃げるんだよ、いいね」
「うん、分かった」

 そうつぶやきながら、シャイローは松明を灯した。
 洞窟へわずか数歩入っただけなのに、早くもひやりとした冷気が二人を包みこんだ。
 ひび割れた黒い岩肌が一層不気味さを引き立たせている。
 天井からはポタリポタリと水が滴り落ちる音が洞窟内の静寂を引き裂く。
 洞窟特有の湿気臭い匂いが鼻腔を突く。
 ゆっくりと一歩づつ地面を踏みしめて歩く。

 いつのまにかアリサは無意識のうちにシャイローの手を握りしめていた。

(バタバタバタッ!)

 そのとき頭上で大きな羽ばたく音がして、アリサの頬に触れた。

「キャー!」
「大丈夫だよ、あれはコウモリだから」

 シャイローの手を握るアリサの手がすでに汗ばんでいる。
 天井が低くなっている所では腰を屈めて進み、足元のぬかるんだ所ではシャイローはアリサの手をしっかりと握り締めて奥へと進んで行った。

 洞窟内は思った以上に広い。
 シャイローは念のため、入り口から一定間隔で赤い目印を付けていた。
 深い洞窟では、仮に目的を果たせたとしても、帰り道に迷い戻れなくなってしまう可能性があるからだ。
 アリサは入る前の意気込みは影をひそめ、一滴のしずくの音にも脅え、その度にシャイローにすがりついた。

 曲がりくねった道を歩いていくと、やがて大きな広場に出た。
 シャイローが何か硬いものにけつまずいた。

(うっ!)

「にゃ〜〜〜〜〜〜っ!」

 アリサが叫び声をあげた。
 シャイローが松明を照らすと、足元に人骨が転がっているのが見えた。
 かつて洞窟内に忍び込んだ冒険者が道に迷って果てたのだろうか。それとも・・・
 シャイローの脳裏にある予感が過ぎったが、アリサが怯えるのを避けるため口にはしなかった。
 人骨の破損がどうも尋常ではない。
 何かに襲われた形跡がある。
 シャイローは無言で腰のショートソードに手を添えた。



第8話


「ねえ、シャイロー、見て!あそこに何か光っているものがあるよ!」

 アリサは興奮気味にシャイローに告げた。
 正面の少し段の上がった所に玉座のようなものがあり、その上の岩肌には青く輝く小さな物体があった。
 もしかしてあれが青いオーブなのだろうか。
 二人が輝く物体に向かって進もうとしたとき、バタバタと大きな羽ばたきが巻き起こった。
 コウモリか?いや違う。羽ばたきの大きさから考えてもっと大きな生物であることに間違いがない。

 二人の前に現れたのは伝説の怪鳥ガーゴイルであった。

「ギャウ〜ン〜ッ!」
「キャ〜〜〜ッ!」

 アリサは驚きのあまり思わずシャイローにしがみついた。

(バタバタバタッ!)

 ガーゴイルは二人に向かって飛び掛かってきた。
 シャイローはアリサを後方に匿いながら、腰からショートソードを抜いた。
 ところが次の瞬間ガーゴイルが先制攻撃を仕掛け、シャイローはあえなく羽に一撃され吹っ飛ばされてしまった。

「うわ〜〜〜っ!!」

 シャイローは後頭部を岩にぶつけて倒れ込んでしまった。
 ガーゴイルは洞窟内で一周旋回し、今度はアリサに照準を合わせてきた。
 アリサは爪で引っ掻き抵抗したが、ガーゴイルには一向に通じない。
 次の瞬間、ガーゴイルは2本の手でアリサを抱え吊り上げてしまった。

