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今回は、ネタばらしというほどのネタがないので、
どちらかというと「あとがき」に近いです。


だいじな約束 だいじなやくそく
 ノートによれば、アイデアは94年の秋に遡ります。その頃、何本か短い童話風のお話を書いて、コピーしてリボンで綴じて、友人たちに配ったのを覚えています。
 その中の一本が、「だいじな約束」の初稿でした。「黄昏は猫族の時間」もありました。

初期のアイデア

 ノートにメモが残っています。
世界がカオスだった頃
やくそく
木花魚けもの大地星
 以上です。
 これも頭の中でまとめながらつらつらと書いたお話だったようですネ。

 世界が秩序立って、人間が暮らせるようでいてくれるのは、人間と世界とが約束をしているからだ・・・という、エコなアイデアをお話にしたもので、特にヒネリはありません。

 初稿では、世界のみんなと約束して、神さまが空に帰っていった後で終わっています。人間が勝手に振る舞いだしてからの部分がありませんでした。

(初稿のエンディング)
 人間たちが、世界のみんなとのやくそくをわすれずにいるかぎり、世界はちゃんとしていてくれるのです。

 でも、ときどき、だいじなみんなとのやくそくを人間がわすれていると、いまでも木が歩きだすこともあるんですよ。
 とくに人間たちがねしずまったあとや、うしろをむいているときには、はながひそひそとおしゃべりをはじめたり、さかながトットコ走りまわったり、けものが小さな羽をぱたぱたさせて空をとんだり、大地がひょいと旅にでたり、星がおりてきて水あそびしたり、そんなことがほんとうに、おこったりもするのです。
 もしも、よなかに目がさめて、まどのそとに、おさんぽしている神さまを見かけたら、あのやくそくをおもいだして、お祈りしてあげるといいかもしれません。神さまは、きっと、とってもよろこんでくれるでしょうね。 

加筆部分

 現行のエンディングに変えたのは・・・いつだったか覚えてませんが、初稿を書き終えてわりとすぐの頃から、変えようとは思っていました。世界のみんなが泣き寝入りしているのを隠蔽した、悪く言えば子供だましのラストだったからです。
 もう一ひねり、毒があって心優しいエンディングにしたい・・・と思って、加筆しました。
人間がデタラメな具合に生き始め、だいじな約束を忘れてしまう。
    ↓
世界のみんなが困る。
    ↓
さて、そこでみんなは・・・
 と、そこまで考えて、みんながまた自由に振る舞いだして人間を困らせるお話も書けるな、とは思ったのですが。
 でも、やっぱり。
 世界のみんなは、黙って許していてくれてるのが、ほんとうのことに近いな、と考え直しました。

 黙って我慢して許していてくれる。
 そしてやがて・・・あるいは既に少しずつ・・・人間を置いて、別の世界へと去って行ってしまう。
 人間たちは、「からっぽの海に町を浮かべて、人間だけで」、世界のみんなを人工物で置き換えて生きていくことになる・・・。

 こういうエンディングにしてしまうと、子供向きとはとうてい言えなくなってしまいますが、その辺が私の限界なのでしょう。子供向けじゃないからいいや、と思って、初稿でひらがなにしていたところを漢字に書き直したりもしました。

 このお話、自分では気に入っているのですが、評判はイマイチです。
 一番熱心な感想を下さった方は、人間が世界のみんなに約束をしていくシーンを「とても残酷」と感じられたそうです。裏切っていく約束を無邪気に告げる人間の姿は、もっと大人向きの小説でも利用できる「残酷なシーン」かもしれませんね。

技法

 これといった技法は使っていないようです。
 強いて挙げるなら、繰り返しの多用。
 それと、繰り返しのリズムに変化を付けるために、途中で本が歌い出す場面を入れたことぐらいが計算の内です。リズムと変化は、とても重要です。



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