『 死者はまどろむ   2000,7,15up

小池真理子( Koike Mariko ) 著     

集英社文庫  ISBN4-08-748062-3          

 美しい自然と信仰心厚い村人たち−「夢見村」
に魅了されたた間宮亜希子は一家でひと夏を過
ごしにやってきた。小説家の夫はスランプを脱
し、義母は優しくなった。ここは幸福を魔法の
土地だった。偶然一家が異様な葬列と共同墓地
を見た時から何かが狂いはじめる。ざわめく木
立の隙間に、きらめく光の中に死者の影が忍び
寄る。若い家族を恐怖のどん底に突き落とす怪
異の連続。長編モダンホラー。



(文庫本背表紙より)

 


 この物語は、背筋も凍るホラーではない。
 ファンタジーのようなパラダイス=夢見村。
そのパラダイスを支えているもの、中心となるものは−−。
少し矛盾しているかもしれないが、心暖まるホラーである。
そういった意味において、「死者はもどろむ」というタイ
トルは、なかなか、うまくつけていると思った。
 都会の生活は、プライバシーの保護という名のもとの個
人生活で、自然や社会(コミュニティ)ともかけ離れたよ
うな生活ができる。ある種、快適ではある。
しかし、心は荒む。
 夢見村の生活は全くの逆である。
しかし、土臭さや泥臭さがなく、さらりとした人間関係に
よって成立している村である。私としては、現実味がない
ようにも思えたが、それは、中心となる核を知らなかった
からである。
 もし可能ならば、一度だけなら、味わってみたい恐怖と
いえるかもしれない。




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