「キャ〜ッ!放して〜っ!」

 アリサを吊るしたまま洞窟内を旋回するガーゴイルは甲高い声で叫び声をあげた。
 勝利の雄叫びであろうか。

「ううっ・・・」

 倒れていたシャイローが頭を押さえながらのっそりと起き上がった。
 そして手元にあったリュートに手を伸ばした。
 まもなく、何を思ったのか、シャイローはリュートを抱え曲を奏で始めた。
 すると・・・
 勝利に気を良くし自慢気に旋回していたガーゴイルが、奇妙なことに突然苦しみ出した。

「ギャァァァ〜〜〜〜〜!!」

 そしてついには苦しみのあまり、抱きかかえていたアリサを空中で放してしまった。  シャイローの顔色が変わった。

「ア、アリサ!!」

 落下するアリサはそのまま地面に激突するかに思われたが、そこは身の軽さでは定評のある半猫族の娘。空中でクルリと回転し、地上にうまく着地した。

 一方、ガーゴイルは地面に落下し、その大きな身体を横たえて苦しむばかりであった。
 そしてまもなく息絶えてしまった。

 シャイローはリュートを静かに置いた。
 アリサは尋ねた。

「シャイロー、どうしてなの?どうして、あなたがリュートを弾き始めると、ガーゴイルは苦しみ出したの?」
「うん、実はね、ある古い歌を思い出したんだ」
「ええ?どういうこと?彼は音楽に弱いの?」
「うん、どんな曲にも弱いわけではないんだけど・・・実はこんな歌なんだよ」


♪赤き地獄の鳥

それは地獄よりの使者

大きな翼羽ばたかせば

コンドルさえもその身をすくめる

清き旋律を奏でよ

G(ゲー)の和音を・・・♪







第9話


「ガーゴイルがどうしてGの和音が嫌いなのかはよく分からない」
「なぜだろねえ?」
「でもあの歌の意味がようやく分かったよ」
「にゃあ?どんな意味があるの?」
「それはねえ・・・あ、そうだ。アリサ、早く青いオーブを」
「あ、そうだった!」

 アリサは岩肌に半ば埋もれた青いオーブを手に取った。

「うわぁ、すごくきれいな色〜」
「ほんとだね、すごくきれいだ。宝石のように輝いていて吸い込まれていきそうだ」
「シャイロー、良かったね。探していたものが見つかって」
「うん、とても嬉しいよ。見つけられたのはアリサ、君のお陰だ」
「そんなことないよ〜。私はただ着いてきただけだもの〜」
「アリサ・・・」
「ん?なに?」
「このオーブ、君にあげるよ」
「ええ!?こんな大事なものをもらうわけにはいかないわ。あなたがずっと探していて、やっと見つけたものじゃないの」
「いや、君が持ってて欲しい。僕は青いオーブを探す旅を楽しませてもらった。それだけで充分なんだ。それよりも君が持っててくれれば、もしかしたら奇跡が起こるかも知れない。生け贄にならなくて済むかも知れない。だから、君が持ってておくれ」
「シャイロー・・・ありがとう・・・嬉しいわ・・・」

 シャイローはアリサを抱き寄せて、熱いくちづけを交わした。

「アリサ、君が好きだ」
「シャイロー・・・嬉しいわ・・・私もあなたのことが大好きよ。でも・・・私、人間の女の子じゃないもの・・・。半猫族よ」
「そんなこと関係ないよ。半猫族でも人間でも好きなものは好き。アリサ、僕は君を愛してしまったんだ」
「シャイロー・・・」

 アリサはシャイローの胸に頬をうずめた。

「うっ・・・」
「だいじょうぶ!?」

 先程ガーゴイルに突き飛ばされた時の傷が痛むようだ。
 シャイローはそのまま地面に伏せてしまった。

「シャイロー!大丈夫!?しっかりして!」
「ううっ・・・」

 シャイローは顔をしかめて苦しんだ。

「シャイロー、心配しないで。私、どんなことがあってもあなたを助けるから。どんなことがあっても・・・」

 アリサは細い身体にもかかわらずシャイローを背負い歩き出した。
 でも重くて真っ直ぐには歩けない。
 暗い洞窟をよろめきながら一歩一歩地面を踏みしめた。
 その健気な姿はあまりにも痛々しかった。


