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木下 芝蘭(きのした しらん)

釈文
家は十坪に過ぎず、庭は唯三坪誰か云ふ、狭くして且陋なりと。家陋なりと雖も、膝を容る可く、
庭狭きも、碧空を仰ぐ可く、歩して永遠を思うに足る。神の月日は此処にも照れば、四季も来り
見舞い、風、雨、雪、霰、かはるがはる至りて興浅からず。蝶児来りて舞い、蝉来りて鳴き、小鳥
来り遊び、秋蛩また吟ず。静かに観ずれば宇宙の富は殆んど、三坪の庭に溢るるを覚ゆるなり。
徳富蘆花「自然と人生」より
作品寸法 45×53
解説
「自然と人生」は明治33年の刊行で、「湘南雑筆」を中心に、自然描写、感想文、他に短編の小説
などを集めたものである。この書は、その自然を見る目の清新さに広く若い層に好評を得、作者は
自然詩人と称せられた程である。