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今回のテーマ  仏教辞典・仏教語辞典と大蔵経(一切経)

 「仏教書」と一口に言っても、原始仏教から日本における宗派仏教、更に哲学・思想分野から民俗学関連まで、大変多様な分野に分けられます。
 そこでこのページでは、毎回テーマを設定して関連図書を集約し、皆様の選書のご参考に供することにしました。取り上げるテーマにつきましては、皆様のご意見を参考にして決めていきたいと考えております。
 今回は、仏教を知るうえで最も基本となる仏教辞典・仏教語辞典と、一切経とも呼ばれる大蔵経に限定し、発行元のパンフレットなどからは読み取りづらい情報や、小社独自の寸評をお付けして紹介してみました。


   ★仏教辞典・仏教語辞典のコーナー★     大蔵経(一切経)は、こちらです。

広説佛教語大辞典
 全四巻    中村元著/B5判・総2350頁/東京書籍刊  68000(参考定価)  新本お取り寄せ可
 『佛教語大辞典』の全面的な増補新訂版として、8千語を新たに追加し、更に旧版の4万5千語のうち2万語について改訂を加えた。引き易さに配慮して五十音順配列とし、別巻には「漢字見出し語索引」「パーリ語・サンスクリット語等索引」「チベット語索引」「略号出典一覧表」「出典総覧」を完備、梵語辞典やパーリ語辞典としても利用できる。安価な縮刷版の刊行が待たれるところではあるが、高価な大型版だけを数年間販売して、ある程度の利潤を確保してから安価な縮刷版を刊行するという、いかにも旧態依然とした手法は何とかならないものか。


佛教語大辞典 縮刷版    中村元著/B5判・1469頁/東京書籍刊       18000(参考定価)  特価本コーナーに在庫有り
 仏教語辞典といえば「中村」と言われるほどに評価の定まった、コスト・パフォーマンスの点から見ても現時点で最高の仏教語辞典。4万5千語に及ぶ豊富な語彙を収録し、中村博士自身による平明な記述は、初学者から専門研究者に至る読者の圧倒的な支持を集めている。ただし、固有名詞は含まれない。版元は、もう絶対に重版しないと言っていたはずなのに、今般重版された。察するに、上記『広説』の売れ行きが予想を下回り、そのため当面『縮刷版』を出せそうにないということか。はたまた、冥王星の降格による本業への影響が想定外だったためか(深読みし過ぎ?)。


図説佛教語大辞典    中村元編著/B5判・812頁/東京書籍刊        22000(参考定価)
 図版三千点を収録し、仏教語をより具象的に理解するために編纂された。比較思想の立場から、インドの神仏や思想が近隣諸地域や中国などを経て日本に至った変遷などにも配慮し、それが一見できるような構成になっている。


岩波
仏教辞典    中村元他編著/四六判・1246頁/岩波書店刊          7000(参考定価)  新本お取り寄せ可
 固有名詞や包括的な項目を含む4千5百語を収録し、余り専門に流されることなく、文学や歴史など幅広い視野に立った記述が特徴。引きやすく読みやすい横組み、ハンディな体裁、比較的手頃な価格など、初学者が手に取るのに最適な辞典のひとつではあるが、収録語数の少なさが気になる。仏教伝播地図・寺院建築図解・仏像図解・仏教史年表など付録は充実している。


織田佛教大辞典    織田得能著/A5判・2132頁/大蔵出版刊        25000(参考定価)  新本お取り寄せ可
 明治日本の生んだ希代の碩学、織田得能が独力で編集した、余りにも余りにも余りにも(笑)、古典的な仏教辞典。3万5千余語を収録。オリジナル版はB5判であったが、それをA4判に縮小(86%)し、多少扱いやすくはなっている。