 陽光が差し込む窓辺でシャイローは目が覚めた。

「うっ・・・」

 頭にはまだ痛みが残っており、しっかりと包帯を巻かれていた。
 シャイローのぼやけていた視界が次第に広がってきた。
 目前にはシャイローを看病するアリサの姿があった。

「あぁ、良かったぁ。やっと眼が覚めたにゃん〜」

 シャイローの目にアリサの笑顔が飛び込んできた。

「アリサ・・・もしかして、あの洞窟から僕を運び出してくれたのか?」

「うん」
「そうか。すごく重かったろう?すまなかったね。君を大変な目にあわせてしまったようだ」
「ううん、そんなことないわ。シャイローと洞窟を冒険できて楽しかったわ。うふふっ」
「あんな怪物が出てきたのに?アリサは強い子だね」



第10話


「強くないよ〜。あはは、怪物すごく恐かった。でもシャイローと冒険ができて楽しかったし、それにこんな素敵な青いオーブももらえたし、アリサ、すごく嬉しい」

 アリサは胸につけたペンダントをシャイローに見せた。
 青いオーブがペンダントトップとして光り輝いていた。

「わぁ、きれいだね〜。とてもよく似合うよ」
「そう?うれしい。シャイロー、ありがとう。でも・・・」

 アリサの表情が突然曇った。

「でも、私、もうすぐ生贄になってしまう・・・だからこのオーブはもらえないわ」

 アリサはペンダントを首から外してシャイローに返そうとした。

「何を言ってるんだよ。それは君がしっかりと持っておくんだ」
「でも・・でも・・・」
「アリサ」
「ん?」
「奇跡を信じるんだ。最後まで希望を捨ててはいけないよ」
「うん、そうだね。でもね、奇跡が起こらなくてもいいの。アリサは死ぬ直前にあなたと出会えたこと、それだけで満足なの」

 アリサはそうつぶやくと瞳に涙を浮かべた。

「アリサ・・・」 「あなたと出会えて、こんなに好きになってしまって・・・私、幸せよ」
「アリサ、僕も君に出会えこと、神に感謝している」

 出会ったばかりなのに、まもなく別れなければならない。
 シャイローはアリサが不憫で堪らなかった。
 何とかアリサを助けてやりたい。
 夜陰にまみれて逃げればアリサは助かるかも知れない。
 しかし、この村を捨てて逃げるわけには行かない。
 もし逃げれば、両親は咎められるだろうし、生贄を失った村もきっと困るだろう。
 それにアリサの性格から考えてもきっと逃げないだろう。
 何とか救う手立てはないものか・・・

 シャイローが思い悩んでいると、突然、アリサが驚くべきことをささやいた。

「ねぇ、シャイロー、私を愛して?死ぬまでに一度で良いから私を愛して・・・」
「アリサ・・・」

 シャイローはアリサをやさしく抱きしめた。

「アリサ、僕は君を深く愛してしまった。だから君を離したくない。失いたくない」

 シャイローの悲痛な表情を見て、アリサは号泣してしまった。

「シャイローっ!私、死にたくないよ!もっともっと、生きていたいよ〜!」
「アリサ・・・助けてあげられない僕を許して・・・」

 アリサはシャイローの胸に顔をうずめ泣き続けた。


 それからどれだけの時が経ったろうか。
 流す涙も涸れ果てたアリサは、いつしか一糸まとわぬ姿になりシャイローに抱かれていた。
 最初で最後の二人の契り。
 めくるめく愛に、二人の炎は激しく燃え上がった。
 シャイローはアリサの身体を隈なく愛撫した。
 これにはアリサも耐え切れず、歓喜に嗚咽を漏らした。
 一通りアリサへの愛撫が終わると、アリサもシャイローの股間に顔を埋め、怒張したしたモノを握りしめ、可愛い口で咥え込んだ。
 その仕草はまるでキャンディーでもしゃぶるように、ペロリペロリと美味しそうに舐めあげた。
「うっ・・ア、アリサ・・・君が・・・欲しい・・・」
「シャイロー、愛してぇ・・私を愛してぇ・・・」

