『 結婚詐欺師(下)』
乃南アサ( nonami asa ) 著
幻冬舎文庫 ISBN4-87728-773-6
橋口を追ううちに、阿久津は被害者の中に、
かつての恋人美和子がいることに気付く。
偶然を装って美和子と接触した阿久津は、
彼女の口から橋口への想いを聞かされる。
美和子さえも騙しきったかに見えた橋口には、
しかし捜査の手が確実に伸びていた。-----
騙す男、貢ぐ女、追う刑事の息詰まる攻防を
緻密な筆致で描き切った、乃南ミステリの代表作。
(文庫本背表紙より)
橋口の人間像が明らかになるにつれて、主人公は
阿久津刑事へと移ってゆき、かつての恋人としての
個人的立場と刑事としての立場に悩み、そして、
阿久津自身は彼女にふられ、今、その彼女が詐欺師
の橋口に想いをよせている。阿久津の自分自身への
プライドが揺れ動いていく。
現在と過去、刑事と被害者、妻と元恋人、刑事と犯人
美和子にとっての阿久津と橋口、
そういった関係の中で悩む阿久津。
私は、そんな阿久津に多大な共感を覚えた。
そして、橋口は自分自身の論理に従い、動いていく。
阿久津が、警察が、美和子が、それぞれの信念に従い
動いていく。