佛教辞典   宇井伯壽監/コンサイス判・1148頁/大東出版社刊         4500(参考定価)  特価本コーナーに在庫有り
 昭和13年に初版刊行された、ハンディで引きやすい横組みのコンサイス版。固有名詞を含む2万7千余語を収録し、平明・簡潔な記述は、広く支持されている。一冊目の仏教辞典として、最もコスト・パフォーマンスが高いものの筆頭で、お勧めだと思う。当然ながら記述は現代語ではないが、さほど苦にならないのではないか。コンサイス版を160%拡大(こんな手もアリなの?)した愛蔵版もあるが、こちらは図書館にお任せしよう(B5判・1148頁=25000円)。


日本佛教語辞典    岩本裕著/B5判・900頁/平凡社刊           20000(参考定価)
 インド文献学に造詣の深い著者が、一貫した方針のもとに完成させたユニークな仏教辞典。収録項目数は、立項したものと、総目次と索引を活用して検索できる小項目を併せて約6千。通説に対しても忌憚のない批判を加えた、どちらかといえば事典に近い内容の、読む辞典。語注も豊富だが、やはり“辞典”としては中途半端かも。しかし東洋文庫といい、白川静先生の著作といい、平凡社には良い仕事をする人がいるなぁ・・・。


総合
佛教大辞典 全三巻   鎌田茂雄他編/B5判・総1950頁/法蔵館刊    53000(参考定価)  特価本コーナーに在庫有り
 仏教学や仏教史の分野も含めた、総合的な仏教百科辞典。項目数としては1万2千、他に索引項目として3万5千余を収録。辞典としては上・下の2巻、3冊目は別巻として索引と叢書目録を収録している。戦後刊行された仏教辞典の中では最大規模で、活字も大きく読みやすいものの、価格的にかなり割高な感じだったが、ようやく05年に待望の一冊本が『新装版』として刊行(B5判・1508頁=28000円)された。しかしながら、それでもなお高い感じは否めない。


望月
佛教大辞典 全十巻  望月信亨編/B5判・総8000頁/世界聖典刊行協会刊 150000(参考定価)
 内容の厳密さ、分量において最大級の規模を誇り、永らく仏教辞典の最高権威とされていたが、『広説佛教語大辞典』の刊行により、やや色褪せたと見るべきか、かえって輝きを増したと見るべきか。厳密な典拠主義に基づく詳細な記述は、未だに他書を寄せ付けない。索引掲載語彙数5万余語。当初全7巻(本巻5巻・年表1巻・索引1巻)として、後に増補1巻と補遺2巻を加え全10巻となる。分売可。


佛教大辞彙 全七巻   龍谷大学編/B5判・総5346頁/冨山房刊          115534(参考定価)
 仏教全般に及ぶ2万数千語を収録し、特に浄土真宗関係の項目については充実している。


日英佛教辞典 増補普及版    大東出版社編/A5変判・456頁/大東出版社刊   9500(参考定価)  新本お取り寄せ可
 宇井伯壽監修の『佛教辞典』から、固有名詞を含め重要な5千余項目を抽出し、簡潔・明瞭な英文に翻訳したもの。初版以来30余年になる英文仏教辞典に2百余項目を増補し、更に五十音索引も追加して、普及版として近年刊行された。仏教辞典、あるいは仏教語辞典という観点から見れば、次項の稲垣本より、こちらのほうが信頼できるのではないかと思われる。


日英佛教語辞典    稲垣久雄編/四六判・510頁/永田文昌堂刊           7500(参考定価)  新本お取り寄せ可
 日本古典文学に出てくる仏教語、及び日常仏教語約5千5百を英文で略説した。同編者の類書として『日英禅語辞典』もあり、仏教語あるいは禅語としての記述内容には一部疑問を感じる箇所もあるが、“日英”という用途からすれば、何ら問題はないレベルなんでしょうね。


逆引仏教語辞典    同辞典編纂委員会編/B5判・640頁/柏書房刊      18000(参考定価)
 日本仏教各宗派の根本所依経典・常用経典などから約4万7千語を収集し、逆引五十音順に排列したユニークな辞典、というより字典。末尾の要素を同じくする同類語の検索が容易にできるなど、使用方法によっては意外に重宝する。価格に見合うだけの利用価値の有無については、かなり疑問があるが・・・。


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