 シャイローはアリサと瞳を交わし、小声でささやいた。

「アリサ・・・ひとつになろうね・・・」







第11話


 シャイローは大きくなった己の分身を濡れたヴァギナに宛がった。

「シャイロー・・・私を愛してぇ・・・私を貫いてぇ・・・」
「アリサ・・・」

(グジョッ)

「あっ・・・」

 アリサの喉奥から切ない声が漏れた。

(グッチョングッチョングッチョン)

 シャイローは前後に腰を振った。
 怒張したものがアリサの秘めやかな部分をえぐる。
 腰を振るたびに漏れる接合音がとても卑猥だ。

「にゃぁ〜・・・にゃはぁ〜・・・」

 膝に割り込み抽送を繰り返すシャイローは、アリサの膝を折り曲げ屈曲位に移行した。
 アリサの身体はエビのように大きく反り返り、怒張したものを深く受入れた。
 その快感はすさまじくアリサは思わず嬌声をあげた。

「ふぁあぁ〜、にゃはあぁ〜〜・・・シャイローがぁ、シャイローが深く入ってるぅ〜」
「はぁはぁはぁ、気持ちいいかい?」
「にゃぁ、すんごいいいよぉ〜」

(グッチョン、グッチョン、グッチョン、グッチョン)

 激しく昂ぶりをみせるアリサに、息遣いの荒いシャイローがポツリとつぶやいた。

「アリサ、四つん這いになって」
「四つん這い?恥ずかしいにゃあ・・・」

 アリサは羞恥に頬を染めながらも、尻尾をシャイローの方に向け両肘をベッドについた。
 シャイローはアリサの尻尾を掴み上に持ち上げた。

「やん〜!」
「えっ?なんで!?」

 尻尾を持ち上げられることは、秘所が丸見えになってしまうこともあって、半猫族の娘たちにとっては人間が想像する以上に恥ずかしい行為であった。
 事情の分からないシャイローは驚いた。

「どうして?」
「尻尾を上げられるのが恥ずかしいのぉ・・・」
「そうなんだ・・・ごめんね」
「ううん、いいの。シャイローなら」

 シャイローは再び怒張したものをスリットに宛がった。
 スリットはすでにびっしょり濡れそぼりキラキラと美しい輝きを見せていた。
 怒張したものがスリットに突き刺さった。

「にゃんっ!」

(ズブリ、ズブリ・・・)

「にゃぁ〜ご〜・・・」

 シャイローは腰をググッと前面に押し出した。
 スリットに太いものが食込みゆっくりと埋没していく。

「ふはぁ〜・・・にゃはぁ〜・・・」

(ズンズンズン、ズンズンズン)

 腰がリズミカルに律動する。

(ズンズンズン、ズンズンズン、パンパンパン、パンパンパン)

 シャイローの腹がアリサの尻にぶつかり圧縮された空気が叩くような音が発する。

「にゃんにゃん、にゃぁ〜、気持ちいいよ〜、シャイロー〜」

 アリサの歓びの言葉に気をよくしたシャイローは一段と動きに拍車を掛けた。

「にゃあ!あはっ、そこいい、そこいい、すごくいい、にゃは〜っ、何か変になってきたぁ〜!」
「アリサ、あっ、あっ!ああっ!」
「私、もうダメぇ!いっしょに、いっしょに、い、イキたいよ〜!あああ、あああ、にゃああああぁ〜〜〜〜〜!!」
「うううっ!!」

 アリサが絶頂に達するのと同時にシャイローも果ててしまった。

 ふたりは折り重なるようにしてベッドに沈みこんだ。
 うつ伏せのアリサの背中にシャイローが覆いかぶさりやさしくアリサを包み込んだ。
 やがて、アリサは仰向けになりシャイローと向き合った。
 どちらからともなくふたりは熱い口づけをかわした。

「アリサ、愛しているよ・・・ずっと、ずっと君を・・・」
「私もあなたを愛している・・・この身が神に召されようとも・・・」

 アリサの言葉にシャイローの胸は痛んだ。

 それからと言うもの、ふたりは毎日のように愛し合った。
 ふたりが出会ったエスポワールの丘で。
 アリサの両親はアリサの様子を薄々感ずいてはいたが、とがめることはなかった。
 まもなく村のために犠牲となる不憫な娘に、せめてその日までは思いのままにさせてやろうと思った。


 そしてついに儀式の前夜が訪れた。

「シャイロー・・・もうさよならだにゃん・・・」
「何を言ってるんだ、アリサ。そんな弱気でどうするんだ。きっと奇跡は起こる。それを信じるんだ」
「うん、そうだにゃん。私信じるよ、シャイロー」



第12話


「アリサ、何事も同じだけど、あきらめてしまうと叶う事でも叶わなくなってしまうものだよ。信念を持って物事に当たれば必ず道が開けてくるものだ。奇跡は起こるんじゃなくて、起こすんだと言う気概を持って当たればきっと起こる。僕はそう信じている」
「うん!シャイロー、よく判ったよ。何だか勇気が出てきたよ」
「アリサ、こちらにおいで」

 シャイローはアリサを担ぎ上げてベッドへと連れていき、ふたりは愛し合った。

「あぁ・・・シャイロー、すごい・・私の中が熱くなっていくぅ・・・あぁぁ、すてき・・・」
「アリサ、君の身体の中に僕の愛をいっぱい注いであげたい」
「注いでぇ〜、いっぱい、いっぱい注いでぇ〜!」

 アリサは生まれて初めて女として激しく乱れた。
 雌の香りをいっぱい発散させて、ついにはシャイローの上で妖艶な舞踊を舞い始めた。
 アリサの目頭からは大粒の涙がとめどもなく溢れ、シャイローの胸に滴り落ちた。
 おそらくこれがこの世で最後の愛の契りとなるだろう。
 愛する人に抱かれて、つかの間、アリサは女の幸せに酔いしれたのだった。
 かくしてふたりの熱い夜は更けていった。
 白々と夜が明けて、ついに運命の朝が訪れた。
 アリサは両親に別れの言葉を告げた。
 父親は涙をこらえ、村のために尽くして欲しい・・・と最後の言葉を贈った。
 だが母親は泣きくずれてしまい、見るものの涙を誘った。
 村長は村のためとはいえ、若い身空で散っていくアリサに、深々と頭(こうべ)を垂れて丁重に詫びた。

 神の祭壇の近くに木杭が打ち込まれ、アリサは『大の字』に緊縛された。
 磔場所や方法はすべて山の神の求めたとおりに従った。
 アリサの身体を縛る男達も、彼女の痛ましい姿に思わず涙を流した。

「アリサちゃん、すまないな。勘弁してくれよ・・・」


 村の大部分の人々がこの悲愴な儀式に参席した。
 だけどアリサの両親の姿だけはさすがに捉えることが出来なかった。
 多くの人々が見守る中で、アリサは取り乱すこともなく、静かに瞳を閉じ天命の時を待った。
 アリサは一糸まとわぬ肌に真っ白なガウンを着用していた。
 四隅で固く縛られた細い手足が実に痛々しく見えた。
 ほの白い首筋には青いオーブがキラリと輝いていたが、それに気づく者は誰一人いなかった。
 群衆の隅でそっと見守るシャイローの他には・・・



つづく













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